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研究開発マガジン

[キーワードでわかる先端技術:vol.5]「眺める」思いがけない発見を推進させる検索サービス

眺めていくことで、結果的に発見しているという不思議

地図は目的地の確認やルートを決めるために利用されるツールです。それは目的地周辺の地理や観光名所を知るために使われることもあるでしょう。その一方で、地図の別の使い方というか、単に地図を眺めることが楽しいという方も多いと思います。その楽しみ方は、まず全体をざっと見渡して土地の形やサイズを把握してから、周辺地域の集落や町の位置関係や標高差などを考えながら道路や鉄道の接続具合などを見ていくそう。
そうするうちに、町に繋がる道路沿いにある滝や沼に気付いたり、隣り合う集落なのに、実は谷に阻まれて分断されていることに気付くなど、思いもよらない「発見」に出会え、その思いがけない感じが楽しいというのです。それは、目的を持って探すことで得られる「発見」ではなく、無目的に眺めることで結果的に得られる「発見」と言い替えてもよいでしょう。aha体験というものがありますが、それに近い感覚かもしれません。

今回紹介する技術は、このように地図を眺めて楽しむ感覚でブログ記事全体を俯瞰できる地図型ブログ検索サービス「BLOGRANGER TG」です。 Interop Tokyo 2008のトロフィー
このサービスは2008年6月に幕張メッセで開催されたInterop Tokyo 2008において、Best of Show Awardのアプリケーション部門でグランプリを受賞しました。現在は、ポータルサイトgoo上で利用することができます(2008年12月3日まで期間限定)
このBLOGRANGER TGの特長を簡単に紹介すると、日本全国で書かれているブログ記事の話題を「仮想大陸」としてビジュアル化して見せてくれるサービスです。ユーザは、その「仮想大陸」を眺めることで、今のブログ界でどのような話題がホットなのかを感じることができるだけでなく、ユーザの見かたや感じかたによって新しい何かを発見できるのです。

私による、私のための、私だけが見つけた発見

地図型ブログ検索サービス「BLOGRANGER TG」の新しさは、今のブログ界がどんな話題で盛りあがっているかという全体のイメージを俯瞰できるところにあります。しかも、話題の盛りあがり方や関連性を直感的に掴むこともできます。
従来型のサービスのほとんどは、ユーザが読みたいと思っている記事へのアクセスを第一に考えたものでした。キーワード検索やカテゴリー検索がその代表例です。こうした検索サービスでは、検索結果を得るためには何らかのキーワードの入力が必須でした。キーワードの入力をしなくてはならないということは、未知の事柄、つまり、キーワードとして思いつけない事柄は検索できません。しかも、検索記事の表示順はランキングアルゴリズムに基づいて決められるため、同じキーワードであれば、誰が検索しても同じ結果が表示されます。つまり、表示順の決定は検索目的に依存するのではなく、設定したキーワードに依存してしまいます。これにより、人々の知識や思考の画一化が進むのではという懸念も指摘されているのです。
それに対してBLOGRANGER TGは、気になる記事を読むためにキーワードを入力するという今までの方法を捨て去り、その代わりに現在のブログ界の話題を視覚的に分かりやすい地形図へと抽象化させ、ユーザはその地図を眺めながら直感的感覚的に情報にアクセスするという新しい方法を採用しています。その行動は「検索」と呼ぶよりは「探索」に近いでしょう。
このサービスを提供しているポータルサイトgooを実際に使っていただくのが一番なのですが、その感覚は地図を眺めているときそのものです。こうした全体を俯瞰できる感覚がBLOGRANGER TGの特長でもあり、その結果得られる思いがけない「発見」の中にこそBLOGRANGER TGを使う理由があるのでしょう。

ブログ記事全体を俯瞰させる技術

今回発表した地図型ブログ検索サービス「BLOGRANGER TG」は、技術的にはサイバーソリューション研究所とコミュニケーション科学基礎研究所が開発した「オートタギング技術」と「トピック空間可視化技術」を組み合わせることで実用化しました。

まずは、「オートタギング技術」について。これは、書かれたブログ記事をいくつかの項目に分類する技術です。具体的には、ブログ記事の書き手が記事に与えているキーワード『タグ』に注目しています。このユーザが自由に付けたタグとブログ記事の内容をBLOGRENGER TGが解析。他のブログ記事との関連性も考慮しながら独自のタグを付与し、分類します。
たとえば、「昨日の試合で満塁ホームランを打った」という内容の記事に付けられた「試合」というタグ。これは、ユーザ自身が考えたタグで、ユーザのブログ内では整合性があり、十分に機能するタグです。しかし、ブログ全体を俯瞰する地図を作る場合、ユーザが考えた「試合」というタグでは上手くいかない場合があります。それというのも、多くのユーザはブログ記事にタグを付けるときに自分のブログ内での整合性を考えることはあっても、ブログ界全体での整合性を考えていないからです。そのため、ユーザが付けたタグを参考に、そのブログ記事をブログ界全体の中で相対化させ、その時々の話題に合わせた独自のタグを付与する作業が必要なのです。

2つ目の「トピック空間可視化技術」とは、分類されたタグの「類似度」や「抽象度」を測定して空間データとして配置する技術です。タグの配置方法には地形図の概念を取り入れました。類似するタグ同士は近いところに配置し、タグの抽象度の大きさを標高に置き換えて、記事数の多さをフォントサイズでそれぞれ表現する、というようにです。たとえば、「本」は他と比べても抽象度が高く記事数も多いため、地図でも標高の高いところに大きな文字で表示されています。逆に「ミステリー」は抽象度が低いものの記事数が多く、そのために低い位置に大きな文字で表示しています。また、さまざまな大きさのタグが混在することになるため、タグ同士が重ならないような配置を考えねばなりません。そのためにタグの大きさを考慮した効率の良い配置技術を開発し、数千を超えるタグの配置を可能にしたのです。

サンプル図

全ての記事を網羅し、使って楽しいツールとして

ブログ界全体を可視化して表示する地図型ブログ検索サービス「BLOGRANGER TG」ですが、最大の特長はその規模にあります。これまでにも、類似するツールとして特定の分野に限定したり、あらかじめキーワードで検索しておいた上位数百件のみに限定したサービスはありました。しかしながら、BLOGRANGER TGは約5週間で収集した1,500万件以上の膨大な記事の全てを可視化の対象にしています。しかも、この地図は毎週更新されるため、“人々が「今」どのような話題に関心を持っているのか”を把握することができます。
また、インタフェースにも工夫を加えており、全ての操作がマウス操作だけでできるようにしています。しかも、関心のある話題を探し、その話題の山を渡り歩き、周辺の話題を眺めていくといった一連の操作を楽しみながらできるような今までにない操作性を提供しているのです。

新たな検索インタフェースの提供に

今後、地図型ブログ検索サービス「BLOGRANGER TG」の展開として考えていることは、男女比や年齢といった記事を書いた人の属性を山の色や形状で示すなど、その話題を書いたユーザグループを地図上で目視できるようにすることです。こうした工夫を加えることで、マーケティングデータとしても活用できるようになります。今後ともこうした付加機能を増やし、さらなるサービスの拡充に務めていく予定です。
また、今後は写真やSNSといったコンテンツも対象に検索できるようにしていくことも検討しています。また、ポータルサイト内部のコンテンツに適用させ、今までにない新しい情報ポータルや検索インタフェースの提供を考えているところです。

NTTサイバーソリューション研究所 メディアコンピューティングプロジェクト
NTTコミュニケーション科学基礎研究所 協創情報研究部
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