Q 決算の評価について、景気の状況などを受けて、当初の想定に比べて悪かったところ、良かったところはどこか。
A 収益は想定よりも少し厳しかった。利益は大体想定どおりである。NTTの連結の減収減益が、NTTドコモの減収減益とニアリーになっている。
収益が減収となった一番の要因は、やはり携帯端末の販売面において、単価、契約数ともに前期を下回ったということだ。
一方で、NTTドコモが、現在必死で取り組んでいる、アフターサービスを含むお客様満足度の向上などの地道なサービスが実ってきた結果、6月の解約率は0.38まで下がってきた。この点は、非常に前向きに受けとめており、6月の携帯電話の純増数も2位ではあるが、トップにほぼ並ぶところまで来た。7月の携帯電話の純増数はまだ発表されていないが、引き続き順調に推移しており、販売数の減による営業収益の減はあるが、内容的には前向きに評価している。
固定については、光サービスの純増数が昨年度を下回っているのは事実であり、引き続き厳しいという評価にならざるを得ない。光サービスの契約数も1,200万に近くなっている。新たなサービスとして、映像サービスが立ち上がってきており、法人向けのSaaS基盤もでき上がった。いわゆる霞ケ関クラウドも出てきている。このクラウド、SaaSは、政府、地方公共団体、企業などを含め、これから更に大きな動きとなってくる。このような新たなサービスを出していくことによって、まだまだ光の需要は掘り起こせると思っているし、そうしたい。
Q 2010年度末光サービス2,000万契約という目標は、前回の決算発表で降ろしたと思うが、今の契約状況から見て、新たな目標は立てられないのか。
A 光サービスの契約数について、非常に厳しいのは事実である。2010年度に2,000万契約は達成が難しい。このままの数字を積み上げていくと、2000万契約に到達するのは2012年度になるかと思っているが、できるだけ早く2,000万を達成したいという思いから、前回の説明になった。事業計画の進捗率は昨年度よりも厳しいが、できるだけ早く達成したいという基本的なスタンスは変わっていない。
Q 8月30日の衆議院選挙に向け、各政党のマニフェストが出そろった。民主党の政策集の中に日本版FCCを設立して、通信・放送行政を総務省から分離するという案や、オークションの導入も視野に入れた周波数の割当制度の抜本的な見直しという政策があるが、これらの政策に対してどのように考えているか。
A 民主党が掲げる日本版FCCについて、この組織がどうあるかという問題よりは、その結果、規制という面を含めて政策がどうなるかが一番問題だと思っている。組織については出ているが、それによって、どういう政策になってくるのかはまだ明確ではないので、それを注視していきたい。
オークションについては、海外で様々なオークション制度が導入されているのは事実だ。ただし、オークション制度を導入するとなれば、今行われている電波の再編成はどうなっていくのか、また事業者がコストを負担することになるだろうが、いずれユーザコストにはね返るということを考えると、慎重に検討する必要があると考えている。
Q 期初から3カ月経った現在の景況感はどうか。景気の回復時期や、見通しについてどう感じているか。またそれが通期の見通しに与える影響についてはどうか。
A 景況感について、金融不安の解消、在庫の整理、中国経済の活況による輸出の拡大、補正予算によるエコ対策等をみると、一部回復傾向にあるのは事実だ。
ただし、これがすぐ本格的な景気回復につながるのかというと、やはり慎重な見方をしておく必要がある。特に中国に関連した輸出拡大という面は割合早く表出すると思うが、国内の個人消費の状況、企業の設備投資を見ると、即景気回復につながっていくという動きは見られない。国内情勢を見ると、まだまだ不透明感がある。本格的な回復は、来年度以降にならざるを得ないのではないか。
法人営業が中心になっているNTTデータ、NTTコミュニケーションズの営業関係の話を聞いても、やはり相当厳しい状況は続いている。業種や個々の企業によってスタンスは違うが、不要不急のものは導入を遅らせようという動きがあるし、価格面でも相当厳しい状況が続いている。それが第1四半期のNTTデータ、NTTコミュニケーションズの減益の大きな要因になっており、今後ともしばらく続くと考えている。
