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社長記者会見

2003年7月30日(水)

会見での発言のポイントをとりまとめて掲載しています。

 本日はこちらから特段の報道発表案件はない。先般の株主総会終了後、IRに行ってきたので、はじめにその模様を簡単にお話しする。
 7月上旬から約2週間強、3班に分かれ、東京並びに欧米の機関投資家とミーティングをしてきた。私自身はロンドン、ボストン、ニューヨークを中心に担当した。
 大変ありがたいことだが、投資家はNTTについて関心が高く、しかも大変良く勉強していただいており、ピントの合った意見交換ができた。内容を少し申し上げると、昨年のIRロードショーでは業績回復が主なテーマであり、特にコスト削減と構造改革に質問が集中したが、今回は将来に向けたブロードバンド事業への関心が非常に高かった。昨年のIRロードショーで約束した構造改革の実行が、その通り成果をあげており、利益ベースではV字回復を果たした。投資家はそのことを認めた上で今後はどのような収益向上のシナリオがあるのかを見極めたい、というのが基本的な考え方であったと思う。
 ADSLが急速に拡大し、光とFOMAも立ち上がってきているので、ブロードバンド事業への期待を昨年以上に持っているのがわかった。一方で、市場拡大のスピードや市場規模について投資家の意見が分かれている。収益拡大の確実性はどれくらいあるのか、競争対応上支障はないのか、採算性の面では本当に大丈夫か、といった厳しいご指摘も頂いた。投資家の立場からすると、光は多額の投資を伴うリスクの大きい事業であるにも関わらず、リターンが低すぎるのはないかという懸念が拭えないということだろう。
 これに対し、日本は近い将来避けては通れない少子高齢化、環境、医療・介護等の課題を抱えている。コラボレーションができるような双方向で付加価値の高い映像コミュニケーションを実現する光のブロードバンドネットワークを作り出すことが、社会的な課題を克服していく上で非常に重要だ。そういうところに、私どもが役立つ分野もあるし、ビジネスのチャンスもあるということを訴えてきた。かなり理解を深めて頂いたと考えており、レゾナントコミュニケーションの実現にこれからも努力していきたいと考えている。

Q 四半期決算の公表を前にして微妙な時期だが、足下の業況はどのような状況か。

A 四半期の決算については、来年度から実行したいと思っている。今年度は、昨年度から発表している主要な契約数やARPUに加えて、四半期ごとの連結売上高と主要グループ企業の売上高も開示したい。8月上旬には、何とか発表できるようにしたいという段階なので、今日はご勘弁頂きたい。

Q 7月17日に新電電5社が接続料をめぐって総務省を提訴するという事態になった。NTTが訴えられたわけではないが、今後の接続料算定論議に影響を与える可能性があるので、この訴訟とその影響についてどのように考えているのか聞きたい。
 また、今後、新しい接続料算定の議論が始まるが、現在のスタンスを教えて欲しい。

A 訴訟については、どういう影響を与えるかということも含めて、コメントできない。IRのために訪れていたアメリカで少し驚きをもって訴訟に関する報道を知ったが、一方でIR中に、機関投資家からはこの問題についての問い合わせは1回もなかった。
 それから、接続料の算定方法を17年度にもう一度見直すことになっており、その時にNTSコストを基本料として回収するのか、接続料として回収するのかという議論が残っていることは承知している。我々の主張としては、これまで通り接続料として回収すべきである。さもないと、基本料の上昇を招く可能性があるということを申し上げている。そういうこともあって、総務省では学識経験者で構成する基本料等に関するスタディグループを作り、現在、どういう課題をどういうアプローチで検討していくのかを勉強しておられると聞いている。

Q IRで光が話題になったとのことであるが、Bフレッツは今年度100万件の上積みを目指す計画に対して、今のペースでは100万件に届かないと思う。今後の巻き返しの具体策はあるのか。

A 確かに、今のペースでは100万に届かないが、月を追うごとにペースが上がってきており、今は5万近いペースになってきている。100万を達成しようと思ったら、月に8万以上ないと届かないので、まだ追いつかないのは事実だが、ただ、ペースが上がってきていることに非常に勇気付けられている。
 お客様の需要がそれ程無いのではないかという議論もあるが、やはり我々の努力が足りない。ご注文を頂いてから実際にサービス開始するまでの期間が長い、はっきりしないという問題がある。これは相当改善されてきているが、今後、ますます改善の度合いを早めたい。
 光の架設は、ADSLのようにメタル線があってそこにアダプターを付ければ済むという話ではなく、最後の部分のケーブルを実際に引かないといけない。光は直進するので曲げに弱いが、それを曲げても光が通るように、今、懸命に研究所で開発している。今はカールコードを作れるようにまでなった。また、今まで光ファイバーを融着しており、かなり大きな接続機が必要であったが、機械的に、簡単に繋がる接続機も完成している。そういう意味では、工法や素材もどんどん改善しており、工期が短縮すると同時にコストも下がってくる。工期が短縮すると、1日にこなす工事件数が増えるので、人件費が相当助かることになる。全体的に良い回転をし始めていると思っている。

