ページの先頭です。
コンテンツエリアはここからです。

NTTis...2012春号

このページの英語版を見る

宇治副社長メッセージ 〜サービス創造に向けたR&D戦略について〜

NTTグループの技術戦略を統括する宇治副社長に、情報通信技術(ICT※1)による社会的課題に対する取り組みなどを含め、サービス創造に向けた今後のNTTグループの研究開発(R&D)戦略について聞きました。

昨今の情報通信を取り巻く環境の変化についてどのようにお考えですか。

代表取締役副社長 宇治則孝

近年大きく進展したクラウドに象徴されるように、「持つ」から「使う」というような大きな変化、パラダイムシフトが起きています。また、スマートフォンやタブレット端末の展開も注目すべきですし、ICTと他分野・他領域が連携・融合することで、サービスの融合が進み、新しいサービスがどんどん出てきています。
今後は情報通信の社会的役割がますます大きくなっていくでしょう。

  • ※1.ICT
    Information and Communication Technologyのこと。コンピュータによる情報通信に関するハードやソフト、システムやデータ通信などに使われる技術の総称。

そういった変化を踏まえ、これからのサービス創造に向けた戦略をお聞かせください。

まずはクラウドですね。クラウドとは英語で「雲」のことですが、ネットワークを表現した言葉なのです。先ほど「持つ」から「使う」というお話をしましたが、お客様から見るとサーバなどのハードウェアやソフトウェアを購入しなくても、様々なサービスがネットワークを経由して好きな時に好きなだけ利用できるというものです。NTTグループでは各社が特徴と強みを活かしつつ、いろいろと連携して取り組んでいます。

具体的にはどのような取り組みですか。

現在NTTグループでは、これまで主に取り組んできた企業向けのクラウドだけではなく、震災を契機にさらに重要性が増大している公共分野でのクラウド活用を推進しています。例えば、行政分野では、複数の市町村にまたがって業務の効率化などを推進する自治体クラウドや、行政サービスの利便性向上を目指した行政クラウドを推進しています。医療分野では、2008年から岩手県遠野市などで導入を進めていた遠隔健康相談サービスを、昨年秋から「ひかり健康相談」というクラウド型サービスで展開しています。教育分野では、昨年春から全国10校の小中学校で、教育クラウドを使ったデジタル教材の提供や、タブレット端末を利用した授業を実施しています。
また、これまで活用できていなかった「ビッグデータ」と呼ばれるインターネットの検索履歴や、ソーシャルネットワークサービス(SNS)に投稿されたデータ、様々な機器やセンサから収集されたデータなどの巨大な情報を、クラウドを利用することにより安価にそして高速に分析をすることが可能になり、これにより新たな価値を生み出していきたいと考えています。例えば、携帯電話が基地局とやりとりをしている位置情報データを解析することで、震災の時に人々がどのような行動をとったのかを把握し、防災計画に役立てることができます。これはほんの一例で、様々な分野における活用など、新たな価値創造の可能性も計り知れません。

クラウドがNTTグループの中で重要な役割を担っていきそうですね。環境やエネルギーの分野での取り組みについてもお伺いできますか。

ご存じのとおり、震災により電力不足問題が発生し、社会的課題の1つとなっています。事業運営に多くの電力を使用する情報通信事業者の社会的責任として、自らの消費電力削減とともに、ICTの利活用による社会全体での省エネルギー化を進め、環境負荷低減につなげていきます。

今後どのような取り組みを進められるのですか。

例えば、家庭、マンション、オフィスなどでの消費電力量の削減を目指した「電力の見える化」サービスや、電気自動車のカーシェアリングサービス、太陽光発電システムの構築・運用を行うメガソーラーソリューションなど、NTTグループ各社の強みを活かした取り組みを進めています。今後は、これらのサービスに必要な機器を“つなぎ”“コントロール”するためのネットワーク基盤やクラウド基盤の研究開発を行っていきます。また、ICTとエネルギー分野の相乗効果により、安心・安全な新しいコミュニティの実現に貢献していきます。例えば、宮城県仙台市で計画される環境まちづくり事業に構想段階からNTTグループも参画しており、ICTを活用した環境負荷の少ない街づくりと被災地の復興を支援していきます。

