Q 中期経営戦略の進捗状況について聞かせて欲しい。
A 中期経営戦略の取り組みの進捗状況については、本年11月に予定している中間決算発表の時期に具体的にご説明したい。現在もかなり積極的にスピードを上げて検討している。だが現在のところ、NGN(ネクスト・ジェネレーション・ネットワーク)の問題やISPの統合の問題などの具体的な内容について、今ここで申し上げるだけのものはでき上がっていない。
ただ、可能なものから実現していくということで、先程申し上げたように、無線LANについては設備の共用化を図ると共に、サービスも東西で連携させたり、また、ひかり電話でワンフォンサービスを提供したりといったことを進めてきている。
また、光アクセス加入の進捗状況については、4月に入ってから毎月10万を超える発注をいただいているが、この8月は、夏休み期間にもかかわらず約12万という最高の伸びを示している。このように中期経営戦略については順調に取り組みが進んでいると考えている。
Q 現在、携帯電話の新規参入申請受付が行われており、先日ソフトバンクが申請したが、ドコモ等への基地局開放等を求める声もある中で、競争の観点からこの新規参入についての考えを伺いたい。
A 携帯電話の新規参入については、まだ具体的にどこと決まったわけではないようだが、参入があればこれまで以上に競争が激化するため、我々としては先ほど申し上げたようなFMCという形でのサービス面の多様化、あるいは様々な割引も含めた料金プラン見直しという形での料金面の多様化などの対抗手段を準備し対応していきたいと考えている。
また、周波数を与えられて参入してくる事業者は自分で設備を構築して競争するのが基本だと考えている。しかしながら、周波数を与えられた事業者が設備が出来上がっていないのでローミングを希望するというのであれば、具体的な設備構築計画等をはっきりと聞かせていただいた上で、緊急避難的にビジネスベースで話し合っていくことになるだろう。新聞報道では書かれているが、現時点で具体的に交渉しているという話は聞いていない。
Q 固定・携帯含めて消費者の需要や料金競争の影響など通信業界全体の今年の景気の見通しについて伺いたい。
A 景気一般の話だが、昔は景気の動向は、直接通信費の多寡に影響していた。つまり、景気が悪くなるとそれは企業と個人消費者も通信費を節約することに繋がったが、今はIP電話や携帯電話、あるいはEメールなど通信形態が多様になっており、さらに定額制料金も出てきているため、通信費が景気によって大きく左右されるということはあまり感じない。
ただし企業のICTに対する投資、我々からいえばソリューションシステムの受注の動きで、ある程度の景気を見ることはできる。それでみると、今のところスローダウンはしておらず堅調に推移している。そういう意味では、政府や日銀等が言っている「緩やかに回復しつつある」ということに関連するものと思っている。
ただ、景気とは関係なく収入が減少する原因は、値下げである。その値下げも、レベルを下げるものと割引の制度を多様化していくものがある。東西が、直収電話が始まった時に基本料を含め大幅に値下げしたが、それ以降の値下げは実施しておらず今の所予定もしていない。ただ、携帯電話市場での新規参入による競争激化、また番号ポータビリティの開始等に対する料金面での対策等でこれから影響が出てくるかもしれない。
あと、原油価格の問題もあるが、直接的に影響することはない。ただ、通信のネットワークは電気で動いているため、電気料金がどう動くか、また、工事用車両等多くの車両を使っているため、その燃料としてのガソリン価格にどう影響するかという懸念はあるが、いずれにしても間接的なものである。
Q 衆議院選挙では、自公で過半数超をとったが、その結果と通信業界への影響について、どのような印象を持ったか聞かせて欲しい。
A 経済の今後の展開について、プラスの効果が出てくるということは言えると思う。
構造改革や規制緩和をあらゆる分野で進めるなど、現与党がマニフェストで掲げたことの多くが、経済界として非常に期待の大きいところであり、これを積極的かつスピーディーに進めていただくことで、それにより経済全体が活性化してくるのではないかという気持ちがある。
当然、その中には情報通信産業も含まれ、例えば、研究開発投資やICT投資の問題、それに対する減税の問題、あるいはいろんな意味での規制緩和の問題など、いろんなものがあるので、トータルで見ても、業界として見ても、非常に心強い話だと思っている。
