Q 2011年度、12年度と本格的なサービス融合が始まると、今後議論が始まる組織のあり方や規制のあり方等と絡んでくると思うが、どのような考え方で今回の戦略を策定することになったのか教えて欲しい。
A 2010年度の組織問題と今回の戦略とは直接関係がないと申し上げたい。組織問題については確かに2010年度に議論することになる。しかし、私共から見れば、単に組織問題だけを議論するということではないと思っているし、また、そうすべきでもないと思っている。いずれにしても、技術やサービスの動向といった面を十分議論し、ユーザーニーズに沿うようなサービス展開を図っていくことが私共の使命でもあるし、そういうことを図っていく中で、結果として2010年の組織問題についても議論がなされるであろうし、また、そうあるべきだろうと思っている。
Q 黒字化とマイグレーションについて、途中経過あるいはロードマップがないが、なぜ2011年度に黒字化し、2012年度でマイグレーションを完了するのかについて、説明して欲しい。
A 黒字化については、2010年度末で光が2,000万という数字を掲げたが、2,000万に達した時点になれば、光サービスがかなり大きなウェイトを占めることになる。そういう状況になって、光サービスがなお赤字であるということでは事業としても成り立たない。そういう意味で、2010年度末の2,000万を1つの節目にして、2011年度には黒字化をしたいという考え方である。
マイグレーションについては、2010年度まではエリア展開を図っていく途中であり、この間は計画的なマイグレーションは難しい。マイグレーションのためには様々な技術開発も進めていかなければならない。そういうことから2010年度までは需要見合いでのマイグレーションを進めていき、その後は計画的なマイグレーションを進めていく。IP系のネットワークを複数持つということについては、それによるコスト増があるので、サービス面もコスト面も考え、そして技術開発等によるマイグレーションのコスト削減といったものがきちんとなされるという前提ではあるが、できるだけ早期での巻き取りを進めていくことが必要であり、その期間を2年間程度と考えて、2012年度を目途とした。
(鵜浦常務取締役経営企画部門長)
補足させて頂くと、まず、光の収支についての途中のプロセスとしては、接続収支が2009年度ないし2010年度には均衡できるものと考えている。光2,000万という大きな目標達成のために必要な営業コスト等をかけていくが、2,000万を達成できればコストのかけ方等についてもいろいろな工夫をしながら収支の均衡を図っていけるものと考えている。
マイグレーションについては、NGNのエリアの全国展開が終わる2010年度には、2,000万と想定している光ユーザの半数はNGNに収容していきたい。
Q 今回の5カ年計画では、移動と固定の融合を非常に強調しているが、東日本、西日本、ドコモの新社長が6月に就任するが、移動と固定の融合という視点で、各社長にどのような手腕を期待しているのか。あるいは、どういうところを見込んで新社長あるいは新経営陣を選んだのか。
A トップ人事については常々考えていることである。それぞれの会社の実情やトップとしての条件、積極性、判断力、決断力といったものを含めたリーダーシップや本人の特性含めて、この3人がグループの中で最適だと判断した。
Q PSTNのマイグレーションについてだが、光の価格が現在のADSLと同等レベルまで、いつ頃に下がるかによって、メタルの廃止を含めて決まってくるものと思う。2010年度に概括的な展望を公表するとのことだが、5カ年計画が終了する2012年度の段階で、どの程度まで光とADSLの価格差がなくなると見ているのか。
A(鵜浦常務取締役経営企画部門長)
価格について、現時点、具体的なことを申し上げるのは差し控えさせて頂きたい。私共としても、基本的にはできるだけ収益を上げられるようなサービスを出すということで利益を確保しながら、ユーザー還元についても取り組んでいきたい。また、メタルをどうするかという以前に、PSTNの交換機をいつまで持たせることが可能かといったことがまず最初の大きな判断要素である。メタルについては、もうしばらく利用可能である。そういった中で、巻き取りについては、ADSLというよりも、むしろ電話のみをご利用のお客様のサービスをどうするかということが主眼である。そういった意味では、光に収容替えする、もしくはメタルのままでIP化するといったことのコスト計算を十分に行った上で検討を進め、最終的な判断をしていきたい。ただ、その時期については、2010年に結論を出すタイミングではないかもしれないと考えている。
