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世界経済の牽引役として国際社会の大きな期待を集める中国。近年、中国は急速な経済成長を続ける一方で、環境問題や格差の拡大などさまざまな社会的課題に直面しています。
こうしたなか、早くから中国でのビジネスに着手し、中国社会に根ざした事業を展開してきたNTTグループは、本業を通じて、また経営資源を活かして中国社会の社会的課題解決に向けてどのような貢献ができるのでしょうか。
― 北京、上海、東京の3拠点をテレビ会議システムで結び、主要グループ会社のキーパーソンが意見を交わしました。
なお、神田氏・山田氏の両名は、出張先より参加しました。
稲葉 雅人
NTT 中国総代表
張 建明
NTTコミュニケーションズ
チャイナ 総経理
中川 卓也
環宇郵電国際租賃有限公司
総経理
稲葉(NTT) 近年の中国経済・産業の急速な発展は、インターネット網や携帯電話網の普及といったICTインフラの発達なくしては実現不可能でした。中国において約30年の実績をもつNTTグループは、ICT環境の整備という点で大きな役割を果たしていると考えています。この点について各事業会社の立場からはいかがでしょうか?
張( NTTコミュニケーションズ チャイナ) NTTコミュニケーションズチャイナは、日系をはじめとする外資系企業および中国企業向けのシステムインテグレーション業務やインターネット関連のICTサービスを通じ、中国でのビジネス環境の整備、中国への投資環境の改善に貢献してきました。また、NTTファシリティーズチャイナやドコモチャイナをはじめNTTグループ各社との連携による現地企業への技術支援にも力を注いでいます。例えば、現地のキャリア事業者向けにFTTH( Fiber to the Home)網の構築やデータセンタ開設などのコンサルティングを提供してきました。こうした取り組みを通じて中国全体のICTサービスのレベルアップに貢献できたと思っています。
神田( NTTデータ) NTTデータは、1990年代に中国人民銀行、中国郵便貯金の基幹システムの構築・運用などを通じて中国のICTインフラ整備に貢献してきました。最近では、日本からのオフショアビジネスや日系企業向けのICTアウトソーシング事業に加え、中国企業向けのビジネスにも力を注いでいます。
大石(NTTアドバンステクノロジ) 当社は、10年以上前から代理店を通じて現地の光通信機器メーカー向けに光ファイバ関連の部材を提供してきました。これを通じて中国の通信機器業界の発展やデジタルデバイド解消に間接的に寄与できたと思います。
中川(環宇) 今、お話のあったような各社の活動を資金面からサポートしていくのが環宇の役割です。当社の親会社であるNTTファイナンスは、格付機関から高い格付けを受けており、当社では、その信用力を活かして調達した低コストの資金を中国の通信事業や郵政事業などに供給することで中国の発展に貢献しています。
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本間 雅之
ドコモ チャイナ
董事 総経理
山田 晶一
NTTファシリティーズ チャイナ
董事長 総経理
稲葉 NTTには、ICTを活用した環境負荷低減技術を追求している「環境エネルギー研究所」があります。同研究所では、北京市における大気汚染のモニタリングに協力しました。2008年の北京オリンピックの際には、太陽光発電を用いた照明設備を会場に設置するなど、中国における環境負荷低減への取り組みに積極的に協力しています。さらに、グループ各社と連携し、次世代の低炭素社会の構築をめざす「スマートコミュニティ」の実現にも取り組んでおり、中国でも展開していく予定です。
本間(ドコモ チャイナ) ドコモチャイナでは、将来の「スマートコミュニティ」につながる試みの一つとして、江西省共青城市でNEDO(独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)が実施している循環型社会インフラづくりの実証実験プロジェクトに参加しています。これは、CO2を排出しない電気バスを導入し環境負荷低減を図るプロジェクトで、当社はスマートフォンやデジタルサイネージを活用して路線バスの走行位置や待ち時間などの情報を提供するバス運行情報システムの構築に参画する予定です。
神田 NTTデータチャイナも、同じくNEDOのプロジェクトである北京市の新交通システム実証実験に参加しています。市内を走行する1万2千台のクルマにセンサーを取り付けて、位置情報や走行速度、アクセルやブレーキの操作情報などを集約・分析して、渋滞防止やエコドライブの促進に役立てようという実験です。
山田( NTTファシリティーズ チャイナ) 現在、中国ではデータセンタの建設が活況を呈していますが、電力を大量に消費する施設なので、その省エネ化が大きな社会的課題の一つとなっています。そこでNTTファシリティーズチャイナでは、例えば高効率の空調制御システムなど、日本で培ってきた豊富な技術・ノウハウを活かして、省エネ型データセンタ構築に関する設計・技術コンサルティングを推進しています。さらに今後は、環境エネルギー研究所と連携して高効率の高圧直流給電システムの導入にも取り組んでいく予定です。
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神田 文男
NTTデータ 執行役員 中国総代表
NTTデータ チャイナ 董事長
大石 護
NTTアドバンステクノロジ
上海代表処 首席代表
神田 中国では、老朽化などによって橋が突然崩落する事故が、この10年間に数多く発生して社会問題となっています。そこでNTTデータチャイナでは、橋に多くのセンサーを取り付けて老朽度や危険度などをモニタリングし、事故の未然防止につなげるプロジェクトに参加しています。送られてくる非常に大量のデータを、最先端のデータ分析技術を活かして実証実験を行い、今後は吉林省において「橋梁監視システム」を運用する方向で準備を進めています。
