Q 今年、社長の改選期を迎えるにあたり、次の新しい体制のあり方や狙いがあったら教えて欲しい。新聞辞令も出ているので、その点も踏まえてお答えいただきたい。
A 新聞辞令としていろいろ掲載されているが、私は何も申し上げていない。以前から申し上げているように、「NTTグループ3ヵ年経営計画」を作り発表したが、それをベースにして、これから人事や体制についていろいろ検討して進めるつもりだ。
人事に関しては、5月の半ばに役員の人事案を固めるつもりであり、来週ぐらいからだんだん作業を進めようかと思っている。
電話会社から情報流通企業に変わるというような大きな改革は一段落し、今度は、そういう中で発展を図っていく段階だ。実感として、ここ6年間は改革の時期だったと思うが、今度は改革したものを足場にし、事業として、また産業全体として発展するということに焦点が当たってくる。これまで根本的な改革を進めてきたが、いつまでもこのようなことをやっていても不毛な議論になりかねないため、これを前提にもっと数字を良くするために経営努力を集中していくことが必要になってくる。人事の基本については、日本の産業であればみな同じことを考えていると思うが、特に私どもの業界は変化がとても早いので、若い人の力が非常に大事だと思っている。だから、事業として一段落したら、できるだけ人は若返らせていく努力を意識的にやらなければいけない。これはNTTだけの話だけでなく、これからの日本にとっても大事だと思う。若さは力なので、若い人たちをうまく登用して、その中から力を引き出していくというような基本的な姿勢が必要ではないかと思っている。
Q 2004年度は売上高、営業利益を含めて伸びた数字が想定されており、例えば、固定系3社合計の営業利益は約3,000億円改善するが、全体では7,000億円程度伸びているので、その内訳として移動体系で伸びるものも相当あると思う。一方で「NTTグループ3ヵ年経営計画」の中には移動体市場の成熟ということも書かれており、営業利益の伸び分として何を想定しているのかをもう少し具体的に教えて欲しい。例えば、IP系サービスや新サービスのボリュームが3年後にどれぐらいの比率に膨らんでいるのか、目安でもあれば教えて欲しい。
A(小出取締役第一部門長)
営業利益がこの3年で約6,000億円増えているが、これは固定系のコスト削減を相当実施することによる影響で半分程度の約3,000億円の利益が出るだろうと見ている。固定系の中で申し上げると、固定電話収入そのものは、収入ベースで1兆円程度減るだろうと見ているが、IP通信関係は5,000億円程度増えるだろうと見ており、収益そのものはトータルでは5,000億円程度減るが、費用はいろいろなコスト削減で8,000億円程度減らしていくので、固定系で3,000億円ぐらいの営業利益が出る。その他は移動体もあるが、それ以外にも、国際事業の収支改善等こまごまとしたものがあるので、その他で約3,000億円ということだ。
Q 経営形態のあり方については見直さないのか。
A 構造改革等いろいろなことがあり、グループ運営の中で回さないと回らないので、グループ運営の中で今の変革を取り上げてやってきた。これとは別に、外側の市場の動向が変わってきているので、NTTグループの個々の会社の分け方も、外の市場を反映して変えていかなければならないと考えている。今回の「NTTグループ3ヵ年経営計画」では、ISP(インターネットサービスプロバイダ)関係について書き出しているが、そういった類のことがいろいろ出てくると思っており、今の会社の分け方は当然いろいろと変わってくるだろう。
経営形態については、外から強制される経営形態ということについては反対だ。経営形態を変える変えないという議論の前に、我々が実態に応じて自主的に経営形態を変えていくということでないとうまく動かないので、我々自身で自主的に経営形態を変えることができるようにしてもらいたいということが先だ。これだけ世の中の変化が激しいと、それに即応してうまく対応していくことは、経営の中の最重要問題になっていく。以前に、いわゆる「再編」や「経営形態」という単語を使って議論していたことと前提が変わってきている。
Q 以前は、持株会社のもとでグループ会社間の競争を進めるという意識があったかと思うが、ISPの統合も含めて、今後、新規事業については競争して芽を出していくというよりは、集約して持株会社のもとでコントロールしていくように舵を切るということか。