Q 光ファイバーの開放義務について、緩和することなどを含めて検討したらどうかという議論が国会で活発に展開され、結果的に、参議院では附帯決議が採択され、衆議院では附帯決議も無かったが、そのことに対して何らかの評価をしているか。また、開放義務について撤廃してもらえるように、今後も継続して訴えていくのか。

A 私どもの主張が世の中に正確に伝わっていないのかもしれないという懸念を持っている。以前から申し上げているのは、これから成長しようという事業分野では、お互いに投資リスクを取り合って競争することが大事であり、特に一度投資したら回収に長期間を要するインフラ産業では、この投資リスクを取り合うことが重要だということである。
 これから構築が始まる光ファイバーの、俗に言うラスト・ワン・マイル、日本の場合には200〜300mの敷設リスクは、お互いに取り合いながら競争していきたい。いろいろな意味で、それがブロードバンド時代に貢献していくことになると思っている。光ファイバーを指定電気通信設備から外して欲しいと言っているのは、こちらだけにリスクを負わせるのではなく、皆でリスクをとろうということで申し上げている。
 指定電気通信設備から外したからといって、他の事業者に貸さないと言っているわけではない。ただ、借りる側も貸す側もお互いにリスクをとるという形で、きちんと貸す条件、借りる条件を決めようということを言っている。
 事情はいろいろと違うが、アメリカでもブロードバンドの普及に向けて、投資インセンティブの働くようなやり方、すなわち設備ベースの競争促進ということが言われている。そういう観点から、いわゆる96年通信法の政策の一部を変えよう、新しく解釈しようということで、住宅ユーザ向けのFTTHについては開放義務を課さないことにしようという方針を決めたはずである。

Q 今回の附帯決議の内容に関して、前進があったと見るのか、それとも残念だとみているのか。

A ニュートラルだと思っている。参議院、衆議院のそれぞれで議論がなされて、参議院では附帯決議が採択され、衆議院では附帯決議をつけなかったということであって、議論があったことには違いない。これからも議論されていくだろうし、私どもも今、申し上げたような主張をしていくつもりだ。

Q 投資家からブロードバンド事業で収益向上のシナリオがあるかどうか質問があったとのことだが、新たな取組みとして考えているシナリオがあれば聞きたい。

A 日本でも海外でも投資家が感じているのは、高くて採算の取りにくい光ファイバーに投資をしなくてもADSLでいいのではないか、という見方である。確かにそういう面もある。かなり精密な動画でもサーバに情報を取りに行くのだけであれば、24Mbpsや26Mbpsあれば十分耐えられるものになるだろう。しかし、そこには問題も誤解もある。
 1つ目は、お客様宅から電話局までの距離が2kmを超えれば信号が大幅に減衰する点だ。24Mbpsであろうが26Mbpsであろうが、ADSLについてはみな同じだ。日本の電話局からお客様宅までの平均的な距離は2.2kmなので、仮に正規分布しているとすれば、半分の人は額面どおりのスピードを享受できないことになる。
 2つ目は、上りが最大でも1Mbps程度しか出ないことだ。サーバに情報を取りに行くだけで良ければそれで良いが、先ほど申し上げた少子高齢化、環境問題、エネルギー問題や介護の問題を解決するには、ネット上で双方向で映像をやりとりし、コラボレーション、コクリエーション、あるいはコミュニティー活動をすることが有効だ。そのためには、距離と関係なく上り下りが同じ速度で同時に同じものを送りあえることが必要だ。2006年以降、日本の人口は確実に減っていく。労働力も減っていく。お年寄りが増えれば、介護のためのコストが確実に若い人にのしかかってくる。こういう問題を解決するためには潜在的な労働力を市場に引き出すことが大切だ。例えば在宅勤務を可能にするには、双方向のブロードバンドを使ってネット上で仕事を完成させることが必要だし、介護についても自宅とケアハウス、病院の間をブロードバンドで結ぶ必要がある。また、情報通信白書によれば、社会人の21%がもう一度学校に通って勉強したいと希望しているが、実際に就労後に通学している人は極めて少ない。そういう人たちに時間と距離を克服した形で勉強する機会を与えようと思えば、双方向のeラーニングが必要だ。こうしたことを実現するためには光のブロードバンドネットワークやサービスが必要であり、それをどれだけ安く確実に提供できるかにその事業の成否がかかっていると考えている。
 3つ目は、ラスト・ワン・マイルと呼ばれている部分の光アクセス回線の距離は日本の場合、最寄りの分岐点からお客様宅まで平均して200〜300mしかないことだ。県庁所在地級の都市では90数%の地域で分岐点まで光ファイバーを敷設しており、そこから先はお客様のご要望に応じて引いたり、ビルが建設される場合に複数事業者が競争して光ファイバーを入れている。それに何兆円もの費用がかかるわけではない。欧米でこれを説明すると、「そういう状況になっているのか?」という反応が返ってくる。欧米では地下にケーブルを埋設している場合がほとんどなので、もう一回光ファイバーを埋め込むには大変な努力が必要だ。一方、日本では景観を害しているという問題はあるが、電柱に乗せていけば良いという手軽さがある面もある。
 それでは、その光を使って何をしようと考えているのかというと、基本は映像コミュニケーションだと思っている。多地点間でオープンネットワークでギャランティーとセキュリティをつけた形で映像の交換ができるということになれば、ネット上でコラボレーション、コミュニティー活動が簡単にできる。端的に申し上げれば、ハイクオリティーのテレビサイズの映像をネットを介して多地点間で自由に交換できることが一番目に見えている利用方法だ。それを使ってどのように事業を立ち上げるかについてはいろいろなノウハウが必要だと思う。

