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NTTis...2009春号

マネジメントインタビュー“ネットワークで未来を拓く” 〜サービス創造グループの実現に向けた技術戦略〜

代表取締役副社長 宇治則孝

NTTグループの技術戦略を統括する宇治則孝副社長に、ブロードバンド・ユビキタスサービスの本格展開に向けた戦略や取り組みなどについて聞きました。

Q 新しい中期経営戦略に込められた思いをお聞かせください。

A 昨年5月に「サービス創造グループを目指して」という新しい中期経営戦略を発表し、お客様の視点に立ったサービスの充実を打ち出しました。NGN(Next Generation Network、サービス名「フレッツ光 ネクスト」)や第3世代携帯といったブロードバンドネットワークの特徴を活かした新サービスの拡充に取り組んでいます。
 もちろんNGNのエリア拡大も進めていかなければならないのですが、お客様にとってはネットワークが変わることが重要ではなく、そのネットワークからお客様の皆様にメリットのあるサービスが出てきて初めて意味があるのです。そのため、ネットワークの拡大とネットワークに付加価値をもたらすサービス創造の両方を進めて、NTTグループの数年先を見据えた土台をつくっているところです。


Q ところで、NGNが話題になっていますが、どのようなネットワークなのでしょうか。

A ブロードバンド・ユビキタス時代に向けて、ますますネットワークのトラフィックは増大していきますし、様々なアプリケーションやサービスが出てくることが期待されています。このため、世界的な標準化動向も勘案しつつ、今まで進めていた光ファイバー通信やIP技術を活用して、2008年3月よりNGNという新しいネットワークの提供を順次始めています。NGNは「オープンなインタフェース」「品質確保(QoS:Quality of Service)」「セキュリティ」「信頼性」といった特徴を持っており、インターネットの持つ利便性や経済性に、電話網で培った信頼性や安全性を付加したものともいえます。また、電話とインターネットに加え、映像配信を合わせたトリプルプレイが簡単に実現できるようになります。
インターネットでは企業内の重要な情報をやり取りするのはセキュリティや品質上難しい面もありますが、NGNではネットワークでセキュリティや通信品質を確保しているため、信頼性の高い企業のネットワークをつくることも可能となります。


Q NGNによるサービスとはどのようなものがあるのでしょうか。

A 個人のお客様向けサービスの柱として考えているサービスにIPTVサービス(サービス名「ひかりTV」)があります。これまで私たちは見たいTV番組を見るためには、放送時間に合わせてチャンネルを合わせるか、録画して自分の好きな時間に楽しむというのが一般的でした。しかし、2008年12月に始まった「NHKオンデマンド」のようなVOD(ビデオ・オン・デマンド)を利用すれば、大河ドラマなどの番組も、好きなときに選んで見られるようになり、見逃したり、録画し忘れて残念ということがなくなります。また、IPTVサービスは、コンテンツ事業者や放送事業者と連携することで、このようなVODだけでなく、地上デジタル放送や多チャンネル放送も楽しめるようになります。これらを実現するために、映像配信の品質を担保する帯域確保や、配信先の制御、不正コピーを防ぐ技術など映像配信を行うための様々な技術的条件をクリアしています。


Q ビジネスシーンでも大いに活用できそうですね。

A 法人向けサービスの柱として考えているのが、SaaS(Software as a Service)です。SaaSは、企業内の重要な情報をネットワークを介して外部のサーバで処理するため、NGNの特徴である「セキュリティ」や「信頼性」と非常に親和性の高いサービスなのです。
 SaaSを使うと、ビジネススタイルが変わってきます。これまでは会計ソフトなどを購入し、利用していましたが、これからは業務に必要なソフトを必要なときに、必要な分だけシステムに接続して、利用することができるようになるのです。SOHOや小さな企業だと、情報システムを構築し、さらにそのためにシステム管理者を専任で配置することはコスト面などから難しい場合がありますが、SaaSを活用すれば、この問題を解決することができるのです。
 また、NGNを利用した映像コミュニケーションサービスとしてテレプレゼンス(高精細で臨場感のあるテレビ会議システム)などがあります。日頃のコミュニケーションにおいて電子メールやFAXなど、文字のやり取りだけでは誤解が生じることも、会ってお話をすると簡単に、瞬時に解決できることがあります。だからこそ、日頃、私は人に会って話をすることはとても大切なことだと思っています。しかしながら、時には時間的に、物理的に出向くことに無理が生じることもあります。皆様にも、遠くに住む友人やお孫さんなどと会いたくても会えないというときもおありかと思います。こうした思いも臨場感あふれる映像コミュニケーションサービスを使えば、解決することができます。昔のTV電話と違って大幅に画質も向上し、場を共有するための技術もたくさん使われています。例えば、お互いに何人か並んで話をしているとき、話した人の方向から声が聞こえるような技術などがあります。先日、テレプレゼンスを使って、アメリカと日本との間で会議を開きましたが、まるでその場で話し合っているような臨場感がありました。この臨場感と利便性を皆様にも体験していただけるようになります。
 セキュリティや信頼性の高いネットワークになったことで、遠隔医療への応用や、高い個人情報保護が求められる金融システムなど、新たな分野でのサービスも生まれてくると考えています。
 ここまでNGN上で展開するサービスの例をいくつかお話しましたが、重要なことは、NGNを使ってビジネス展開を行う事業者の方々とのコラボレーションだと考えています。そして、そこから生まれてくるサービスに大いに期待しています。