A 今まではどちらかというと、社風として新しいものに挑戦するということに弱かったと思うので、新しくいろいろなことをそれぞれの会社で手がけて、競争になり、ある意味ではバラバラになっても構わないからいろいろなことを手がけてくれという意味でやってきた。しかし、だんだんそれが伸びてくると、当然それぞれの事業の中でバラバラにやっていると具合が悪いというものが出てくる。以前から、いずれはそうなると思っていた。だから、統合するものはするということになっていくのは必然だ。どれを統合するかというのは、一般論ではなく、それぞれの中で分野別に個々に判断していくことになる。今度は統合だということで、命令一下、全部統合するというようなことは現実にはあり得ない。最初はバラバラで進めたが、だんだん統合も考えなければいけない分野や事業も出てきているのが現状だ。一般論で何か割り切ってしまうような話ではない。ある程度、最初に手がけた時から、次の段階に移ってきていると考えている。
Q ネットワークとサービスという両面があるが、具体的にそれぞれ、どう統合しようと考えているのか。
A 我々の事業は、ネットワーク構造やサービスの話もあるし、さらにネットワーク構造にも、電線のレベルから、いわゆる信号系、プラットフォーム等、機能上から見るといろいろな要素が層別にあり複雑だ。今、この事業自体が発展している段階で、仕分けの仕方について定説が出来てくるというところまでいってない。そういうものを作る過程の中で、仮に統合してみるということになると考えており、やっている間にそういう話がだんだん固まっていく。あれこれ気がついたもので、事業としてこういうまとめ方をした方が、今時点で有利ではないかと思ったら、それをやってみるということではないか。それを超えて、何か新しい基本になる考え方があるとは今は考えていない。これから実際に我々がやるので、それを見てていただきたいと申し上げるしかない。
Q 事業領域の拡大について、アウトソーシング会社、3類、4類会社の話は出ているが、法律の改正で東西地域会社が業容を拡大していけるところについて触れていない。こちらはどのような方針で臨むのか。
A 3類、4類のアウトソーシング会社を増やし、地域にも展開する。会社の枠組みとしては、今までと違い、もっと広くいろいろなものが手がけられるような仕組みにし、その前提で5月1日付で社員を動かす。その中でいろいろな仕事をしていくことになるが、事業として仕事があり、それをどんどん進めていくというより、どちらかというと、会社を作ってから仕事をそれに当てはめていろいろなことをやろうとしている。逆のような感じのところもあるが、そういう仕組みを作らないとうまく回らないので、今それを進めているところだ。東西地域会社に残って、東西地域会社側でやる仕事も出るだろうし、東西地域会社からアウトソーシングという形で3、4類会社の方でやるものも出てくるだろう。どういう仕事をどこでやるかという仕分けは、いろいろと出てくると思っている。実際にどのぐらい金が動くかということもあり、やってみなければわからないような新しい問題が次々と出てくるわけで、3類、4類会社と東西地域会社でどういう仕事をどう分けるかということについては、今のところはまだ手探りの状況だ。東西地域会社が何をやるかということがはっきりすると、それが許可されているのかどうかという議論はあるだろうが、それについて細かく規制当局から言ってくるとも思わない。我々はかなり自由に動けるのではないかと思っている。IT革命と言っているように、ITなるものが国民に普及し、みんなで使ってもらえるようにきめ細かくいろいろなサービスをお客様に勧めていくという基本理念はあり、今はそのためにいろいろなものを知恵を出して考えようという段階だ。各社は会社としてやっていかなければいけないわけで、ここ1〜2年、そこのところがいかにうまく動くかどうかということが構造改革そのものの死命を制するような重要な問題であると十分認識している。
Q 固定電話に関して、「投資を原則停止」という表現は今回初めて出てきたと思うが、原則停止することによって、今年度から具体的にどのくらいの投資が減るのか。また、IP網への移行のイメージだが、移行のスパンややり方についての考えはどうか。
A(小出取締役第一部門長)
