Q 無線LAN設備の共用化に関連して、NTTグループの中で重複する設備の共用や事業の統合についての基本的な考え方を聞きたい。
A 新たなサービスの開発やビジネスモデルの創造の初期段階においては、NTTグループ各社の技術や人材、資金といった経営リソースを使い、切磋琢磨して道を切り開いていく。その過程で、お客様のご要望の変化や成熟の度合いに対応し、経営リソースを再編成、再構築するという基本的な考え方に立っている。FMC(Fixed−Mobile Convergence)も、お客様のご要望の変化の端的な現れである。
また、ISP(インターネットサービスプロバイダー)についてもNTTグループで複数のサービスを提供している。グループ外のISPの皆様も新しいビジネスモデルの構築ということで取り組んでおられるが、グループ内におけるISPサービスの提供のあり方について見直しをかけている状況である。
Q 放送と通信の融合について、通信事業者、放送事業者双方から映像をインターネット配信する動きが活発になっているが、この動きをどのように考え、NTTグループとしてどのように関わっていくのか。
A 技術が大変な勢いと速さで進んでおり、従来あったような通信と放送の垣根が低くなってきている。具体的に言えば、ブロードバンドのネットワークが拡大し、放送波で映像を届けることと光ファイバ等を通して映像を届けることとの境がだんだんなくなっていくと思う。ブロードバンドインターネットを使って事業を営む我々やISPの皆様が映像配信事業に進んでいくことと、放送事業者の皆様がブロードバンド回線を介して映像を届けるということが、ある意味で相互乗り入れのような形になりつつある。
ただ、映像の配信を放送波でやるかIP方式でやるかについては大きな違いがある。IP放送については、著作権法上の課題があり、再放送するにはその課題をクリアしなくてはならないため、現時点では、VOD(ビデオ・オン・デマンド)が主流である。これは既に著作権処理が完全に済んでいるものであり、海外からのコンテンツも配信している。
もう1つは、RF(ラジオ・フリークエンシー)方式、すなわち放送波を通じて配信するものである。スカイパーフェクトTVの子会社にオプティキャストという会社があるが、これは光ファイバを使って放送波をそのまま流している。
それから、地上デジタル放送が拡大していくと、都市部にしてもローカル地域にしても難視聴エリアが出てくるだろう。この対策として、光ファイバを使ったIP再送信が役に立つのではないかという話がある。これは、放送事業者の皆様あるいはその関係の皆様と技術的な意味での規格をきちんと決めるといった課題をクリアすることにより可能になると考えている。我々としては、このような面で皆様のお役に立てるのではないかと考えている。
中期経営戦略の中で「光ファイバを使ったフルIP化」ということを申し上げているが、以上のようなことは、光インフラの有効活用、あるいは利用価値が上がるという意味で非常に歓迎すべきことだと考えている。
Q 無線LAN設備の共用化に伴い、事業を担っている人材の共有化ということも出てくると思うが、グループ会社間での人事交流を活発にしていく考えはあるのか。
A 基地局の維持管理やオペレーション等にどれだけの人間が関わっているかの具体的な数字は現在手元にないが、BPに設備を集約していくことに合わせ人も集約していくのか、あるいは既存の人材で十分で、BP以外の人材は他の分野に進出させていくことになるのかなど、いろんな形があると考えている。いずれにせよ一番いい形で人材を活かしていきたい。
Q NTTグループは会社が分かれている中で、今後FMCにどのように取り組んでいくのか。
A FMCという概念をどのように捉えるかということだが、大きく分けて3つあると考えている。
1つ目は、音声系の「ワンフォン」サービスと言われているものである。オフィスや自宅では無線LANを通して固定網に入っていき、屋外では携帯電話として利用できる。これについては、法人向けの商品として、西日本やドコモなどが既に提供している。
2つ目は、データ系のFMCサービスである。これは、携帯から社内情報システムにアクセスし、データ閲覧や報告書作成が出来る等、携帯にパソコンと同じような環境を実現することが出来る。
これについても、既に、コミュニケーションズとレゾナントより、FOMAによる社内情報システムへの接続ができるソリューションサービス「スマートビジネスキット」として発表している。
