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2012年2月16日(木)・17日(金)の2日間、NTT武蔵野研究開発センタ(東京・武蔵野市)におきまして「NTT R&Dフォーラム2012」が開催されました。
今年は、「創る、支える、進化するICT」をコンセプトに、(株)NTTデータ、(株)NTTドコモの協力も得てブロードバンド・ユビキタスサービスのさらなる展開を支える研究開発の成果を、講演やパネルディスカッション、そして展示を通じて広く紹介しました。またフォーラム期間中は、NTT武蔵野研究開発センタ内の「NTT技術史料館」も特別公開され、「タイムスリップツアー」も開催されました。
ここでは多数の来場者をお迎えして盛況のうちに終えることができましたフォーラムの様子を、編集部記者がリポートします。

先端研究や先進技術の一端が、デモや映像、パネルなどを交えて披露された。各フィールドの特徴的な展示と傾向や動向を紹介する。
人々の新しいワーク/ライフスタイルを創造するICTサービスや技術を、「ホーム」、「ワーク」、「パーソナル」の3カテゴリー別に展示。あわせて、それらを相互につなぐ「クラウド・セキュリティ基盤」についても展示が行われた。
ここではNTTグループが目指す家庭向けサービスの将来像を実現する「スマートホーム」のコンセプトのもとに、ホームICT基盤を中心とした多彩なサービスラインアップとしてのHEMS、ホームセキュリティ、コミュニティ、映像コミュニケーション、エンターテインメントの展示が展開された。あらゆる端末がつながる利便性の高いホームネットワークではオールワイヤレスで実現する技術も注目された。(※ビデオで紹介/高速ワイヤレスホームネットワーク)
また、あたかも目の前で話しているかのような超高臨場感の音響コミュニケーションシステム(※ビデオで紹介/音場を伝送するリアルタイム波面合成技術)である波面合成技術の体験デモも好評を博した。
スムーズな双方向映像コミュニケーションや通話、データサービス。低遅延で高品質なリアルタイム双方向の映像コミュニケーションが汎用PCで利用できる高精細度テレビ(HDTV)電話アプリケーションや遠隔地間でのコミュニケーション、障害を越えて享受できるWeb構築のためのユニバーサルデザイン支援ツールなど、ユビキタス時代のビジネスやオフィス環境を支えるソリューションが目を引く展示となった。
スマートフォン向けの情報ナビゲーション技術や任意の話者の音声を即座に合成して作成する技術、さらに利用者の好みや行動傾向を学習するレコメンデーションシステム、通話中の音声を自動的に翻訳して相手に伝えることができるサービスなど、コミュニケーションの楽しさや生活の利便性を向上させる高付加価値サービスを実現する技術が目立った。
クラウド上のサービスを停止させずに異なる拠点のサーバーへサービス機能を移行させる遠隔ライブマイグレーション技術や、ビッグデータを常に素早く、深く分析するためのリアルタイム型大規模分散データ分析基盤技術「Jubatus」、データを秘密分散した状態のままで統計分析を可能にする秘密計算システムなど、本格的なクラウド時代を支える基盤形成や、増大するビッグデータから新たな価値を見いだすデータマイニング、セキュリティなどが紹介された。
地域格差や教育問題、環境問題など、現代社会をめぐるさまざまな課題へのソリューションを提示し、人々の安心・安全な生活を支えるICTサービスや技術、ネットワークサービス基盤などについて紹介。
健康データ流通の国際的業界標準"Continua Health Alliance"のガイドラインに対応したデータ登録と健康サービス間のデータ交換を可能にするヘルスシステムや、慢性疾患患者の日常生活情報共有システム、医療・健康共通サービス基盤ソフトウェアなど、健康維持を根底から支えるソリューションが提示された。
先生が話す言葉をスマートフォンやPCで収音し、クラウド上の音声認識サーバでテキストに変換、文字は生徒用のゲーム端末や電子黒板に出力されるバリアフリーコミュニケーションシステムの「こえみる」や、職員室と教室、家庭をシームレスにつないだ「教育クラウド」を中心に、「新たな学びの実現」を目指す"教育スクウェア×ICT"、ビデオエデュケーションなど、教育支援を中心としたサービス・ソリューションが披露された。
震災に強い基盤設備構築や"しなやかなネットワーク"づくりに対する取り組みや研究・技術が紹介された。例えば災害などによる通信途絶時に、迅速に臨時化通信回線を設営、提供することが可能な可搬型アンテナも開発されている。(※ビデオで紹介/小型衛星通信地球局)
また、大規模化・複雑化したシステムの監視業務・ジョブ管理業務を効率的に実現する統合運用管理ソフトウェアをはじめ、高密度に実装された通信局舎内の光配線コネクタ盤上の接続や抜去作業時を、拡張現実(AR)を使ってナビゲートし、誤作業などを防ぐ技術など、社会インフラとしてのネットワークのミッションクリティカル性や安定度を底支えする技術群が紹介された。
Green R&Dの取り組みとして、熱や空気の流れを上手にコントロールするなどして、データセンタの省電力化を実現する(※ビデオで紹介/データセンタ エネルギー マネージメント システム:DEMS)技術をはじめ、ICTサービスの環境負荷削減効果評価技術、電力消費構造の見える化、通信設備への電力安定供給を支える燃料電池・蓄電池技術などがデモ展示された。
ICTサービスに根本的な進化や変革をもたらすポテンシャルを秘めた最先端コアテクノロジーおよびサイエンスを、ネットワーク、情報処理、センサ・イメージングデバイスの進化に焦点を当てて紹介。
低コストなハードウエアを導入しても、高速化や大容量化、端末数増加、サービスの多様化など、将来のネットワーク要件に対応しながらキャリアグレードのパフォーマンスを実現するネットワーク制御ノード技術や仮想ネットワーク上でのトラヒック状況の高精度な測定技術などが紹介された。
デジタルコヒーレント光伝送方式によって1波長あたり毎秒100Gbitクラスのリアルタイム信号伝達を実現し、将来的には1波長あたり毎秒400Gbit以上の超高速伝送、および効率的なネットワーク運用を実現する次世代フォトニックトランスポートシステム技術など、将来の大容量ネットワーク時代を見据えた成果が発表された。
ダイヤモンド結晶の中に無数に存在する窒素原子と空孔(原子の抜けたもの)からなる複合欠陥(NVセンターと呼ぶ)を量子メモリとして動作させることで、超伝導量子ビットの「重ね合わせ」状態の保持を可能にした量子メモリ、超音波で電子スピンを移動させ量子ドット領域に閉じ込めて操り運ぶ技術、情報偽造を不可能にする量子暗号など、量子コンピュータの実用化を予測させる技術群が示された。
さまざまなサービス基盤として活用されるテキスト処理エンジンの高速化と解析精度を自動的に向上させる大規模分散並列機械学習技術、人間の潜在的な脳機能を利用して、通信による映像遅延を伴うシステムの操作感を向上させる技術などが展示された。
われわれの生活を取り巻くあらゆるモノが、相互につながるIOT(Internet of Things:モノのインターネット)に向かう次世代センサネットワークに向けたバッテリーレスの超小型端末技術や、光(光通信)と電波(無線通信)に挟まれた周波数領域にあるテラヘルツ波センシング技術など、未来に向かうセンサ・イメージングデバイスの研究成果が展開された。