Q 景況感について聞きたい。企業のIT投資が少しプラスに転じてきたという見方もあるが、現在の企業のIT投資意欲についてどう捉えているか。また、今後の展望はどうか。

A 景況感については良い指標も悪い指標もあり、トータルで申し上げるのは難しい。投資に関して申し上げれば、世界的にIT投資が少し上向きになってきたとは言われている。全体的にICTをもう一度、産業の情報化と情報の産業化との両方の側面から、次世代の経済の根幹を改革していくものとして位置付け直そうという動きはあると思う。ただ一方で、余剰感が残っているといえば残っているので、そこの兼ね合いではないか。

Q 2点聞きたい。
 1点目は、政府で今年度末には市町村レベルまで基本的なところは整備を進めたいとしている電子自治体について、市場に対する見方、NTTの取組みを聞かせて欲しい。
 2点目は、政府や地方自治体で、レガシーシステムを含めたIT投資を効率化できないかという議論が概算要求に向けて行われているようだが、そのようなコスト削減に向けた動きをどのように見ているのか。

A 地方行政の業務の情報化、行政サービスの電子化はe−Japan計画でも進めることになっている。NTTグループでは昨年5月に地域毎に設備メンテナンスを主にする会社と営業を主にするアウトソーシング会社を作った。これらの会社を含め、NTTグループとしてコンサルティング活動、システムの受注活動にチャレンジしている。私どもだけでなくSIerやNIer、ソフトベンダーが参入して競争しているが、私どもも一役買わせて頂きたいと考えチャレンジしている。

 システムの効率化、俗に言うレガシー問題については、今までのやり方が全て正しくて、今言われていることがおかしいとは思っていない。変えるべきは変えねばならない。これには2つの視点がある。
 1つ目は、行政の予算制度との関わりがある。システムは5年なり10年なり使えるように先を見越して作っているので、単年度の予算制度となるとかなり実態とかけ離れてしまう。資産をリース化するのか、それともレンタルにするのか、それとも売り切りにするのかなど、いろいろなやり方があるが、それと予算制度との関係という視点から捉えねばならない。
 2つ目は、システムのつくりの問題である。極端に言えば、システム全体を隅々まで全て手作りにするやり方もあれば、一方では全て出来合いのパッケージを組み合わせるやり方もある。しかし、両極端の方式はいずれも間違いだろうと考えている。ユーザ自身がシステムをコントロールできるようにすることが重要で、機密保持やセキュリティに関する部分はユーザ自身で死守する。それ以外については出来合いのパッケージを組み合わせるやり方もある。つまりオープンシステムでも構わない。しかし、そこにはかなりブラックボックスが入ってしまう。このため、OS等に透明度が高くて自分でソフトを作り直せるオープンソースを用いるという考え方がある。システムの設計、オペレーションの仕方については自らコントロールできるようにしていかなければならないと思う。

以上

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