3つ目は、映像系サービスである。携帯とPCの間で映像のやりとりが出来るもので、既に法人向けでは、FOMAとコミュニケーションズの「ドットフォンビジネスV」の間で映像通信サービスを提供しており、マス向けサービスについても本日発表する。 このように、FMCは3つの系統に分かれると考えているが、マス向けの「ワンフォン」サービスについては、お客様のニーズとどのようにマッチするかということもある。今後、ひかり電話の普及が進んでいき、一芯の光ファイバで複数の電話番号が取れるようになると、各部屋に個人専用の固定電話があるということになり、家庭の中で携帯電話を利用する頻度は相当落ちていくかもしれない。ここのところは慎重に考えたい。
Q KDDIは固定系と移動系の統合請求を始めたが、NTTグループとしても既に検討に入っているのか。
A NTTグループは会社が分かれているため、かなりの工夫をしなければ請求書を一本化することは出来ないと考えている。ただ、お客様のご要望としては非常に強いものがあるので、これには何とか応えていきたい。
これについては、ある事業者だけを有利に取り計らうとか、ある利用者だけを不利に取り扱うというようなことがなければ問題はないが、それをどのようにクリアするかという問題である。例えば、固定発の携帯着という電話サービスがあるが、これについては、それぞれの発信元で代理徴収をしている。
したがって、一本化については、出来ないということではなく、工夫をしながら問題を解決していきたいと考えている。
Q 固定電話と携帯電話の融合に関するアライアンス「FMCA」にコミュニケーションズが入っているが、FMCをやる場合に、コミュニケーションズが担う役割は何か。
A FMCについてはお客様のご要望があるので、NTTグループ全体としてそれにお応えしていきたいと考えている。「FMCA」にコミュニケーションズが参加しているのは事実だが、コミュニケーションズだけをFMCに取り組ませるということではない。
Q 新体制になり、三浦副社長が中期経営戦略推進のリーダーという形でやられると思うが、和田社長との役割分担はどうなっているのか。
A 中期経営戦略は、NTTグループ全体の戦略であり、持株会社がエンジンとなって進めていく。そういう意味で、持株会社の社長である私が全責任を取るということで進めていく。
中期経営戦略を具体化して動かしていくにあたっては、各事業会社の個別の具体的な戦略や目標設定とどのように整合性をとって展開していくかが大事であり、そのような具体的な調整、設定については、東日本での具体的な経験を積んでいる三浦副社長に取り組んでもらおうと考えている。
特に、「中期経営戦略推進室」、「次世代ネットワーク推進室」、「ビジネスプロセス改革推進室」と、3つの推進室があるが、相互にオーバーラップしている部分もある。これらの調整も必要であり、私の補佐をしてもらいたいと考えている。
Q コミュニケーションズの鈴木前社長に、チーフストラテジスト(戦略担当)という肩書がついているのはなぜか。
A 鈴木前社長は、この6年間、グローバルソリューションの陣頭指揮を執ってきており、NTT再編成後新たに進出した国際通信の草分け的なところを開拓してくれたことを高く評価している。
鈴木前社長には、海外の同業他社やベンダー、公官庁の皆様との人脈づくりを含め、国際ビジネスを中心に、和才社長をサポートして欲しいとお願いしている。そのときに、相談役という肩書きでは国際的にわかりにくいので、チーフストラテジストという肩書きを使っているだけである。最終的責任はすべて和才社長が持つことに変わりはない。
Q 最近、FTTHの契約数の伸びが大きくなってきたが、急に伸び始めた理由をどう分析しているのか。
A FTTHについては、かなり弾みがついていると考えている。既に、この第1四半期で33万件程度の純増があるし、恐らく7月に入った段階で累計200万契約まで伸びている。
なぜ、弾みがついたのかというと、私どもの営業努力もあるが、映像を配信する、あるいは映像を双方向で交換し合ってコラボレーションするというサービスが、どんどん具体的なものになってきていることや、日本だけでなくアメリカも含め、光を使ったトリプルプレイ、さらには携帯も加えたクワドラプルプレイというような方向に行くんだという流れが出来つつあることも後押ししていると考えている。
