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研究開発マガジン

研究開発の歴史 1977年 不在中のコールにも応答したい・・・ 『でんわばん』サービスの開始

電話は、人と人のコミュニケーションを結ぶ社会的なツールであり、ビジネスシーンでは業務上の連絡や取引を架け橋にする、という重要な役割を担っている。それだけに、せっかく電話がかかってきたのに留守で出られない場合には、重大なビジネスチャンスを逃してしまう心配もある。だからこそ、「終業後や外出などの留守中にも、かかってきた電話に応対ができたら・・・」というニーズが高かったのである。

そこで、1977(昭和52)年から『でんわばん』サービスが開始された。これは個々の加入者先での工事や新たな機器の導入を要さず、不在中のコールへの対応をネットワーク上で図るサービスだ。

非常に高額だった留守番電話装置

実は、『でんわばん』サービス開始に先立つこと8年。1969(昭和44)年度から、当時の電電公社の電話局・営業窓口では、受付専用電話に業務用留守番電話装置を設置。営業時間外のサービス改善が、図られていたのである。

これは、不在時にかかってきたコールに自動応答し、続けて先方の要件を録音する機械だ。着信と同時に自動応答を開始し、事前に録音した15〜30秒のメッセージをアナウンス。さらに30〜90秒間、相手の要件が録音される。後からそれを再生して、的確な対応を図ることができるので、営業時間終了後や定休日・休日、あるいはセールスや配達、往診などで不在がちな企業や商店、病院等の加入者が、コールを逃してしまうことによる機会損失の排除と、顧客サービスの品質向上を両立させることが可能となった。

しかし、当時の公社はこの装置の販売を行っていなかったので、導入を希望する加入者は電話設備業者に依頼して、他のメーカーが開発した留守番電話装置の設置や電話局への手続などを代行してもらわなければならなかった。この装置はかなり大型でスペースをとり価格も応答機能のみで約4万円、応答と録音機能がついたものでは約7万円。さらに概ね1万円程度の工事費が必要だった。当時の物価を見ると瓶ビールが180円、 米10kgが2,495円、国鉄の初乗り料金が30円である。ちなみに、労働省(現・厚生労働省)の『新規学卒者初任給調査』によれば、昭和50年の大卒男子・新入社員者の初任給平均は8万3,600円だった。これらと比較しても、この装置がかなり高価なものだったことが分かる。

それでも、ビジネスチャンスを逃したくないという加入者は多く、留守番電話装置の普及は年々増加を示し、1979(昭和54)年度末の設置数は全国で約27万3,000台となった。

留守番電話機能を搭載した卓上電話機の登場

その後、「不在中のコールに応えたい」という声は、より小規模な個人商店や家庭にも広がっていった。そこで1980(昭和55)年、電電公社は卓上型電話機に応答機能を搭載した『ハウディ・レポンス』を開発。さらに1985(昭和60)年、民営化によるNTTの誕生によって端末通信機器が自由化されたのに伴って、マイクロカセットを搭載して応答・録音ができる『ハウディ・レポンス I型』、さらに応答・録音用に、2本の標準カセットを装備した『ハウディ・レポンス プロ』を登場させた。これらは宅内工事もいらず、ケーブルをモジュラージャックにつなぐだけですぐに利用できることから、幅広いユーザ層の支持を獲得した。

ハウディ・レポンスこれに続いて、各メーカーからも同様の機能をもった端末機器が売り出され、卓上留守番電話機の普及率は急増していったのである。ユーザ層の拡大の中で、卓上留守番電話に対して「テープの巻き戻しや、頭出しの操作が煩雑」、あるいは「間違えて再生前のメッセージを消してしまった」などの声も聞かれた。そこで、各メーカーはメモリーに録音する機種などを開発した。しかし、揮発性メモリーは電源プラグを抜くと記憶内容が消えてしまうという問題もあり、2000年代に電源が切れても記憶が保持される不揮発性メモリーが安価に供給されるようになるまで、マイクロカセットが録音媒体として主流の座を守り続けたのである。

工事や機器も不要の『でんわばん』

一方、1977(昭和52)年。公社は、加入者の機器に依存することなく、ネットワーク上で不在中のコールへの応答を実行する留守番電話サービス、『でんわばん』をスタートさせていた。

『でんわばん』は、あらかじめ用意された10種類のメッセージの中から、任意のものを選んで登録。外出時に案内開始の操作をすれば、かかってきた電話に対して選んだメッセージを伝えるというサービスを提供。例文の登録とセットは、【「141」(サービス識別番号)+「2」(登録番号)+「X」(0〜9の任意の例文番号)】で完了。また、サービスの解除も【「141」+「0」(案内停止番号)】をプッシュすればOKだ。

東京のプッシュホン加入者を対象に開始したこのサービスは、翌1978(昭和53)年6月には、全国にエリア拡大し、さらに旧来の回転ダイヤル式電話機からの利用も可能になった。特別な装置や工事費を必要とせず、電話機からの簡単な操作だけでサービスの開始/停止が実行できる『でんわばん』は、毎月500円の使用料だけで利用できることから、利用者のすそ野を広げた。(※現在は、消費税込525円)

さらに1987(昭和62年)には、79種類の案内メッセージを揃えた『でんわばんW』も開始。業態やビジネススタイルなどに即したメッセージで応対することで、さらにきめ細かなサービス体制を充実させた『でんわばん』は、その後の留守番機能付き電話機の普及や携帯電話の伝言機能など、かかってきたコールに応えるさまざまな機能やサービスとの相乗効果の中で、いまや生活やビジネスに不可欠なものとしてすっかり定着したのである。

1977年のできごと

  • 1月 アップルコンピュータ設立
  • 7月 日本初の静止気象衛星「ひまわり」打ち上げ
  • 8月 洞爺湖畔の活火山・有珠山の噴火
  • 9月 王貞治(巨人)が世界記録となる通算本塁打756号を達成、国民栄誉賞受賞
  • 9月 日航機ハイジャック事件
<流行り>
焼酎ブーム(純、Joh、ワリッカの登場)/カラオケ(年末から流行)/電線音頭/落ちこぼれ
<ベストセラー>
「間違いだらけのクルマ選び」/徳大寺有恒)、「ルーツ 」/アレックス・ヘイリー 、「エーゲ海に捧ぐ」/池田満寿夫
<映画>
[日本映画]『幸福の黄色いハンカチ』、[海外映画]『スター・ウォーズ』『アニー・ホール』
<物価>
国鉄 初乗り料金60円、都バス90円、ビール 195円、かけそば 230円
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