Q 3点聞きたい。1点目に、IIJと今まで以上の提携関係を通じてシナジー効果を出すということだが、NTTの戦略にIIJをどう生かして組み込んでいくのか、具体的に伺いたい。
2点目に、春の時点でNTTグループのブロードバンド戦略について、秋にはなんらかの形を示すということであったが、現在の進捗状況はどうか。
3点目に、経団連の副会長を兼ねておられるということで、小泉首相が自民党総裁選で再選されることがほぼ確実であることに関連し、小泉首相への期待やこれまでの評点を含めコメントを頂きたい。
A まず、1点目については、IIJはインターネット分野のパイオニアで技術力は相当高く、いろいろなものにチャレンジしていくという積極性も持っていると評価している。そういう意味で2つの大きな流れがある。一つは、今後IIJが新しいビジネスでお客様を開拓する時に、NTTグループが持つリソースを大いに活用して頂く、あるいはNTTグループからも売り込む、という形で事業ベースでのシナジー効果を発揮することである。もう一つは、私共は前々からRENAというIPを基本にした新しいネットワークを構築し、レゾナントコミュニケーション環境を作り上げていくと申し上げている。しかし、その実現にあたっては克服しなければならないいろいろな研究課題がある。これらを共同で研究開発することにより、レゾナントコミュニケーション環境の実現の促進という形でシナジー効果を出していきたい。
2点目について、レゾナントコミュニケーション環境をどういうフォーメーションで創っていくかの検討は、かなり進んできている。現在、複数のメニューを作っており、今後、実現可能性や実現に要する時間などを総合的に勘案して選んでいくことになる。中間決算を公表する頃には一つに絞り込んでいきたい。
3点目の総裁選の件については、総裁選の最中ということもありコメントは差し控えたい。ただ、感想として、経済の世界がものすごい勢いで変化しているのと同じように政治の世界も大きく変化してきているという事は肌身に感じている。
Q IIJは以前、パワードコムと一緒になってNTTの対抗勢力づくりを目指していた経緯がある。そのような相手と組むことについて、何か思うところはあるのか。
A 今までの経過の中で、鈴木社長がそういう発言をされてきたことは報道で承知している。それは当時の鈴木社長の心意気、あるいは願いであったのだろうと思う。しかしそれが現実にかなわなくなり、IIJが持っている能力をどこで社会に役立てていくかを考えた時に、NTTに救済を要請して来られたということだから、私共には何らわだかまりは無い。IIJの実力を評価した上で要請に応じているので、これから出資先の実力を十分に引き出してシナジー効果を上げていくことを考えている。
Q IIJの事業領域がNTTコミュニケーションズとほとんど重複しており、一方、出資比率も3割程度ということで戦略が見えにくい。他事業者の中には、自分たちの所にIIJを置いておこうとしている、といううがった見方もあるが、それに対して反論や意見があれば聞きたい。
A 今回の出資は、IIJから既存株主の1つであるNTTコミュニケーションズに支援要請があり、それを受けてNTTコミュニケーションズが要請に応じられる範囲、それを超えた部分をどうするか考えた時に、IIJの実力がNTTグループの中で大きなシナジー効果を出すだろうということを期待して持株会社が出資したものである。NTTコミュニケーションズやNTTデータと競合する部分はあるが、それはIIJだけではなく、この分野は既にグループの中で競合している。ISPの整理統合や、各事業会社のソリューションビジネスのシナジー効果を出すための仕組みについては、IIJの件が無くても検討を進めている。このたび30%強出資してIIJとの提携が深まれば、それも検討材料の1つに入って来るが、根本から変わるという話ではない。今検討しているものに、少し違った検討要素も加えないといけないかもしれないが、延長線上のものと考えている。
Q ヨーロッパで出されたレポートによれば、日本は世界で一番IP電話が伸びているとのことであるが、将来IP電話が従来の固定電話に取って代わることになるのか。また、NTTグループにとってどういう影響があるのか。
A 確かにIP電話の普及速度は日本が世界で一番だと思っている。ADSL、FTTHを含むブロードバンドアクセスの普及に伴い、電話のネットワークを使わないでブロードバンドインターネットを使ってインターネット方式による音声通信をやるという当然の流れが出て来る。したがって、これからもIP電話はどんどん増えていくと思う。政府でIP電話と普通の固定電話等を相互接続する為の番号の付与も行っているし、また接続方法の標準化も進めようとしているので、今後ますますそういう環境が出来上がってくると思っている。ただ、過去にも話したことがあるが、IP電話は現時点では技術的に完全ではない部分がある。非常災害時に重要通信を優先的に確保することが出来ないとか、ベストエフォートなので異常な呼量が発生した時に、品質が保障できないといった問題がある。また、110番や119番の緊急通報に繋がらないといった問題があるので、現時点で、全てIP電話になって固定電話が不要になるという事にはならないと思っている。私共が考えている、ベストエフォートではないRENAというIPベースのネットワークが完成し、レゾナントコミュニケーション環境が実現した時には、IP電話と固定電話が融合し、モバイル端末も接続できるようなネットワークに変わっていくと思っている。それまでの間は並存していくだろうと考えている。
