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社長記者会見

2004年10月1日(金)

会見での発言のポイントをとりまとめて掲載しています。

 今回、日本テレコムやKDDIによるドライカッパを用いた直収電話への参入計画が明らかになった。その計画に対し、NTTグループ各社が電話料金の値下げ等の対応策を講じることとした。具体的には報道発表資料の通りである。
 本日、私が申し上げたいのは、東日本、西日本、コミュニケーションズが出した対応策の位置付けである。一昨年の11月にレゾナント構想を提唱したが、今回の対応策はその実現に向けた一連のプロセスに乗ったものだと考えている。
 レゾナント構想についてはこれまでも話をしてきたが、おさらいの意味で、我々が目指す次世代ネットワークからお話しする。
 レゾナントコミュニケーションを実現するネットワークには、4つの特徴がある。1点目は、光をベースとした、双方向映像コミュニケーションができるブロードバンドネットワークであること。2点目は、ユーザの端末にかかわらず、いつでもどこでもネットワークを通じてコンピューター等にアクセスできるユビキタス環境を実現すること。3点目は、電話網の持っている品質・信頼性・安定性と、IP網の持っている柔軟性・低価格性・オープン性を併せ持つネットワークであること。4点目は、シンプルで経済的であり、またユーザが様々なサービスやグレードを選択できるネットワークであることである。
 このネットワークはIPv6、光アクセス、FOMAの技術をベースに構築することを世界に先駆けて公表したものであり、その実現に向けて取り組んでいる。
 情報通信のIP化、ブロードバンド化が想定を超えるスピードで進展し、日本は速度、料金で世界最高水準に達したが、一方で、映像通信やPtoPサービスの利用拡大に伴うトラヒックの増加、ネットセキュリティ、サイバーテロ、さらには、地震や台風などの大規模災害に対して対策が取れているかという点で、ネットワークインフラの現状に強い危機感を持っている。
 レゾナントコミュニケーション環境の実現は、単なるネットワークの高度化を意図したものではなく、e−Japan戦略やu−Japan構想の実現に寄与できるものだと考えている。例えば、今後の日本は、2年後の2006年をピークに人口が減少すると予測されている。人口が減少する中で少子高齢化時代に突入するわけだ。老人介護問題や、生産年齢人口の減少、雇用のミスマッチ等の問題がいよいよ顕在化してくる。さらには、環境・エネルギー問題など、日本は深刻な社会的課題に直面していかざるを得ない。
 光をベースとした双方向映像コミュニケーションやユビキタスサービスの実現により、こうした日本が抱える社会的課題の解決をサポートしていきたいと考えている。したがって、レゾナントコミュニケーション環境の実現を急がなくてはいけないと考えている。

 レゾナント環境の概念や期待される役割は以上のようなものであるが、ここで、次世代ネットワークを構築する上での技術的課題について橋本第二部門長から説明してもらう。

(橋本第二部門長)
 現在NTTで検討中の次世代ネットワークの大きな特徴、考え方についてお示しするが、詳細については具体的な検討を踏まえ別途お話しする。
 私どもは長い間、約6000万加入を収容する固定電話網をベースにネットワークを運営してきた。この固定電話網は、これまでのオペレーションを通じていろいろな経験が積み重ねられているので、非常に品質の高いネットワークになっている。品質や信頼性、安定性について国際標準が確立しており、定められた標準を世界中の国々が守ることで、品質の高いネットワークを維持してきた。さらには、地震等の災害発生時にも一定の通信を確保できるようにオペレーションシステムが完備されている。一方で音声を中心としたネットワークとしての限界がある。かつてISDN等、この音声ネットワークの中にデータ信号を通す努力もしてきたが、IPネットワークの持つ柔軟性に比べると音声が中心であるが故の限界があると認識している。
 IPネットワークの通信技術は、パケットという情報の小包をネットワークの中に通すということであり、ブロードバンド化により、映像などの多種多様な情報を通すことが可能である。ただ、歴史が浅いこと、あるいは品質を犠牲にしてでも経済的に提供することを目指してきたことから、信頼性や、品質については固定電話網並みのレベルを維持しているとは言えない。しかし、分散型のネットワークで柔軟性、オープン性を担保している。
 これらの固定電話網と、IPネットワークの両者の長所を組み合わせて次世代ネットワークを構築していきたい。具体的には、この次世代ネットワークは、すべてパケット通信技術で動くフルIPネットワークをベースに考えており、同時に、セキュリティ問題に対して一定のガードをかけるような新しい技術、概念を導入したセキュアなネットワークを目指そうと考えている。
 その一端を紹介する。
 まず、この次世代ネットワークには、NTTの強みである光技術に関して積極的に新技術を採用したい。例えば、光波長多重技術と光クロスコネクトを活用すれば経済的で、安定したネットワークを作れると考えている。
 2点目はトラヒック制御についてである。既存電話網では、災害発生時等の輻輳発生時に緊急呼を疎通させる技術がネットワークの中に組み込まれているが、現在のIPネットワークではまだ実現されていない。これからの研究開発により、次世代ネットワークにはトラヒック制御の機能を取り入れたい。
 3点目はセキュリティについてである。IPネットワークでは、悪意呼、特定ユーザ攻撃、サイバーテロ等の問題が顕在化しているが、これらをエッジと呼ばれるネットワークの入り口でガードしたい。もちろん、この問題は、法律や国家間の連携等、技術以外の問題との連携が必要であるが、技術の上でもセキュリティ対策を盛り込んだセキュアなネットワークを作りたい。
 最後の4点目は、キャリアの必須課題であり永遠の課題でもある相互接続についてである。様々な事業者、あるいは国によって違うネットワークを接続するためには、お互いにインターフェースを公開することが絶対条件であるが、新しいネットワークでは、インターフェースの標準化が過渡の段階である。このコネクティビティを担保することは私どもの責務と考えておりしっかりと対応していきたい。
 このようなセキュアでコネクティビティのあるフルIPネットワークを、固定電話網にかわる次世代ネットワークとして開発し、導入していきたい。

