最終更新日:2012年6月29日
投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項を、NTTグループの事業を取り巻く環境及びそれに対応した事業戦略、業務運営に係るリスクのほか、規制をはじめとした政府との関係に係るリスク等の観点から総合的な評価を行った上で、以下のように取りまとめております。(文中の将来に関する事項は、上記最終更新日現在において判断したものであり、これらに限られるものではありません。)
事業環境及びそれに対応した戦略に係るリスク
NTTグループの事業は、世界及び日本の経済状況から影響を受ける可能性があります。
平成24年3月期における世界経済は、欧州の政府債務危機に伴い先進国経済に不安定さが増すとともに、新興国経済の成長にも鈍化の動きがみられ、総じて景気の回復が減速傾向となりました。日本経済は、東日本大震災後の厳しい状況から需要・供給両面で回復が進みましたが、世界経済の減速や、長引く円高、タイの洪水被害などの影響により、持ち直しの動きは緩やかなものになりました。日本経済の先行きについては、各種の政策効果などを背景に、景気の持ち直し傾向が確かなものとなることが期待されるものの、欧州政府債務危機や原油高の影響を背景とした海外景気の下振れ等によって、景気が下押しされるリスクが存在します。また、福島第一原子力事故に端を発した全国の原子力発電所の運転停止による電力供給の制約や、さらにはデフレの影響、雇用情勢の悪化懸念が依然残っており、その場合、NTTグループの事業は、その収益の多くが日本において生み出されることから、財政状態や経営成績に影響を与える可能性があります。特に、ソリューションビジネスにおいては、企業収益の悪化によるIT投資抑制傾向が、コストへの要求やIT投資効果への評価の厳格化となって、NTTグループの扱うシステムやサービスの販売価格および受注額の低下につながる可能性があります。
NTTグループは、その他の事業として、金融事業及び不動産事業などを行っております。金融事業においては、取引先の倒産等により被る損失を極小化するため、与信管理を徹底するよう努めておりますが、景気後退により取引先の経営状況が期中に変動し、不良債権が発生した場合には、財政状態や経営成績に影響を与える可能性があります。また、不動産事業においては、景気後退の影響により不動産賃貸市場やマンション分譲市場の需給が悪化した場合、投資の採算性が低下し、財政状態や経営成績に影響を与える可能性があります。
NTTグループは、社債・借入金等の多様な手段により資金調達を実施し、低利かつ安定的な資金の確保に努めておりますが、金融市場において大きな変動が生じた場合には、NTTグループの資金調達コストの増加につながる可能性があります。また、株式市場や金融市場の低迷により、NTTグループの保有する投資有価証券等の資産価値が下落した場合には、評価損の発生によりNTTグループの業績に影響が生じる可能性があるほか、不動産売却計画、年金運用等にも一層の影響を及ぼす可能性があります。
競争の進展により、NTTグループの市場シェアと収益が低下する可能性があります。
日本の情報通信市場においては、さまざまなビジネスモデルに基づく事業者の参入が続き、競争が一層激しくなるものと想定されております。NTTグループは、すべてのセグメントにおいて競争に直面しております。
現在の情報通信市場は、IP化・ブロードバンド化が更に進展するとともに、スマートフォン・タブレット端末などのモバイルデバイスの急速な普及・多様化を背景に、国境を越えた様々なプレーヤーがクラウドを活用した新たなビジネスモデルをグローバルに展開するなど、市場構造そのものが大きく変化してきています。また、今後は固定通信サービスと移動通信サービスの組み合わせによる様々なFMCサービスの展開が加速する可能性があります。
NTTグループは、日本の情報通信市場において競合他社に対する競争優位性を有していると考えておりますが、このような競争環境の変化に伴い固定電話市場が縮退するなか、厳しい競争状況にあるブロードバンド市場の一層の拡大に挑戦するという課題があり、現在の競争優位性を維持し続けることができるかは保証の限りではありません。このような競争状況が、将来におけるNTTグループの成長性と収益性に影響を与える可能性があります。
