Q 海外投資でこれだけの多額の損失が出たということで、通常の事業会社なら、経営責任問題になりかねないが、どのように総括しているのか。
A 基本的にはこういう状況になっていること自体、NTT固有の、NTTだけの経営の仕方でこうなってきているとは思っていない。海外投資に関しては、経済全体の動き、端的にいえば世界的な不況の影響を受けているということだと思う。だから、上手い経営ができるとすれば、そういう影響をどれだけ少なくできたかどうかという見方になるのだろうが、基本的に影響を受けることは仕方がなく、そういう問題に影響を受けたことに関する責任問題にはならないと思っている。非常識に大きな影響を受けてしまったというようなことになれば、それはそれで経営責任という話はあるかもしれないが、NTTについては、そういう段階になっているとは思っていない。大切なことは、今後、我々の意思で立て直していくこと、対応策をとらなければいけないものについては、すぐに手を打っておくことだ。したがって将来に向いて回復、改善していくという努力を遅れないように手を打つ、また的確な人材を配置してそれをやらせていく、そういうことが非常に大事だ。大きく言えば、それがこの問題の責任のとり方ではないかと考えている。
Q 次期業績予想について、濃淡はあるものの全体的には順調に増収増益という楽観的な予想になっているが、何を根拠にしているのか。光ファイバーか、もしくは相変わらず携帯か。
A 楽観はしていない。この数字が本当に結果として出てくるためには、それなりのいろいろな条件がある。ある一定の条件が満たされないと、とてもできないという恐れもある。そういう要素を抱えながら走っており、それをどう受けとめているかと言えば、ここに書いているのは、今の我々の意思である。意思を強く持って、努力してやろうという気持ちで取り組まなければ、とても出てくる数字ではないと思っている。時代が上手く流れて自然と達成されるだろうというつもりで業績予想を立てているわけではない。
Q 今期一番懸念している条件はどのようなことか。
A その条件を申し上げると、今度はそれが影響してしまうかもしれないので、今日は勘弁頂きたい。そのような状況が出てきそうになったら、その時に申し上げる。
Q 次期業績予想については、海外投資、構造改革ともに平成13年度に全て特別損失を計上したので来期は積む考えはないという理解でよいか。
A(小出第一部門長)
まだ市場の動きどうなるかわからないが、現時点計上すべきものは全て特別損失計上している。
Q 設備投資と従業員数の2002年度末の計画を教えて欲しい。
A(宮村第四部門長)
設備投資については、連結ベースで、2兆3,000億円を予定している。また、従業員については、連結ベースの21万3,000人が20万4,000人になるという見込みを立てている。
(決算についての会見はここで終了し、宮村第四部門長が退席。ここから和田副社長が着席し、人事についての会見を行った。)
(宮津社長)
本日の取締役会で、株主総会に諮る役員人事案を決めた。持株会社の次期社長には和田副社長を指名している。私自身は取締役相談役として引き続き経営全般の相談事にあずかることとしている。
また、東日本の次期社長には東日本の三浦副社長を、西日本の次期社長には西日本の上野副社長を指名したことも併せてお知らせする。
この6年間、皆様のご協力を仰ぎつつ、社長としてNTTを電話会社から「グローバル情報流通企業」に変革することに全力投球してきた。世の中自体がそのような流れになる中で、流れに取り残されることなく、むしろ世の中をリードしなければならないと思い取り組んできた。
その過程においては、インターネットと移動通信の2つがビジネスとして大きく成長し、国際事業への本格的な進出も実現した。
また、再編成を行い、これを機に持株会社方式によるグループ運営に取り組み、激変する経営環境に対応して機動的・弾力的に事業運営を行える仕組みを確立しなければならない、という思いでやってきた。
98年から3年間のNTT株の放出により、政府のNTT持株比率が半分を割るところまで来ている。これは完全民営化に向けた動きと言えるのではないかと思う。さらに、IT革命への貢献の要請に応えるため、通信料金の大幅な値下げを実現し、今や主要先進国の中でも最も低廉な水準の料金を実現するところまできている。