Q 情報通信技術(ICT)を活用することで環境への負荷を軽減できるとお聞きしましたが。

A ICTは私たちの生活を豊かにするとともに、私たちの暮らしを守るものでもあります。NTTグループとしても、環境について様々な取り組みを行っています。大きくは2つあって、ICTの利活用により世の中全体の環境負荷を軽減することと、NTTグループ自体の電力消費量削減、CO2の削減といった取り組みです。
 ICTの利活用による環境保護ですが、一例として映像コミュニケーションやテレワークがあります。遠くにいる人のところへ電車や車、飛行機といった交通機関を使って移動しなくても、その場を共有しているかのように話ができるようになれば、移動の際に排出していたCO2の削減が可能です。ICTの消費電力などを含めても、ICTを使うことで環境負荷の大幅な軽減につながるという試算結果も出ています。
 また、NTTグループ自体の取り組みですが、「グリーンNTT」を提唱して、太陽光発電などのクリーンエネルギーシステムの導入やデータセンタなどへの直流給電方式の導入で、電力量削減とCO2の削減を進めています。


Q 「サービス創造グループ」として研究開発を進めている中で、今後どのようなサービスが出てくるのでしょうか。

A NTTの研究所ではネットワーク技術、コミュニケーション科学、物性・材料科学、環境エネルギーなど様々な分野の研究を行っています。例えば、量子コンピュータや光メモリといった何十年も先の研究も行っていますし、次の時代のネットワークアーキテクチャに関する研究も行っています。
 研究所で実用化開発した技術を用いてこれからサービス展開しようとしている例をあげると、「デジタルサイネージ」があります。電車の中のディスプレイやビルの壁面にある大型ディスプレイで広告を流しているものです。今まではそれぞれ個々の広告を流していましたが、これをネットワーク化し、全体の制御を行うシステムを開発してビジネスに活かせるか検証しています。場所や時間帯、性別、年齢、人数など様々な特性に応じて、TPOに合わせた最適な広告を配信し、広告の効果を高めるのです。
 他にも携帯・固定との連携したサービスや「ホームICT」などについてもこれから展開を進めていきます。携帯・固定の連携サービスとしては、IPTVサービスやgooの検索機能を、携帯電話からもPCと同じように利用できるようにすることなどを進めています。
 また「ホームICT」ですが、PC以外にもゲーム機やテレビ、デジタルフォトプレーヤ、ドアホンなどの家庭にある機器をNGNに接続し、外出先でのドアの施錠確認や、遠く離れた家族とテレビを使った写真や映像の共有、遠隔からの機器の設定や故障時の切り分けといった様々なサポートサービス、外出先や家で仕事のできるバーチャルオフィスといった、生活をより安心・安全で豊かにするようなサービスの開発を進めています。


Q 最先端の通信技術を活かしたサービスが数多く生まれてくるのですね。

A 技術的にできるということと本当に使いやすいサービスにはギャップがあります。NTTの研究所は世界でもトップクラスの研究を数多く行ってきていますが、使い勝手の観点などで反省すべき点も多々あります。
 このように、研究所だけでは解決が難しい問題や、お客様志向のビジネス展開を推進していくためには、NTTグループの総合力が重要だと考えています。そのために外部との連携だけでなく、グループ内のコラボレーションを進める取り組みとして、「タスクフォース」と呼ぶグループ各社が議論する場を設定し、推進しています。
 また、サービス融合やグローバルの時代に向け、よりワールドワイドな視点も不可欠になってきています。これまでも、NGNの標準化活動や、光部品技術などの海外展開を進めておりましたが、これからは様々な国々の通信事業者やパートナー企業とも連携して、研究開発成果の普及展開活動やビジネス展開にも取り組んでいく必要があると考えています。
 NGN上のサービスを多くの企業とのコラボレーションにより創り出していき、日本経済の成長力の1つになれればと思っています。

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