固定電話市場では、IP電話への移行などにより市場規模の縮小が続いており、NTTグループにおいても「ひかり電話」を中心としたIP電話による競争力強化を図っておりますが、他社光サービス及びCATV回線等を利用したIP電話サービスとの競争によりNTT東日本及びNTT西日本の顧客が他事業者に移った場合は、想定以上に収益が低下する可能性があります。
固定のブロードバンド市場では、アクセスラインの多様化・高速化・低廉化が進んでおり、事業者間の設備競争およびサービス競争の進展に加え、映像配信とIP電話を含めたトリプルプレイ提供の拡大、パソコン以外の情報機器等を活用した新たなサービスの登場など、市場環境が大きく変化しています。このような市場環境のもと、光サービスがブロードバンドサービスの過半を占めるまでに拡大しておりますが、他社の光アクセスやCATV、更にスマートフォンやタブレット端末の普及に伴うワイヤレス・ブロードバンドとの競争等が今後も続き、シェアの低下やユーザ獲得ペースの鈍化、料金値下げを余儀なくされる可能性があります。また、競争対抗上、顧客獲得に想定以上のコストがかかる可能性もあり、財政状態や経営成績に影響を与える可能性があります。
今後、事業展開上重要性が増してくると考えられる上位(プラットフォーム、コンテンツ・アプリケーション)レイヤにおいては、様々な分野からの様々な業態による参入が引き続き行われると考えられ、今後競争環境が想定した以上に激化した場合、期待したシェアを確保できない可能性があります。
移動通信市場においては、従来の垂直統合型の市場からスマートフォンの普及に伴うアプリケーション市場の拡大や、LTE※等による超高速ブロードバンド化が始まるなど、市場の各レイヤ(端末、ネットワーク、通信プラットフォーム、コンテンツ・アプリケーションの各レイヤ)で、またレイヤを跨って熾烈な競争が進展しております。例えば、携帯電話番号ポータビリティ(MNP)や新規事業者の参入、また、他事業者による市場訴求力のある携帯端末の展開、料金プランの多様化、新サービスの投入など、競争の激化にさらされております。また、固定通信との融合サービスとして、ポイントプログラムの合算、携帯電話−固定電話間の通話無料サービス、固定ブロードバンドサー
ビスとのセット割引などの提供を行う事業者もあり、今後、お客様にとってより利便性の高いサービスを提供する可能性があります。NTTグループは規制により、このようなサービスの提供に制約を受ける可能性があります。こうした市場環境のなか、NTTグループは期待する水準で契約数を獲得・維持できない可能性があり、さらには新規獲得契約数及び既存契約数を維持するために想定以上のコストをかけなければならないかもしれません。厳しい市場環境のなか、高度で多様なサービスの提供及び契約者の利便性向上を目的として、各種の新料金プラン・新サービスの提供及び料金改定を行っておりますが、それによって契約数を獲得・維持できるかどうかは定かではありません。ま
た、これらの料金体系の多様化によりARPUが低下することがありますが、各種割引サービスの契約率や定額制サービスへ移行する契約数の動向などが、NTTグループが想定した通りにならない場合、見込み以上にARPUの低下が起こる可能性があり、これらの結果、財政状態や経営成績に影響を与える可能性があります。
NTTデータが重点的に取り組んでいるソリューションビジネスは、情報サービス市場の中で有力な成長分野であると目されており、ハードウェアベンダー等もビジネスの主軸として取り組んでおります。また、急成長するインドや中国といった新興国の情報サービス企業が、グローバル競争をもたらしつつあり、競合会社の積極参入による競争
激化が財政状態や経営成績に影響を与える可能性があります。
- ※Long Term Evolutionの略。標準化団体3GPP(3rd Generation Partnership Project)で仕様が作成された移動通信方式。
