

- 出席者
- 長谷 雅彦 (サイバーコミュニケーション総合研究所 所長)岸上 順一 (サイバーソリューション研究所 所長)後藤 厚宏 (サイバースペース研究所 所長)
- 聞き手
- 石井 亮 (サイバースペース研究所 画像メディア通信プロジェクト)山本 千尋 (サイバーソリューション研究所 メディアコンピューティングプロジェクト)
CC総研のミッションと取り組むべき課題
石井:普段から色々お話を伺っているので、改めてこのような形で話を聞くのは少し恥ずかしい気がしますが、CC総研が目指す方向性と現状について再確認させてください。
長谷:CC総研は、人々が豊かに暮らし、心から満足するICTサービスを創り出すことを大きな役割として日々研究活動を行っています。「コンテンツ流通」、「ライフサポート」、「行動支援ポータル」をサービスの3本柱として掲げ、本年度より「業務イノベーション支援」を追加しました。これは、サービス・業務プロセスの改善や宅内ネットワークの保守効率化のためのサービス技術といった業務支援も、我々の重要なテーマと考えたからです。
それらの「サービス」を実現するコア技術として、「情報統合基盤」、「映像メディア」、「音声言語メディア」、「体感品質デザイン」、「情報ナビゲーション」、「ユーザセントリック端末」を掲げています。今後はこれらのサービス・コア技術を研究所全体で共有していくことが重要になります。その上でNTTの独自色を出していきたいですね。

岸上:このように我々のミッションの枠組みはできています。でもサービスの本質は、市場とのリアルなコミュニケーションが必要となってきます。お題目的なキーワードを挙げるだけではなく、サービスの中身をよく考えていかなければなりません。そのためには他の研究所や事業会社とも協力し、ユーザに近い視点でのサービスを実現するように努力しなければいけません。
山本:サービスの形成には、「市場目線」や「技術・研究成果の協調」が必要なのですね。
長谷:そうですね。「独りよがりの排除」という意味でも、情報や知見の共有は重要です。またサービスの高度化に伴って、今後は研究領域を超えた所内の部門横断的なプロジェクトも、ますます拡大していくことでしょう。そこでメールや電話だけでなく、研究者同士が実際にFace to Faceで交流することが意味をもってくるのです。現在も、相互の研究成果や進捗の確認、共有、さらに周知事項の徹底などのために、週次のミーティングを実施していますが、今後さらに他の研究所や外部組織を含めた有機的な交流の輪を深めていきたい、と考えています。
後藤:今でも研究所内はオープンマインドでコミュニケーションも活発ですが、今後は外部とも連携して、さらなる事業展開を見据えた技術開発の強化も必要です。実際にNGNサービス開発やモバイルサービス開発などでは、他の研究所や事業会社とフォーマルなプロジェクト活動だけではなく、インフォーマルな意見交換も活発に行われています。そして他から信頼されるような組織でありたいですね。
プロの視点とユーザズマインドの両立を大切に

長谷:私たちは事業部門に近い研究所でもあり、今も話題に出た「実際にICTの恩恵を享受する人」の視線を失わないようにしなければなりません。つまり、自分の研究を一度客観視する必要があるのです。若手研究員として、そのような努力をしていますか?
山本:私は、展示会の経験が良い刺激になっています。見学に来られた方に説明をして興味を抱いていただいたり、質問されたり・・・。そんなやりとりの中から、新しい「気づき」をもらうことも少なくありません。
石井:自分は研究成果のプレゼンテーションをスマートフォンの"Xperia"に載せていて、機会あるごとに友人たちにも見せて、感想や意見をもらいます。彼らから「面白い」といわれることで、モチベーションも向上しますね。
岸上:サービスに近い研究を進める私たちには、研究者としてのプロの目と、ユーザ視点との複眼が必要となります。例えば、ある調査で、Yahoo!を中・高校生たちは主にオークションやショッピングに活用するが、検索用途でのアクセスは非常に少ないという報告がありました。検索に使われるのが主に違いないという思い込みを排除して、実際のマーケットの有り様をしっかり把握し、プロとしての視線と市場意識との隔たりは埋めておく必要もありますね。

後藤:そうですね。人間の進歩は、科学の進歩ほど速くないわけです。「独りよがり」にならないように、「その技術は誰に向けたものなのか、本当に主流になり得るのか」を吟味する姿勢も大切です。
長谷:また、技術トレンドを近視眼的にとらえずに、ひたすら深耕する姿勢も大切です。研究員には「焦るな! 本質を見つめろ」と言いたいですね。
岸上:技術の足は速いですが、世の中の変化はもっと長いスパンで進行します。明日を準備するために挑戦して失敗するのは良いけれど、何もせずに後悔するのは最悪です。私たちも、そのようなチャレンジ精神溢(あふ)れる文化の中で育てられてきたのです。