Q NTTグループのフォーメーションについて、東西地域会社が認可申請しているIP電話や、ソリューションビジネスについてもグループ内で競合関係があるなど、今の事業会社の分担には無理が出てきていると思うが、再々編も含めてどのように考えているのか見通しを教えて欲しい。
A 持株会社のもとに、東、西、長距離、ドコモ、データという今の分け方をしたのはインターネットが普及する以前のことだ。インターネットは距離を克服しているので、距離や通信手段によって会社を分けることがフィットしなくなってきているのは確かだ。それでは、今のフォーメーションで何が出来て何が出来ないかということになる。今のフォーメーションになって5年目に入ったが、例えば東西地域会社を一緒にするなどフォーメーションそのものを変えるとなると、大変な時間がかかる。持株会社・東・西・長距離の各社はNTT法により再編成された会社であり、そのフォーメーションを変えるにはNTT法の改正が必要になる。そのためには、大変なエネルギーが必要となるので、いきなりそれをやるのではなく、今のフォーメーションの中でどうすればお客様に満足のいくサービスが提供出来るのか、それぞれの事業会社が独立事業として採算を取って成長していけるのか、という知恵を出していこうと思っている。いよいよそれが無理だということになり、お客様に満足のいくサービスを提供できない、事業として成立しないとなれば、これは何が何でもそれを回避するためのお願いを関係方面にしなければならないが、まずは知恵を出したい。その一つが、レゾナントコミュニケーション環境を実現する時のネットワークの所有、メンテナンス、オペレーション、あるいはサービスの開発や提供をどういう形でやっていくのかということとかなり密接に関係してくる。中間決算発表の時までに整理して、実行に移していこうと考えている。
Q 例えば東西地域会社が認可申請しているIP電話を含めて、活用業務はことごとくNTTコミュニケーションズと競合する事業ばかりであるが、そういう事態を問題視しているのか、それとも競合は大いに結構で互いに競い合っていくのが良いと考えているのか。
A ビジネスにしてもサービスにしても、成熟したものと発展段階のものがあると思う。市内通話や市外通話、国際通話などについては相互乗り入れでパイを食い合っても意味がないと思っているし、現実にも起きていない。一方、ソリューションビジネスについては、NTTグループのシェアは非常に小さい。ある部分東西地域会社とNTTコミュニケーションズは競争しているが、これは成長分野である。
IP事業もそういう状態であり、NTTコミュニケーションズも取り組んでいるし、NTT東西もやろうとしている。成長分野では、ある程度競争し合うことによってグループトータルとしての競争力が出てくると考えている。但し、ずっとこのままで良いというわけではなく、また見直しをしなくてはいけない日が来るとは思っている。実際ISPは統合に入っており、例えば、ドリームネットはNTTデータとドコモからNTTコミュニケーションズに全株式を譲渡するという形で整理を図った。
逆に言えば、競合が起こるからNTT東西はIP電話をやるなと言ったら、これはお客様が困ってしまう。お客様が、ああいうものをしてくれ、こういうものをしてくれと言われた時に、NTT東西ではそういうメニューはありません、ということでは世の中に通用しない。
Q RENAの構築は、グループ内で競合してでも推進するのか、それとも役割分担を明確にする方向なのか。
A 難しいところだ。ネットワークの構成をどうするかという問題もある。サービスの開発、ネットワークの所有、オペレーションの主体をどうするかということになってくると、今のフォーメーションの中で役割分担をするのか、違う道を選ぶのか、いろいろな選択肢があるので、それを今検討している。
Q J−フォンが非常に破格の値段のサービスを発表したが、固定系や他の移動体への影響についてどのように考えているのか。
A 事業会社で、実態的にどういう影響が出るのか、どういう対抗手段をとるのかを考えることになるが、まだ具体的な事は聞いていない。確かに携帯電話に対する影響も、固定電話に対する影響もあるかもしれない。ただ、発表内容を見る限り、J−フォンさんのお客様同士の通話で、しかも土日祝日だけに限られるということで、量的には非常に限定されると思っている。定性的には非常にアピール効果はあるだろうが、定量的にどれだけ市場に影響を与えるかを経営としては考えなくてはならない。
Q ADSLの自前工事をソフトバンクが西日本に要求している件で、総務省が協議再開の命令を出したことについて、NTTのネットワーク管理や保守運営の根幹に関わることだと思うが、どのように考えているか。
A 私共もいろいろな観点から主張したが、結果として、再協議を始めるに当たって、NTTの役務提供に支障を及ぼさないように、具体的な方法を当事者間で協議しなさいということになっているので、私共の主張も認められていると考えている。したがって、その前提で、今、NTT西日本は協議を再開していると思う。
MDFにはADSLだけではなく、一般の通信・通話も含めさまざまなサービスが通っており、それらはNTTが責任を持って提供している。これをお客さんに担保することが私共の責任である。したがって、そういうことも踏まえて、協議をしている。