IP化やブロードバンド化、ユビキタス化などの市場の変化に伴う新規分野の成長や既存分野からのマイグレーションが、想定通り進展しない可能性があります。
日本の情報通信市場は、ブロードバンド化やユビキタス化の急速な進展に伴い、固定通信分野では、光ブロードバンドサービスの拡大と、それに伴う既存固定電話から光IP電話への移行が進んでおり、移動通信分野では、サービスや端末が多様化もしくは高度化しております。また、IP化に伴う固定通信と移動通信、通信と放送などのサービスの融合の進展、あるいはICT(情報通信技術)を利活用した様々な新事業の創出など、大きな変化と発展が続いています。
今後は、ブロードバンド化の更なる進展によってコンテンツ・アプリケーションの流通が増大し、事業展開上、コンテンツ・アプリケーションレイヤの重要性が増していくと見られています。NTTグループは、「フレッツ光」上で配信されるIPTVサービス「ひかりTV」に関しては、テレビでの視聴に加え、スマートフォンやタブレット端末でもビデオ作品を視聴できるサービスを開始しました。また、今後拡大が見込まれるクラウドサービスについては、「BizCITY(ビズシティ)」や「BizXaaS(ビズエクサース)」などのサービスメニューを充実し、お客様システムの構築・提供を推進するとともに、WEBメールやスケジュールなどの機能を提供する「モバイルグループウェア」など、スマートフォンやパソコンなどから端末の違いを意識せずに利用することができるサービスを開始しました。
さらにインターネットを低廉な基本料金で始められる二段階定額サービス「フレッツ光ライト」などの提供を開始し、ブロードバンドユーザの裾野拡大を図るとともに、他企業との協業にも取り組み、光サービスの更なる普及拡大に努めました。
しかし、企業の投資意欲及び消費者の購買意欲の減退や、映像配信サービスをはじめとした光サービスの需要を喚起するものと期待しているサービスが想定ほど普及しないことにより、光サービス市場が期待するほど拡大しない場合、光サービスの料金値下げが想定以上に進展する場合、ブロードバンド・ユビキタスサービス提供に向けたビジネスモデルやネットワークの構築・技術の開発等の課題が解決できない場合、医療、教育、行政等の公的分野におけるICT利活用が想定ほど進展しない場合、収益が想定通り拡大しない可能性があります。
IP電話については、従来の固定電話において使用していた電話番号をそのまま使える光IP電話等の利用が法人市場、一般家庭市場ともに拡大しました。NTTグループにおいても光アクセスならではの高品質なIP電話「ひかり電話」をはじめとしたIP電話の普及を図っておりますが、それは結果的に固定電話の収益性悪化の一因ともなると想定されます。このような固定電話への影響は、光サービスやブロードバンド・ユビキタスサービスによる収益の拡大やIP化に伴うコスト削減によりカバーできるものと想定しておりますが、前述のように光サービスやブロードバンド・ユビキタスサービスによる収益が想定通り拡大しない場合、既存網からNGNへのマイグレーションに際して想定以上に一時的コストが発生する場合、既存網とNGNの重複設備による負担が想定通りに低減しない場合などにおいては、収支に影響を与える可能性があります。
既存IP網からNGNへの移行については、平成23年3月期から計画的マイグレーションを本格実施し、平成25年3月期までの移行を目指しております。また、既存電話網からNGNへのマイグレーションについては、平成22年11月に概括的展望を公表しましたが、NGNへのマイグレーションがNTTグループの想定通りに進まなかった場合、重複設備による負担の長期化や想定以上の一時コストの発生により、財政状態や経営成績に影響を与える可能性があります。