本間 ドコモチャイナでは、得意分野であるモバイル技術を駆使して、長期的にふたつの方向性で中国の安心・安全な社会づくりへ貢献できると考えています。ひとつが食品や医薬品などの安心・安全を確保するためのトレーサビリティシステムです。そして二つめが、福祉分野への応用です。日本に続いて中国もこれから本格的な高齢化社会を迎えるため、今後、独居高齢者の増加が予想されます。そんな高齢者の安否をセンサーと移動通信を活用して確認できる遠隔見守りサービスも大きな需要があると考えています。
大石 当社は南米のチリでICTを用いた鉱山の採掘現場と管理オフィスを結ぶ通信システムの構築プロジェクトに参加したのですが、将来はこうしたノウハウを活用し、中国でも例えば鉱山・炭鉱の安全なオペレーションを実現するプロジェクトに取り組んでみたいですね。
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張 慶穎
中国区人力資源部経理
稲葉 これらはNTTグループだけで解決できる問題ではありませんが、皆、中国に住んでいるわけですから、企業市民として可能な限りの貢献を果たしていくことが重要だと考えています。
張(慶)(Dimension Data) 私たちディメンションデータチャイナでは、アジア太平洋地区で活動を展開する慈善組織の貧困支援プロジェクトを積極的に支援しています。中国国内でも「中華慈善総会」と協力し、2012年から3年間、河北省の貧困に直面している中学生25名に学費を援助するほか、中学校の設備・学習機材などを提供することになりました。また、地方から大都市に働きに出てきている農民工と呼ばれる人々の子どもたちが通う学校に対しても、寄付活動や社員が訪問するなどの支援を行っています。
神田 NTTデータチャイナの社員も社会貢献に対する意識が非常に高く、昨年の東日本大震災や今年7月の北京での豪雨被害など、災害のニュースが流れると即座に社内での募金活動が始まります。こうした企業文化は我々の誇りでもあります。
張(建) NTTコミュニケーションズチャイナでも早くから社員が自主的な募金活動を実施してきました。また最近は会社からも一部支援金を拠出するようになり、昨年以降は約30万元を被災地や慈善団体などに寄付しました。
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稲葉 はい。現在、中華圏のNTTグループの拠点は23都市70数ヵ所あり、1万人近い社員が働いています。
神田 NTTデータチャイナでは、主要13社のグループ企業を含めると約4千人を雇用しています。
稲葉 最大多数を占めるのは、やはり地元である中国出身の人材ですが、日本はもちろん、シンガポール、マレーシア、オーストラリア、米国などの出身者も含まれており、この国際色豊かな顔触れ、多様な人材を融合して創造力を発揮していくよう努めています。
張(建) さらに現地採用の社員をそれぞれの能力・適性に応じて責任ある役職に登用することによって、“経営の現地化”を図ることも重要です。NTTコミュニケーションズチャイナでも、以前は役職者の多くが日本からの出向者によって占められていましたが、近年では現地の優秀な社員を日本のNTTグループに出向させ、経験を積んで帰ってきた人材を幹部に登用するケースが主流となっています。現在では、私自身も含めマネージャー以上の幹部の7割超が現地採用の人材です。こうした人材の育成・登用といった面でも社会貢献できていると思います。
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大石 グループ各社がそれぞれ社会貢献度の高い事業に取り組むのはもちろん、NTTグループとしてのシナジー効果を最大限に発揮して、他の企業グループにはできない価値あるソリューションを実現することが重要だと思います。
山田 もちろん、これまでもグループ各社が連携してさまざまなプロジェクトを推し進めてきましたが、今後はグループ間のコミュニケーションをいっそう密にして、新しい連携の可能性を積極的に創り出していく必要があります。たとえば当社では、ビル管理システムの一環として駐車場管理システムなどを手がけることがあるのですが、グループ会社の技術を有効活用することで、より便利で省エネ性能に優れたシステムができないかと考えています。
本間 その省エネ性能や快適性を最大限に追求する「スマートコミュニティ」などは、NTTグループの総合力が発揮できる分野の一つだと思います。こうした先進的プロジェクトを成功させることによって、中国社会におけるNTTグループの存在価値がさらに高まるはずです。

中川 環宇は、事業を通じて中国の郵政・金融・通信業界との信頼関係、人脈を築いてきました。これを活かして当社がグループ各社と中国の経済産業界との橋渡し役となることによって、例えば中国における金融システムの高度化、物流事業の合理化など、非常に社会性の高いプロジェクトにNTTグループとして貢献できると考えています。
張(慶) シナジーを強化していくためには、持株会社(NTT)のリーダーシップのもと、実験的にプロジェクトを立ちあげ、その過程においてグループ間のより良い恊働プロセスを確立させていくといった方法もあるのではないでしょうか。ヒューマンリソースの担当としては、例えばグループ間の人材交流を目的としたイベント開催や、グループ横断的な社会貢献活動などがあれば積極的に参画していきたいと考えています。
稲葉 皆さんからご提案いただいたように、今後は中国で活動するNTTグループのなかでの情報交流や人材交流などをますます深め、活性化させていきたいと思います。そして、グループ各社のコラボレーションによって「中華圏でのグループ協業の推進」「研究開発成果の中国への展開」「アジアにおける新たなビジネスモデルの構築」などに取り組み、中国社会の持続的な発展により大きな貢献ができるよう、皆さんとともに努力していきたいと思います。
― 皆さま、本日はお忙しいなか貴重なご意見をありがとうございました。
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