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「AI化」する技術と社会の未来に、
「corevo」は、どう向き合うのか?

vol01
コミュニケーションを支援し、活性化するNTTの技術は、AIで加速する
メディアインテリジェンス研究所所長 小澤 英昭

01「AI化」する技術と社会の未来に、「corevo」は、どう向き合うのか? 02:コミュニケーションを支援し、活性化するNTTの技術は、AIで加速する

NTTインターコミュニケーション・センター (ICC)/《ドローイング・オペレーションズ・ユニット:ジェネレーション2(メモリー)》 [2017] スグウェン・チャン

40年、AIを追いかけてきたNTT
研究の歴史が、今「corevo®」に結実する

今、「第3次AIブーム」と言われ、AI(人工知能)が多くの人々の関心を集めています。新聞の見出しや書籍のタイトルなどに「AI」の文字を目にする機会も増えてきました。私たちNTTグループが、2016年にAI関連技術群を活用した取り組みを「corevo®」という技術ブランドで統一したのは、そうした社会の動きと無関係ではありません。しかし、私たちのAI研究の歴史は、決して今はじまったのではありません。世界のAI研究の歴史はおよそ60年。その中で、私たちは40年以上前からAIに取り組んできました。当初から取り組んでいる自然言語処理の研究は今でも継続していますし、また1985年にはAI技術向けのコンピュータ「ELIS(エリス)」(※1)を開発しました。研究開発を行うだけでなく、実際にAI技術を活用したサービスを世に問うこともしてきました。たとえば2012年にNTTドコモからリリースされた「しゃべってコンシェル®  」は、AI研究の一環として研究してきた自然言語処理技術や人間との対話処理の技術を活用したものです。「しゃべってコンシェル®  」は「AI」とはうたっていませんが、ユーザが端末に話しかけた内容を認識し、その内容に対応した情報を、時にはインターネットで検索してユーザに返すという、まさに今言われているようなAIを活用したサービスの先駆けとも言うべきものです。

01「AI化」する技術と社会の未来に、「corevo」は、どう向き合うのか?

こうした研究開発の歴史の上に「corevo®」があります。AI関連技術を集約して一つのブランドにしたのは、AIに注目が集まる今こそ、私たちのこうした研究開発の歴史や蓄積を、自分たち自身でもう一度振り返り、その価値を市場や社会に広く伝えていきたい、という思いからです。同時に、コンピューティングパワーの進歩やネットワークの高度化などによって、私たちが研究開発してきたAI関連技術が本格的なサービスとしてリリースできるようになったことも背景にあります。「corevo®」の名のもとに、40年積み重ねてきたNTTグループのAI研究開発の成果を試す時が、いよいよやって来たのだと意気込んでいます。

※1:ELIS(エリス)
1985年に電電公社(現在のNTT)が開発したコンピュータ。人工知能(AI)の研究開発に使用されるプログラミング言語「LISP(リスプ)」を、高速に処理するために専用に設計された。

関連リンク
しゃべってコンシェル®(NTTドコモ)
https://www.nttdocomo.co.jp/service/shabette_concier/

コミュニケーション/ネットワークの企業
だからこそ見せることのできるAIの姿がある

「AI」という言葉は幅広い意味を持っていて、そのイメージは人によってさまざまです。ある人は自律したロボットのようなものを、またある人は囲碁や将棋のソフトウェアのようなものを想像するかもしれません。私たちNTTグループは、コミュニケーション/ネットワークの企業です。ですからAIを、「ヒト」と「ヒト」、あるいは「ヒト」と「モノ(ヒト以外)」のコミュニケーションを支援し、活性化するための技術だととらえます。私たちの考えるAIの技術は、①「ヒト」が発する情報の「認識」、②認識したデータを何らかの形で処理・分析する「推論」、③推論した結果を人間にわかる形でフィードバックする「合成」の3つのフェーズからなっています。その中で、AIの研究開発における私たちの強みは、2つあります。


1つは日本語における自然言語処理分野での研究の蓄積です。AIが「ヒト」を中心としたコミュニケーションの技術であるとするならば、自然言語処理の技術は、そのベースとなるような技術です。私たちには40年にわたる日本語の自然言語研究の蓄積があり、例えばそれは「日本語語彙体系  」という一種の辞書の形として確立されています。これによってインターネット上に散らばっている言葉を機械的に収集し、AIに処理させることが可能になります。他の現在の多くのAIでも、こうした手法でデータを蓄積していると思いますが、このような体系的な知識がないと、自分たちが持っているデータや基盤となる知識の偏りによって影響を受けてしまいます。言葉と言葉との関係性や、ある言葉の持つ歴史的な背景を理解しているかどうかで、処理や分析の精度は変わります。「60点の結果」を得るのであれば、もしかしたら体系は不要かもしれません。ですがそれを「85点」、「90点」と高めていこうとする時に、培ってきた技術力が必要になるのです。最近は、データを「ディープニューラルネットワーク(DNN)」(※2)などに入力し、学習・分析させることで人工知能を実現すると言われる場合も多いですが、どのような観点に着目した上でDNNで学習させるのかといった事も大事です。私たちには、長年培ってきた技術による、DNNで学習する前の段階での処理のノウハウ、精度に強みがあります。

01「AI化」する技術と社会の未来に、「corevo」は、どう向き合うのか?