移動通信事業については、「iモード」サービスやスマートフォンのサービス、「FOMA」「Xi」の普及拡大、及びこれらによるパケット通信その他データ通信の拡大、さらに様々なサービスや産業との融合による新たな価値創造への取り組み等による収益の増加が、今後の成長要因と考えております。しかし、そうしたサービスの発展は、サービス提供に必要なオペレーティングシステムやアプリケーション、コンテンツ等を提供するパートナーとの連携・協力などが期待通り展開できない場合、新たなサービスの提供スケジュール、コスト、需要、魅力が期待通りでない場合、現在または将来のNTTドコモの各種サービスが、既存契約者や潜在的契約者を惹きつけ続けることが
できない場合、端末機能に対する市場の需要が想定通りとならない場合、LTE等の技術によりデータ通信速度を向上させたサービスを予定通りに拡大できない場合、などに成長を制約されると共に、財政状態や経営成績に影響を与える可能性があります。
国内外の出資、提携及び協力関係や、新たな事業分野への出資等は、NTTグループが期待するようなリターンや事業機会を生まないとともに適切なコントロールが及ばない可能性があります。
NTTグループは、グローバル化、クラウド化、ユーザデバイスの多様化といった市場の変化に、より一層積極的に対応しつつ、グループの総合力を活かしたトータルICTサービスの拡充を着実に図ることに重点を置き、国内外のお客さまからのエンドエンド、グローバルワンストップでの高品質なトータルICTサービスニーズに対応できるよう、国内外の企業・組織との合弁事業、事業提携、協力関係構築等の活動を行ってまいりました。
しかし、NTTグループが既に出資をしているまたは出資に合意している国内外の事業者や、将来出資や事業提携を行う国内外の事業者について、これら事業者の企業価値や経営成績を維持・向上させること及びNTTグループとのシナジー効果を十分に発揮することができない可能性があります。
また、NTTグループでは、ここ数年グローバル事業の強化に積極的に取り組んでおり、海外子会社を含むグループ各社における1万社のグローバル顧客基盤について、グループ各社のシナジーを発揮しクロスセルを行うことで迅速かつ低廉なサービスを提供するとともに、グローバルなエリアカバレッジとICTサービスのラインナップの拡充
を図ることでサービス力の強化に努めております。このようなグローバル戦略の推進体制を強化するために、海外子会社を含むグループ各社による「グローバル戦略委員会」および「グローバル人事委員会」を設置しております。しかしながら、企業文化等の異なる海外子会社の増加により、多様性のメリットを超えて適切なコントロールが及ばない可能性や経営理念やビジョンに対する考え方や認識の違いから、事業・業務運営が円滑に行うことが困難となる可能性があります。
それらの理由等により、NTTグループは、今後、国内外への出資等の結果として、減損損失を計上する可能性があります。
NTTグループは、想定するコスト削減を実現できない可能性があります。
固定通信事業においては、引き続き人件費削減の推進や業務全般の効率化に努めるとともに、光化やフルIP化と合わせてオペレーションシステムの効率化やコールセンタ業務の拠点集約等のBPR(ビジネスプロセスリエンジニアリング)を通じたコストの削減を図ることを目指しております。しかし、競争環境の変化、景気後退による市場環境の変化に対応した取り組みが必要となる場合や、IP化の進展や既存IP網からNGN網へのマイグレーションが想定より遅れる場合などにおいて、前述した既存IP網とNGN網との重複設備による負担が想定通りに低減しないことも含め、経費削減効果が十分に発揮されない可能性があります。
また、設備投資については、技術革新の成果の導入、機器の低廉化や工法の改善等を推進することで、光アクセスやNGN等に関する設備投資の大幅なコスト削減を目指すとともに、光アクセス、NGNの先行投資が一段落した後はサービス創造に向けた設備投資を主とすることで、投資総額を売上高対比で低下させていくことを目指しております。しかしながら、スマートフォンやタブレット端末などの普及拡大に伴うネットワークの増強や、クラウド化の進展に伴うデータセンタの拡充などにより、想定通りに設備投資の効率化が図られない場合などには、設備投資額が想定以上に拡大する可能性があります。
