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研究開発マガジン

[キーワードでわかる先端技術:vol.1]「予測」夜間の看護現場に役立つ最新技術の開発

直前までの行動から次の動作を「予測」

車を運転中、急に歩道からボールが飛び出してきたら…。 ちょっと減速すれば、ボールは通りの反対側に転がって行きそうです。さあ、どうします? 落ち着いて考えれば、ボールを追いかけている子どもが飛び出してくる可能性を予測できますよね。
今回ご紹介する技術は、このような「転がるボール」を「追いかける子ども」がいることを人間が予測するように、危険につながりかねない状況の出現を捉え、危機回避を促すために、どのようなシステムが必要か、ということからはじまりました。

ベッドが「予測」し、ベッドが「ナースコール」する

人間が経験とともに培ってきた「次の動作を予測する能力」。それを、なんとか再現できないかと考えられたのが、NTTが開発したマルチセンサ情報処理エンジンです。このマルチセンサ情報処理エンジンが搭載されているベッド『転倒転落事故予防システム』は現在、病院や介護施設への導入実現に向け、研究を進めています。
でもなぜ、ベッドにこのような次の行動を予測する情報処理能力が必要なのでしょうか。その背景にあるのが、病院や介護施設で起きている夜間の高齢患者のベッドからの転倒転落など、その後に重大な事故に直結してもおかしくない事例の多発です。現在でも、患者がベッドから足を降ろすと看護師に通知がいく仕組みはありますが、布団や枕の落下による誤報や、通報を受けて向かったものの患者はすでにベッドから離れていた後といった問題がありました。
そこで、NTTでは、看護師が病室に到着する時間的余裕が確保できるよう、正確な離床予測を行うための最新技術の研究開発に取り組みました。

24時間体制で患者を静かに見守る「瞳(センサ)」

転倒転落防止ベッドマルチセンサ情報処理エンジンは次の3つの機能を実現しています。

1つは、頭や肩、腕、足といった各部位の動作を個別に検知する分解機能。次が各部位の動作順序や時間的まとまりなどから一連の関連性を持った動作だけを抽出・認識する機能。3つ目が、それらを同時並列的に検知・処理する機能です。

今回試作した『転倒転落事故予防システム』には、3つの機能を実現したマルチセンサ情報処理エンジンと、5種15カ所に設置されたセンサ、4種類のアクチュエータが搭載され、マルチセンサ情報処理エンジンによって入院患者の頭や肩、腕、足の動きを24時間体制で見守り、患者の起きあがり動作に備えます。

患者の行動を先読みし、事故防止に努める

では、『転倒転落事故予防システム』はどのようにして転倒転落事故を予防しようとするのでしょうか。
ベッドサイドでの転倒転落事故のきっかけは、起きあがり動作から始まります。そのためシステムはまず、患者が上半身を持ち上げて手すりをつかむという動作を感知、患者の起きあがりを予測し、ベッドサイドランプを点灯します。そして音声案内による患者への声かけを行い、同時に最初のナースコールをします。さらに患者が手すりを折りたたんだことを確認すると、今度はベッドから降りようとしていると予測。再び「看護師が来ますのでそのまま待っていてください」という音声案内を流し、2度目のナースコールをします。その後、患者自身のベッドサイドへの腰掛け動作を確認すると、ベッドから離れようとしていると判断、「危ないですよ」という警告音声とともにフットランプを点灯。3度目のナースコールがなされます。そのほか、看護師がベッドのそばにいることを検知する看護師センサ も備え、看護師の到着状況により、システムは通知の必要性を判断します。
これらの機能によって、入院患者がベッドから離れる前に看護師が病室にたどり着く時間的な余裕を確保し、看護師到着後にはナースコールがコールされない工夫をしています。

将来的にはほかの生活支援サービスへの応用も

このマルチセンサ情報処理エンジンを利用した『転倒転落事故予防システム』。現在は試作品ですが、今後は実用化を目指しています。今後は、人の動作を予測できるマルチセンサ情報処理エンジンを使い、ほかの生活支援サービスへの応用も検討しているところです。

NTTサイバーソリューション研究所 ヒューマンアプライアンスプロジェクト
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