ぶるなび −人間の知覚特性を利用した力覚インタフェース−

技術領域
先端技術
組織名
NTTコミュニケーション科学基礎研究所
キーワード
  • 人間科学
  • インタフェース
  • 錯覚
  • 力覚

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これまで携帯端末における触覚の情報提示は、バイブレーターのような振動感覚に限定されていました。また、携帯端末では、手首を ひねるような瞬間的な回転力は提示可能でしたが、並進方向の力を直接的・連続的に提示することができませんでした。これは外部 に固定されずに手ごたえのような力覚、力感覚を提示する際に生じる物理的制約であり、電界や磁界による非接触駆動がモバイル 環境においては現実的な方法といえないため、物理力として実際に発生させることは事実上不可能でした。

この問題に対して、NTT研究所では人間の知覚の非線形性を利用して、けん引力を錯覚させる手法を提案・開発しました。ある 重りに対して、往路ではパルス状の急峻な加速度運動、復路では緩やかに元の位置に戻る加速度運動という組み合わせで周期的な 並進運動を行わせます。この往復運動の加速度は周期運動であるため、必然的に一周積分が0になりますが、行きと帰りの所要時間に 偏りをもたせることで、加速度の振幅に大きな差をつけた運動を作り出しています。力は加速度に比例するため、この運動は非対称な 力を発生することになります。人間は緩やかな力をあまり知覚できないという知覚特性があるため、この一連の力を「どちらか一方 に引っ張るような力」と錯覚します。試作機では、直線的に質量を往復させるリンク機構(クランクスライダ機構)を用いています。 この結果、短時間ながら振幅の大きい加速度反力を感じさせる方向へ継続的なパルス刺激を提示することに成功しました。この 力覚提示の効果的な生起条件を調べ、錯覚のメカニズムの解明を目指しています。

今後は装置の体験者による評価に加え、装置の小型軽量化や加速度発生機構の改良を進めていく予定です。将来的には、携帯 電話などの端末に組み込めるようなモジュールにすることで、GPS機能と組み合わせた「手を引く」歩行者ナビゲーションの実現を 目指します。また、視覚障がい者の歩行支援も検討しています。


人間の知覚特性を利用した力覚インタフェース「ぶるなび」

図版