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通信技術が広げる遊びと学び
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ENGINEERS MEETING Vol.3 ENGINEERS MEETING Vol.3

東京2020オリンピックパラリンピック その先の“通信技術が広げる遊びと学び“を考えよう

東京2020オリンピックパラリンピック
その先の“通信技術が広げる遊びと学び“を考えよう

中野 允裕 コミュニケーション科学基礎研究所
原田 恵 未来ねっと研究所
  
舩田 雅史 ネットワーク
サービスシステム研究所
貞光 九月 メディアインテリジェンス研究所

最近の“遊び“に関わる通信技術で感心させられたものは何ですか。

舩田 最近は3Dの「ヘッドマウントディスプレイ」に注目しています。色々なデバイスが出てきているだけでなく、開発環境も提供されていて、みんながコンテンツを作れるようになっている。
誰かが作ったキャラクターを自分のヘッドマウントディスプレイ上で動かして360度の視点で楽しむ、といった今までにない新しい体験ができます。

貞光 やはり「3Dプリンター」でしょうか。データさえあればどこでもモノが作れる。画期的ですよね。実は以前、漫画からインスピレーションを受けて、しゃべったら3Dプリンターが動き出すという研究をやったことがあるんです。
例えば「赤い車」や「速そうな車」という風にしゃべると、「赤い」や「速そうな」のイメージに合った編集をして出力してくれる。そうすると、マジカルな感じが生まれますよね。3Dプリンターは言葉や通信と組み合わせることで、今後、さらに面白いことができるようになると思います。

原田 私は携帯ゲーム機の「すれちがい通信」に感動しました。それまでは通信ケーブルで一対一に通信しないと無理だったのが、今では電車で通勤するだけで何十人もの人と知らない間に通信できます。
技術も驚いたのですが、知らない人と知らないところで情報をやり取りすることにもビックリして。今の子どもたちは「デジタルネイティブ」といわれる世代で、こういった機能が当たり前になっている。考え方や価値観の違いは、今後埋めていかないといけないギャップかなとも思いました。

中野 最近の「DTM(デスクトップミュージック)」がすごいと思います。まず「サンプリング音源」。例えば、何百万円もする貴重なグランドピアノの音を、自宅のキーボードで呼び出せてしまいます。
さらに「マスタリング」。一般に人は大きな音を良い音と勘違いしやすいので、楽曲を制作する際は最後に音量を上げる作業を行うのですが、音は波形で表されるように実はその作業は決して単純なものではありません。
それが、現在のツールではほとんど音がひずむことなく、簡単に音量を上げられる。テクノロジーの進化を感じます。

貞光 音楽は離れた場所同士でのセッションとか、通信による同時性が担保できるようになると、さらに面白くなりそうですね。

昔からやっている“遊び“に最新の通信技術を組み合わせるとしたら?

舩田 子どもは周りにあるものを使って遊ぶのが上手なので、例えばスマートフォンを使って「Wi-Fi」の電波強度で位置を測定するとか、カメラをかざすと「AR」で敵か味方かが分かるとか。“ドロケイ(ケイドロ)“のような、昔からある遊びにこういった要素を加えるだけでも、楽しみ方はだいぶ変わりますよね。

原田 私はもし小さいときにあったらやっていたんだろうなと思うのが、「GPS」を使った鬼ごっこ。電車を使って逃げるような、大規模なものはGPSがあるからこそ楽しめそうです。

貞光 さきほど3Dプリンターの話がありましたが、例えば鬼ごっこをしていてその場で武器を作り出す、といったことも現実になるかもしれませんね。

舩田 さらに、その武器をスマートフォンのカメラで認識させると攻撃力が分かるとか。どんどん楽しみ方が広がりそうです。

2020年に向けて遊びやスポーツの学習効果を飛躍させる方法は?

