Q 光サービスの契約が伸び悩んでいるのはなぜだと考えているのか。また、総務省は光アクセス100%を目指すと言っており、その点は社長も思いを共にされると思うが、今後契約を伸ばしていくために、国として、あるいはNTTとしてどのような取り組みが必要と考えているのか。
A もともと光3,000万契約という目標を最初に打ち出したが、これは電話の約半数を光にしようというのが目標であった。その後、様々な変化が出てきている。一番大きな変化は、当初予想した以上に携帯電話の普及が進んでいるということである。現在では、映像サービスも含めて携帯電話は必需品になっており、携帯電話と固定電話をどのように組み合わせていくかという状況である。法人ユーザーなど、固定電話が引き続き必要なことは当然だが、サービス全体の流れでは大きな変化が起きている。
そのような状況のなか、我々は固定通信では光サービスを中心に位置付けており、この基本的な考え方は変わらない。そのためには、エリアカバーを広げていくことも重要だが、同時に、光サービスの利活用をどのように進めていくか、使いたいと思われるサービスをどのように提供するか、これも重要である。私は、エリアカバーを広げていくことと利活用を推進することは車の両輪だと申し上げてきた。
我々もまだサービスが十分ではないと認識している。これまでも、ファンドを組んで様々なサービスを他企業と共同開発したり、あるいはコンテンツプロバイダーに様々なサービスを出してもらう働きかけを行ったり等、様々な形で取り組んできたが、これからも継続強化していきたいと考えている。
それと同時に、ブロードバンドサービスを普及させるためには、電子政府や教育の問題など、国や地方公共団体の公的なサービスの電子化も非常に重要な要素になると思っている。日本では、特に公的機関の利活用が進んでいない。世界でみると、韓国は光のエリアカバーなどインフラは日本と同様に進んでおり、さらに利活用が進んでいる。また、シンガポールをはじめアジアの様々なところで、メタルであるにも関わらず利活用が進んでいる。日本でも、もっと公的な部分で、電子政府を含めて利活用も進めてほしい。
韓国では、電子政府を利用すれば様々なインセンティブがつく。インセンティブの方式は地域によって違うが、色々な工夫を凝らしている。日本でも、我々事業者の新しいサービスの創造とともに、政府並びに地方公共団体の取り組みも是非お願いしたい。それらが両々相まって普及が進んでいくのではないかと思っている。
Q 景気の先行きについてどのように見ているか。特に企業のニーズという面は景気に大きく左右されると思うが、御社の業績への影響をどのように考えているか。
A 一時のような、いわゆる危機的な状況は回避し、少しずつ景気が回復しているというのは事実であろう。ただ、日本の経済を見たときに、本格的な回復には至っておらず、雇用問題もまだ問題を抱えている。デフレの状況も続いており、様々な課題がある。
国際的には、中国を筆頭にアジアが非常に成長しているが、金利の引き上げなど、様々な景気対策が取りざたされている。このままこの成長が続くのかどうかという見方もあるし、ギリシャに端的に表れているような金融不安の問題というものもある。様々な施策はとられているが、まだ予断を許さないというのが実態であろう。
NTTを含め、通信事業者は景気の影響を受けにくい分野であるが、SI事業などの分野では、景気が悪い状況においてはどうしても顧客企業の設備投資の抑制による影響が出ていた。そういった点では、景気が少しずつ回復基調になっており、SI事業などは前年に比べれば少し上向くのではないかと見ている。また、NTT都市開発が取り組む不動産事業やNTTファイナンスの金融事業は非常に大きな影響を受けてきたが、今年は少しは回復してくるのではないかと見ている。我々の事業トータルにおける相対的な影響はもともと低いが、少し回復基調に入ってくれるのではないかと見込んでいる。
Q 民主党は参議院選挙の政権公約をめぐり、次の衆議院選挙の後に消費税の引き上げを行うと明記する方向で議論を進めると決めたとされている。消費税の引き上げについて、社長のご見解を伺いたい。
A 今様々な議論がされているが、2010年度予算における44兆円の国債発行というのは税収を上回っており、端的に言って本当に厳しい財政状況である。今後、少子高齢化が進んでいけば、社会保障費というのは必然的に増大せざるを得ない。それらを踏まえると、歳出歳入全体で見直しを行い、健全化の方向性を目指していかなければならないというのは当然のことだ。
そういう中で、税制についても、全体を見直していく必要があると思っている。法人税、所得税、消費税、これらを含めて税制全体をどのような方向に見直していくかという議論を進める必要がある。消費税についても、世界的に最も低い比率であり、安定的な税収確保という観点から、当然、値上げの対象にせざるを得ないと考えている。
Q 今回、自己株式の消却を2段階で一気に行うということだが、なぜ今この時期なのかをお伺いしたい。また、今回の消却により全発行済み株式総数が減ると、政府比率が40%ぐらいに上がるが、政府が放出した際の対応について、コメントをいただきたい。