NTTドコモの採用する移動通信システムに関する技術・周波数帯域(以下、技術等)等と互換性のある技術等を他の移動通信業者が採用し続ける保証がなく、NTTグループの国際サービスを十分に提供できない可能性があります。
NTTドコモが採用する移動通信システムに関する技術等と互換性のある技術等を十分な数の他の移動通信事業者が採用することにより、NTTドコモは国際ローミングサービス等のサービスを世界規模で提供することが可能となっております。今後も引き続き海外の出資先や戦略的提携先その他の多くの移動通信事業者が互換性のある技術等を採用し維持することを期待しておりますが、将来にわたって期待が実現するという保証はありません。
もし、今後十分な数の他の移動通信事業者において、NTTドコモが採用する技術等と互換性のある技術等が採用されなかったり、他の技術等に切り替えられた場合や互換性のある技術等の導入及び普及拡大が遅れた場合、NTTドコモは国際ローミングサービス等のサービスを期待通りに提供できないかもしれず、NTTドコモの契約者の海外での利用といった利便性が損なわれる可能性があります。
また、標準化団体等の活動等によりNTTドコモが採用する標準技術に変更が発生し、NTTドコモが使用する端末やネットワークについて変更が必要になった場合、端末やネットワーク機器メーカーが適切かつ速やかに端末及びネットワーク機器の調整を行えるという保証はありません。
こうしたNTTドコモが採用する技術等と互換性のある技術等の展開が期待通りとならず、国際サービス提供能力を維持または向上させることができない場合、NTTグループの財政状態や経営成績に影響を与える可能性があります。
NTTグループ等が事業遂行上必要とする知的財産権等の権利につき当該権利の保有者よりライセンス等を受けられず、その結果、特定の技術、商品またはサービスの提供ができなくなる可能性があるほか、他者の知的財産権等の権利の侵害を理由に損害賠償責任等を負う可能性があります。
NTTグループや事業上のパートナーがその事業を遂行するためには、事業遂行上必要となる他者の知的財産権等の権利について、当該権利の保有者よりライセンス等を受ける必要があります。現在、NTTグループ等は、当該権利の保有者との間で契約を締結することによりライセンス等を受けており、また、今後の事業遂行上必要となる他者の知的財産権等の権利については、当該権利の保有者よりライセンス等を受ける予定ですが、当該権利の保有者との間でライセンス等の付与について合意できなかったり、または、一旦ライセンス等の付与に合意したものの、その後当該合意を維持できなかった場合には、NTTグループや事業上のパートナーの特定の技術、商品またはサービスの提供ができなくなる可能性があります。
NTTグループ各社による海外企業の買収などに伴い、NTTグループの事業の国際化がますます進んでおり、その結果、NTTグループが海外企業からその知的財産権等の権利を侵害したとの主張を受ける機会が増える可能性があります。仮に他者より、NTTグループがその知的財産権等の権利を侵害したとの主張を受けた場合には、その解決に多くの時間と費用を要する可能性があり、さらに当該他者の主張が判決等により認められた場合、あるいは和解等により当事者間で合意した場合には、当該権利に関連する事業の収益減や当該権利の侵害を理由に損害賠償責任等を負ったり、当該事業の実施の差止めを受ける可能性があり、それにより財政状態や経営成績に影響を与える可能性があります。
業務運営に係るリスク
システム障害やネットワーク障害、システム構築上の問題が財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
NTTグループは、お客様に固定、移動の音声やデータ通信サービス等を提供するために、加入電話、光アクセス、W-CDMA、LTE等のネットワークを全国規模で構築・維持しております。NTTグループのサービス提供に必要なシステムやネットワークについては、通信ビルの耐震性の強化、伝送路の多ルート化など安全かつ安定して運用できるよう様々な対策を講じておりますが、これらの対策にもかかわらず、地震・津波・台風・洪水等の自然災害、ハードウェア及びソフトウェアの障害、テロリズム・サイバーテロといったセキュリティ関連等の要因により、システム及びネットワーク障害の発生やサービスを安定的に提供できない可能性があります。こうした場合、NTTグループの財政状態や経営成績に影響を与える可能性があります。