Q 株主への還元策について、今年度の配当性向を30%程度と想定しているとのことだが、これを今後の配当の目安としていくのか。また、自社株買いも含めた総還元性向を計算すると7割程度になると思うが、これも今後目標値としていくのか。
A 配当性向については画一的に適用するつもりはない。ただし、配当については、財務状況とともに配当性向も含めて総合的に勘案していくようにしてきている。総合的に勘案する上で、配当性向も大きな要素だと考えているわけで、配当性向を即適用するわけではない。
総還元方式については、今年度は特に、財務、資金状況、借入金の状況等を含めたトータルなものと、PBRが1をかなり大きく割り込んでいるという市場の状況も含めて考えて、2,000億円という自己株式取得の上限値を決定した。したがって、即、総還元方式を適用するという考えはない。
Q 株式分割について、電子化が迫っている中で、多数の端株株主を抱えているNTTとしてこういう決断をされたが、他にも方法がある中で、100分割を選んだ理由は何か。
A 端株については、株式分割による方法と現金で買い取る方法があるが、私共の端株を持っておられる株主の方々が60数万おられるということで、非常に大きな影響がある。そういう中で、強制的に端株を買い取らせて頂くというのはどうかということで、今回の方法の方が株主の皆様に受け入れやすいのではないかということで、この方法をとらせて頂いた。
Q 2009年3月期の予想の営業費用として2,137億円の増加を見込んでいるが、この要因について教えて欲しい。
A(小林取締役財務部門長)
確かに、2009年3月期の業績予想では、営業費用において対前年度比で2,000億円を超える増加を見込んでいる。2008年3月期は特殊要素が非常に多く、この中で営業費用の減としてカウントしたものが約2,000億円程度ある。その分を勘案すると、2009年3月期の営業費用は200億円強の増加にとどまることになる。グループ各社の経費等の削減により、極力営業費用の増加に歯どめをかけていきたいと考えている。
Q 中期経営戦略における財務目標について、このままだと固定通信事業のコストや設備投資も目標達成が厳しいということだが、これらの目標数値を変えるということも考えているのか。また、ソリューション・ノントラヒックビジネスは逆に目標を上回るとのことだが、それについてはどうか。
A 今回の新たな中期経営戦略でこういったものを出していないのは、個別の目標というのが非常に難しく、まして5年後を展望するというのは非常に難しいからである。サービスも融合していくし、新しいサービスも次々出てくる。コストについても、新たな施策が出てくる可能性もあるし、新規の投資も必要になってくる。そういう意味で個別には非常に難しいので、今回は5年後を展望して営業利益目標に焦点を絞ろうということにした。
現状はどうなのかということについて言えば、コスト削減については、2007年度で対2004年度比で▲3,500億円の減となっている。今後は、多少マイグレーションコスト等が必要になってくるので、コスト削減そのものは多少鈍ってこざるを得ないと考えており、今後3年間で2,000億円程度のさらなるコスト削減を見込んでいる。
投資額については、2005年度から2007年度の会計が2兆9,000億円となっている。今後、光を1,000万強売っていく、NGNを全国拡大していく、あるいはデータセンタを含めて新規分野の投資を増やしていくといったことを考えると、場合によっては2005年度から2010年度のトータルの投資額が6兆円台にのる可能性もあるところを、できるだけ投資効率を上げるなど、いろんな意味のコスト削減を考え、今のところは、残り3年間も同額の2兆9,000億円以内にはおさめたいと考えている。
収入の方ははっきりした数字を持っているわけではないが、5,000億円をかなり上回るだろうと見込んでいる。営業利益の1兆2,000億円は変わらないという前提である。
Q 固定と携帯をどのように融合させていくか、あるいはインフラとサービスをどう進めていくといったことと係わってくるが、今後の組織をどのように見直していく必要があると考えているのか。