スマートフォンやタブレット端末の利用が急速に増加していますが、どのようにお考えでしょうか。

モバイル端末の広がりにより、私たちは時間や場所の制約を受けることなく、いつでもネットワークにつながることが可能になります。先ほどお話をした企業や公共分野でのクラウドの利用シーンが拡大しますし、家庭内でも様々なサービスがキッチンやリビングなどでも利用できるようになります。例えば、「電力の見える化」サービスの利用によって、外出先からの家電コントロールや、電気の利用状況をリアルタイムに監視することにより電気代の節約につなげることができたり、医療や介護も在宅での遠隔サービスを受けることができるようになります。また最近では、光回線で提供していた映像サービスをモバイル端末でも見ることができるようになりました。加えて、家族の絆を深めるため、ご家庭の大画面テレビと高品質な映像・通信を組み合わせて、離れた家族があたかも同じリビングにいるような臨場感あふれるサービスの開発も今後進めていきます。

代表的な取り組みがあればお聞かせください。

先ほどお話をさせて頂いたサービスを提供するには、固定通信・移動通信を意識させない「ネットワークサービスのシームレス化」が重要です。そのため、屋内では高速な光回線に接続した無線LAN(Wi-Fi※2)を利用し、屋外ではモバイル網や公衆無線LAN(Wi-Fiスポット)を利用するといったサービス環境の整備を加速していきます。特にWi-Fiスポットについては、交通機関のほか、街のコンビニや商業施設との提携などを通じて設置を拡大しています。
遠隔医療に関しては、在宅医療、在宅介護の動きが進むなかで、自治体、病院、介護施設、患者宅をネットワークで結び、患者の血圧をはじめとした健康データをモバイル端末などを通じて収集し、過去の診療履歴や服薬履歴などを参照しながら診療活動を行う実証実験(トライアル)を開始しています。

最後に今後の研究開発についての抱負をお聞かせください。

世の中の変化にタイムリーに対応することは言葉で表現するほど容易なことではありません。NTTのR&Dにおいても、この状況に対応するための改革が必要です。特に今後は「ソフト化」「スピード化」「グローバル化」をキーワードに展開していきたいと思っています。
「ソフト化」については、広がる事業領域に対して、ソフトウェア技術によりサービス開発を加速させるとともに、品質やセキュリティの向上を進めたいと考えています。現在は複数の研究所や組織に分散されている情報処理技術やセキュリティ技術に関するR&D組織を集約し、ソフトウェアイノベーションやセキュリティの研究開発を強化します。「スピード化」については、世界の変革スピードに負けず、サービス開発を加速させ、市場ニーズにタイムリーに対応したいと考えています。
「グローバル化」については、海外での事業売上向上を指すだけではなく、海外市場や技術の動向にアンテナを高くし、グローバル目線でサービス開発することも意味します。例えば、新しいサービスが次々と生み出されているアメリカ西海岸において、研究開発を行える環境を整備していきます。

最後にNTTドコモの通信障害については、昨年来の数度にわたる障害で、お客様や関係者の方々に大変ご迷惑をおかけしました。当面の対処策はもちろん、スマートフォンの爆発的な普及にも即応できるようチェックを行い、このような事故が起きないよう今後の対策を講じていきます。また、震災での経験を踏まえ、NTTグループは、これからも固定通信・移動通信の両面で、災害に強く安心・安全なネットワークの構築とサービスの開発・提供を行っていきます。

  • ※2. Wi-Fi
    無線LAN機器間の相互接続性を認証されたことを示すブランド名。
    Wi-Fi Allianceの登録商標。ここでは、Wi-Fiによる無線LAN環境のことを指す。
フッタエリアはここからです。