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NTTグループのCSR

単電子メモリーの開発

消費電力10万分の1。ユビキタス社会を支え、環境にもやさしい単電子メモリー技術

実験風景写真実験風景

「例えば、電池を1年近く充電しなくてもよい携帯電話を実現する要素技術になると思います。ユビキタス社会を実現するには、低電力の電子デバイスの開発が不可欠なのです」

こう語るのは、NTT物性科学基礎研究所でナノサイズの電子回路の研究を続けている量子電子物性研究部ナノデバイス研究グループ主幹研究員の猪川洋だ。猪川や同グループの西口克彦らのグループが開発に成功した「単電子メモリー」は、メモリーとして蓄える電子の総数を従来のDRAM(記憶保持動作が必要な随時書き込み読み出しメモリー)の1万分の1程度に減らすことができ、これに対応して記憶に必要な電力消費も大幅に減らせるという画期的なものである。


単電子デバイスと単電子メモリー

猪川洋写真量子電子物性研究部
ナノデバイス研究グループ
猪川洋氏

単電子メモリーを説明する前に、「単電子デバイス」について説明しよう。トランジスタは、ソースおよびドレインと呼ばれる電極の間を電子が流れてさまざまな動作を行う。従来のトランジスタは、ソースとドレインの間を結ぶ橋の上に約10万個の電子が存在し、それだけ電力を消費する。これに対して単電子デバイスでは、たった1個の(もしくは数えられるぐらい少数の)電子しか存在しない。

たった1個の電子を制御するので超低消費電力であり、回路はナノメートル(1ナノは10億分の1メートル)サイズの微細構造なので、大規模な集積回路もコンパクトに形成できる。つまり多くの作業を小さなエネルギーでできるのが単電子デバイスだ。

それまではマイナス273℃の極低温下でしか実現できていなかったが、1994年にNTTが世界最初の常温で動作する単電子トランジスタの開発に成功した。

この技術をさらに発展させ、単電子を1個ずつ操作して情報を記憶する、新しい原理の大容量「単電子メモリー」を実現するのが猪川らの研究テーマである。2004年春、猪川らは、素子1つの記憶容量を従来のメモリー素子の5倍強に増やすことに成功した、と発表した。

基本素子は、2つのゲート(扉)と1つの単電子ドット(箱)からなっている。電圧を加えて2つのゲートを開け閉めし、電子を1個ずつメモリー領域であるドットに送り込む。蓄積された電子の数は、ドットの横にある単電子トランジスタを流れる電流を計測することで確認できる。つまりドットに電子がたまると計測側のトランジスタの電子との反発が強まり、電流が流れにくくなるのだ。

1個、2個と電子を蓄積する電子の数を増やしていき、最大で50個、正確に制御できるのは40個であることを確認した。単電子デバイスでは電子が0か1個かで情報量は1ビットだが、40個をためる新素子ならば5ビット強に相当する。

基本素子の回路の配線幅はわずかに35ナノ。猪川は、「配線幅を細くすればするほど操作する電子の数の揺らぎが制御されて安定的に動作します」と説明する。2004年春の時点では低温でしか動作しなかった「単電子メモリー」も、その年の冬には室温動作を実現できた。

先端技術の追究による環境への貢献

西口克彦写真ナノサイズの電子回路を持つ
西口克彦氏

通信機器の世界では高速動作する、まさにばく大な数の半導体が利用されている。また情報通信のスピードが上がるにつれて電力消費量も急増している。NTTグループの電力消費量は、1990年当時で34.5億kWh程度、2004年度では77.4億kWh程度となっている。「増え続ける電力消費量の削減のためには、新技術の導入が不可欠です。そうした研究の1つに単電子デバイスや単電子メモリーの研究があります」と猪川。

猪川のチームが単電子デバイスの研究に取り組んですでに10年。単電子メモリーが、わたしたちのパソコンなどで実用化されるのは2012年〜2018年とまだまだ先。しかし、単電子の新型素子の研究は、日本経済新聞が2004年12月に発表した、「技術トレンド基本調査〜先進性という評価が高かった上位21テーマ」のなかで5位に位置付けられたほど、期待が高いものだった。

猪川は、「単電子メモリーの研究は、決して環境への負荷を減らすことだけを目標として取り組まれているのではありません。しかし、低消費電力で動き、高密度化によって少ない原材料で多くの機能を持たせられるようになることで、結果的に先端技術の追究が環境への貢献にもつながっています」と語る。

チームは現在、大規模な回路を動作させる可能性をさまざまな角度から検討しているが、「実は、なぜ常温で単電子メモリーが予想を超えて正確に動作するのかについては充分に解明できておらず、その解明作業も続けています」と西口は笑う。

予想外の実験結果が目の前にあらわれる。科学の不思議な側面が、環境への負荷低減にもつながっている。

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