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R&Dマガジン

FEATURE 特集

「G3ファクシミリの国際標準化」の功績が、世界的に権威のある『IEEEマイルストーン』に認定 ―G3ファクシミリの国際的普及と情報伝達の革新を評価―

碑文(Citation)が鋳込まれた G3 FAX 国際標準化の銘板(Plaque)

2012年4月5日(木)東京・帝国ホテルにおいて、G3ファクシミリ※1の国際標準化の功績に対する『IEEEマイルストーン』認定の記念式典(贈呈式、祝賀会、記念講演)が開催されました。『IEEEマイルストーン』は、IEEE(別ウインドウが開きます) ※2が電気・電子・情報・通信技術、およびその関連分野における技術革新の歴史的成果を認定する賞で、その技術が開発以来25年以上にわたって国際的に高い実績を築いてきた経緯が評価されるものです。今回の認定に伴いIEEEより記念の銘板が、日本電信電話株式会社(以下、「NTT」)とKDDI株式会社(以下、「KDDI」)に贈呈されました。


IEEEマイルストーン贈呈式の写真

ファクシミリは、電話よりも早く発明※3され、コミュニケーション手段としての可能性を期待されながらも、必要とする技術が複雑で小型化・高速化が困難だったため、世界的な開発・普及が進まない状況が続いていました。一方、漢字のような象形文字を使う日本では、文面をそのまま送るファクシミリの有効性が高いことから、電話網が開放された1970年代前半から郵政省(現:総務省)、学会、通信事業者、通信機器メーカーとともに事務用ファクシミリの普及促進を図っていました。

そのような中、NTT(当時:日本電信電話公社)とKDDI(当時:KDD)は、おのおの独自開発した符号化方式の特徴を融合した符号化方式「READ方式※4」を日本統一案として開発。国際標準化機関CCITT(Comite Consultatif International Telegraphique et Telephonique、現:ITU-T)に提案しました。それを基盤に、各国から要求のあった装置化の容易性のための若干の修正を施したMR(Modified READ)方式が、1980年にG3ファクシミリ規格として国際標準化されました。これを機に、ファクシミリの国際的普及が飛躍的に拡大し、ビジネスシーンや家庭において情報伝達のあり方が大きく進歩しました。

※1. 画像情報をデジタル化し、データを圧縮することでA4判の標準原稿を約1分で伝送することができる電話網用のファクシミリ。

※2. 世界160ヶ国以上から40万人以上の会員をもつ世界最大の学会。ニューヨークに本部がありコンピュータ、バイオ、通信、電力、航空、電子などさまざまな技術分野で指導的な役割を担う。「アイ・トリプル・イー」と呼称されている。

※3. 1843年にイギリスのアレキサンダー・ペインが発明。ベルが電話を発明したのは33年後の1876年である。

※4. KDDが開発した変化点相対アドレス符号化(RAC:Relative Address Coding)方式とNTTが開発した境界差分符号化(EDIC:Edge-Difference Coding)方式の双方の特徴を生かした符号化方式。おのおのの最初の2文字を組み合わせた名称でRelative Element Address Designateの略。

IEEEマイルストーン贈呈式 〜NTTとKDDIにIEEE 本部会長ゴードン・デイ氏より記念銘板を贈呈〜

IEEE東京支部Chair青山 友紀氏の写真
IEEE東京支部Chair青山 友紀氏

贈呈式では、まず主催者を代表してIEEE東京支部(別ウインドウが開きます) Chairである青山 友紀氏が挨拶。全世界に40万人以上の会員を擁し、日本でも全国に9支部を有するIEEEの背景などに触れながら、『IEEEマイルストーン』はベンジャミン・フランクリンの「電気に関する実験と観察」以来120件が認定されており、日本の成果に対する認定は今回のG3ファクシミリの国際標準化で17件目であり、全体の15%近くを占め、アジアでは日本だけが認定を受けていることが紹介されました。

また青山氏は「今回の認定は、NTT、KDDI両社の研究・開発姿勢はもとより、国際標準化をバックアップした当時の郵政省(現:総務省)や学術界の支援体制、さらに実際のハードウエアづくりを進めたメーカー各社の努力の賜(たまもの)です」とその成果をたたえました。

■IEEE 本部 ゴードン・デイ会長が、NTTとKDDIに銘板を授与

IEEE 本部President and CEO ゴードン・デイ(Gordon Day)氏の写真
IEEE 本部President and CEO ゴードン・デイ(Gordon Day)氏

IEEE本部からは同会長(President and CEO)であるゴードン・デイ(Gordon Day)氏が挨拶。IEEEマイルストーンの認定式に本部の会長が出席することは極めてまれなことで、今回の認定に対するIEEEの思いの深さを再認識させるものとなりました。