電話網の投資は、2001年度のベースでは、1,500億円程度やっている。これが2004年度では200億円程度になるだろうと見ている。
IP網への移行のステップは、まだ具体的な計画がないので、移行のスパン等については、今時点で申し上げられるような段階にない。
Q 「NTTグループ3ヵ年経営計画」を実行に移していく上で、どういう素養を持った人物が持株会社及び事業会社のトップとしてリードしていくべきと考えているのか。
A 時代時代で考え方も、必要な人も変わってくると思うが、今のNTTについては電話からマルチメディアという時代に変わり、次はブロードバンドへと事業の基本的なところが変わりつつ動いている時なので、かなり個人の力に頼らざるを得ない。仕組みがしっかりしているからその中でまじめにやってくれればいけますという時代もあるだろうが、今はそうではない。ある程度新しい、自分なりにこういうことをやってみようという、起業家的センスというようなもので下を引っ張ってくれる人物が一番欲しい。それが一番NTTに足りないところだ。持株会社のトップも東西地域会社もグループ会社もそうだし、もっとはっきりと表れてきているのは、新しく作るアウトソーシング会社のリーダーというのはまさにそういう人が相当必要だ。層的にも年齢的にもいろいろであるが、共通しているのは新しい会社なり新しい分野について、時代を見て、新しい知恵を入れて、何とか引っ張っていってくれる人物が一番欲しい
Q ノンコア事業に関して、株式公開の検討対象になる企業はどれぐらいの数があり、その中で3ヵ年の間に上場を想定しているところがあるのか。また、事業売却まで考えているのか。売却により得られた資金は有利子負債の圧縮に充てるのか。
A(小出取締役第一部門長)
この3ヵ年で対象になるのは、1社か2社ぐらいと考えている。上場して、いきなりNTTの持ち分を全部売り払うのではなく、最初はNTTが株の過半数を維持するような形で上場していくのではないか。
資金の使途は、その時、どういう状況になっているかわからないので、資金需要に応じて使っていくということになる。
Q 4年後のフリーキャッシュフローについて、計画どおりいけば約1兆円という莫大なキャッシュが手元に出るが、使途に関する基本的な考え方はどうか。このうち、自社株買いというのはどのくらいの規模で行われるのか。あるいは、この1兆円というのは、株主に還元されると考えてよいのか。
A(小出取締役第一部門長)
1兆円近い額になるキャッシュフローを背景に、例えば、自社株の買い取りや新たな投資先があれば投資するとか、その時々に事業の拡大につながるような形でやっていきたい。今の時点ではこのうち幾らをどのように使うという計画は持っていない。
(宮津社長)
一番の基本は、やはり事業が拡大して、それに投資として資金をつぎ込めるというのが理想だ。今後のブロードバンド時代がどのように発展の路線に乗るかというところが大変微妙なところに来ていると思っている。だからこそ、我々は今、それを一生懸命考えなければいけない。それがうまくいって、資金もそういう発展に使っていけるようになれば一番理想的だとは思う。ブロードバンドのいろいろな種類のサービスがこれから増えてくると思うが、それに対応してどう需要が増えてくるかというところが一番のポイントだ。
Q 事業領域の拡大のところで、電力事業の拡大とあるが、これを取り上げた理由は何か。また、電力事業の拡大というのは、現行どのぐらいの規模のものが将来どのぐらい寄与するようにしていくのか、具体的な数字があれば教えて欲しい。
A(小出取締役第一部門長)
電力事業を取り上げたのは、電力の自由化が今後進むだろうということもあるし、また、もともとNTTファシリティーズという会社が電力について専門的な技能を持っているので、それを活用しながら拡大していく、あるいは、既にスタートしている関連会社のエネットの事業を拡大したいという趣旨だ。ただ、まだまだ規模は小さく、NTTの消費する電力を中心に供給していくという形になっており、具体的な数字を挙げるほどではない状況だ。
(宮津社長)
電力会社は光ファイバーを引いて通信事業をやると言っているが、電力会社が通信業界に入ってきたのと同じような意味で、電力会社のコアになる商売のところにNTTが入っていくつもりかというのが質問の主旨であるとすれば、そこまではいかないというのが答えだ。NTTの電力事業の規模は微々たるものだ。