一方で、大幅な料金値下げ等のために東西地域会社の財務は急激に悪化したが、業務の抜本的なアウトソーシングによる構造改革の実施により、東西地域会社が自立化できる体制を構築しなければいけないということで今取り組んでいる。一番大きな問題はこれから3類、4類の会社が本当にどうやって食べていけるかということであるが、5月1日に10万人以上の人間を流動したところまできた。ちょうど今がひとつの区切りになると思うので、これを機会に新たな体制でNTTグループの更なる飛躍を図ってもらいたいとの気持ちで社長を交代することとした。
新社長に指名した和田副社長は、持株会社の事業戦略担当副社長としてグループ運営の仕組みを作り上げ、また、昨年来の構造改革の具体化を牽引してきた人物であり、次のNTTグループを託すに最も相応しい人物だと考えている。
(和田副社長)
本日開催された取締役会で、次期の社長候補に指名頂いた。一言ご挨拶申し上げる。大変な身に余る大役であり、非常に緊張し、身の引き締まる思いだ。情報流通産業は需要構造、供給構造ともに一大変革期にある。NTTグループもその渦中にある。この難局を乗り越え、株主の皆様方の期待に応える、あるいはNTT法で与えられているミッションに応えていく、さらには国が推し進めているIT改革の推進に貢献していく、ということが私ども新体制に与えられた使命だろうと思っている。全力を尽くす覚悟である。ただ、一人では何事もできない。衆知を集め、内外の協力を得、果敢に実行に移していきたいと考えている。よろしくお願い申し上げる。
Q 和田副社長を社長候補に決めた時期はいつ頃か。他の候補に比べてどこが優れていると考えたのか。和田副社長は次期社長の指名を告げられた時にどういうリアクションをしたのか。
A 人事を決めるプロセスを説明するというのはおかしな話だ。何年も前から予定して決めていた訳ではない。平成13年度の決算のところでも申し上げたように激動の年であった。世の中の移り変わりと我々の会社自体が相当激しく動く中で決めてきた。和田副社長は、人格高潔で信頼に足る人物だ。基本的に信頼できない人には仕事は任せられない。特にNTTは社員数が多いし、全国に散らばっており、最近は国際的にも広がっている。詳しく知るわけでなくとも、とにかく組織全体の信頼をつなぎとめ、まとめられるような人間でないとつとまらない。そういう意味で適任である。
(和田副社長)
宮津社長の下で副社長を3年間やってきたが、激動期であり、その過程ではいろいろな厳しさ、苦しさ、あるいは腹に据えかねることもあった。それを宮津社長とともに味わってきているので、後任にどうか、と話があった時、それは大変だと思う反面、逃げるわけにはいかない、腹を決めるべきだな、と感じた。
Q これまでのメタルに代わり、家庭に光が引かれ、加入者回線がFTTHで一本になり、電話サービスを提供できる時代が来ると思うが、それが実現するための条件について、和田副社長はどのように考えているか。
A(和田副社長)
一番大きいのはお客様の需要だと思う。ビジネス用、コンシューマ用の需要の出方と、技術の進歩の進み方。つまり今のSTMネットワークで提供しているギャランティー、セキュリティーのついた音声通信と、そうでないIPの音声通信には開きがあるが、これに係る技術や、あるいはコストの問題がある。その辺を見極めながら移行していくのだろうと思う。なお今はまだ社長では無いので、社長としての話は社長就任以降とさせて頂きたい。
Q 今までのNTTの事業戦略は後ろ向きの話ばかりで、前向きな話は宮津社長が提唱していた「グローバル情報流通企業」という言葉だけで、それも中身が何も無かった。我々にはNTTがどこを目指そうとしているのか、曖昧模糊として良くわからない。前向きの部分として、どこで稼いでいくのか、未だに誰もわからない。和田副社長はどう解釈しているのか。
A(和田副社長)
グローバルというのは世界的な規模でサービスがシームレスで提供される、あるいは競争が起こるということだと思う。もっと申し上げれば、グローバルで勝負できないようであれば、勝ち抜けないし、生き残れない。情報流通という意味は、音声だけではなくいろいろな情報がデジタル化された形で蓄積、加工、処理されていく、その過程で音声に頼っていたビジネスモデルが限界に来た、ということである。宮津社長、その前の児島社長の頃から我々はそれを意識はしていたが、この1、2年、急激に対応を変えてきた。やはりこれに賭けるということだ。ただ、我々が想定していた以上に動きが早く、将来の飯の種と思っていたところでプライシングの激しい競争が起こっている。これは我々の予想を越えており、そこをどう乗り切るかが大変重要な問題であり難しいと思っている。宮津社長には、その辺の路線を敷いて頂いたと思っている。