A 今なぜというご質問だが、我々は、2010年ごろに明らかにするとずっと言ってきた。設備投資がピークアウトして減ってきたということはご案内のとおりであり、これに象徴されるように資金的な目途がついたということである。もともと2010年というのは、そうした意味も含めて言ってきたものであり、今回、具体的に明らかにしたということである。
今回、自己株式の消却を行うと、政府の持ち株比率が高まり3分の1を超えるオーバーハングという状況になる。政府がどうするかというのは政府の判断であるが、仮に政府が売り出しをするのであれば、これまでやってきたように、自己株式買いを行いたいと考えている。
Q 光の道構想について、光を普及させるためにはNTTを分割すべきというソフトバンクの主張があり、タスクフォースでも光アクセス回線の分離の検討を深める必要があると報告書に盛り込むという話が出ている。これらの動きを含め、改めて光の道の実現に向けた考えを教えて欲しい。
A 光の道は、光だけではなく無線もCATVも含む、ブロードバンド普及の象徴とのことだ。ブロードバンドの普及に向けて、固定で言えば光、無線で言えばLTEや3Gなどトータルで進めていくということについては同じ考え方であり、グループとしても取り組んでいく。ただし、そのための方法としては、エリア拡大もしていくが、同時に利活用を進めていくことが普及に結びつくということである。私たちも様々なサービスを創出し、普及に努めていくが、同時に、政府や地方公共団体においても利活用促進に向け取り組んでいただきたいと考えている。
分離等の話については、まだタスクフォースの結論は出ているわけではなく、最終的にどのような表現になるかによって我々のコメントも変わってくると思うが、基本的に、分離・分割をすることと、光サービスの普及は、直接的には結びつかない。むしろアクセスだけを分離することについて申し上げると、時間もコストもかかるし、サービスを持たないという意味でインセンティブも働かない、イノベーションも起こらないということである。分離・分割の定義にもよるが、例えば、イギリスはADSLが国際的に見て遅れていることから機能分離を行ったが、結局、光の普及は全然進んでいない。既に議論されていることだが、やはりアクセスにはアクセスなりのイノベーションが必要であり、設備とサービスを分離すると、そのようなイノベーションが起こりにくいと考えている。先日のヒアリングで明らかにした考え方は変わっていない。
Q 分離に関しては反対ということでよいか。
A よい。
Q 来期の光210万回線純増について、どのような積み上げでこの数字を出したのか。
A ここ1、2年の純増数は、対前年で見ると減ってきており、その傾向だけ見ると、210万回線という数字は厳しいという見方もある。しかし、我々は、利活用促進を中心に更なるサービス普及に取り組んでいくし、政府からIT戦略本部も今後電子政府をはじめ利活用に取り組んでいくという方針も出ている。これら様々なことを考えると、光の普及には、まだ可能性はあるし努力していきたいと考えている。
ちなみに、本年4月の純増数は、26万4,000回線であり、前年の26万3,000回線に比べると、1,000回線ではあるが上回る結果が出ている。今後の取り組みや景気など様々な状況変化は考えられるが、210万回線の達成は可能だと考えており、頑張っていきたい。
Q 光を普及させるために、料金を引き下げることはしないのか。
A 2011年度に光収支の黒字化を目標にしていることもあり、現時点単純な値下げは考えていない。ただし、使いやすい料金という意味で、様々な料金体系のあり方を検討していきたいと考えている。
Q もう少し具体的に教えて欲しい。
A 単純な定額制だけではなく、準定額など様々な料金体系について、様々な観点から検討していきたいということだ。
Q NTTドコモの成長が頭打ちになってきているが、今期の増益見込みの大半は、NTT東西の収益改善ということか。次に、光の道構想について、本日方向性の案がタスクフォースで出されるが、収益に貢献してくるようになってきたNTT東西の先行きが見通せなくなってくるのではないかと感じている。仮に分離の方針が盛り込まれた場合、NTTはどのような姿勢をとるのか。行政訴訟など色々考えられるが、考え方を聞きたい。最後に売り上げの今後の見通しについて、減収がかなり続いてきたが大分減収幅も狭まってきている。増収に転じるのはいつ頃と見込んでいるか。
A タスクフォースの結果は、まだ出ていないため、どうするのかについては現時点差し控えさせていただく。
通期の見通しは対前年473億の増益だが、NTT東西、NTTデータ、NTTドコモなど各社様々な要因がある。例えば、NTTコミュニケーションズは減収幅が大きいが、子会社で増益を見込んでいる。厳しいながら、各社とも前期よりは増益になっていくと見ていただきたい。
10兆円のトップラインについては、前回、私自身も重く受けとめていると申し上げた。まだ安心はできないが、少なくとも今年度については10兆円を切るということはないと考えている。例えばNTTドコモの販売数を見ても、これまで新料金プランのために急激に販売数が落ち込んでいたが、今年度はほぼ横ばいを見込んでおり、かなり落ち込み幅が縮まってきたのは事実だ。現時点は増収基調という状況ではないが、M&A含めて事業領域を拡大していき、トップラインの減少に歯止めをかけ、増収に向かうよう取り組んでいきたい。
