主な研究内容
日本におけるICTサービスによる
環境負荷低減効果
ICTサービスの環境負荷低減効果
ブロードバンド利用者の増加に伴い、ユーザの端末やネットワーク機器の電力消費量、即ちCO2排出量が増大していると考えられます。これは、ICTサービスが環境に与えるマイナスの影響です。一方、ICTサービスの進展によって「人の移動が削減される」、「物流や産業が効率化される」などICTが環境に与えるプラスの側面もあります。
そこで環境推進プロジェクトでは、ICTサービスの進展が日本社会の環境に対してどのような影響を及ぼすかを評価しました。
評価は、日本における
● ICT機器及びネットワーク設備のエネルギー消費量
● ICTサービス活用によるエネルギー消費削減量
を出荷統計や加入者数予測を用いて試算し比較を行いました。
ICT活用によるエネルギー消費削減効果
上図はその評価結果で、グラフの上の部分は、ICTによるエネルギー消費量を試算した結果です。パソコンやサーバ・ルータなどのICT機器と、通信事業者のネットワーク設備を対象として電力消費量を算出しました。
試算結果によれば、ICT機器やNW設備のエネルギー消費量の総量は、2000年の日本の総エネルギー消費量に対して2005年から2008年に1.2%の増加となります(2005年から2008年は四捨五入により1.2%で同じ値となっていますが、実際には5〜10億kWhずつの増加となっています)。
次に、グラフの下の部分ですが、ICTサービスの活用によるエネルギー消費量の削減量を試算した結果です。試算結果によれば、2000年の日本の総エネルギー消費量に対して2005年に1.6%であったものが2008年に3.1%の増加となります。
これらの結果から、ICT活用によるエネルギー消費削減量は、エネルギー消費量よりも大きな値であることがわかります。
ちなみに、3.1%に相当するエネルギーは、首都圏(東京、神奈川、千葉、埼玉)の約8割の世帯で消費するエネルギー量に相当します。
ICTサービスの環境負荷低減効果評価事例
評価事例1.ブロードバンド・FOMAサービス
NTTグループの主要なブロードバンド・ユビキタスサービスであるフレッツやFOMAについて環境負荷の低減効果を、ライフサイクルを考慮した環境影響評価法により定量的に評価しました。
フレッツおよびFOMAにより、Webページの閲覧、音楽のダウンロード、電子メールなど19種類のICTサービスを利用した場合について、CO2排出量を算出しました。また、これらのサービスと同様の効果を得られるサービス(Webページの閲覧に対して雑誌の店頭での購入、音楽のダウンロードに対してCDの店頭での購入、電子メールに対して手紙の郵送など)を従来手段として仮定し、そのCO2排出量を算出しました。そして、ICTサービスのCO2排出量と従来手段のCO2排出量を比較します。
ブロードバンド・FOMAサービスの環境負荷低減効果
上図は、平均的な利用条件の下でのフレッツおよびFOMAを1回線1年間利用した時の、ICTサービスのCO2排出量、および従来手段によるCO2排出量の算出結果です。
評価結果から、フレッツとFOMAの1回線1年当たり、各々、93kg-CO2、120kg-CO2環境負荷の低減効果があることがわかります(これは、元気な杉の木が1年間に吸収するCO2量の各々7本分、9本分に相当します)。
※「フレッツ」は、東日本電信電話株式会社、西日本電信電話株式会社の登録商標です。
「FOMA」は株式会社NTTドコモの登録商標です。
評価事例2.テレワーク
ICTサービスの環境影響評価の事例として、「テレワークサービス」を評価しました。
- 評価概要
- 首都圏(東京千葉神奈川)に勤務するサラリーマン(1年間に240日勤務)が、1週間のうち2日自宅で「テレワーク」を行い、残り3日は会社に通勤して仕事をする場合(評価モデル(テレワーク))と、5日間とも「通勤」する場合(■評価モデル(通勤) )の環境負荷を比較しました。
- 評価結果
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1週間のうち週2日「テレワーク」をした場合の CO2排出量は、「通勤」した場合の35.5%の削減率となりました(図1)。
また、テレワークの日数が週1日でも、CO2排出量は17.0%の削減率となり、日数が増えれば、削減量も増し、週5日で削減率91.2%の結果となりました。 -
(図1)1週間のうち週2日テレワークする場合の環境負荷低減効果
- 評価モデル(テレワーク)
- 首都圏(東京千葉神奈川)に勤務するサラリーマンが、1週間のうち2日自宅でテレワークを行い、残り3日は会社に通勤して仕事をする。
- 自宅および職場で同じノートPC(シンクライアントPC:消費電力5W)を使用し業務を行う
- ノートPCは業務のみに使用し、自宅のNWはプライベートでも使用する
- 1日あたりのテレワークの労働時間は547.2分、職場での勤務時間は520.8分/日とした (テレワーク白書2007より)
- 通勤手段および距離は、首都圏主要3圏(東京千葉神奈川)在住者の平均的な値を用いる(平成11年全国都市パーソントリップ調査 :国土交通省)
- 自宅とのNWはBフレッツファミリーで評価
- オフィスでは、ブロードバンド1回線あたりを11.5人の従業員で使用していると仮定(東京千葉神奈川の1事業所あたりの平均従業者数を11.5人と推計、1事業所にブロードバンドが1回線、シンクラサーバが1台あると仮定した)
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- 評価モデル(通勤)
- 首都圏(東京千葉神奈川)に勤務するサラリーマンが、会社に通勤して仕事をする。
- 職場でノートPC(シンクライアントPC:消費電力5W)を使用し業務を行う
- 職場での労働時間は520.8分/日とした(テレワーク白書2007より)
- 通勤手段および距離は、首都圏主要3圏(東京千葉神奈川)在住者の平均的な値を用いる (平成11年全国都市パーソントリップ調査 :国土交通省)
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