Q NTTは宮津社長自身の決断で会長職を無くしていたが、今回、宮津社長自身が取締役相談役になるだけではなく、東の井上社長、西の浅田社長も取締役相談役に就任し、全くすっきりしない体制になっていると思う。なぜこういう体制を敷く必要があったのか。今後、持株会社と東西地域会社のCEOはいったい誰になるのか。
A
全くすっきりしていると思っている。今回の人事については、持株と東西は歴史的な構造改革を実施しており、まだ完了していないが、大網は打ってきたと思っている。これは社員1人1人に関わる大きな話であり、ここまで持ってくるには組織を上げていろいろな論議をしなければいけなかった。また、労働組合も彼ら自身の考え方も変えていくことで、動かなければいけなかった。それで、この5月1日に大規模な人事異動を行うことになった。会社を新しく作ったが、それが事業として成功していかねばならないというフェーズに入ろうとしている。ここで一区切りになったので、いつまでも同じ人間がずっとやっていくという訳にはいかない。大事なことは、区切りを見つけて「グローバル情報流通」など、新しい時代に向けてのビジネスコンセプトやビジネスモデルも入れていかねばならないことだ。商品もどんどん変わっていく。基本的にはあらゆる機会をとらえて若返りを図り、若い人の力をどんどん使っていく、というようなことをいつも考えねばならない。特にアウトソーシング会社については全く新しい仕組みを考えていかねばならない。
経営の進め方自体も上意下達だけではうまくいかない。その進め方も新しく開発、発明し、それを現にやってもらわねばならない。これを機会に若返るようにできるだけ努力したい。そういうことがあって人を替えたかった。ただ替えるのはいいが、今回の場合は相当大きく網を打ったので、生々しくて過去のものを全部否定し忘れてしまっては、今度は前に進まなくなる。今回の人事の件を社長で言えば、前の社長をその会社の相談役として残したい。だが、今回を機会に若い奴を社長にしたい。人間の関連する話があり、かなり事情にも精通していなければならず、難しい要素がいろいろあるので、今回の異動は各社とも、そこで一緒に苦労してきた副社長から上げようという発想をした。したがってこういう格好になっている。
会長の話については、NTTの場合執行の重さが強い。世の中はだんだんと執行とガバナンス、戦略が分かれ、ボードはガバナンスと戦略が重要になって執行と分けていく考え方がある。そういう類のものは考えていくべきだと思っているが、執行を社長と会長で分けるという話はあまり意味がないと思い、会長職を置かなかった。これから先どうするかは新しい執行部で考えてもらえばいいと思っている。ただ将来のことを考えると、NTTのガバナンスはどうなんだ、と問われることになるが、それについてはまだこれからいろいろな議論をやっていかなければいけないのではないか。NTT法というものがある会社であり、一般の株式会社のガバナンスと違うかもしれないが、いろいろなことを考えに入れて検討していかねばならないと思っている。しかし、少なくとも主に執行面で会長と社長を分け合う意味での会長はいらないと思っている。現に私一人でやってきたが、そう困ったことは無かったので引き継いでもらうことにした。この話は蒸し返して何度も議論して、結論を見つけていかねばと思っている。
Q 和田副社長はグループの事業戦略をやってきたが、今後の課題としてグループフォーメーションについての基本的な考え方はどうか。
A(和田副社長)
非常に難しいが一番大事な質問だ。一概に言えない。ISPを提供している会社がグループ内に6つほどあるが、これはかなり成熟してきている。それに対して、ホットスポットと言うような無線LAN系統のサービスは、今出始めたばかりでビジネスモデルもハッキリしない。技術的な問題もいろいろある。そういうものを扱う時に、それなりの特徴と成熟度合いに応じて考えていかねばならない。そのことが、やっていくうちに大きな屋台骨まで来るかもわからないが、今はそこまで勉強していないし、考えていない。