(和田社長)
 かなりの勢いでIP化、ブロードバンド化が進む中で、国としてもe−Japan計画、u−Japan構想の実現に拍車をかけようとしている。NTTとしてこれにどう応えていくのかが問われている。技術開発を急ぐことも大きな課題であるが、どのようなステップを踏んでそれを実現していくかということが今度の中期経営戦略の基本になると考えている。今回の各事業会社による当面の対策は、レゾナントコミュニケーション環境を実現するサービスや料金体系につながる線上にあって、それを先取りするものであると考えている。ただし、対抗策という側面もあるので、いろんな意味で無理をしているところもあると思う。

Q 今回の料金値下げは、他社に対する対抗値下げとして十分と考えているのか。今後、値下げ競争は加速されていくのか。

A 今回の値下げは、各事業会社が相当苦しんで作った案だ。基本料や通話料の料金水準を下げることと、光IP電話を推進していくことで対応していきたい。加えて、お客様に対するサービスの信頼性や安全性を訴えていきたい。これらをトータルでやっていけば相応の競争力はあると考えている。次の値下げがあるかどうかについて言えば、今回の値下げがぎりぎりのものだろうと思っているし、事業会社はこれで対応していきたいと言っている。但し、今後の推移によっては、なお合理化努力をするとか、他の収入源を求めていくということも含めて、トータルで考えていくことになる。

Q 他社がドライカッパを用いた直収電話サービスへ参入することにより、NTT東西の固定電話網のボトルネック性が希薄化していくことになるが、接続料の問題についてどのように考えているのか。

A 8月27日にパブリックコメントで提出した意見のとおりである。要旨を申し上げると、ブロードバンド時代が本格化し、ユニバーサルサービスの確保のあり方についていろいろと問題が提起されており、それらを長期的かつ総合的に勘案して、接続料の問題は検討していただきたい。それから、特にドライカッパを用いた直収電話については、自ら交換機を設置してお客様を収容し通信サービスを提供するものであり、NTT東西の交換機を利用しないので、接続制度の基本的な部分に触れる問題だと思っている。言い換えれば、ドライカッパを用いた直収電話は、現在のユニバーサルサービス基金や接続制度の仕組みの前提になかったものである。前提が変わってきているので、仕組み全体を見直す必要があると思っているし、そういう提起をしていきたい。

Q 光ファイバとドライカッパの開放義務についての基本的な考え方を教えて欲しい。

A ドライカッパについては今申し上げたとおりであり、ユニバーサルサービスとの関連で議論していかなければならない。光ファイバについては、従来から申し上げているように、今からそれぞれ競争して敷いていく性格のものであるので、投資する側のリスクを大事にしていただきたい。つまり、リスクを負って投資していくためのインセンティブが働くような規制のあり方にしていただきたいという考えに変わりはない。

Q NTTコミュニケーションズがドライカッパを用いた直収電話サービスを実施するとなると、NTT東西の事業とバッティングすることになるが、グループ内の競合についてどのように考えているのか。

A ドライカッパを用いた直収電話をNTTコミュニケーションズが実施するかどうかについては、選択肢としては当然あるが、現時点、コミュニケーションズからは今回の対応策として実施する考えはないと聞いている。仮に実施するとなると、グループ内にお客様を収容する交換機が東西とコミュニケーションズの2種類、更にIP電話を含めれば3種類できることになってしまう。グループとして資源をどう有効活用していくかということを考えれば、いろいろな考えがあると思うが、今はそこまでは至っていない。

