加速するB2B2Xビジネス

最終更新日:2017年12月27日

ビジネスモデルの大きな変革

NTTグループは、これまでもブロードバンド事業やグローバル事業の展開など、市場や技術の変化に対応して事業構造を変革してきました。
2020や地方創生を契機として、NTTグループの持続的成長を牽引する新たな事業領域を切り拓いていきます。
全国展開しているブロードバンドと多彩な分野で強みを持つ情報システムを掛け合わせ、スポーツなどの成長産業化や農業・製造業・サービス業などの産業競争力の強化、また、少子高齢化などに起因する社会的課題の解決やライフスタイルの変革に向けた総合的な価値提案と事業展開を行います。
こうした事業展開により、B2Cの通信ビジネスを中心とした事業構造から、B2B2Xビジネスを中心とする事業構造に転換すべく大きく舵を切っています。
B2B2Xビジネスは、B2Bビジネスモデルを進化させたもので、「センターB」(B2B2Xの中央のB)がスマートフォンやネットワークに接続されたセンサーなどを通じて、エンドユーザー(X)に多彩なサービスを提供するためのサポートを行うビジネスです。
NTTグループはセンターBの「触媒役」として、企業のビジネスモデルや自治体の住民サービスのあり方の転換、さらには、これらを通じた消費者・地域住民の情報に基づく行動選択を、ひいてはライフスタイルの変革をサポートしていきます。

B2B2Xモデルへの取り組みの狙い

情報のデジタル化は、様々なデータの取得・処理・流通がネットワークを介して自在に行われることとなり、従来十分に活用されていない、いわば眠れる資産やノウハウの有効活用が可能となります。
IoTの進展は、スマートフォンなどの携帯端末だけでなく、機械、建物やインフラにネットワーク接続されたセンサーやモニターにより、あらゆるものの状態が必要な時に把握可能となることを意味します。
また、AI(人工知能)の導入は、集められた膨大なデータが瞬時に処理・分析され、サービス提供者の方々(「センターB」)による新たな付加価値創造のサポートの可能性を飛躍的に高めます。
B2B2Xビジネスの加速は、デジタル化、IoT、AIといった社会的・技術的な潮流を活かしつつ、NTTグループが個人や企業に直接サービスを提供するモデルから、様々な分野のサービス提供者のサポートを通じてエンドユーザーに付加価値をお届けするモデルへと事業構造を変革する取り組みです。

2017年3月期の主な取り組み

2017年3月期は、様々な企業、団体や自治体と、具体的な協業案件を加速させることができました。
これらNTTグループの取り組みを、3月にドイツで開催された「CeBIT2017」や、4月に幕張で開催された「ニコニコ超会議2017」に出展し、積極的に紹介してきました。
NTTグループは、「センターB」となるサービス事業者の皆さまに、「NTTと組んでみよう」「NTTと一緒にビジネスを展開したい」と考えていただけるような存在であり続けることをめざします。

B2B2Xモデルの主な取り組み(2017年3月期) 2016年4月から歌舞伎とICTの融合による新たな感動体験/2016年5月からICTによる新たな観戦体験/2016年6月からAI・IoTによる農業・水・環境ソリューションの高度化/2016年9月から生体情報を組み合わせた安全運転管理ソリューション/2016年7月からオープンデータ・ビッグデータを活用したまちづくり/2016年7月からスタジアムのスマート化、新たな視聴体験/2016年7月からIoTによる工場での製造・生産の最適化/2016年11月から重要インフラの安心・安全な運用/2017年1月からリアル店舗連携のデジタル広告、駅構内ナビゲーション/2017年2月からウェアラブル生体センサを用いたリハビリ効率の向上/2017年3月からコネクティッドカー分野での技術開発・検証/2017年22017冬季アジア札幌大会におけるスマートアリーナ化、新観戦体験

B2B2Xビジネスモデルの具体例

スポーツリーグとのB2B2XモデルJリーグ・クラブチームと連携したスポーツの成長産業化への貢献

近年、スポーツコンテンツ産業のグローバルな拡大といった市場環境の変化や、IoT・AI・VRなどの技術の進展が顕著となっています。これに呼応して、政府も、2020などを契機としたスポーツの成長産業化を後押ししています。
このような中、NTTグループは、B2B2Xの先行的なビジネスモデルとして、Jリーグ、Perform Groupとスタジアム・ホームタウンのICT化を目的とした「スマートスタジアム事業」の協業契約を締結しました。
既にNTTグループとして取り組んでいたNACK5スタジアム大宮に加え、ユアテックスタジアム仙台、県立カシマサッカースタジアムのスマート化に取り組んでおり、今後もスマートスタジアム事業を拡大していきます。さらに、Perform Groupと協力して、革新的なスポーツライブサービススポーツ・チャンネルの「DAZN for docomo」や、「ひかりTV」(NTTぷらら)により、いつでもどこでもスポーツ観戦をお楽しみいただけるようにしました。

