概要
量子コンピュータは、従来のコンピュータをはるかにしのぐ計算能力を有すると期待されていますが、外部擾乱や論理ゲートの精度不足によるエラーの補正が重要な課題となります。一方、自然界の基本粒子と異なる準粒子*注1を使うと、エラー発生率が非常に低い量子計算が可能になると期待されています。本研究では、そのような準粒子の存在が期待されている半導体中の特殊な電子状態を、高感度核磁気共鳴法*注2により調べ、その詳細を明らかにしました。
実験結果は、この状態が新しい量子計算に使える可能性を支持しています。
特徴
- エラー発生率が非常に低い、新しい量子計算法(トポロジカル量子計算*注3)の可能性
- 自然界の基本粒子とは異なる振る舞いをする準粒子を利用
- 超高純度半導体結晶成長技術を活かし、特殊な電子状態を実現
- 高感度核磁気共鳴法により、特殊な電子状態を壊さずに直接測定
利用シーン
- 量子コンピュータによる超高速並列演算(暗号解析、データ検索、シミュレーションなど)
- *注1 準粒子: 電子などの基本粒子では、2つの粒子を入れ替えても元の状態と区別することができません。一方、多くの電子
が1つの粒子のように振る舞う準粒子では、2つを入れ替えると別の状態に変わってしまうという特異な性質を持つもの
(非アーベリアン準粒子)の存在が理論的に予想されています。 - *注2 核磁気共鳴法: 磁場中で原子核が固有の周波数で電磁波を共鳴吸収する現象を用いた分光法
- *注3 トポロジカル量子計算: 準粒子を並べ替えることにより行う量子計算。計算結果は並べ替えの順序だけで決まり、経路の
詳細に依存しないため、エラー発生率を低く抑えることができると考えられています。
- 本研究の成果は、独立行政法人科学技術振興機構との共同研究によって得られたものです。