もう1つの強みは、NTTグループ全体でこれまで積み重ねてきた、さまざまな領域や業種における協業の経験、あるいはネットワークを活用した現場の知識です。たとえば、工場の稼働を監視するAIのことを考えてみましょう。センサやカメラから送られてくるデータを分析し、トラブルの兆候を読み取って稼働停止などの予防対応をする。そのときすべてのデータ分析をクラウドで行おうとすれば、ネットワークを経由することによるタイムラグが生じます。400ミリ秒、500ミリ秒の遅れは、時には致命的なものになりかねません。ですから、クラウドだけに頼るのではなく、工場の中にも、その中で分析などが行えるAIを導入し、クラウドと連携を図ります。緊急性の高い対応は工場内のAIに、より深い分析を必要とするデータであればクラウドに、と言ったように使い分けるのです。これを「エッジコンピューティング」(※3)と言います。エッジコンピューティングでは、なにをクラウドのAIで処理し、なにを現場のAIに処理させるのかといった「役割分担」や「連携」が必要です。最適な役割分担や連携は、業種によっても変わりますし、個々の現場ごとに異なります。AIを机上で終わらせるのではなく、社会実装していこうとすれば、必ずこのような「最適化」が課題となります。NTTグループが事業を通じて蓄積してきたノウハウが生かされるのは、この「最適化」の場面においてなのです。

※2:ディープニューラルネットワーク(DNN)
脳機能の特性をコンピュータ上で再現した数学モデルである「ニューラルネットワーク」を多層構造にすることで、飛躍的な学習能力を実現したのが「ディープニューラルネットワーク(DNN)」。DNNを利用した機械学習法を「ディープラーニング」と呼ぶ。ディープラーニングの活用事例としては、プロ棋士に勝利した将棋ソフトウェア「ポナンザ」などが有名。

※3:エッジコンピューティング
ユーザの近くにサーバを分散させることでネットワークを介することによる遅延を最小化する技術。すべての処理をネットワークの「向こう側」で行う「クラウドコンピューティング」の持つ、ネットワーク帯域の限界による遅延という課題を解決するために開発された。

関連リンク
日本語語彙体系(NTTコミュニケーション科学基礎研究所)
http://www.kecl.ntt.co.jp/icl/lirg/resources/GoiTaikei/
01「AI化」する技術と社会の未来に、「corevo」は、どう向き合うのか?

加速するAIの社会実装
最適化のために、NTTが目指す連携の姿

今回、「corevo®」としてNTTグループのAI関連技術群をまとめ、グループ内はもとよりグループ外にも技術ブランドとして伝えていきたいと考えたのは、いよいよAIが「社会実装」の段階に入ってきた、と私たちが考えているからに他なりません。この時考えなくてはならないのは、AIを社会実装していくためには、単に「アルゴリズム」(※4)のような「しくみ」を使うことだけではなく、現実社会で起きている事象をデータとして活用する事が必要だということです。DNNのような仕組みによるAIは、学習と呼ばれる、あるデータと別のデータとの関係性を分析して最適な解を得ようとしているだけで、人間が考えた仕組みだけでできるわけではありません。このことがなにを意味するのかというと、AIは、実装するそれぞれの現場で最適化される必要があるということです。医療なら医療、農業なら農業の現場で、必要なデータを蓄積し、最適なAIを考えなければならない。NTTグループの中だけで研究開発するのではなく、積極的に外部とパートナーシップを組むことの意義は、ここにあります。連携によってAIの社会実装を加速させる。「corevo®」にはその象徴としての役割もあります。たとえば、株式会社クボタ様と連携し、農業・水・環境インフラ分野でのAI活用  を進めていたり、ファナック株式会社様との工場内でのAI活用  や、トヨタ自動車株式会社様とコネクティッドカーでのAI活用  の連携を行っているのも、その一例です。今後はこうした連携を多分野で展開し、パートナーの経営課題をAIで解決しながら、同時にAIの社会実装を推進していく動きを活性化させていきたいと思っています。

※4:アルゴリズム
ある問題を解くための「手順」、またその手順を一定の方式で記述したもの。ある課題に対応するアルゴリズムを作成すると、別の課題にも適用することができれば、プログラミングの効率化が図れる。

小澤英昭
小澤英昭

プロフィール
日本電信電話株式会社メディアインテリジェンス研究所所長。平成3年NTT入社後、同社ヒューマンインタフェース研究所、サイバーソリューション研究所、 (株)ウォーカープラス、NTTレゾナントを経て現職。

関連リンク
メディアインテリジェンス研究所  
http://www.ntt.co.jp/md/
取材協力:
NTTインターコミュニケーション・センター[ICC]

NTTインターコミュニケーション・センター [ICC]は、NTT東日本が運営するメディア・アートの展示を中心とした文化施設です。

オープン・スペース 2017 未来の再創造 2017年5月27日 - 2018年3月11日

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