特に、大規模災害等が発生した場合には、ネットワークに大きな影響を受けるだけでなく、システム障害の復旧に長い時間を要する可能性や緊急の電力使用制限によりサービスを安定的に提供できない可能性があり、その結果として、NTTグループの信頼性や企業イメージが低下する恐れがあるほか、収入の減少や多額の修繕費用の支出を余儀なくされる可能性があります。
また、NTTグループにおいては、高度で複雑な技術を利用したサービスや製品が増えており、品質管理のリスクが増大しております。特に、スマートフォンやタブレット端末上で動作するアプリケーション等のソフトウェアの中には、通信の確立、切断等をするために、端末とネットワーク間でやりとりされる制御信号の増加等、NTTグループの想定を大きく上回る設備への負荷を生じさせる可能性を有するものがあります。設備増強によるネットワーク耐力の強化、故障対応の迅速化などにより信頼性及びサービス品質の向上に取り組んでおりますが、既存の設備ではそうしたトラヒックを処理できない場合や、サービスや製品に関わるシステム障害、機器の設定誤り等の人為的要因による問題が生じた場合には、その損害についてNTTグループが責任を負う可能性があると共に、サービスや製品の品質への信頼を失う可能性があります。
さらに、近年では、スマートフォンやクラウドサービス等の新たなICT分野におけるサービスの情報セキュリティへの対策が大きな課題となっております。NTTグループは、情報通信産業の責任ある担い手として、セキュリティ対策は徹底しておりますが、想定外の事象が起こった場合には、不正アクセス、ウィルス感染等が発生し、NTTグループへのお客様からの信頼性が低下する可能性があります。また、NTTドコモの携帯電話端末には、決済機能を含む様々な機能が搭載されており、NTTドコモはもとよりNTTドコモ以外の多数の事業者等のサービスが携帯電話端末上で提供されるなかで、端末の故障・欠陥・紛失等や他の事業者のサービスの不完全性等に起因して問題が発生する可能性があります。
なお、ソリューションビジネスにおいては、一般に請負契約の形態で受注を受けてから納期までにシステムを完成し、お客様に提供するという完成責任を負っていることから、当初想定していた見積りからの乖離や開発段階におけるプロジェクト管理等の問題によって、想定を超える原価の発生や納期遅延に伴う損害の発生等が生じる可能性があります。
国内外における不正・不祥事や、個人情報等の業務上の機密情報の不適切な取り扱い・流出により、NTTグループの信頼性・企業イメージに影響を与える可能性があります。
NTTグループは、国内外で多くの拠点を持ち、様々な製品やサービスを取り扱う関係上、関連する法令や規則は多岐にわたり、事業活動を営むにあたり免許・届出・許認可等が必要とされるものもあります。また、海外での事業運営においては、当該国での法令の存在または欠如、法令の予期しえない解釈、法規制の新設や改定等によって、法令遵守のための負担が増加する可能性があります。
NTTグループでは法令遵守を極めて重要な企業の責務と認識しており、コンプライアンス体制を強化し法令遵守の徹底を図っております。また、近年の米国・英国を中心とした諸外国の贈収賄防止法の厳格化を受け、国内外を問わず、より一層のコンプライアンス体制の強化に取り組んでおります。しかしながら、こうした対策を行っても、従業員による個人的な不正行為等を含めコンプライアンスに関するリスクもしくは社会的に信用が毀損されるリスクを排除できない場合もあります。こうした場合、NTTグループの財政状態や経営成績に影響を与える可能性があります。
