Q 初めての減収をどのように受け止めているか。また、コスト削減で減収に対応するというシナリオは今後も続くのか。
A 初めての減収が一過性のものでありすぐ右肩上がりに転ずる、ということが展望できれば大きなショックは受けないが、傾向的なものを含んでいると受け止めている。したがって、今年度の通期見通しについてはコスト削減等の努力によって何とか達成できると思うが、中長期的にはやはり新しい収入源を求めていかなければならない。そういう意味で、ブロードバンド市場を中心とした新たな市場開拓による売り上げ確保が急務であると考えている。具体的にはいろいろあるが、特にアウトソーシング会社が今年の5月1日に発足して体制が整った段階であり、どれだけ新しい事業に向けて活動できるか、活性化できるかということが1つのキーになると考えており、また期待もしている。
Q ブロードバンドを中心に売り上げの確保を図るということだが、IP電話などで単価ベースでは下がるのではないかと見られており、どのような戦略を打ち立てていくのか。
A IP電話の影響を受けるのは、固定の音声通信の分野だろうと思っている。ただ、今すぐIP電話が現在の音声通信に取って代わるとは考えていない。今のVoIPは、技術的にもサービス的にも超えなければならない課題があるので、ADSLをはじめとするブロードバンド普及の1つのオプションとして使われるという色彩が強いと考えている。ただ、インターネットプロトコル(IP)はコストが安くつくので、最終的には固定の音声通信はそういうものに置き換わっていくだろう。それまでの間に、コンテンツからターミナルまでのいろいろなレイヤ毎のブロードバンドのビジネスモデルを、どれだけ需要喚起していくか、作り上げていくかということにかかっている。それについては、持株会社の中にブロードバンド推進室を設けて鋭意検討を進めている。
Q 5月のアウトソーシング会社発足に象徴される一連の構造改革によるコスト削減の効果はいくらだったのか。
A(宮村第四部門長)
構造改革によるコスト削減効果は年間ベースの推計で東西合わせて約3,800億円。東日本が約1,600億円、西日本が約2,200億円と推計している。
Q NTTの減収は民営化以来今回が初めてとのことだが、これは電電公社時代まで遡っても初めてか。
A 1社体制であった公社の時も、収益ベースで減るということはなかった。会計制度が違うので、一概には民営化前後で比較するわけにいかないが、利益が減るということは何回か経験しているが売り上げが減るということはなかった。
Q 持株会社の機能を総合的に見直す一方、サービス・料金や労働条件などに関わる権限を事業会社にゆだねることで、トータルとして何を目指しているのか。
A 持株会社が何のためにあるかと言えば、グループトータルとしての価値を高めるためにある。そのためには、グループ全体の経営資源をある方向に向かって有効に使うこと、配置していくことが必要になる。同時に、各事業会社が自主性と自律性を持って生き生きと活動し、事業をすることも必要と思っている。そういう意味では、事業会社をバックアップしていくという機能と、一方で事業会社にあまり枠をはめないで動きやすくすることも大事だと思っている。今回、労働条件について基本的なものはともかく、かなり多くの部分について各事業会社がより自由に決めるようもっていくことがそのひとつである。また、新しいサービスや料金値下げ、料金割引についても、地域の実態や競争状況に応じて各事業会社が決めるようにした。
Q 労働条件についてかなり多くの部分を各事業会社に移譲したとのことだが、具体的にはどのような部分について事業会社の判断により決められるようになったのか。また、サービスや料金については、これまで事業会社は事前に持株会社に報告をして承認を受けてから実施していたという認識でよいか。
A 料金の割引については、かなり前から自由度は高まってきている。今回一気に変わったということではない。例えば、光ファイバーの料金にしても相当、西と東では違う。それは西が西の競争相手の料金設定に対抗していかなければならないという結果であり、実態として何年か前から徐々に変わってきている。
労働条件については、ここ2〜3年、ボーナスにしろ、賃金のベアにしろ、ドコモと東西ではかなり違ってきている。持株会社はこうした違いを前提に必要な調整を実施してきたが、基本的にはこれまで以上に事業会社に任せることとした。労働時間で大きく差がつくとか、あるいは勤務の形態で差がつくというようなことについて、今まで議論をしてきていないが、恐らくその辺りについても、それぞれ事業の実態に応じて変わっていくのではないか。
Q 景況感と株価について伺いたい。初の減収ということで景気とも全く関係ないわけではないと思うが、今の景気をどう捉えているのか。また、今後、景気の見通しはどう見ているのか。
株価についても市場が全体的に低迷しており、株価の低水準が続いているが、これについてどう捉えているか。
A 全体的な景気の動向や株価の動向について、専門家の方々と特に異なるようなコメントはない。情報通信に関して言えば、情報通信という産業自身は発展していくと思う。若干、オーバーキャパシティーになっている部分があり、ITバブルの崩壊ということが世界的に言われているが、それは乗り越えていけるものだと思っている。ただ、短期的にはかなり厳しい値崩れを起こしてくるだろう。競争は世界的規模で行われており、グローバルクロッシングやワールドコムなどチャプターイレブンにかかっている会社のネットワークは結果として非常に安いものになっており、そういうものが値崩れの一翼を担うということもあるだろう。また、新しいIPの分野では、いろいろな新規事業者が競争に参入してきており、お客様を確保するために相当な値下げ合戦が行われると思うので、産業自身は間違いなく発展過程にあるが、収入的になかなか辛いものがあると感じている。
株価については、業績が株価に連動するというより、違う要素で動いているという実感が強い。なぜこんなに急に下がるのか、どうして上がったのかということがなかなか説明がつかないような状況であるので、半分は心外であり、半分は苦慮している。ただ、事業者としては、とにかくいい結果を出すように、いい展望が持てるように頑張っていく以外にないと思っている。
Q 連結の最終利益にもグループの海外投資の損失がかなり影響しているが、先般、NTTドコモに対してオランダのKPNモバイルが資本増強に伴って増資の権利があると言ってきている。約3,000億円とも言われている増資をしてリーダーシップ、あるいは発言力を維持すべきと考えているのか、それともこれ以上の投資は見合わせた方が良いと考えているのか。
また、そういったグループ会社の海外投資の判断に対し、今回の業務改革はどのように動くのか。もう少し厳格にするように動くのか、あるいは自由にやらせるように動くのか。
A 投資にかかわるルールを変えるつもりはない。ある水準以上の投資や戦略的に重要な投資については持株会社との調整が要るというルールだが、それを変えるつもりはない。それから、投資後のモニタリングや、計画と実績との乖離が大きい場合のアクションのとり方についても変えるつもりはない。
それから、KPNがKPNモバイルに貸しているローンを株式化することに伴う株式価値の希薄化の問題については、今、ドコモが12月中旬までに結論を出すということで検討を進めている。これはKPNモバイルやKPNの希望でもある。まだドコモから具体的な提案がなく、お互いに意識を合わせていないので、コメントは差し控えさせていただきたい。