デイ会長は、NTTとKDDIという二大通信キャリアのコラボレーションが、G3ファクシミリ規格の国際標準化に結実した経緯を高く評価し、以下のように語りました。
「私自身、初めてG3ファクシミリを利用した時の『世の中にこんなにすばらしい装置があったのか!』という驚きを、忘れることができません。世の中に新しい革新をもたらす標準の形成は、決して単一の技術や一社の力だけで実現するものではありません。複数の技術やリソースを総動員してこそ生まれるものなのです。また、標準化確立に至る過程でも技術的な透明性が確保され、オープン化が図られていたことも含めて、優れた企業間競争は相互協調を阻害するものではなく、むしろそれを促進しながら新たな市場形成に向かうものである、という事実をあらためて証明しました。この偉業の実現に尽力されたすべての方々に、深い敬意を表します」

挨拶の後、デイ会長からNTT代表取締役社長 三浦 惺とKDDI代表取締役社長 田中 孝司氏にマイルストーン認定記念銘板が授与され、会場は大きな拍手で包まれました。

■NTT社長挨拶

NTT社長の写真

NTT代表取締役社長 三浦 惺は、1971年の電話網開放後のファクシミリ普及に向けた「高速・安価・小型化」への取り組みと標準化への取り組みを説明。その後の経緯と今後の抱負を以下のように語りました。
「国際標準化の後も、全国一律料金で通信可能なFネットサービスの開始や市場価格10万円を切る機器の誕生などを追い風に、日本国内の普及が加速しました。さらに総務省や学会、機器メーカーなどオールジャパンで国際的な市場形成と普及に努めた結果が、今回の認定につながったことを心から感謝致します。東日本大震災以降、通信の社会的使命はますます拡大しています。私たちは今後ともさらなる研究開発と新サービスの創造と普及に努め、国際社会に貢献していきたいと思います」

■KDDI社長挨拶

KDDI社長の写真

KDDI代表取締役社長 田中 孝司氏も、冒頭で総務省や学会、メーカー各社への謝辞を述べ、G3ファクシミリ以前の国際ビジネスは、アルファベットベースのテレックスが中心で、画像や写真は別途航空便などで送らなければいけなかったことの不便さやタイムラグについて言及されました。G3ファクシミリの登場が、国際ビジネスの迅速化や意思疎通の円滑化に貢献したことを、以下のように力説しました。
「G3ファクシミリの登場は、日本語が表示できないテレックスや図面などを載せたエアメールの到着を待つもどかしさを、ぬぐい去ってくれました。これは日本企業の国際化に寄与したのみならず、ファクス機の海外市場を創出するというイノベーションをもたらしたのです。私たちは『革新がビジネスをドライブする』という確信を胸に、さらに日本の発展と国際化に貢献していきます」

IEEEマイルストーン祝賀会 〜関係者が集う『IEEEマイルストーン祝賀会』を開催〜

贈呈式の後、NTT、KDDI、IEEEをはじめ、総務省や学会、団体、通信機器メーカー関係者など130名以上の参加者の下、今回の認定を祝う会が開催されました。

祝賀会の写真

祝賀会の開会に当たって、NTT代表取締役社長 三浦 惺は以下のように挨拶しました。
「贈呈式でも申し上げましたように、今回の認定は私たちだけでなく、G3ファクシミリの国際標準化と普及にご尽力いただいた総務省をはじめメーカー、学会、大学などオールジャパンに対する評価にほかなりません。NTTは、栄えあるIEEEマイルストーン認定を皆さまとともに喜び、これを糧に今後とも研究開発に努め、世界における日本産業界の復権に寄与していきたいと願っております」

■松崎 公昭 総務副大臣をはじめとする来賓から祝辞

松崎 公昭 総務副大臣の写真
松崎 公昭 総務副大臣

来賓からは、まず総務省を代表してご出席いただいた松崎 公昭 総務副大臣から、以下のようなご祝辞をいただきました。
「多くの皆さまが『日本の2次元符号化方式(MR方式)がG3ファクシミリの国際標準として認められた背景には、当時の郵政省の支援体制があった』とお話しいただいたことに対して、総務省を代表して感謝申し上げます。情報通信産業はわが国の主要産業であり、その発展こそが明日の日本の成長を運命づける存在です。今後とも、世界市場を席巻する日本の技術や製品をけん引するリーダーとして、関係各位のさらなるご尽力をお願いしたいと思います」

さらにIEEE Japan Council Chair 今井 秀樹氏、TTC(The Telecommunication Technology Committee:一般社団法人 情報通信技術委員会)代表理事会長 羽島 光俊氏、CIAJ(Communications and Information network Association of Japan :一般社団法人 情報通信ネットワーク産業協会)専務理事 資宗 克行氏から祝辞を賜り、KDDI 代表取締役社長 田中 孝司氏の乾杯の音頭で、歓談がスタート。会場内の至る所で当時の苦労話がわき起こり、参加者相互の懇親を深めました。

しばし歓談の後、NTT代表取締役副社長(技術戦略担当) 宇治 則孝、KDDI取締役執行役員専務 嶋谷 吉治氏がそれぞれお礼の挨拶を述べ、祝賀会は盛況のうちに幕を閉じました。

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