Q 景気の影響を受けやすい、NTTグループにおける金融事業、不動産事業の業績について詳しくコメントをいただきたい。
A 昨年後半に急速に直接的な景気悪化の影響が出てきた子会社として、NTTファイナンスとNTT都市開発がある。NTTファイナンスについては、大幅な貸し倒れ対策として様々な手当てを昨年度後半に行った。その為、昨年度は結果として大幅な減益になったが、今年度は第1四半期だけみると、10億円強のプラスになった。今のままの状況が続けば、今後はそう大きな追加対策は要らないが、景況感ともかかわるが、NTTファイナンスの事業は現時点本格的に回復の傾向にあるという状況ではない。やはり状況を注視していかなければならない。
次にNTT都市開発について、空き室率の上昇や、貸室料の低下などの厳しさがそのまま残っている。不動産不況は底を打ちつつあると思うが、本格的な回復というところまでは至っていない。NTT都市開発の決算は、既に発表しているとおり、若干の減益だ。これからそう大きく落ち込むことはないと思うが、本格的な回復までにはやはり時間がかかりそうだ。
Q 自社株買いについて、今のところ前期のような明確なスタンスは打ち出していないが、現時点においてはどのように考えているのか。
A 自社株買いについては現時点では決めていないが、中間決算までには考え方を明らかにしたい。
Q 今後の政治の動きにも関連するが、2010年に行われるNTTのあり方に関する議論について、現時点での見解を教えて欲しい。
A 確かに2010年に組織問題について議論することになっている。ただ、組織問題の議論をどう進めていくのかも含め、まだその時期にはなっていない。そのような状況の中で、分けるのがいい、一緒にするのがいいといった組織問題だけを議論するのは、決していいことではない。
他の通信事業者がいろいろと言っているのは聞いているが、やはり政府与党合意や骨太の方針にあるように、ブロードバンド、私達の中期経営戦略の進展具合、国際情勢等を踏まえて、今後どうあるべきかを議論する必要がある。
この10年間、本当に大きな変化があった。電話を中心に成り立っていた事業は、今やIPが中心となり、固定よりも携帯のウエイトがどんどん高まっている。固定と携帯の融合、映像と通信の融合、放送と通信の融合、というようにサービスもどんどん融合している。競争は、本当の意味でグローバルな競争になってきた。それは、異業種との競争と言ってもいい。単なる従来のキャリア同士の競争ではなく、グーグルやiPhoneなど、色々なアプリケーションや端末による新しいサービスやビジネスモデルがどんどん出てきている。そういう競争状態であることを踏まえて、どうあるべきなのかを議論する必要がある。お客様へのサービスやお客様の観点から見てどうなのかということがやはり一番大事な視点ではないか。
そういう意味で、これまでのサービス・競争状況の変化や、これからの情報通信の将来も踏まえて十分議論をする必要がある。いきなり組織論で1つがいいとか分けるのがいいとかを議論するのは、NTTにとっても好ましいことではないし、日本の情報通信のあり方という面からも、好ましい状況ではない。
Q 政権の枠組みがどうなるかについては、2010年の組織問題にとって、どういう要素だと見ているのか。
A NTTのあり方を2010年に議論するとしたのは、現在の与党と政府が出した方針であるので、政権に仮に変化があった時にどうなるのかというのは、色々な議論があるところだと思う。これは、私の口から何とも言いようがないので、今後注視していきたい。
Q NTT東西の営業利益がかなり改善しているようだが、特殊要因があったのか。
A NTT東日本、NTT西日本の営業利益が改善した要素について、大きな特定のものがあるわけではない。昨年から取り組んでいる色々な効率化施策、例えば様々なサービスの拠点の集約や業務フロー全体の見直しというコスト削減施策が効いてきている。ただ、改善率から言えば大きな変化であるが金額でみれば小さい。そもそも両社の収益は2兆円弱であり、少し変化すれば実質的には大きな変化になるので、必ずしも予断を許さないが、今のところコスト削減が効いていると見ている。
Q 昨年「サービス創造グループを目指して」を公表し、09年3月期の決算発表時にも、eラーニングなど上位レイヤサービスを新しい収益源として育てていきたいと言っていたが、海外事業も含めて、その進捗と、改めて中長期的に何をもって増収を図っていくのか教えて欲しい。