協業イメージ〜デジタルマーケティングによる顧客基盤の拡大〜 Jリーグの推進するマーケティング活動を、NTTグループアセットをフル活用し支援する。/Jリーグ・クラブチームの収益拡大に貢献するとともに、NTTグループの新たなサービス創造、ビジネスモデル開発をめざす。

また、JリーグとNTTドコモは、「トップパートナー契約」を、同時にNTTグループは、「オフィシャルテクノロジーパートナー契約」を締結しました。Jリーグとの協業をさらに深化させ、NTTグループのICTサービス・アセットを活用し「B2B2Xビジネス」を推進しています。
今後は、既存ファン・サポーターとのエンゲージメント強化や潜在的なサッカーファンとのコミュニケーション強化のために、ドコモのポイントサービス「dポイント」などのアセットを活用するとともに、SNSなどと連動したユーザー参加型イベント施策などを推進します。
また、NTTグループが持つAR・VRをはじめとする最新技術を活用した新たなエンターテイメント体験などを展開するとともに、Jリーグ保有の過去のアーカイブ映像の利活用などにより既存のファンの満足度を高めるとともに、新たなファン層を開拓していきます。
さらに、全国のグループ各社の支店やドコモショップなどと連携し、地域のファン・サポーターとJリーグやクラブチームとのリレーション強化を通じたホームタウンの活性化に貢献していきます。

エンターテイメント企業とのB2B2Xモデル歌舞伎とICTの融合による新たな感動体験

NTTは、松竹株式会社と歌舞伎と最新のICT技術のコラボレーションによる、全く新たな歌舞伎鑑賞の提案をめざした共同実験を行っています。第一弾として米国ラスベガスで開催された「Japan KABUKI Festival in Las Vegas 2016」にて上演された「KABUKI LION 獅子王」の模様をイマーシブテレプレゼンス技術「Kirari!」などの最新技術を使用して、高臨場でリアルタイムに羽田空港に届ける実験を行いました。
また、ラスベガスの会場では、歌舞伎独特の化粧法である「隈取」のお面を顔にあてると「アングルフリー物体検索技術」によって、目の前の画面上の自分の顔に「隈取」のお面がAR重畳表示(変身歌舞伎)され、さらには巨大な立体顔面オブジェクトに歌舞伎特有の間や表情といったダイナミックな演出とともに、プロジェクションマッピングされる演出を行いました。加えて、壁面に掛けられた、動くはずのない「隈取」のお面(画像)にリアルな動きの印象を与える光投影技術「変幻灯」によって、喜怒哀楽に富んだ多彩な表情を加えました。
またNTT、NTT西日本、熊本県、松竹は、熊本地震からの復興を祈願して「歌舞伎シアターバーチャル座」をはじめとした歌舞伎×ICTの可能性をご体験いただける「ラスベガス歌舞伎公演『KABUKI LION 獅子王』凱旋イベント in 熊本」を開催しました。
これらのイベントを通じて、ICT技術を用いた次世代の歌舞伎の実現に向けた研究開発に引き続き取り組んでいくとともに、本取り組みで得られたエンターテイメント分野における表現の知見などを、今後の深い感動、新しい体験を提供する取り組みにフィードバックしていきます。

自治体・地元企業とのB2B2Xモデル札幌市・地元流通企業との連携による、オープンデータ・リアルデータを活用したICTまちづくりへの貢献

NTTグループは、札幌市が推進するICTまちづくり先進モデルの構築をサポートしています。
札幌市が中心となって設立した産学官連携の「札幌市ICT活用プラットフォーム検討会」に参画し、スポーツ・観光、交通・雪対策、健康・子育てといった地域経済振興、住民サービスなど包括的な分野におけるICTまちづくりを支援しています。
最初の取り組み分野として、さっぽろ雪まつりや2017冬季アジア札幌大会の開催に合わせ、札幌市や地元流通企業と連携して、国内外の観光客の人流、嗜好、購買データなどのリアルデータを収集・分析し、ホテルや観光地、ショッピング施設に相互送客するなど消費拡大施策を展開するとともに、札幌市の魅力発信に貢献しました。
データ分析に基づくマーケティングの結果、地元流通企業の売上が対前年度比で大きな改善を示しました。また、これまで競合する企業同士で共有されることのなかった商品カテゴリー別や国籍別購買データを横断的に分析することにより、個別企業では見逃していた市場を再発見し、新たな視点でのマーケティング施策が展開できるなど、複数事業者間でのデータ共有の効果が確認できました。今後も参画企業を順次拡大することにより、消費拡大施策を支援していきます。
引き続き、交通・雪対策、健康・子育て分野においても札幌市を中心としたICTまちづくりをサポートしていきます。

