
安心・安全な通信環境実現に向けた取り組み
ICTの普及とともに、個人や企業が、日常生活や日常業務のさまざまな場面(たとえばATMやクレジットカードの利用、ネットショッピングなど)で、ID盗難、フィッシング詐欺*、架空請求などの被害に直面する機会が増加しています。また、インターネットや携帯電話を悪用した迷惑メールや不正アクセス、ウィルスの被害なども社会問題化しています。そこで私たちNTTグループは、ICTサービスを提供する事業者としてこれらの問題を解決し、お客さまにより安心で安全な通信環境を提供するための対策に取り組んでいます。
活動トピックス
迷惑メール対策
NTTコミュニケーションズは、インターネットサービスプロバイダ「OCN」において、さまざまな迷惑メール対策を実施しています。たとえば、迷惑メール事業者が独自運用サーバからOCNのメールアドレス宛てに送信したメールを自動的にブロックするサービスの提供を2006年4月から始めました。また、NTTコミュニケーションズとNTTドコモは、通信事業者、国内主要プロバイダとともに「JEAG」(Japan Email Anti-Abuse Group)を創設し、統一した技術やポリシーの導入を進めています。
IPv6オープンBASによるきめ細かなビル制御(秋葉原UDX)

Photo:Koji Okumura
IT関連産業や文化創造の拠点として世界から注目を集める秋葉原の新しい顔となる複合型施設「秋葉原UDX」が2006年3月9日、開業しました。同ビルの設計にはNTT都市開発、NTTファシリティーズが携わり、NTTグループの技術を生かしたビルオートメーションシステム「IPv6オープンBAS」が採用されています。従来以上にきめ細かく、より効果的な照明、空調、衛生、熱源などの統合制御、管理が可能な同システムにより、高いレベルでの環境性や省エネ性を可能にしています。
安全で手軽な電子認証「First Pass」
NTTドコモが提供するFirst Passは、従来のID/パスワード認証に代わる「PKI*」というインターネット標準技術を使ったFOMA(フォーマ)の電子認証サービスです。面倒な入力の必要もなく、携帯電話からでもPCからでも、NTTドコモから取得したユーザ証明書(データ)をFirst Pass対応サイトへ送信するだけで、簡単に認証が行えます。このサービスによって「盗聴」や「なりすまし」「電子文書などの改ざん」を防ぐことができ、安全で信頼性の高いデータ通信が可能となりました。
安心・安全な通信環境実現に向けた研究開発
ネットワークを悪用した妨害や情報漏えいなど、情報通信ネットワークの安心・安全を脅かす犯罪行為を防止し、安心・安全に利用できる通信環境を多くの人に提供する基盤となるのが、私たちNTTグループの進める研究開発です。より安全性の高い暗号技術や、サイバー攻撃対策技術、スパムメール*をはじめとした迷惑メール対策技術、企業における情報漏えい対策技術などの研究開発を行なっています。
活動トピックス
暗号アルゴリズム*「Camellia」が世界的暗号規格に
NTT情報流通プラットフォーム研究所が三菱電機(株)さまと共同開発した128ビットブロック暗号アルゴリズム「Camellia(カメリア)」が、2005年国産暗号アルゴリズムとして初めてインターネットの主要な暗号プロトコルにおける標準規格の暗号方式として採用されました。Camelliaは世界最高レベルの安全性と優れた実装性を兼ね備え、ISO/IEC国際標準暗号をはじめとする国際的な標準化規格、推奨規格に採用されています。
ブロードバンド環境の急速な普及・浸透に伴い、不正なアクセスや情報漏えいが社会問題となるなか、安心してネットワークサービスをご利用いただくため、引き続きセキュリティ技術の研究開発に取り組んでいきます。
NTT本社ビルにストレージ・セントリック・セキュリティシステムを導入
情報セキュリティに関連する社会問題が多発するなか、NTT情報流通プラットフォーム研究所は、デスクトップ端末のセキュリティ管理、データのバックアップ管理システムを搭載した「ストレージ・セントリック・セキュリティシステム」を開発しました。NTTでは、このシステムをいちはやくお客様にご提供できるよう準備を進めており、商用化の前段階として、2005年度よりNTT本社ビル(東京・大手町)のデスクトップ端末および持ち出しノートPCを対象に、本システムの導入を開始しました。2006年度中には本社ビル内の全端末を対象に水平展開を図る計画です。
