Q “光”新世代ビジョンの環境整備のための設備投資、研究開発費はどの程度になるのか。
これにより売り上げはどの程度増え、その時に電話とブロードバンド事業の収入の比率はどうなるのか。
また、その際のグループフォーメーションについての考えはどうか。
A 研究開発費は今、年間2,000億円弱で、これを変えるつもりはない。投資については研究開発の進み具合などいろいろなものとの関係があり正確な数字は見通しにくいが、既存のネットワークを最大限活用しようと考えているので5,000億円まではいかないと考えている。
これによる収益の考え方は、これもまだ正確に把握しにくい。むしろ、トライ&エラーで走りながら考えながらやってみるという部分があり、なかなか正確には申し上げられない。今から5年先の2007年度までの間は固定電話系の縮退の傾向が続くと思っており、それにより1兆円強の減収になると想定している。これを新しいビジネスモデルでカバーするということになれば、このネットワークで1兆円強の7割から8割をカバーしたい。あとの残りの部分はビジネスプラットフォームやビジネスソリューションなど、ネットワークサービス以外の収入として考えている。
経営形態の問題については、確かに今のグループ内の事業会社の体制は電話時代を想定して作り上げたものである。いわゆるIP時代あるいは新しいネットワークの時代にそのまま適用して問題が無いかと言えば、いろいろな問題があると思っている。しかし、今の経営形態の中でやれるところまでやってみる。その中でどうしても実際に解決しなければならない問題が出てくればその時に手をつけるという考え方である。とにかく今の枠組の中でやってみたい。
Q 「レゾナント」という言葉の語源は何か。NTTが考えた言葉なのか、あるいはどこかで既にコンセプトが確立している言葉か。
また、一般によく言われるユビキタスネットワーク社会も似たようなことを言っていると思うが、「レゾナント」と「ユビキタス」の違いは何か。
A 「レゾナント」はどこかで成熟した言葉として使われている、あるいは独特の概念を持っているというものではない。我々が勝手に使ったものであり、どこかから引用してきたものではない。
「ユビキタス」と「レゾナント」の言葉が持つ意味の違いの大きなところは、「ユビキタス」はいつでもどこからでもネットワークを通じてコンピュータに繋がる、あるいは人に繋がるというイメージが強くあると思う。一方、「レゾナント」はお互いに知識を交換し合える、あるいはお互いに何かクリエイションできる、コラボレーションできるというようなインタラクティブに繋がっているという色彩を前面に出しているものだと考えて頂きたい。
(和才副社長)
「レゾナントコミュニケーション」は世の中で今まで使われている言葉ではない。ただ、「レゾナント」という言葉は、世の中の専門用語としてはその分野の方にはかなり使われている言葉である。レゾナントサーキットには共振回路あるいは共鳴回路という意味合いがある。「レゾナントコミュニケーション」という言葉は新しいコンセプトと考えて頂きたいが、「レゾナント」という単語自体は電気通信関係や音楽関係の中では比較的使われている言葉である。
Q ネットワークの構成の違いは何か。今までの電話は究極のピア・ツウ・ピア、ギャランティ型の1対1の通信形態であったが、一方でインターネットはベストエフォート型である。それに対してもう1段階上のギャランティとベストエフォートを組み合わせたようなものか、あるいはピア・ツウ・ピアやメッシュ型ネットワークのようなものなのか。今までの電話やインターネットとは何が違うのかを聞きたい。
A 従来の交換機による電話型のネットワークはエンドとエンドがきちんと繋がっており、しかも保証されている。セキュリティの面でもギャランティの面でもきちんとしている。一方、インターネットは端末からコンピュータに接続する。コンピュータに情報を取りに行く。Eメールでも相手のコンピュータに自分のメールを送っておく。相手はそのコンピュータに取りに行く。ピア・ツウ・ピアというものもあるが、基本的にエンド・ツウ・エンドを保証しているわけではない。しかしインターネットというものは非常にコストが安いという利点を持っている。一方、電話型のネットワークはコストが高いという面がある。これらの良い所を両方組み合わせたいと考えている。
つまり、インターネット・プロトコルでありながらセキュリティやギャランティが与えられるネットワークを作っていきたい。その時にエンド・ツウ・エンドでコンピュータ同士でなければ繋がらないというものではなく、いろいろなアクセスの手法が相互に乗り入れできるようなものを作っていきたいと考えている。
Q 例えば、最初はベストエフォート型で繋がっていて、大容量の情報を交換したい時にはスイッチしてギャランティ型のネットワークに繋ぎ替えるようにするのか、それともあくまでIPベースでギャランティを高めていくということか。つまり、交換機を残して共存させ、行ったり来たりできるようなものを作るのか。