A 私共のグループには約4百数十社あるので、固定と携帯、あるいはドコモと東西だけについてのミッションの見直しというようには考えていない。少なくとも2010年までは、組織については現行の枠組みを前提に考えており、技術やサービスの動向を踏まえ、今の枠組みの中で、お客様のニーズに合ったサービスをどのようにして提供していくかということで、当面、知恵を絞っていく。仮にそういったことが今の枠組みの中ではできないということになれば、その時には規制の問題でお願いする場合もあるだろうし、場合によっては2010年の組織の問題でも議論する必要があるかもしれないと思っている。しかし、現時点では、あくまでも今の枠組みを前提に、お客様のニーズに合ったサービスを提供していく努力をしていく。
Q 光回線の目標を、昨年11月に3,000万から2,000万件へと見直したが、光の契約数の伸び率が鈍ってきている要因について具体的にどう考えているのか。また、光の増加幅が少なくなる一方で、固定の電話がかなり落ち込んでいる中で、来期は増収を見込むとのことだが、達成できる見通しについて具体的に教えて欲しい。
A 光の需要数についてはいろいろな要素が考えられると思っている。サービス面で言えば、ひかり電話に次ぐ光ならではのサービスが十分出ていないので、サービス面の充実が1つの課題だと思っている。もう1つは、ヘビーユーザを中心として光への移行が大きな動きとしてあったが、これが一巡したこともあるだろうと思っている。したがって、これからさらに光を伸ばしていくために、光ならではの新しいサービスを出していくことによって需要喚起を促していきたいと思っている。サービス面で言えば、例えば、地上デジタル放送のIP再送信も5月9日に東京エリアでサービスをスタートした。また、NTTぷららを中心とした映像サービスの充実も図っていく予定であるし、夏から秋にかけてネットワークサービスも充実させていく。加えて、他の事業者の皆様と組んだアプリケーションサービスも見込まれるので、こうしたサービスの充実を図ることによって、新たな光需要を喚起していきたい。
このような需要も含めて、収支均衡していくことは非常に厳しいと思っている。しかし、それをやらなければ事業として成り立っていかないので、増収施策とコスト削減トータルで是非とも実現したい。光のARPUが、現在、大体5,400円程度であるが、少しずつ上がっていくし、上げていかなければいけないと思っている。一方、光の設備コストはかなり下がってきており、2010年度を展望すれば、4,000円程度へと5割近くのコスト減が見込まれるので、収入増とコスト削減の両方で何とか収支を均衡させていきたい。
Q NGNの場合は、持株会社の「次世代ネットワーク推進室」がリードして、事業会社がサービスを提供するというようになったと思うが、IP系、ソリューション系等の売上げの比重を拡大していくという今回の事業構造の改革の場合は、持株会社の「新ビジネス推進室」や現在の「次世代ネットワーク推進室」がリードしていくという形になるのか。それとも、もう既に事業として始まっているので、事業会社が意識的にやっていけばいいということなのか。
A サービスについては両方あると思っている。もちろん、それぞれの事業会社がこれまで同様にサービスを出していく。このベースそのものは今まで通りである。ただ、融合したサービスを提供する場合には、いろいろな形が出てくるわけで、会社をまたがるサービスにならざるを得ないということも考えられる。あるいは、サービスの直接的な提供とプラットフォームとの関係等、いろいろな関係も出てくると思う。また、サービス提供に当たっては、大きなM&Aというものを伴う場合も出てくる。このような場合にも、資金面を含めて、持株会社もかまざるを得ないケースもあるだろうと思う。そういう意味で、個社がやる場合と、グループとして持株会社を中心に考えていく場合の両方ケースがあると考えている。
Q 固定、移動のネットワークそのものの融合とサービス融合の話というのは、従来、2010年度頃までにドコモがスーパー3Gを提供する頃が目途というようになっていたと思うが、そのあたりの年度的な計画はどうなっているのか。
A 現在は、固定のNGNがスタートしたところであり、2010年度までに、今の光サービスのエリアまでNGNのエリアを広げていく。一方で、携帯のネットワークもフルIP化を目指して取り組んでおり、2010年頃を1つの目途にやっていこうという前提で取り組んでいる。具体化した段階でご説明申し上げたい。