フォーラム開催中、NTT武蔵野研究開発センタ内の「NTT技術史料館」も特別公開された。「NTT技術史料館」はNTTグループの電気通信技術に関する歴史的資産が展示公開されている、日本のICTの歴史が体感できる場である。映画「ALWAYS 三丁目の夕日'64」でも登場した丹頂形公衆電話や万博で登場したワイヤレステレホンなどの懐かしい電話機や普段目にすることのない交換機なども見学できた。
「タイムスリップツアー」では、電電公社以降の技術とサービスの歩みを、歴史の流れに沿ってガイドが案内してくれたり、技術分野ごとに技術の系譜をガイドが詳しく紹介してくれるコースがあり、多くの方が足を運んでいた。
技術史料館はNTTグループ社員の紹介によるお客さまのみが見学できる施設として運営されていたが、現在ではどなたでも予約すれば見学できる一般公開日が設けられている。毎週木曜日 14:00〜15:00 / 15:00〜16:00(予約制・入場無料)にはガイドツアーも組まれているので、ぜひ見学してもらいたい。詳細は「NTT技術史料館」のサイトをチェックしてもらいたい。
「NTT技術史料館」のサイトはこちら

フォーラム初日となる16日の13:20〜14:00。代表取締役社長 三浦惺が『コンバージェンスの時代』と題した基調講演を実施。引き続き、取締役研究企画部門長 篠原弘道による『ICTの未来を創るR&D』と題した基調講演も実施された。
また17日には、株式会社日本経済新聞社 論説委員兼産業部編集委員 関口和一 氏、株式会社 村上憲郎事務所 代表取締役(元グーグル日本 社長) 村上憲郎 氏、日産自動車株式会社 執行役員 星野朝子氏、日本電信電話株式会社 代表取締役副社長 宇治則孝により『日本の発展・成長を担うイノベーションとは』というテーマでのパネルディスカッションも実施された。
詳しい模様は、NTT技術ジャーナル4月号(NTT技術ジャーナルonline)に掲載されているので、そちらをご覧いただきたい。