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特集 医療情報を共有する ヘルスケアの進行形
特集2 患者にやさしく医療者には心強いICTの力 ニュースや新聞に「電子カルテ」という言葉が登場して久しいが、医療データの電子化にはどのようなメリットがあるのだろうか。ICT化に積極的に取り組む2名の医師に現状とその可能性について聞いた。

医療データもネットワーク上で 流通する時代
 「電子カルテのメリットを最大限発揮するためには、相互連携が必要だと考えています」
 そう話すのは、京都大学医学部附属病院医療情報部の吉原博幸さんだ。
 電子カルテのような病院内で記録した電子データを、医療機関同士、また医療機関と患者の間で共有するためのシステムを一般的にEHR(Electronic Health Record)と呼ぶ。これまでも、紹介状などを通して地域内での医療情報の連携は行われてきたが、EHRを用いたより広範囲な情報連携の実現のため、吉原さんが中心メンバーの一人となり起ち上げたのがドルフィンプロジェクトだ。1995年、地域の異なる病院情報システムを相互に接続できる基盤の提供を目指し、医療データの「標準化」「保存場所の明確化」を軸としてこのプロジェクトははじまった。
 「宮崎(はにわネット)、熊本(ひご・メド)、京都(まいこネット)、東京(HOTプロジェクト)の4つの都府県それぞれにデータセンターを設置し運営しています。データセンターには患者ごとのアカウントがあり、患者が受けた診療の内容、処方された薬などのデータを各医療機関で機関内のシステムに登録すると、それが自動的にデータセンターに集約される仕組みになっています。患者自身と担当医療機関がそのデータを参照できることはもちろんのこと、患者の許可があれば、担当外の医療機関が参照することも可能で、そこに相互連携が生まれます。今までは、小さなクリニックが紹介状を書いて大きな病院へ、という一方通行の情報連携でしたが、患者の状態が落ち着いてまたクリニックに戻ったときも、大きな病院へかかっていたときの経過や診療の内容が容易にわかるわけです」
 患者は、初めてかかる病院に行く場合にも、過去の病歴や身体に合わない薬に関して説明する手間が省け、医師は患者に関する過去のデータをすべて参照できるため、より精度の高い診察、診断ができるというわけだ。
写真 吉原さん
京都大学医学部附属病院
医療情報部 部長 病院長補佐
吉原 博幸 氏

病院内の情報システム設計から運用保守まで一貫して担当。バーチャルリアリティによる手術のシミュレーションや病院内のデータの自然言語処理も研究。EHRを「ライフワーク」と考えている。

 おおむね順調にユーザーは増えており、京都のまいこネットに関していうと、現在4000以上のアカウントの登録がある。また、機能の方も少しずつ充実してきている。
 「携帯電話からEHRにアクセスできる機能は、すでに実装済みです。インターフェースは少し変わってしまいますが、急に病院に行ったときにもその場で参照可能なので、実用性がとても高まりましたね。地域間のシステム連携の部分は現在開発中なのですが、京都と宮崎の間ではすでに連携が可能になっています。スーパードルフィンというシステムがあり、両方のアカウント情報を統合しマッピングしてくれるのです。京都と宮崎両方の医療機関に定期的に通っている人なんてそうそういないでしょうが(笑)、早く全国的に連携できればと思っています」
 アカウントやデータベースの統合ということも視野に入れながら、今後はまず、ランニングコストを抑えるためにハードウェアの集約から進めていくという。
365°ロゴ トップへ
●巻頭インタビュー
劇団ひとり
●特集
医療情報を共有する
ヘルスケアの進行形
・健康をつなぐコンティニュア
という「連絡橋」
・患者にやさしく医療者には
心強いICTの力
●ひかり子のICT探検隊が行く!
●WORLD WATCH
世界のモバイル端末の
現在と未来
●IT展望台
ネットと既存メディアの
新たな関係
●最初の197回線
155番 鹿島萬兵衛と父・萬平
●渡辺千賀のThe Point is …
●365°について
●終了のごあいさつ

写真 ケータイからの「まいこネット」利用イメージ ケータイからの「まいこネット」利用イメージ。ケータイ版の「まいこネット」は2008年10月よりサービスが開始されている。「まいこネット」の医療データは三条烏丸のNTT西日本データセンターを利用している。 図表 ドルフィンプロジェクトの基本概念
患者が診察を受けた医療機関で作られた電子カルテは、各地域に設置されたデータセンターに登録される。電子カルテは患者自身で確認できるほか、病院、クリニック、薬局などの医療機関担当者も閲覧できる。さらに電子カルテはパソコンだけでなく、ケータイでもアクセスできるようになっている。




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