また、お客様情報をはじめとする個人情報等の業務上の機密情報の取り扱いについては、従来、情報通信産業の責任ある担い手であるとの認識のもと、厳重な管理などに努めると共に、「NTTグループ情報セキュリティポリシー」を制定し、グループとして、社内における管理体制の整備、役員や従業員への啓発活動、マニュアル類の整備などを行い、個人情報等の機密情報の保護の徹底に取り組んでおります。このような取り組みにより、個人情報等の機密情報の管理には万全を期しておりますが、仮に、個人情報等の機密情報が流出した場合や不適切な取り扱いがなされた場合、NTTグループの信頼性や企業イメージが低下し、契約者獲得や指名入札等事業への影響が生じる恐れがあります。
NTTグループの提供する製品やサービスの不適切な使用により、NTTグループの信頼性・企業イメージに影響を与える社会的問題が発生する可能性があります。
NTTグループの提供している製品やサービスがユーザに不適切に使用されることにより、NTTグループの製品やサービスに対する信頼性の低下や、企業イメージの悪化を招き、財政状態や経営成績に影響を与える可能性があります。
代表的なものとして、NTTドコモが提供する「iモード」メール、「spモード」メール、SMS等のメールを使った迷惑メールがあります。NTTドコモは、迷惑メールフィルタリング機能の提供、各種ツールによる契約者への注意喚起の実施や迷惑メールを大量に送信している業者に対し利用停止/契約解除措置等を行うなど、種々の対策を講じてきておりますが、未だ根絶するには至っておりません。NTTドコモの契約者が迷惑メールを大量に受信してしまうことにより顧客満足度の低下や企業イメージの低下が起こり、「iモード」または「spモード」契約数の減少となることもあり得ます。
次に、未成年者が違法有害サイトへアクセスすることにより受ける悪影響の可能性、及びその対策として未成年者に対して原則適用している有害サイトアクセス制限サービス(フィルタリングサービス)の機能の十分さや精度等に関する様々な議論があります。こうした問題も、同様に企業イメージの低下を招く恐れがあります。
また、振り込め詐欺に代表される携帯電話の犯罪への利用が未だ発生しており、そのような犯罪に利用され易い音声通話が可能なプリペイド携帯電話について、NTTドコモは、購入時の本人確認を強化し、更に音声通話が可能なプリペイド携帯電話のサービス提供を平成24年3月末をもって終了するなど、種々の対策を講じてまいりました。しかし今後、犯罪への利用が多発した場合、携帯電話そのものが社会的に問題視され、NTTドコモ契約者の解約数の増加を引き起こすといった事態が生じる可能性もあります。
そのほか、端末やサービスの高機能化に伴い、パケット通信を行う頻度及びデータ量が増加していることを契約者が十分に認識せずに携帯電話を使用し、その結果、契約者の認識以上に高額のパケット通信料が請求されるといった問題や、自動車や自転車の運転中の携帯電話の使用による事故の発生といった問題もあります。また、有料コンテンツの過度な利用による高額課金といった問題や、スマートフォンの普及に伴い、不正アプリ(ソフト)のインターネット上での配信による個人情報の流出といった問題もあります。
このような社会的な問題については、これまで適切に対応していると考えておりますが、将来においても適切な対応を続けることができるかどうかは定かではなく、仮に適切な対応ができなかった場合には、既存契約者の解約が増加したり、新規契約者を期待通り獲得できないという結果になる可能性があり、財政状態や経営成績に影響を与える可能性があります。
規制等、政府との関係に係るリスク等
通信規制の決定及び変更がNTTグループの事業に影響を与える可能性があります。
日本の情報通信市場においては、外資規制の撤廃(NTTを除く)、利用者料金規制の緩和、通信事業者間の接続料に関する長期増分費用方式の導入、その他の競争促進を目的とした電気通信関連の法改正等、多くの分野で規制の変更が行われてきております。政府等による規制に関する決定、それに伴う通信業界における環境変化は、NTTグループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