ただ、それが直接我々の売上にどれだけ影響してくるか、また、利益がどのように動くかといったことについての直接的な因果関係というのは、なかなか難しいと思う。
Q 無線LANに対する取り組みのスピードが遅いようだが、これについての説明を聞かせて欲しい。
A 無線LANの設備の共用化を進め、さらにサービスの連携を進めるということについては、従来、各事業会社の自主性を重んじ、お互いに競争し合い、切磋琢磨し合って能力を高め、市場のパイを広げていこうという路線で来たものを、それだけでなく、お互いにアドバンテージを活用しシナジー効果を出し合おうというように、カーブを切り始めた第一歩だという位置付けであり、方向転換していくことに、かなりのエネルギーがかかっているというように見ていただきたい。
Q 設備の共用化や、サービスの統合をどんどん進めていくと、最後は経営も統合するといった話になるのではないのか。
A これまでも申し上げている通り、今の法制度の枠組みの中でグループの経営資源を有効活用し、シナジー効果を発揮していけるように取り組んでいきたい。ただし、法やその他のルールによって、結果としてお客様に満足していただくことが出来ないというようなことになれば、事業として成り立たず、収入が上がらないということになる。あるいは、e−Japan計画やu−Japan構想の実現にも寄与できないというようなことになれば、それはルールを変えていただきたいということになるが、これはNTTだけではできない話なので、そこに到達するまでの間に、可能なことをとにかくやり抜きたい。その結果として、できないことが明らかになれば、そのところについて訴えていきたいと考えている。
Q 携帯電話向けのワンセグ放送について、放送事業者もビジネスモデルを、まだはっきり決めかねているところもあるようだが、通信事業者としてどのように考えているのか。
A 各事業者が暗中模索なのではないか。携帯電話については、各事業者がワンセグ放送の件だけではなく、おサイフケータイや着うたといった特徴のある機能を持たせることで、お客様を引きつけるかということでやっているが、それぞれ単独で見た場合、どれだけお客様を引きつける効果があり、具体的な投資額と、そこから得られるリターンがどの時点でペイするのかというブレークポイントについては暗中模索中で、今のところ可能性のあるものについては全て手を出してみたいというところではないか。
ワンセグ放送のみについて、どういうビジネスモデルで、いつごろどれだけのユーザを獲得し、どれだけの採算性があるのかというような具体的な話については、現時点ではお答えしかねる。
Q 今回の携帯電話の新規参入で、割り当てられる2GHz帯に関して、TD−CDMA方式で、アイピーモバイルと共同で実験を進めていたNTTコミュニケーションズは免許申請する予定はないのか。
A TD−CDMA方式での携帯電話への参入というテーマがあり、NTTコミュニケーションズもその実験に参加していたことがあった。
それは、他の分野での使い道はあるとは思うが、現在、ドコモが行っているようなデータ通信から音声、映像コミュニケーションまで行うような非常に広い世界に入っていくための方式として使っていくという考えは、現時点ない。
また、そういうことをやろうとしても、非常に限られた周波数であるので、総務省は、既に携帯電話ビジネスを展開しているNTTグループが新たに参入していくというのは、おそらく、許可していただけないだろうと思っている。
Q 今日のモバイルIPセントレックスのようなサービスについて、料金の一括請求、または合算割引は現行法の枠内で可能なのか。
A FMCには、大きく3つあると考えている。
1つは、1つの端末機で固定網にも携帯網にもつながる、いわゆる、「ワンフォン」のサービス。これは音声が中心になる。
2つ目は、携帯から、iモードサイトにつながるだけではなく、インターネットのサイト、いわゆる固定系のサイトにもつながっていくというものがあり、これについても、進んでいる。
3つ目は、FOMAとPCの間で映像コミュニケーションができるというサービス。これらの3つのサービスに分類されると思うが、我々はそれぞれについて既にサービスを始めているし、今後も進化させていこうと考えている。
それから、一括請求の話だが、これは、お客様から非常に強い要望があり、何とか実現していきたいと思っており、現在、どのような形態であれば、一括請求というものが実現できるのかということを検討している状況である。