製造業とのB2B2XモデルIoTにより製造・生産の最適化を実現するFIELD systemの早期確立とサービス運用開始に向けたファナック株式会社との協業の合意

ファナック、NTT、NTTコミュニケーションズ及びNTTデータは、ファナックが開発を進めている、CNC(コンピュータ数値制御装置)やロボット、周辺デバイスやセンサーなどを接続して製造・生産を最適化するための高度なアナリティクスを提供するオープンプラットフォーム「FANUC Intelligent Edge Link and Drive system(以下 FIELD system)」の早期確立とサービス開始に向け、各社が注目するエッジコンピューティング技術とICT基盤活用などに係る協業を進めています。

ファナックは、ファクトリーオートメーションとロボットの世界的サプライヤーです。製造業の現場で使用される各種機器をネットワークで接続し、それらから生み出されるビッグデータを賢く処理、活用することで、これまでにないスマートな製造現場を実現するオープンプラットフォームの「FIELD system」の開発・商用化に向け取り組んでいます。
今回の協業では、ファナックが推進するFIELD system構想に、NTT研究所の先端技術とNTTコミュニケーションズがグローバルに展開するICT基盤やマネジメントソリューションを活用して、FIELD systemの早期確立、サービスの運用開始とともに、デファクトスタンダード化をめざします。さらに、NTTデータは工場内の様々な課題を解決するビッグデータ解析を起点としたアプリケーション開発の実績とノウハウを活かして、FIELD systemを活用される皆さまの業務変革を支えていきます。
NTTグループは、お客さまに選ばれ続ける「バリューパートナー」として、ICTを通じたパートナーの皆さまとのコラボレーションにより、Co-Innovation(共創・技術革新)の取り組みを推進しています。製造業を重要分野として位置づけ、NTTグループ全体で、パートナーの皆さまとともに高付加価値サービスの創出や新たなビジネスモデルの確立をめざしていきます。

畜産業とのB2B2Xモデル和牛の安定供給をめざし、肉用牛のライフサイクルに着目したIoTサービスの提供・実証実験を実施

農業・水産業等の第一次産業において、IoTやAIなどの情報通信技術は、高齢化による従事者減など第一次産業が抱える深刻な課題の解決を可能にするものとして期待されています。具体的には生産の効率化や品質の安定化・向上だけでなく、作業ノウハウの見える化や継承を可能とするものです。
例えば、和牛畜産の現場では、生産農家の高齢化や減少などを背景とした子牛不足が続いています。そこで、NTTグループでは肉用牛のライフサイクル全体に着目し、子牛の出生から肥育・出荷まで、IoTにより生産農家の労働負荷を削減し、安定した出荷を支援するIoTサービスを提供しています。
和牛の出産時の稼働を削減する取り組みを、NTTドコモは全国農業協同組合連合会と提携し、畜産農家向けに開始しています。
出産が近づいた母牛に株式会社リモートが開発した母牛の体温監視システムのセンサーを取り付け、体温を細かく測定しています。そのグラフはNTTドコモの通信網を通じてスマホやタブレットで確認できるため、農家はいつでも牛の状態を把握できます。分娩のおよそ24時間前や、破水した時にはメールで通報することで農家は余裕を持って出産に立ち会える上、昼夜を問わず巡回監視する手間が軽減されます。
また、肉用牛の出荷前の転倒事故死を防止する実証実験を、NTT東日本は全国畜産農業協同組合連合会、コンピュータ総合研究所と行っています。
本実証実験では、牛舎に設置した赤外線モーションセンサーで取得した画像データをWi-Fi経由で収集し、長距離の無線通信が可能なミリ波ネットワークを利用して、クラウドにアップロードします。蓄積した画像データを利用して、肉用牛の転倒状態を解析し、転倒検知時にメールで通知します。
こうした取り組みにより、毎年1〜2%発生する転倒事故死(仕入れた子牛を肉用牛として出荷可能な状態まで育てる中で、転倒に気付かずにそのままの状態で放置すると、肺が圧迫され死んでしまう)を防止します。

Society5.0の実現に向けて

内閣府では、「未来の産業創造と社会変革に向けた新たな取り組み」として、『超スマート社会』の実現を掲げ、Society5.0という取り組みを推進しており、官民が連携して未来社会の創造に向け取り組んでいます。その中で、Society5.0を実現するためにキーとなる技術やコンセプトとして期待されているのが、IoT、ビッグデータ、AIです。