現在見直しが行われている規制の概要については「第1 企業の概況 3.事業の内容 (1)規制」をご参照下さい。
NTTドコモが使用できる周波数が限られているなか、事業運営に必要な周波数割当が得られない可能性があります。
NTTドコモがサービスを提供するために使用できる周波数には限りがあります。東京、大阪といった都心部の主要駅周辺などでは、NTTドコモの移動通信ネットワークは、ピーク時に使用可能な周波数の限界、もしくはそれに近い状態で運用されることがあるため、サービス品質が低下する可能性があります。
また、スマートフォンやタブレット端末等の普及拡大に伴い、NTTドコモの契約者のトラヒック量が増加していくなか、事業の円滑な運営のために必要な周波数が政府機関より割り当てられなかった場合や、オークションシステムの導入などの周波数割当制度の見直しにより必要な周波数が得られなかった場合にも、サービス品質が低下する可能性があります。なお、周波数オークション制度に関しては、制度の導入に向けて、平成24年3月に「電波法の一部を改正する法律案」が国会に提出されるなど、実施に向けた政府機関内での検討が実施されております。仮に、周波数オークション制度が導入されて、払込金の金額が高騰した場合は、NTTグループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
詳細については、「第1 企業の概況 3.事業の内容 (1)規制 ③電波法」をご参照下さい。
NTTドコモは、LTE等の技術やLTE移行促進等による周波数利用効率の向上、及び新たな周波数の獲得に努めておりますが、これらの努力によってサービス品質の低下を回避できるとは限りません。もしNTTドコモがこの問題に十分かつ適時に対処しきれない場合、サービスの提供が制約を受け、契約者が競合他社に移行してしまうかも
しれず、NTTグループの財政状態や経営成績に影響を与える可能性があります。
NTTグループは、温室効果ガス排出量削減に関する法令・規制・制度の影響を受ける可能性があります。
NTTグループでは、お客様サービスの多様化や高度化にともない、通信設備やデータセンタなどの拡充を進めており、その結果、電力使用量が増加傾向にあります。NTTグループは、省エネ型ICT装置や高効率電源、空調装置、自然エネルギーシステムの導入など温室効果ガス排出量の削減に向けた施策を実施していますが、温室効果ガス排出量削減のための規制等の導入によりコスト負担が増加し、NTTグループの財政状態や経営成績に影響を与える可能性があります。
政府は、株主総会での決議に多大な影響力を与えるに十分な当社株式を保有しております。
政府は現在当社の発行済株式の32.59%(自己株式除き発行済株式総数の35.24%、議決権比率35.29%)を保有しております。政府は株主として当社の株主総会での議決権を有していることから、最大株主として、理論的には株主総会等における決定に対し多大な影響力を行使する権限を有しております。しかしながら、政府は平成9年の国会答弁において、基本的に当社の経営に積極的に関与する形での株主権の行使はしないことを表明しており、事実、過去において政府は当社の経営に直接関与するためにそのような権限を行使したことはありません。
株式市場における需給悪化またはその懸念により、当社の株式及びADSの価格が影響を受ける可能性があります。
昭和61年10月までは、政府は当社の発行済株式総数の100%を保有しておりましたが、売出しや当社の自己株式取得に応じた売却により、平成24年3月31日現在、発行済株式の約32.59%(自己株式除き発行済株式総数の35.24%)を保有しております。今後もNTT法が改正され、政府の当社株式保有義務が緩和・撤廃された場合や、当社が自己株式を消却した場合、政府が売却できる当社株式が増加します。
政府による当社株式の売却または売却の可能性、あるいは、当社による新株の発行、自己株式の処分またはそれらの可能性は、当社の株式及びADSの価格に影響を与える可能性があります。
政府との関係に関する詳細については、「第1 企業の概況 3.事業の内容 (2)当社株式にかかる事項」をご参照下さい。