舩田 学習の方法って正解が1つとは限らない。体型だったり性格だったりモチベーションだったり、人それぞれ違いますよね。それらをきちんと考慮する必要があるのではないでしょうか。そういう意味で効果を上げるにはまず、その人自身を学習しないといけないのかな、と思います。

原田 私はシンクロやチアリーディング、ライフセービングなど、小さいころから色々とスポーツをやってきたのですが、その経験から感じたのは、正解を教えてくれる指導者が最も大切ということです。
体型だったり性格だったりそういった違いを、あの人はこうだったよとか、経験則でカバーしてくれる存在。質の良い指導者をどう育てるかが重要になると思います。

中野 私が所属する研究所では、オムライスを作ったことがない人に、オムライスを上手に作っている映像だけを見せて習得させる、といったちょっと変わった研究があるんです。
マシンパワーやコンピュータービジョンの力さえあれば可能、と私たちは考えているのですが、それが果たしてアスリートのような高いレベルでも通用するのか。学習というテーマで考えると、とても興味深いですね。

貞光 別の研究所ではヘッドマウントディスプレイにピッチャーがボールを投げる映像を流して、試合中の選手の目線をVRで体験して練習する、といった取り組みも行われていましたね。

原田 スポーツに必要なスキルは大きく「オープンスキル」と「クローズドスキル」に分けられるんです。野球のように球種や速度など環境がその都度変わるのがオープンで、体操や水泳のようにある程度環境を固定できるのがクローズド。こういった競技の特性によっても、必要なアプローチは変わるかもしれません。

貞光 私自身、スポーツがすごい苦手だったのですが、この前、バブルサッカーなどいわゆる「ゆるスポーツ」を知ってとても共感して。身体能力を平均化することで苦手な人でもみんなと一緒にスポーツを楽しめる。
スポーツも学習の前にまず、興味を持ってもらうことが第一かなという気がして、そのためには楽しくするということがすごく大事じゃないかと思いました。

2020年以降に向けて、若者たちの成長を支える通信技術の未来や
技術者としての夢を教えてください。

貞光 ひとつはクリエイティビティの補足を実現したいと思っていて。例えば、自分では作れなくても、作りたいものがあれば3Dプリンターが形にしてくれる。若者が自分のアイデアで勝負できる、そんな世界が来たらすごい楽しそうだなと思います。
もう一つは地方の活性化。私自身が地方の出身なんですが、今後、地方がどうやって生き残っていくかは非常に難しい問題だと感じていて。例えば技術によって、観光資源などはもっと有効に使えると思うんです。また、先ほどのゆるスポーツのように、制約を楽しむといった視点があってもいいですよね。

舩田 通信によって“モノ“をシェアする世の中を実現するのが、私の夢です。通信によってさまざまなモノがつながるようになりましたが、常に使われているわけではありません。使われていないモノもたくさんあります。
それらをみんなでシェアして融通し合えば、例えば若者がお金を掛けずに質の高いリソースを使って学習できるようになる。モノを持つ時代からシェアする時代へ。新しい可能性が広がると思います。

中野 技術の発展の歴史を早回ししたい。研究者の方々が日々実感していることだと思うのですが、新しいことを生み出すのはめちゃくちゃ難しい。ほとんどは先人たちが作った新しい技術の組み合わせ。真に新しいことというのは、たくさんの研究者が何らかのはずみで生んだもので、すごいラフにいえば、人海戦術的なわけです。
計算機にその探求する力を加えることで、技術の発展を早回しできるんではないか、と期待しています。

原田 私は自然科学出身だからか、人間に重きをおいた発想でして「通信は絶対に人間の邪魔をしてはいけない」と思うんです。SNSの“既読スルー“が原因で鬱になってしまった、なんて話がありますが、通信に振り回されてしまうのは健全ではないですよね。
それと似たような感じで、便利になるのが人類にとって果たしていいことなのかという疑問は常にあって。例えばレコードのように、不便を体験することで楽しさを感じたり、聴覚が鍛えられたり、人間の学習を助ける効果もあるんじゃないかと思っています。

「遊び」という、技術者たちが普段担当している分野からは少し離れた
テーマにも関わらず、個性的な意見やアイデアが次々に飛び出し、
活発な議論が展開されました。
議論の中でお互いが気づきを得ているような場面は多く、
それぞれの研究所に戻っても、
きっと今後の通信技術における研究や活動に役立つことでしょう。

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