企業サイトをサイバー攻撃から守るために
NTT情報流通プラットフォーム研究所は、データセンタや企業が設置するインターネット上のサイトを、ISPと連携してサイバー攻撃から守る防御システムの実証実験を2005年4月から7月にかけて行いました。NTTではサイバー攻撃が社会問題化する前から、ネットワーク全域で攻撃を防御するファイアウォール*の試作品を開発し、有効性を検証してきましたが、本実験では数千規模のホスティングユーザに影響を与える、複数のマシンによる攻撃への対処に成功するなど、被害を効果的に軽減できることを確認しました。今後は試験評価を経て早期の実用化を目指します。
安心して情報を利用できる環境づくり
NTTサイバーソリューション研究所は、公共の場においてATMやパソコンでたいせつな情報を扱う際に、周囲の人の存在を気にせず、安心して情報の取り扱いができるような「安心空間設計技術」の研究を行なっています。同研究の成果として、2005年2月には「絵でわかる安心空間ガイドライン」を策定し、また、その実用化に向けた実験を同年12月12日まで行ないました。人間工学や建築学の知識に加え、情報取扱者の安心感(心理特性)なども考慮したこの技術は、安心して情報を扱うことができる空間の設計に役立てられます。
不審者を検知する遠隔映像サービス
NTTサイバースペース研究所は2006年3月、映像の中で何らかの動き(不審者の侵入など)があったことを検出する「動き検出技術」と、人の顔を検出する「顔検出技術」を開発しました。ともにモニタリングしている映像内の人の動きや顔などを高精度に検出できるため、離れたところからでも自宅で起きた変化や事態を知ることができます。2006年7月には、携帯電話などの小さなディスプレイにも表示ができる、ホームセキュリティ用の「見守りモニター」のプロトタイプを発表しました。
大量センサ情報を束ね価値のある情報の抽出と活用を目指す情報統合管理技術
従来のデータベース(DB)管理では、DBに蓄積されたデータを主に処理対象としていましたが、NTTサイバースペース研究所は、時々刻々発生する時系列のデータストリームについて、DBに蓄積される前のデータを逐次処理するデータストリーム管理技術の研究を進めています。この技術では、広く分散する大量のセンサから発生するデータ(たとえばRFID*などから発生する情報)のようなデータのストリームを受け付けて、様々なフィルタを用いて処理(クラスタリング,マッチングなど)します。こうすることで処理の結果、必要なものについては、「アラームをしかるべきところに送る」といったアクションを即時にとることができるようになります。さらにストリームのその場での処理に加えて、集まったデータを蓄積し、用途に応じて利用できるようにします。こうして、次々に発生するデータに対して即時に対応することと、後から分析・検証するようなことを両立させることで、安心・安全のための情報基盤を構築することが可能になります。将来はこの基盤の上にヘルスケア、防犯、交通管理、防災などの分野のさまざまな応用を展開していくことが期待されます。
量子暗号の実用化にめど
NTT物性科学基礎研究所は2005年6月、盗聴が不可能な「量子暗号通信」の実用化にめどをつけたことを発表しました。量子暗号通信の特長は、極めて弱い光の光子に情報を乗せて送信するため、途中で第三者が情報を読み取ると、その光の変化で盗聴を察知できるということにあります。さらに、暗号を読み解く「量子鍵」を受け手に配送してから、盗聴のなかったことを確認したうえで情報を送るため、通信の内容は送り手と受け手にしか解読できません。この技術が実用化されれば重大な機密情報を扱う安全保障分野や金融機関などの通信に大いに役立つことが期待されます。
セキュリティと利便性を備えた本人認証技術
近年、不正アクセスを防止する本人認証技術が注目されています。NTTマイクロシステムインテグレーション研究所では、指紋の読み取りから認証までを1つのチップで実現する世界最小、最軽量の「ワンチップ指紋認証LSI*」を開発し、2005年9月、その製品化に成功しました。本技術は高レベルのセキュリティと同時に利便性も備えた本人認証システムとして、ノート型PC、PDA、携帯電話はもとより、プロセッサ(処理装置)を持たない家電など、実装の難しかったさまざまな機器への搭載が期待されます。