A 最初は共存している。交換機を全て撤去してルータとサーバに置き換えていくようなことは考えていない。今は交換機が基本だが、最終的にどちらに軸足が移るかといえばIPに移ると思う。
(和才副社長)
新しく作るネットワークと今の固定電話網は基本的に併存することになると思う。
スイッチングの話については技術的には詰めていないが、基本的には最初にユーザの要望を受けて、インターネット型で繋ぎたいということであればインターネット型で接続し、あるいは品質やコネクションを保証した形で繋ぎたいということであればそのようにサービスをする、というように考えていただきたい。途中でスイッチすることは考えていない。
(和田社長)
このビジョンを作成するにあたっていろいろな方から話を聞いた。極端な話を紹介すると、ネットワークは余計なことをせずに、一番安いネットワークを作ってくれれば良い、セキュリティも考えなくて良いし、空いている時に情報が取れればそれで良いという話もある。
一方で、セキュリティが高く、品質も保証されていて、信頼性の高いネットワークが欲しい。学校間を結んで精度の高い映像を送り合ってコラボレーションをしたり、高度な決済で取引をするようなお客様はお金はたくさん払っても良いので信頼性の高いネットワークが必要だと言う。こういう機能をネットワークにどう取り込んでいくかを考えているので、いろいろなグレードのネットワークがあると考えている。
Q ADSLではなく、どうしても光が必要であるという理由を教えて欲しい。
A ADSLは12Mbpsのものもあるが、100Mbpsクラスで常時接続されているような世界を想定しているので、やはり光が必要だ。
Q このビジョンに対する和田社長の評価はどうか。点数を付けるとしたら何点くらいか教えて欲しい。
また、具体的にビジネス化するためのブレークダウンの手法についてどう考えているのか。
A 点数は付けようがない。このビジョンにどういう気持ちを持っているかと言えば、いろいろなビジネスや文化活動、個人生活に関して、いろいろな方がブロードバンドに対する意見を持っていると思うので、議論を呼ぶ題材を提供してご批判やご意見を賜りたいという側面もあると考えて頂きたい。当然、NTTグループの共通コンセプトとしてこういう世界が来ると想定している。そのためにはこういうネットワークを提供し、それによってどれだけ収益を上げる、どのようなビジネスに進んで行くかというようなことをグループの中で共有したい。
「INS構想」や「マルチメディア基本構想」を策定した時には非常に大きなプロジェクトを組み、実験を行ったが、今回はそういう形は取らない。今、実際に20程度のプロジェクトを展開している。例えば、アメリカと日本の大学間で臨場感のある共同講義ができるようにするためにはどうすれば良いかなどを検討している。そういう成果を発表していくことを積み重ねて世の中の皆様に訴えていきたいと考えている。
Q 電話網と地域IP網の位置付けはどうなるのか。
A 電話のネットワークが今すぐ要らなくなるとは考えていない。まだ長い間、電話は存続していくと思う。地域IP網も、現にお客様にご利用いただいておリ人気もあるので、存続していくと思う。
Q 新ネットワークは地域IP網と接続するのか。
A 両方ともインターネット・プロトコルに基づいて作られているものであり、将来的には接続する方向である。
Q 新ネットワークはどの事業会社がいつまでに構築するのか。
A グループ内で役割分担していくが、全てこのネットワークで日本全国を覆うものではない。それぞれの事業会社がそれぞれのネットワークを持っており、インターネット・プロトコルの接続ルールであれば、お互いに繋がっていくことになると思う。
Q このビジョンには、IP電話への取組みは盛り込まれているのか。
A 当然、入っている。音声通信はそれだけの価値があるので大容量ブロードバンドの中の1サービスとして取組んでいくことになる。
音声通信が縮退していくということを申し上げているのは、サービスとして縮退していくというわけではなく、収入源として縮退していくだろうということだ。音声通信がほとんど全てだった頃はそこに収入源があったが、むしろ今は安い収入しか上がらない通信手段になっている。しかし、声でコミュニケーションすることは残っていくだろうから、我々もサービスを提供していかなければならないと思っている。
Q エンド・ツウ・エンドの新しいネットワークを作っていく上で、新しいシステムも必要だと思うが、投資規模としてどの程度の金額が必要か。
また、このネットワークサービスを実際に始めるのはいつか。
FTTHの価格がADSL並みになるのはいつ頃と考えているのか。
