Q 今回の決算内容について、減収減益ということであるがどう評価しているか。また、下期に向けた具体的な取り組みについて教えていただきたい。
A やはりトップラインが下がってきているということについては、非常に厳しい評価をせざるを得ないと思っている。一番大きな要素であるNTTドコモの端末販売数の減については、バリュープランを含めいろいろな制度的な要素もあるので、いつまでもこの減少傾向が続くとは思っていない。実際に徐々にサチュレートしてきており、どこかで買い替え需要は起こってくると思うが、それはそれとして、やはり厳しい状況が続いているのは確かである。
そのほかの分野で言うと、SI事業については、景気は回復基調にあると言われ、一定の受注もあるが、価格競争や値下げ要請も多く、利益面では非常に厳しい状況が続いている。また、NTT都市開発では最近のマンションの値下がり状況などを踏まえ棚卸しで一定の減損をせざるを得ないという事情もあるなど、それぞれの分野で厳しい状況が続いている。
したがって、下期においては、もちろんグループを挙げて増収努力をしていくが、それと同時に、コスト削減にも取り組んでいく必要があると考えている。今回、利益については当初の業績予想を据え置いたのもその辺を考慮に入れたうえでのことであり、営業利益については確保すべく努力していきたい。
Q 景気について、厳しい景気が続いており、なかなか先の見通しがつかないところもあるが、今後の景気の動向がもたらす御社の業績への影響について教えてほしい。
A 全体のマクロの景気が今後どうなるかということについては、様々な見方や議論がある。確かに景気は底を打ったのではないかと言われており、アジア向けの輸出の増加、エコポイントなどの経済対策効果による需要増、あるいは在庫調整等が一巡したことなどいろいろな要素によって一部明るい兆しがあるのは事実だと思っているが、私としては、雇用情勢、企業の設備投資等といった面を見ると、やはりまだまだ厳しい状況が続いていると思っている。
そういう前提に立って、我々の事業への影響ということを考えると、先程SI事業は値下げ要請等があり非常に厳しいと述べたが、まず法人ユースにおいて直接的な景気の影響があらわれてくるだろうと思っている。また、光の需要、携帯の販売数といったところにおいても、まだまだ厳しさは続くのではないかと思っている。
Q 総務省のICTタスクフォースについて、三浦社長も国際競争戦略の部門で参加されているが、このタスクフォースで今後議論していきたい内容、取り上げていきたい具体的なテーマがあれば教えてほしい。また、それに向け克服すべき課題といったものがあれば教えてほしい。
A 国際競争力の強化といったときに、我々NTTを含めたキャリアとしての国際競争力の問題のほか、ベンダ、コンテンツサプライヤ、もう少し広く言えば上位レイヤ等それぞれの分野での国際競争力の問題があると思っている。
したがって、我々は以前よりコラボレーションという言葉をよく使っているが、我々NTT自身としての取り組みをきちんと説明していくと同時に、ベンダの方々や上位レイヤの方々を含め、いろいろな方々とコラボレーションをし、そのなかで成功のビジネスモデルを作り、海外へも展開していくべきだということを、出来るだけ具体的にお話しをしていきたい。
Q 政府が2009年度補正で15兆円の経済対策を打ち、今回、3兆円の見直しがあったが、そのなかでブロードバンドゼロ政策として、かなり税金を使いブロードバンドを広げていこうという動きがある。この景気対策に伴う御社の業績に与える影響はどうか。2010年度通期の見通しでも結構だが、どれぐらい見込んでいるのか。数字があれば教えて欲しい。また、今回、政府が景気対策という名目ではあるが、公費を投入したことに対する社長のお考えを伺いたい。
A 補正予算に関する具体的な展開はこれからが中心である。現在、補正予算をベースに、地方自治体でも個々に具体的な進め方をしているので、少なくとも2010年度においては、そんなに大きな事業計画上の影響というものは出ず、むしろ、来年度以降に出てくると思っている。
デジタルデバイドの問題は、これまでもいろいろな議論をされてきたし、地方自治体を中心に、各地でそれぞれの取り組みが行なわれていたわけだが、今回の措置により、国として取り組むということで、地方・過疎地も含めてブロードバンドの普及がかなり進展するのは事実だと思っている。現在、光エリアは9割を超えるところまで拡大している。残り10%についても、これまで地方公共団体とIRU方式などいろいろな取り組みによる拡大に努めてきた。今回の国の取り組みにより、さらに加速されるということなので、我々としても、企業としての事業収支を頭に描きながら、その補正の執行に当たって、参加していきたいと考えている。
Q 総務省のタスクフォースについてお伺いしたい。三浦社長は、3つめの国際競争戦略の部会に入っているが、実際にNTTの今後の組織のあり方や業績に影響を与えるであろう議論は、1つ目の部会で話し合われるのではないかと言われている。その1つめの部会にNTTに属している人間が入ってない、常に意見を言う委員として入っていないということについてどのように思ってるのか。また、NTTとしての意見を言う場が、ヒアリングのような形になるのかもしれないが、所々であればそれで十分と考えているのか。
