
環境技術の研究開発
NTTグループは、環境保護活動の基本コンセプト「NTTグループ・エコロジー・プログラム21」の柱の1つに「最先端の環境技術の研究開発」を掲げています。NTT研究所を中心に、省エネルギー、クリーンエネルギー、有害物質の検知・無害化など多様な分野で、基礎研究や開発を進めています。
また、チリやフィリピンなど海外との共同研究においても積極的に環境技術の成果を提供し、それぞれの国における環境保護に協力しています。
活動トピックス
省エネルギー
シリコン単電子デバイスの開発

NTT物性科学基礎研究所は、加工性や安定性に優れたシリコンを使って、一つひとつの電子の動きを制御できる単電子デバイスを研究開発しています。
その1つとして、電子回路の基礎となる単電子トランジスタを作製する手法を世界に先駆けて開発し、高機能な集積回路(LSI)の実用化に向けた研究を進めています。単電子トランジスタを使ったLSIは、従来のLSIに比べ、少ない電子数で動作し、また機能性が高いため、エネルギー消費が従来型回路に比べ1万分の1程度になります。またサイズも従来型回路に比べ100分の1以下の超小型化が可能になり、超低消費電力で超小型の集積回路が実現できます。
品質別電力供給システムの実証研究への取り組み
NTTファシリティーズは、エネルギー消費の効率化につながる品質別電力供給システムの開発に取り組んでいます。
データ処理用のサーバーや病院の医療機器などの機器は、一瞬の切断や電圧のバラつきがない高品質の電力を供給する必要があります。
現在は、需要家が、自家発電設備を併設したり、機器ごとに無停電電源装置(UPS)などを備えて停電や電圧の安定化に対処していますが、スペースやコストの増大、蓄電池の非効率な利用などの問題があります。
本実証研究は、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託研究事業であり、特定地域内において、電力変換器や蓄電池を組み合わせた機能統合型高品質供給装置等を品質別電力供給センターに配置し、受電構内及び自営線を通じて高品質な電力を供給する「品質別電力供給システム実証研究」をスタートさせています。
NTTファシリティーズは、NTT建築総合研究所、東北福祉大学、仙台市と共同してこの実証研究を受託しました。実証研究では、NTTファシリティーズが開発した高品質電力供給システムから5種類の高品質電力を東北福祉大学の研究施設、医療施設、福祉施設と仙台市の高校や浄水場に供給し、NTT建築総合研究所が実証研究全体の評価とりまとめを担当しています。
クリーンエネルギー
クリーンでパワフルなバックアップ電源の開発

バックアップ電源システムは、災害時の停電などの場合に、サーバなど重要な機器に電力を供給し続けるためのもので、ブロードバンド・ユビキタス社会になくてはならないものです。これまでバックアップ電源には、半世紀以上にわたって鉛蓄電池が使われています。鉛蓄電池は、重くて場所をとるうえに、有害物質である鉛を使用しているため、廃棄物処理にも細心の注意が必要でした。
NTT環境エネルギー研究所が開発したバックアップ電源システムは、鉛蓄電池に代わって新しく開発したニッケル水素蓄電池を搭載しています。ニッケル水素蓄電池は、鉛蓄電池よりも小型軽量で2倍以上の電池寿命があるとともに、一切鉛を含まない環境にやさしいクリーンな電池です。
センシング
大気汚染物質の移流拡散を計算するシミュレーション技術の開発
NTT環境エネルギー研究所は、地形、建物の高さや形状を考慮しながら、大気汚染物質の移流拡散を計算する局所大気環境シミュレータを開発しました。
大気環境問題は、広域で発生する公害問題から、住民の住環境や健康被害に関心が移りつつあります。とくにビルや道路の建設や都市開発などで生じるストリートキャニオン現象とよばれる局所公害問題などが大きな関心を集めています。
今回開発したシミュレータは、街角スケールの環境アセスメントを目的として、100m〜1km程度の局所大気環境を評価するためのシステムです。
地形、建物の高さや形状を考慮しながら、温度、湿度、大気中の有害物質などの移動や拡散を立体的に計算しますので、風の流れが複雑な都市環境における暑さ・涼しさ、湿気、自動車排ガス分布、ビル排熱などの計算が可能になりました。
高層ビルや道路建設での環境アセスメントや地域に密着した光化学スモッグ予報への応用をすすめていきます。