(参考)超スマート社会の定義

必要なもの・サービスを、必要な人に、必要な時に、必要なだけ提供し、社会の様々なニーズにきめ細かに対応でき、あらゆる人が質の高いサービスを受けられ、年齢、性別、地域、言語といった様々な違いを乗り越え、活き活きと快適に暮らすことのできる社会

Society5.0(第5期科学技術基本計画)

IoTによって、様々な社会のデータがビッグデータとして蓄積され、AIにより解析されることにより、様々な社会的課題が解決されると期待されています。
このようなIoTやビッグデータを活用した社会的課題の解決には、自治体が保有する人口情報や道路情報などのインフラ(公共)データ、購買情報や交通情報などのインダストリー(産業)データが必要に応じて共有・利活用されることが必要です。
地方自治体が中心となって、集められた官民のデータを適切にマネジメントし、市民や地域企業にその価値を還元することによって、データ利活用の可能性が広がり、地域ビジネスの発展や住民サービスの向上につながっていくと考えています。
NTTグループは、このような地方自治体のICTを活用したまちづくりを支援するために、福岡市、札幌市と包括連携協定を締結し、観光などの地域産業振興や健康や子育てなどの市民サービスの向上に取り組んできました。こうした取り組みを通じて、いくつかの課題が見えてきました。
1点目は、データの管理主体の確立と参画企業の拡大です。自治体が中心となってコミットすることで参画企業からの信頼が増し、個別企業単位では集積困難な良質なデータを集めることが可能になります。集まったデータを活用し便益を還元していくことで、データの収集・処理・活用が一連の持続可能な取り組みとなるよう、NTTグループは支援していきます。
2点目は、標準化のルールやガイドラインの整備です。例えば、複数事業者間で購買データを共有し、マーケティングやプロモーションに活用する場合、現時点においては、各社が保有するデータの項目や商品分類方法が区々となっており、公開ポリシーも事業者間で横通しがなされていません。そのため、共有時には毎回事業者間でルールを定める必要があり、こうした取り組みを推進する際の障壁の一つとなっています。NTTグループは実ケースを積み重ねていくことにより、業界団体や事業者がデータ活用の取り組みを機動的に推進できるよう支援していきます。
3点目は、データの安全な管理技術・手法の確立です。データ活用にあたっては、各参画企業が保有する機微な情報が対象になると想定されます。そのため、暗号化・匿名化などのデータを安心・安全に管理する技術や、データの悪用を防ぐための管理体制などが必要となります。NTTの研究所では、秘密分散・秘密計算や匿名化技術を開発し、実用化に向けた準備を進めています。
NTTグループは今後も、NTTグループのアセットを活用し、行政課題の解決や地域活性化に取り組み、Society5.0の実現に貢献していきます。

NTTグループは、B2B2Xビジネスモデルの先行的なユースケースや先進技術を、2017年3月にドイツ・ハノーバー市で開催された世界最大級のICTビジネス見本市「CeBIT2017」に出展しました。
センターBが提供する価値を総合的に捉えて、産業別や地域課題別にNTTグループ横断的な価値提供のラインナップとして示すことにより、大きな反響と評価を得ました。ここで展示したNTTグループの取り組みは、Society5.0の実現をサポートするものです。

B2B2Xビジネスの将来の市場規模・今後の展開

NTTグループは、1985年の民営化以降、電話などの音声収入を中心とした事業展開を行ってきました。今世紀になってからは、ブロードバンド、さらにグローバル展開が成長のエンジンでした。
今後、これまで築きあげてきたブロードバンドと情報システムの融合を通じて、産業や国民生活のスマート化をサポートしていくことで、持続的な成長をめざします。
NTTグループは、ブロードバンドや情報システムを柱としつつ、不動産やエネルギーマネジメントなど、幅広い事業ドメインを持つグループならではの強みを活かし、センターBの視点に立った総合的な価値提供やグループ外とのコラボレーションを通じて、センターBがXに提供する価値の増大を後押しすることで、B2B2Xビジネスを拡大させていきます。

政府は「日本再興戦略2016」において、官民連携プロジェクトとして10の分野を掲げました。この10分野を中心とした成長戦略の推進により、GDPの600兆円達成を目標としています。産業分野で30兆円、スポーツや観光分野でそれぞれ10兆円、11兆円などです。
さらに、「未来投資戦略2017」において、Society5.0に向けた戦略分野として「快適なインフラ・まちづくり」「移動革命の実現」「健康寿命の延伸」などを、また、地域経済好循環システムの構築に向け、「観光・スポーツ・文化芸術」「攻めの農林水産業の展開」「サービス産業の活性化・生産性向上」などを政策の重点分野としています。
NTTグループは、政府の政策とも連動しつつ、ICTを活用した様々な産業分野のスマート化や自治体の住民サービスの向上などをサポートし、B2B2Xビジネスの拡大を図っていきます。