A 今後の議論の経過を見なければ何とも言えない部分がある。しかし、これまでのいろんな研究会等で設定されてきたように、ヒアリング等何らかの形で意見を言う場はあるのではないかと思っている。そういう場で、先ほど来言っているようなことを含め我々が主張すべきようなことは、きちんとお話をしていきたい。
Q 去年の5月にサービス創造企業に転換すると標榜したが、その後、上位レイヤと言われる部分において、従来のビジネスモデルにはない事業がどれぐらい生まれ、売上高にどれぐらい貢献しているのか。また、そういった新たなビジネスが、中長期的にはどれぐらいの売上の割合を占めるようになると期待しているのか。
A これまでもご指摘を受けてきたが、上位レイヤの新たなサービスはなかなか出てきていない。率直に言って、いまの状況が十分だと思っていない。
ただし、例えば、光の映像サービスについては、去年立ち上げてからしばらく低迷していたが、秋以降、かなり手ごたえを感じるところまできているし、NTTドコモもBeeTVを出して、既に80万というような数字になってきている。このように、個々のサービスとして花開いてきている部分もある。教育ビジネスや法人向けのクラウド/SaaSといった分野においても、NGNの信頼性やセキュリティー、全国にデータセンターを持ち災害時にも切り替えできる等のバックアップ体制、そしてNTTファシリティーズが持つ環境対策技術等、我々の強みである様々な要素を含め、トータルとしての新たなサービスが生まれつつあるし、これからも拡大していきたいと考えている。
個々の売り上げがどれだけかというのは、なかなか表現しにくいこともあるので、事業構造について、2012年度までにIP系を中心とした新分野を75%まで拡大すると比率で示したものとご理解いただきたい。
Q 光サービスの解約が少し目立つと思う。やはり商品である以上、価格弾性値と普及の関係というものがあるのではないか。もう少し柔軟に考え、今後、光の値下げをするつもりはないのか、改めて考えを伺いたい。
A 価格の弾性値はもちろん考える。一方で、我々としては、単純に普及率だけを考えてサービスをやっていくわけにはいかないというのも事実。したがって、2011年度に収支相償をさせる、黒字化させるという目標を掲げている。仮に収入が少なくても、それだけコスト削減をやって、何とか収支相償はやろうということだ。
一方、契約数を増やすという努力については、やはりサービスをベースにやっていきたい。光映像サービスと一緒にご契約いただいたお客様は、比較的解約が少ないという事実がある。また、解約される理由として、転居先のマンションなどで設備がないといった話もよく聞くので、昨年から光配線方式の導入に積極的に取り組んでいる。光配線方式を普及させることにより、転居に伴う解約はできるだけ防ぐ、転居先でも光を提供できるといった体制を充実させていく。これらを含め、ご契約をいただくためのサービスの充実や設備の充実に取り組んでいきたい。
したがって、いま、単純な値下げをしようという考えはない。もちろん、料金等の多様化などはいろいろと考えられるが、現時点は2011年度の収支黒字化という目標もあるので、単純な値下げは考えていない。
Q NTTドコモについて、いつまでも減収傾向が続くわけではないという話があった。今回の中間決算では、連結の売上高が5兆円という1つのラインを下回ったということだが、現実的にどのあたりでトップラインの減少傾向に歯どめがかかると考えているのか。NTTドコモだけではなく、固定の減少や景気の影響を危惧しているNTTデータやNTTコムの法人需要等も踏まえ、どのあたりで売上高の下げどまりというものを見ているのか教えて欲しい。また、トップラインが伸び悩む、もしくは減少するという状況が続くなか、コスト削減にずっと取り組んできているが、もとの計画に比べて具体的に何をどのように下げ、どれだけのコストダウンができるのか、どれぐらいコストの削減の余地があるのか、コストの削減についてもう少し詳しくうかがいたい。
A 今期、11年ぶりに半期の決算が5兆円を割った。我々は、このトップラインの減少を非常に深刻に受けとめている。もちろん、年度後半のほうが収入が増えるのがこれまでの傾向であり、業績予想で連結売上高10兆円を切るわけではないと考えているが、やはり1つの象徴的な数字だと捉えている。そういう意味で、あり得るとすれば、連結売上高10兆円の大台を確保できるのか否かが1つの大きな数字の転換期だろうと思っている。
いまの時点でいつになったら下げ止まるのかということだが、トップラインの減少というのは、景気の状況の影響もあるので、必ずしも、いつになったら下げ止まると見ているわけではない。ただ、端末販売数の落ち込みは、そろそろサチュレートし、かなり底に近づいてきていると感じている。ほかの要素で減収を食いとめることによって、できるだけ早い時期にトップラインの下げ止まりを実現したいと考えている。