A 既存の伝送路等を最大限活用していくので、投資額は5,000億円もかからないのではないかと思っている。
サービス開始は、今から3年後の2005年度までに、想定している全ての機能を提供するという訳にはいかないが、基本的なものについては2005年までにサービス提供できるのではないかと考えている。
光アクセスについては、できるだけ安くしていくつもりだが、いつ頃になればADSLと同程度になるかは答えられない。
Q ビジョンは5年先を想定しているが、まず来年はどのようなアクションが出てくるのか教えて欲しい。来年のNTTグループ全体の経営環境をどのように見ていて、長期的なビジョンと経営環境とのバランスをどのように取っていくのか。
A 経営環境的には来年は非常に苦しい。固定音声の収入面での縮退はトレンド的なものである。一方で、今我々が付加価値を付けよう、これから商売をしようというところが、まだビジネスとして大きなものになっていないのでカバーできない。そのような中で、今年度は、構造改革を実施してカバーしてきたが、来年は構造改革の効果は今年ほど大きくないので当然利益は減ってくる。だから早くブロードバンドなりユビキタスというものをビジネスベースに乗せないといけないと考えている。
具体的には、ブロードバンド推進室を作り、いろいろなところとアライアンスを組み、20程度のプロジェクトを進めている。こういうものを少しでも現実のビジネスに変えていかなければならない。また、研究開発について早く研究成果がサービスや事業に結びつくようにしていかなくてはならない。R&Dの部門でよく言われている「死の谷」というものがある。要するに、事業化と研究開発の成果との間に越えられないような谷が出来てしまっている。この谷を何とか埋めていかなければならないということで、研究開発を来年度から全て整理し直すことを考えている。
Q これから5年で、固定電話による収入が約1兆円の減収で、そのうちの7、8割を新しいネットワーク事業でカバーしていきたいという話であったが、7、8割の中でどのくらいをFTTHでカバーし、ADSLでどのくらいをカバーするのか。
A 光とADSLの比率は予測し難い。新しいネットワークから得られる収入の中では、光によるアクセスのための定額使用料がメインになると思う。その時にADSLと光の関係がどうなるかは申し上げられない。
Q ブロードバンド事業で既に収益を上げてビジネス化している企業がある中で、固定電話市場では最大手だったNTTはブロードバンドビジネスにおいてどのような位置付けにあると考えているのか。
A 完全にワン・オブ・ゼムだと思っている。例えば、光アクセスについては東西地域会社と電力会社、有線ブロードネットワークスが販売しているが、NTTが独走しているかといえばそうではない。ADSLにしても東西地域会社が純増数全体に占める比率は4割を切っている状況である。圧倒的な支配力、影響力があるとは思っていない。
Q 今回のビジョンでは以前言っていた「コンテンツ流通社会」に対応する言葉がないが、想定するモデルに変化があるのか。
エンド・ツウ・エンドでIPと言うと中継部分でやることはあまり重要ではなくなってくるが、エンド・ツウ・エンドの事業では端末ビジネスになるのか、それともコンテンツに注力するのか、どこに焦点を合わせるのか。
A コンテンツを非常に重視した時期からネットワークを重視するようにコンセプトが変わったのかということだが、コンセプトは変わっていない。視点の当て方が違うだけとご理解いただきたい。ネットワークの中を流れるものが音声中心から、いろいろなものが流れるようになった。ネットワークをデジタル化すると、音声も絵も映像もいろいろなものがデジタル化された形で流れる。したがって、ネットワークが多様なコンテンツを流すものに変わっていくという言い方をしていた。今回はネットワークにどういう価値を求めるかという見方をしている。非常に安くてノー・ギャランティなインターネットだけでは無理があるので、ネットワークそのものに信頼性を持たせるということが必要である。同時にパソコン対パソコン、電話機対電話機、携帯電話機対携帯電話機ということではなく、いろいろなものが相互に繋がる。端末側にコントロール機能を持たせるのではなく、ある程度ネットワーク側にコントロール機能を持たせる、あるいはサービスを生産する機能を持たせるということをしていかなければならないだろう。そういうことで、ネットワーク側に軸足を少し動かしたということだ。切り口が違うだけで、流れは一緒だと思っている。
ネットワークの真中が意味を成さなくなってくる、あまり重きが置かれないのではないかということだが、実は逆だと考えている。今のクライアント・サーバ型でパソコン側に機能を持たせて、中継部分は道を作っているだけというやり方では信頼性が乏しいと考えている。中継部分に機能を持たせたいということだ。