スギ花粉予測システムをチリ鉱山の粉塵予測に応用

NTTの研究所では、南米チリの銅公社と提携して約1年間にわたり、4つのテーマについて共同実験を行いました。
NTT環境エネルギー研究所が開発したスギ花粉センサを応用した粉塵センシングも、この共同実験のテーマのひとつとして取り組みが行われました。
露天掘りの鉱山では、発破作業や、鉱石運搬トラック・大型重機の往来などによって、採掘壕内部に大量の粉塵が発生します。この粉塵は人体に有害な重金属を含み、気象条件によっては、20km ほど離れた街まで飛散するため、環境や人体への影響が懸念されていました。しかし、標高3000mの高地で高濃度の粉塵が発生する鉱山近傍は、通常の粉塵計測装置を使うにはあまりに過酷な環境であり、これまで詳細な環境評価を行うことができませんでした。
粉塵センサは、耐候性・耐環境性を重視して設計を行なった、一種の粒子カウンタです。今回の共同実験では5台の粉塵センサを鉱山周辺に設置し、粉塵濃度の常時観測にチャレンジしました。その結果、約10ヶ月間の評価期間中、センサはすべて完全に稼動し、粉塵の日変動や季節変動など、今回初めて詳細な粉塵の評価を行うことに成功しました。
今回の成果を踏まえ、環境と事業の両立を支援する技術として、今後は粉塵センサとしての完成度を高めると同時に、気象条件を踏まえて予測する統合システムの開発をめざします。
無害化
世界最短波長の遠紫外発光ダイオードの動作に成功-有害物質の分解に応用可能
NTT物性科学基礎研究所は、210ナノメートル*(nm)という世界最短の波長で発光する遠紫外光*の発光ダイオード*(LED)を動作させることに成功しました。
遠紫外光は分解能力が高く、ダイオキシンやPCBなどの有害物質を化学的に分解し、無害化することが期待されています。
これまで、遠紫外光の光源としては水銀ランプやガスレーザなどガスを光源としたものしかありませんでした。水銀ランプは有害物質の水銀が使われており、ガスレーザはガスの交換が必要なうえ、いずれも大型、低効率という課題がありました。
今回は、発光ダイオードに適した半導体の中で、理論上最も短い波長を発光すると予想されている窒化アルミニウムを用いました。窒化アルミニウムは結晶化が難しく、また不純物が混入しやすいため、実用化は困難だとされていましたが、高純度の窒化アルミニウムを作製する技術を確立することがすることができました。さらに、発光ダイオードに必要なp型、n型ドーピング技術も世界に先駆けて開発し、窒化アルミニウムを用いた遠紫外発光ダイオードの作製にも成功しました。
遠紫外発光ダイオードは、ダイオキシンなどの有害物質の分解だけでなく、医療、衛生、バイオ、高度情報技術、ナノテクノロジー、環境など幅広い分野での応用も期待できます。
アセスメント
フィリピンの環境プロジェクトに参加
NTT東日本は、国際協力の一環として、NTT環境エネルギー研究所が開発した大気環境マルチセンシングシステムなどを活用したフィリピンの大気環境評価の共同研究に参加しました。
フィリピン、マニラ中心部では、経済発展に伴う人口の増加と都市の近代化により、交通量が爆発的に増大し、大気汚染が深刻化しています。その主な原因はジプニー(乗り合いバス)、トラックなどのディーゼル車が排出するNO2などの大気汚染物質であるといわれています。
今回の研究は、リアルタイムで大気汚染と気象情報をモニタリングするセンサ技術と交通量・交通流のシミュレーションを組み合わせて大気環境評価を行うもので、フィリピンの共同研究機関の技術者を招いたり、NTT東日本国際室のメンバーがフィリピンを訪れてセンサの設置や大気汚染の測定の協力を行いました。











