通信EMC技術

技術領域
通信ネットワーク技術

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概要

インターネットに代表されるICT技術の進展によって、私たちの周りで使われる情報通信機器はますます増え、これらの機器の動作に伴って放出される不要電磁波の量も年々増加していく傾向にあります。一方、通信の多様化と高速化や省エネルギーの進展により、機器内部の駆動電圧・信号レベルは年々低下傾向にあります。こうした状況で何の対策もしなければ、不要な電磁波による電波障害の増加、情報通信機器の外部からの電磁ノイズや雷などによる故障の多発を招いてしまいます。そこで通信を安定して提供することを目的として、ほかの機器に電磁的な影響を与えず、かつほかの機器の電磁ノイズや雷などから通信機器を守るため、「通信EMC技術(EMC:電磁両立性)」の研究開発を進めています。例えば、端末の雷害対策技術の研究開発では、光ファイバを用いた通信の普及に伴って発生している従来とは異なるメカニズムの雷害を防止するため、端末の各ポートの過電圧耐力を向上させる技術を検討しています。また、ノイズ分離・識別技術では、機器に影響を及ぼしている電磁ノイズを、従来の波形解析技術と比較して精度良く分離・解析する技術の検討を行っています。

  • (1)端末の雷害対策技術

    従来、端末の雷害の主原因は、屋外に通じる電源線や通信線に誘導する雷サージでした。しかし、通信回線が光化されたことにより、建物内のネットワーク構成に起因する、これまでとは異なるメカニズムの雷害が発生しています。こうした雷害を低減するために、電源や通信ポートそれぞれの過電圧耐力を向上させるとともに、ポート間の耐力を適切に設計および対策することで、雷害を低減する技術を開発しています。

  • (2)ノイズ分離・識別技術

    インバータ電源などを使用する機器の増加に伴い、電話機などの通信装置に異音が混入したり、通信速度が低下するなどの問題が発生しています。こうしたスイッチングノイズはさまざまな機器から発生し、これまで故障原因の特定は技術者の経験に頼っていました。ノイズ分離・識別技術は、さまざまな電磁ノイズや信号が合わさった波形データから、独自の波形分離・解析技術(時変極解析技術)を用いて、信号と電磁ノイズの分離、電磁ノイズ発生源の識別(機器特定)を行うものです。電磁ノイズ源の探索ツールや、消費電力波形に基づく機器識別技術への応用に向け、開発を進めています。


図版