Q 今回の対応策に伴うグループ全体の減収額の見込みはどの程度か。

A 各事業会社が値下げの影響をどう折り込んでいるのか、また、それをカバーするための方策をどう考えているのかについては、当面、事業会社に任せている。持株会社としては、今後の競争の状況や、値下げの影響を他の収入源でどう賄うか、合理化でどう穴埋めするか等、いろいろな要素を勘案して中間決算の段階で連結決算ベースの今後の見通しを明らかにしていきたい。

Q 一段の合理化努力や他の収入源の拡大について、具体的にどのようなイメージを持っているのか。

A 合理化、効率化は、人に関わるものもあるし、その他いろいろある。事業会社は必死に考えていくだろうと思っている。
 持株会社としても、研究所では高性能な技術を開発する他、省力化、効率化のためのツールや工法の開発も行っている。例えば、昔の光ファイバの曲げ半径は5cm位であったが、研究所の開発努力により、今では5mmの半径で曲げても光が通るようになった。また、かつては光ファイバの接続を融着という方法で行っていたが、今は簡単なコネクタで物理的に結合できるようになっている。
 一方、NTTレゾナントでは、収入面で新しいブロードバンドサービスの開発を急いでいる。いろいろな形でこの秋に発表していけると思うが、そういうものも力になるのではないかと思っている。

Q 今回の料金値下げは、日本テレコムやKDDIと比べると中途半端な気もするが、どのように評価しているのか。

A 今回の値下げが、今、事業会社が対抗策としてとり得るぎりぎりのものである。基本料、通話料を個々に比べれば凹凸はあると思うが、116や113のようなお問い合わせ窓口や保守の体制などをトータルで考えると、何とか対応できるというのが各事業会社の考えである。それで本当に対応できるのかということについては、今からお客様に訴求していく過程でいろいろと考えていかざるを得ないが、今時点ではそう考えている。

Q 日本テレコムやKDDIの計画をどう受け止めているのか。もし対応策を取らなければどうなり、今回対応策を取ったことでどの程度顧客流出を防げると考えているのか。

A 何もしなければ相当ダメージはあるだろうと思っていたが、今回の対応策によって、どこで止まるのか、あるいは止まらないのかはわからない。私どもは今回の対応策で必死に対応していきたいということだ。何もしないわけにはいかないことは事実だ。仮に何かすることが将来のレゾナントコミュニケーション環境を作り上げていくことにマイナスになり、大きなダメージを与えるようであればそれはできない。しかし、今回の対応策は、競争対抗上も一定の評価ができるし、将来につながる線上にあるという点でも評価できるというのが、各事業会社の考えだ。

Q 将来につながる線上というのは、例えば、値下げ幅をあまり大きくしないことで、将来の設備投資の原資を確保するという意味か。

A もちろん、今回の料金値下げよりずっと低い値段にすれば大きなダメージを受けることになるので料金水準的な要素もあるが、それだけではない。IP、レゾナントコミュニケーションという世界になると、距離による料金格差は徐々に克服されるだろうと思っている。むしろ、通信速度やセキュリティ、ギャランティなどの度合いに応じて料金に差をつけるという考え方はあると思う。今回の値下げは、距離による料金格差を是正するという意味で将来につながる線上にあるだろうと思っている。

Q 施設設置負担金について、総務省では、今後、段階的に廃止する方向にあると思うが、NTTとしての考え方はどうか。

A 従来から申し上げている考えに変わりはない。段階的に廃止する方向ということは考えなければならないだろうと思っているが、これはいろいろなところに関係する話だ。資産計上をしているという問題、市場ができ上がっているという問題など、いろいろな問題がある。今、情報通信審議会でいろいろ検討されており、10月下旬位には一定の方向性を出そうとしているので、それを踏まえて私どもも考えていきたい。

Q 次世代ネットワークのフルIP化の話はいつから始めて、いつ頃完成するのか。

A 明確なスケジュールを持てない状況だ。今ある固定電話網は非常にしっかりと作られており、ラストリゾートとしては最適だ。もうこれでいいというお客様もいる。逆に言えば、これがなくなったら困るというラストリゾートであり、最高のユーティリティというような側面もある。しかし、固定電話網と次世代ネットワークを二重に持つということは負担が重い。何とか早い時期に固定電話網を次世代ネットワークにマイグレーションさせていきたい。それに当たっては、技術的な問題の克服ということもあるが、気持ちとしては急ぎたいと思っている。

Q 光ファイバに関わる接続規制について、インセンティブが働くように見直して欲しいと主張しているが、具体的にどのように見直して欲しいのか。

A 光ファイバについては、指定電気通信設備から外していただきたい。これは光ファイバを開放しないということではなく、開放はするがその条件は貸す側と借りる側が相談して相対で決めることができるようにして欲しいということだ。光を敷いたら公定価格で貸し出す義務があるというのではかなわないと申し上げている。

以上

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