ビリングには、審査、請求、回収というプロセスがあるが、そのプロセスを単純に合わせて、一つの請求書をつくっていくということだけでは芸がない話なので、先行きのサービスのあり方も含め、お客様にとってより便利なものを、そして、各事業会社にとっても、何が最も効率的なのかという観点で、現在検討しているところである。その際には、法やルールに抵触しない形でやっていく。
具体的には、グループ外の企業から、顧客の料金も代理徴収して欲しいという話があれば、それは、ビジネスベースで話ができるように、門戸は開いておきたいと思っている。
ただし、一括割引については、各事業会社が、どの部分をどう割り引き、トータルでどれだけお金をかけ、どれだけのお客様を囲い込めるかという、各事業会社の戦略と、それに要するコスト、得られる効果というものが折り合わねば、なかなか実行できるものではない。取り組んで行く考えはあるが、時間がかかるかもしれない。
Q 現在、交渉が続いているKDDIと東京電力の提携に関して、どのような影響が出てくると考えているか。
A 報道されている内容でしかわからない。
ただ、技術が大変な勢いで進んでおり、お客様のニーズも高度化する。通信と放送の融合やFMCなどもお客様の要望があり、技術がそれを可能にするほどに進んできている。そのような背景の中で、効果的なビジネスモデルを作るために、また、シナジー効果を出すために合従連衡が進んでいくというのは予測できる話だ。今回の一連の動きも、そのような考え方あるいは世の中の流れから出てきているものだと思っている。
しかし、詳しいことはわからない。というのは、パワードコムと東京電力とKDDIの関係や、東京電力と他の地域の電力会社との関係など、いろいろな関係があると思う。パワードコムは全国をカバーしており、東京電力の光アクセスは関東の話。また、KDDIは全国の話。そのような関係がどうなっているかは、よくわからない。
Q もし提携が実現した場合は、対抗策を用意しているのか。
A お客様の要望が多様化し、高度化してきていると共に、5年、10年経てば、少子高齢化の問題、地球温暖化やエネルギーの確保の問題など様々な社会的問題が進んでくる。それらに対応し、解決するため技術が進歩してきている。
こうした背景の中で、NTTがどうしていくべきかを考えて中期経営戦略を作った。KDDIに対抗していくためにということではなく、日本のお客様あるいは社会的な要請、そして我々の事業の発展のために策定したのが中期経営戦略である。他社の動きに惑わされずにやっていきたい。
Q 光ファイバーの開放義務について、KDDIと東京電力の提携の様子を見ながら、主張の仕方を考えていこうという戦略はないのか。
A KDDIが、どういう形にしろ、東京電力の足回りの光アクセスを相対でどんどん利用し、一方で、我々のドミナント規制がかかった法定レートで貸し出す光アクセスも使われるというように、いいとこ取りをして使われていくということになれば、我々としては前提条件が当然狂ってくる。そういう意味で言い方が変わってくる可能性はある。
Q 中期経営戦略の進捗度合いの目安があったら教えて欲しい。
A 進捗何%というのはなかなか難しい。実現できるものはどんどん実現していっているのだが、例えば、次世代ネットワーク構築の設計図のようなものについては、まだ相当練らなければならない段階だ。
Q 光ファイバーの開放義務に関して、現在も撤廃を要求しているのか。また、近畿の3県でNTTの光アクセスのシェアが5割を切ったが、この状況をどのように見ているのか。
A 規制撤廃は今でも要求している。関西圏では、我々は既にドミナントではない県もあり、また、アメリカでは光ファイバーの開放義務を撤廃していることもあるので、引き続き主張していく。
Q 本日発表したモバイルIPセントレックスでは、東西がドコモの端末を利用してワンフォンサービスを提供するとのことだが、これは現行法の枠内で提供できるのか。
A 固定は東西、携帯がドコモというように別々の契約でサービスを提供しており、現行の法規制上、特に問題はないと考えている。
Q 今後、東西がドコモの携帯網を利用し、MVNOとして携帯電話サービスを提供することも考えているのか。
A 東西やコムそれぞれが、サービス主体としてFMCサービスを提供していくことはあっても、携帯電話事業そのものに参入することはない。