A 昨年公表した「サービス創造グループを目指して」の中で、今後の収益の柱とする分野として、IPネットワーク即ちコアネットワークをベースにしたサービス、ソリューションサービス、グローバル事業、新規事業、この4分野を説明した。
コアネットワークをベースにしたサービスは現在の流れで想定がつくと考える。
ソリューションサービスは、景気の影響等で、設備投資等も含めて落ち込んでおり、当初の想定よりは厳しい。
国際事業は、2007年度に2000億円であった収益を2010年度までに4000億円の収益にすると申しあげた。今後、統一的な整理をした上で正確な数字を申しあげねばならないが、大ざっぱに言うと、今のところ、4,000億円に対してだいたい3,000億円まで来たと見ている。
新規分野は、やはり少し厳しい。例えば、研究開発の成果を事業化するためNTTエレクトロニクスという会社がある。NTTエレクトロニクスは、全体的な為替の影響を含めた経営環境の厳しさがあり、期待したほど伸びていない。しかし、昨年度よりは改善を期待しており、第1四半期の状況を見ると、何とかやってくれると考えている。
その他、CO2の問題を含めた環境対策は、今後私達にとって大きな事業につながってくる。NTTファシリティーズが、ルーターやデータセンタを含め、省エネ対策に取り組んでいる。空調の効率化やNTTグループが連携した仮想化技術の導入などの環境対策は、少しずつ実を結び始めており、今後更に伸ばしていく。
今後、グローバル事業は、必要に応じM&Aを含めて拠点のカバレッジの拡大とサービスのラインナップの充実を図ることにより、4,000億円と言わず、それ以上を目指していきたい。更に、今申し上げたNTTファシリティーズの取り組みを含む新しい分野での事業展開により、トータルとしての収益拡大を図っていく。
それから、今後の少子高齢化を考えると、携帯の契約数が飛躍的に増加するのは難しいし、固定の契約数はむしろ減っていくことを想定しておく必要がある。そのような中で、NTTドコモは、BeeTVやiコンシェルといったサービスを開始している。BeeTVは2カ月で50万契約を超え、iコンシェルは、NTTドコモの決算発表時には180万契約を超え、今は200万契約に近づいている。
固定系サービスでいえば、パソコンなどに関する相談に応じる月額500円のリモートサポートサービスも重要だ。これは提供開始後1年で、NTT東日本で100万契約を突破し、NTT西日本も少し遅れてサービス開始したが、このような地道な、地域に密着したサービスの積み重ねで収益を拡大していくということ必要だ。
更に、ホームICTを今後の大きな柱にしたいと考えている。単にセンター側からホームゲートウェイのファームアップを行い、色々な家電等をコントロールをしていく事も新しいサービスとして当然必要であるが、同時に、宅内での地道なサービスもあわせて、取り組んでいく必要があると考えている。
1つ1つ新しいサービスを出す取り組みを行い、個々のサービスを積み重ねることにより、トータルの収入を拡大していく努力が必要だと考えている。
Q NTTグループ全体の決算の減収減益がNTTドコモの決算と同様になっているとの事だが、NTTドコモがNTTグループの経営の屋台骨であるという傾向が高まっているのか。
A 固定から携帯へという流れは、世界共通的な流れであり、私達もそう認識している。
Q NTTドコモに依存していることを肯定的にとらえて、経営にコミットしていく考えか、それとも携帯に次ぐ新しい事業をグループ内で作らなければいけないという危機意識を持っているのか。
A 両方だ。NTTドコモにはこれからも伸びて欲しいし、固定と携帯との融合や上位レイヤにおいては、他のNTTグループ企業とも関係してくるため、持株が連携をとる橋渡しになる必要がある。
NTTドコモには、自主的に色々と取り組み、収益、利益を拡大してもらいたいし、他の事業分野も伸ばしていく。それらがサービスとして融合していくならば、うまく橋渡しをしていきたい。伸ばせるところはすべて伸ばしていく。
Q NTTコミュニケーションズとNTTデータのSaaS基盤ができたという話があった。今後、SaaSについては中小企業がターゲットになると思うが、営業力や顧客との直接のコンタクトの面で、どのようにNTT東日本、NTT西日本を活用していくのか。