Q NTT東西が光の拡販を目標に掲げているが、持株会社として、どのような支援を行っていこうと考えているのか。
A 一番大きなのは、研究開発である。端的な例を言えば、1日にサービスインできる件数を増やすということである。そのためには工法や使用する光ファイバを工夫しなければならない。そこで、直角に曲げても疎通するコンテンツに損傷をきたさない光ファイバの開発や、それを使った工法の開発を行っており、かなりの成果が出てきている。
それから、グループ全体で見ると、お客様からご注文をいただいてから、返事をし、工事に行くという流れがあるが、その流れに携わる事業会社は多岐にわたっている。各事業会社にまたがっている所を調整し、ベクトルを1つに合わせて効率を上げていく。このあたりの問題は、具体的にはビジネスプロセス改革推進室で取り扱っていっている。
以上のように、研究開発とビジネスプロセスの改革といったものが持ち株会社の大きな役目だと考えている。
Q 民営化当初は、グループ内でもどんどん競争をしていくことが、NTTの発展にとっても、マーケットにとっても、競争政策上も望ましかったと思うが、ここに来て、無駄なものは廃して事業を統合していくというように方向転換をしていると思われる。その背景となる競争環境や競争政策の変化などについて、どのように見ているのか。
A 民営化してからは、3つの節目がある。
まず、民営化した時は、まさに独占をやめて競争を導入したが、市外、県間のところだけが競争になり、それ以外のところはなかなか競争が進まず、国際も、まだKDDが独占していた。
次に、6年前の再編成時には、既にドコモ、データは分社しており、固定電話のネットワークの仕組みに合わせて分けた。その代わり国際通信に進出しても良いという許しをいただいた。
現在は、当時とはバックグラウンドが違う。インターネットにより距離という概念が全然入ってこないような体系ができ上がっている。当時は、携帯電話の契約数が少なかったが、現在は携帯電話のほうが固定電話より多くなっており、FMCというものもお客様の要望として出てきている。また、通信と放送の融合という問題もある。片や、既存の固定電話網は、最後の拠りどころとして、光ファイバに完全にマイグレーションするまでは維持していかなければならないという問題もある。
そういう実態を踏まえて、ルールも見直して欲しいと申し上げている。
Q ルールの見直しで、一番大事なところは何か。
A 今のところ、会社法の改正を求めるということは、申し上げていない。今の法の枠組の中で、最大限できることにチャレンジしていきたいと思っている。
今から投資をしていく光の設備については、投資インセンティブが働くようなルールにして欲しい。また、固定電話のネットワークでは、都市部に直収電話という形で他社が入ってきており、非常に競争が激しくなってきている。従来のユニバーサルサービス基金の制度は、不採算のところがあっても、黒字があれば、それで補填するというルールだったが、黒字が出るところが完全に競争になっており、従来の考え方を変えなければいけないのではないかと申し上げている。今のところ、総務省の情報通信審議会でも、今のままではいけないという方向に向いていると理解している。
Q 無線LAN事業の今後の方向性を聞きたい。
A 無線LANは、WiMAXにより、現在の無線LANよりも伝搬距離が広がるという方向に進んでいる。今後、携帯電話、固定電話、無線LANが、お互いの役割を果たしながら融合していくと思うが、無線LANは、ネットワークアクセスの有力な手段になると考えている。
そのためには、効率よく設備を構築していくということが大事である。アクセス端末は、携帯電話やパソコン、情報端末等色々なものがあるが、プラットホームは共用していくことが効率的であると考え、無線LAN設備の共用化に取り組んでいる。
Q 昨今議論になっている天下りの問題については、どのように考えるか。
A 天下りというものの定義がよく分からないが、高級官僚を民間で活用していくことについては、国家公務員法に定められたルールがあり、そのルールに則っていればおとがめがあるわけではない。
官の優秀な人材の能力を、民間でも利用させていただきたいというのは、当然のものとしてある。
昨日、日本経団連の奥田会長が言われたことに尽きると思っている。

