ページの先頭です。
コンテンツエリアはここからです。
R&Dマガジン

FEATURE 特集

IEEEマイルストーン記念講演会 〜G3ファクシミリの国際標準化に向かう逸話を披露〜

祝賀会終了後に『IEEEマイルストーン記念講演会』が開催されました。
記念講演の詳しい内容につきましては、『NTT 技術ジャーナル7月号』に掲載予定です。

【記念講演1の概要】

■IEEEマイルストーンの概要

IEEE Japan Council History Committee Chair 工学博士 大野 榮一氏の写真

IEEE Japan Council History Committee Chair
博士(工学) 大野 榮一氏

IEEEの専門組織としてHistory Centerが1980年に新設され、技術分野の歴史的資産の保存や研究および普及などの活動をしています。その重要な活動の一つが『IEEEマイルストーン』で、電気・電子・情報の分野において達成された画期的なイノベーションの中で、開発から少なくとも25年以上経過し、地域社会や産業の発展に大きく寄与したと認定される歴史的な業績を表彰する制度で、1983年に創設されたものです。

具体的な受賞例として、18世紀のベンジャミン・フランクリンやボルタの電池。19世紀におけるエジソン研究所やマルコニーの無線通信や20世紀のフレミングの二極管やラジオ、テレビ、トランジスタ、インターネットなどを紹介。次いで、八木・宇田アンテナや富士山頂レーダ、東海道新幹線、日本語ワープロなど、日本の受賞例を紹介されました。(参考リンク:過去の受賞例一覧(別ウインドウが開きます)

また今回の2次元符号化の「MR方式」は、G3ファクシミリ実現のための最も革新的かつ効果的な手法であるとした上で、国際標準の確立に果たした役割の大きさをアピール。今回の「G3ファクシミリの国際標準化」に対する『IEEEマイルストーン』認定は、その成果に対する評価であると明言されました。

【記念講演2の概要】

■国際標準化に向けたG3ファクシミリの冗長度抑圧符号化技術

元NTT電気通信研究所、武蔵工業大学名誉教授博士(工学) 山田 豊通氏の写真

元NTT電気通信研究所、武蔵工業大学名誉教授
博士(工学) 山田 豊通氏

ファクシミリは、原稿の画像情報を光電変換して通信回線を介して伝送、それを受けとった側は変換された情報を同期して、復調記録するという、テレビよりも複雑で多様な技術の統合システムであることを説明。

また、1970年代におけるG3ファクシミリのニーズの高まりとエレクトロニクス技術の進歩などのシーズの醸成を分かりやすく解説されて、当時の日本の小型化・高速化・デジタル処理などを不可欠とするG3ファクシミリの実用化が進んだ背景を語られました。

ファクシミリでA4サイズの標準原稿を1分で伝送するには送信する元原稿のデータ量を圧縮する冗長度抑圧符号化方式の導入が不可欠でした。また、伝送誤りのない鮮明な文書通信のためには、画品質劣化を抑える技術が必要であり、他方では国際標準化による相互通信性の確保も重要な課題でした。

G3ファクシミリ用の冗長度抑圧符号化方式として、KDDIは2次元逐次符号化方式の一つであるRAC(相対アドレス符号化)方式を、NTTはEDIC(境界差分符号化)方式をおのおのCCITTに提案。世界中のファクシミリが相互に通信できるためには単一標準が必須でしたので、「RAC方式」と「EDIC方式」を統合した「READ方式」を日本統一案としてCCITTに正式提案。1979年11月のCCITT SGXIV京都会合において、さらに装置化の容易性を考慮した「MR方式」が、厳しい国際間競争を征してG3ファクシミリの国際標準オプション方式として合意され、1980年にCCITTより勧告化されました。

【記念講演3の概要】

■G3ファクシミリにおける国際標準化の役割と効果

元 KDDI研究所主席研究員、東海大学元教授 工学博士 山崎 泰弘氏の写真

元 KDDI研究所主席研究員、東海大学元教授
博士(工学) 山崎 泰弘氏

1843年に発明されながら、なかなか普及が進まなかったファクシミリの歴史に触れながら、1970年代のファクシミリが抱えていた課題について解説。高能率符号方式の確立、信頼性確保。そして相互接続性の確立には、国際標準化が不可欠だったことを強調されました。

G3ファクシミリの国際標準化を巡るCCITTの研究委員会の様子も紹介されました。当初日本では、NTTとKDDIがそれぞれ独自の符号化方式を開発していました。しかし、国際標準を獲得するためには、どうしても日本統一の単一標準を築くことが必要であり、両方式の圧縮率をさらにしのぐ統一案としてREAD方式を築いたことを説明され、1979年の最終評価の際に実施された国際規模の伝送実験も紹介。

CCITTの研究委員会の様子

このような世界規模での評価試験の結果、「READ方式」を軸に議論が交わされ、具体的な装置化をより容易になるものとしてREAD方式に簡略化の修正を加えた、「MR方式」がついにG3ファクシミリの世界標準として認められたのです。こうして国際単一標準化を進め、ファクシミリ端末を(電話)回線につなぐだけで即座に文書通信を可能になる社会が実現しました。さらに国家やエリア、メーカーの違いなどに縛られず、世界中のあらゆるメーカーの端末ともつながる信頼性の高いファクシミリの文化が成長し、世界のビジネスシーンはもちろん、一般家庭にまで急激に浸透する契機を築いたのです。

最後に

現在でもG3ファクシミリは世界中の多くの企業や家庭で利用されており、「G3ファクシミリの国際標準化」は、世界的な普及の過程で、社会の情報伝達方法のカタチを変え、さまざまな産業や文化の発展にも大きく貢献してきたと考えます。

また、NTTのファクシミリ通信分野における歴史については「研究開発マガジン」の「研究開発の歴史」にて紹介していますので、そちらもぜひご覧ください。

▼研究開発の歴史・・・百聞を一見にするファクシミリ

【前ページ:贈呈式・祝賀会の報告へ戻る】  


フッタエリアはここからです。