コスト削減については、いろいろな施策に取り組んでいるし、これからもやっていく。実際に昨年から今年にかけて、効果が少し出てきている、例えば料金業務やオペレーションセンターの集約による合理化が、典型的な例である。同時に、合理化は、企業にとっての永遠のテーマだと思っている。やはり絶えず業務フローを見直していくことは必要だ。新しいサービスや新しい仕事に取り組む上で、業務フローの見直しによるコスト削減を図るということは、企業にとっての永遠の課題であると私は思っているし、今後も続くと思っている。したがって、更なる集約などに今後も取り組んで行くと同時に、絶えず日ごろの業務フローを見直し、更なるコスト削減に取り組んでいく。コスト削減の余地はまだあるし、やっていかなければならないと考えている。
Q ソフトバンクやKDDIは、事あるごとに、オーストラリアやニュージーランドでは国費を投入して光ブロードバンドを整備しているという事例を挙げ、日本でも国費を投入してブロードバンドを整備するべきだという意見を主張している。それに対して、NTTもいろいろ反論があると思うのでお伺いしたい。
A 日本は世界で最もブロードバンドが普及している。ブロードバンドの定義にもよるが、ADSLも、あるいは、CATVも皆含めれば、もう日本の99%と言っていいぐらい、ブロードバンドは普及している。光についても、既に我々NTTだけでも9割を超えるところまできている。先ほど質問があった補正予算も含めて言えば、デジタルデバイドの問題というのは更に解消の方向に向かっている。
オーストラリアやニュージーランドで議論がなされている背景は、ADSLでさえなかなか競争が進まないし光はほとんどまだ緒についていないという状況のなか、世界のブロードバンドの進展状況からこのまま放置したら国際競争に遅れてしまうという面から国が直接光を敷設しようとしている取り組みだと理解している。
したがって、日本とオーストラリアとは全く違う。光は既に9割まできており、今後、国費も投入されて更に拡大していこうとしている現状があるなかで、今更というのが私の感じだ。国同士を比べたら、状況も、中身も、進展具合も皆違う。180度違うとまでは言わないが、それでも今更という感じがしている。
Q イギリスのBTにおいけるオープンリーチのような別会社を作りアクセスの卸売りをするような形態というのも考えられるが、それに関しての見解はどうか。
A これまでも言ってきていることだが、イギリスも同じだ。なぜあのような仕組みをとったのかというと、イギリスも競争が全く進展しなかった。従って、放っておけないということでADSLを含めて競争を進展させるための1つの方法として、あのような仕組みを入れたわけだ。日本は、世界のなかで、ブロードバンドの普及率も高いし、競争も進展している。我々は光もオープンにしている。いろんな条件がほかの国とは違うということは、是非ご理解いただきたい。
Q 日本では競争が進展していると評価されたが、実際、FTTHの市場では7割以上がNTT東西という状況だ。これでも競争は進展していると考えているのか。
A FTTHの競争は地域によっても違うし、CATVとも熾烈な競争になっている。ブロードバンドの競争というのは、光だけの競争ではない。利用の仕方によって、ADSLも含むブロードバンドトータルでの競争になっているというのは事実だ。
それから、光における競争も、地域によって大きく異なるので、トータルでのシェアではなく、競争になっている地域のシェアを是非見てほしい。大都市において、光のシェアは7割以上がNTT東西というような状況では決してなく、むしろ競争相手のほうがシェアが高い地域や県というものもある。確かに地方でほとんど競争が入っていないような地域では、どうしても我々のシェアが圧倒的になるから、それらを含めると、トータルで高い数字になるが、実際に競争が起こっている大都市を中心に見てもらえれば、かなり数字として変わってくる。
CATVやADSLとの競争も含め、ブロードバンドトータルの競争というのを是非見てもらいたいというのが私どもの意見である。
Q 本日、NTTドコモが、株価が上場来安値ということもあるのかもしれないが、自社株買いの再開を発表している。三浦社長は前回決算のときに、中間決算までに持株会社としての考え方を表明するということだったが、現状でどうなっているのかをお伺いしたい。
A 確かに前回、中間決算までにと言ったが、結論から言うと、まだ結論を出せていない。もちろん財務状況も非常に大事なのだが、持株の場合は、金庫株の消却の問題もあり、自己株買いを新たにやる場合には、オーバーハングという問題も考えておかなければならない等、いろんな課題がある。そういう意味で、現時点、まだどうするか決めていないのが現状である。
ただ、いずれにしても、中期経営戦略でも言ったように、中期的な株主還元には取り組んでいく。中期経営戦略の中で、少し配当に重点を置いていきたいと言ったが、是非、この問題も中期的な観点で見ていただければと思っている。いずれにせよ、はっきりした段階で申し上げる。