A SaaSについて、私達は「SaaS over NGN」というキャッチフレーズで取り組んでいる。クラウド、SaaS、PaaS、色々とあるが、これらをサービスとして売り上げを拡大していく。そのために一番大事なのは、セキュリティを含めて本当に安心・安全に使えるのかというところである。
NTT東日本、NTT西日本が提供しているNGNは、回線として非常にSaaSに適している。ブロードバンドがこれだけ安く普及している国は他にない。NTTコミュニケーションズ、NTTデータ、持株の研究所でつくったSaaS基盤は、もちろん基盤として大事であるが、同時に、ブロードバンドアクセスと、ネットワークの面でセキュリティの高いNGNも大事である。
また、私達は全国にデータセンタを保有しているので、仮にある地点に自然災害で問題が発生した場合でも即切り替えてほかのセンターを使うことができるといった広域なデータセンタ構想を含めSaaS基盤を確立することが、私達が一番できることであり、且つやらねばならないことだ。
NTTコミュニケーションズとNTTデータ、持株でSaaS基盤を構築したが、今後の展開に当たっては、中小企業がターゲットということになれば、NTT東日本、NTT西日本が役割を担う事も当然ある。
Q 光サービスの伸びを昨年と比較すると、解約率が高まっているように見えるが、解約の抑制という点でどのような対策をしているのか。
A 解約率は大体一定だ。契約の総数が増えているから解約数が増えているのが現状だ。決定的な対策はないが、例えば1つの解約防止の要素として、光配線方式がある。転居先のマンションに光が引けないという理由から解約になる場合もあったので、今後一層光配線方式を徹底していくことにより解約防止に努めていきたい。また、NTT西日本が既に取り組んでいるが、長期使用を前提にしたサービスも1つの対策になると考えている。それから、法人、個人それぞれのお客様ニーズに合ったサービスをもっともっと出していくことにより、解約の防止に努めていく。このような取り組みを幅広く実施することにより、解約率の低下に結びつけていきたい。
Q 今、最高裁で係争中の年金の減額訴訟に似た案件として、日本航空におけるOBの年金の減額の話がある。日本航空の話は、現時点もっと前の段階のところにあるが、この年金の減額問題が、他社に広がりつつあることについて、コメントをいただきたい。特に昨年は、年金の運用成績がトータルでマイナス17%であり、NTTも今回の第1四半期で年金費用を追加計上している。それらも踏まえ、コメントをいただきたい。
A 他社の話については、報道されている範囲の知識は得ているが、実際の財務の詳細はわからないのでコメントできない。私達に関しては、前々から申しあげている通り、どの程度なら経営状況が悪いというのかという認識において、大きな見解の差があるということだ。
特に通信事業というのは、赤字になってやりくりできないような状況に立ち至るとなかなか回復が難しい。私達から見れば、NTT東日本、NTT西日本の経営が大変だった状況は、年金の減額が認められる条件に当然当てはまると考えている。そうでなければ、会社が潰れかねない状況にならないと見直しができないということになりかねない。OBからも9割近い同意をもらっており、ぜひ理解していただきたいと考えている。
Q 上位レイヤを含め、十分なサービスを提供できていないとのことだが、どこに課題があるのか。次世代サービス共創フォーラムも、ずいぶん前からやっているが、どのような状況なのか。
A 少しずつだが個々には発表している。eラーニング分野でも先日業務提携をした。
もう一度上位レイヤサービスについて説明すると、ひかりTVなどの映像系サービスは、年度末ほどの伸びはないが、4月、5月、6月と、また回復基調に入ってきた。今年度は、140万契約とかなり高い目標を立てているが、販売自体は順調に伸びていくと考えている。
今後、個人のお客様向けには、eラーニングやホームICT、NTTドコモのフェムトセルサービス等、様々なサービスを展開していく。法人のお客様向けには、SaaSを含めたクラウドコンピューティングに取り組むことにより、収益を伸ばしていきたい。デジタルシネマは既にサービスを開始しているし、今後も、実験が終わったデジタルサイネージやテレプレゼンスなど様々な法人向けサービスを展開していく。これらの取り組みにより上位レイヤの収益を伸ばすとともに、光サービスの普及拡大に努めていきたい。