Q 法人事業の業績は、NTTドコモ、NTTデータ、NTTコミュニケーションズを中心に2008年度、2009年度と悪かったかと思うが、法人の受注や受注見通しで考えると悪い時期はほぼ脱したという認識を持っているのか。
A 景気にも関係するが、トータルでは少し上向いていると思う。もちろん、業種によってバラバラであり、同業種においても企業によって相当濃淡がある。いわゆる斑模様というのが実態だと思っている。
ただ、法人営業、特にソリューション部門をトータルで言えば、悪い状況も底を打って今年度は少し伸びるのではないかと考えている。
Q 自己株式消却の件で、政府が株式を放出した際には、その株式を買い取るとの話であったが、買い取ると、また自己株式が増えることになる。5回、6回とそれを繰り返すと、自己株式、オーバーハングともにゼロになるという計算もあるが、それを前提に消却を実施しているのか。
A 今回の消却は、これまで長く保有していた自己株式を1度すべて消却するということを決定しただけである。消却を繰り返し、金庫株、オーバーハングともにゼロにするということまで今回決めたわけではない。それは、今後の検討課題だと思っている。
Q 4,000億円を目標にしていた国際事業の進捗状況と、今後の見通しを教えてほしい。
A 確かに2007年度の国際事業の売上げ2,000億円に対し、2010年度の売上げを約4,000億円にするという目標を掲げ取り組んできた。しかし、管理会計ベースだが、2009年度の売り上げは2,700億円であり、4,000億円は非常に厳しい数字になっている。
ただ、この厳しい状況の1つの大きな要因は、為替レートの変動である。為替を2007年度と同水準とした場合、2009年度の国際事業の売上げは3,400億円に相当する。つまり、現地通貨ベースでは事業は順調に伸びているが、為替レートの影響であまり大きな伸びになっていないというのが現状である。
今後については、グループ各社がM&A含め、ICTのトータルソリューションとしての拠点の充実やサービスの充実などによるグローバルのネットワークサービスの普及拡大、モバイルを含めた上位レイヤサービスを展開しながら、目標の4,000億円に少しでも近づく努力をしていきたいと考えている。
Q ICTタスクフォースに提出した資料にあった料金の準定額サービスについて、事業会社の今年度の事業計画には掲載されていなかったが、検討はどの段階と考えればよいのか。例えば、2011年度の収支や光事業の黒字化を見つつサービス開始時期を検討しているのか。それとも光の目標である純増210万回線が厳しくなったら、すぐにもサービスを開始する考えなのか。
A 例として挙げたものであり、まだサービスの中身を詰めているわけではない。したがって、サービス開始時期も含め、現在NTT東西と議論を進めている状況だ。
Q ICTタスクフォースで議論されている光の道実現のため、メタルのマイグレーションについてもNTTに様々な要請が来ると思っている。今のところ、概括的展望は今秋に公表するとのことだが、ICTタスクフォースの要請に応じて公表できるところから公表していくということはあり得るのか。
A 少し誤解を与えていると思っている。あくまでも秋に公表するのはPSTNにおけるコアネットワークをマイグレーションしていく、IPネットワークにマイグレーションしていくということである。
メタルアクセスについては、光事業者、CATV事業者、携帯だけではなく、WiMAX、Wi−Fi含めた無線事業者とのサービスの競争の結果として、様々な事業者にマイグレーションされていくということである。ぜひご理解いただきたい。
したがって、我々が今秋公表するのは、あくまでもコアネットワークの電話網をIPネットワークに移行させていくということである。その際に、公衆電話などのサービスをどのようにするのかという概括的展望を公表したい。
Q 当期純利益について、今期NTTドコモは4,971億円、NTTは4,923億円と、NTTドコモの方が上回ってくる。これは、去年まではなかったのではないかと思うが、初めてのことと認識していいのか。またこのトレンドが今後も続くようなことがあるのかどうか。
A(小林財務部門長)
当期純利益の算出方法はNTTドコモもNTTも同じで、営業利益と営業外利益を足して、税引き前利益を出す。その後に、法人税等や持分法等の損益を取り込み、非支配持分を含めた当期純利益を出す。更に、非支配持分を控除し、NTTでいえばNTTに帰属する当期純利益を出すことになる。当社が非支配持分を控除する際であるが、NTTドコモには3分の1程度、NTTデータには40%強の非支配持分の方がいるので、その分を当方の利益から控除するという計算になる。その工程を経て、最終的にNTTに帰属する当期純利益は4,923億という数字になる。なお、NTTドコモの当期純利益においても同じような計算をしていくわけだが、NTTドコモでは非支配持分として控除する金額はあまり大きくなく、強いていえば前年度M&Aをした子会社の関連で発生する分が大半なので、NTTドコモの非支配持分控除後の当期純利益は控除前の当期純利益とそれほど大きな差がない。NTTの非支配持分の利益は金額が大きくNTTドコモの非支配持分とは差がでるということだ。
A(鵜浦副社長)
補足すると、当社に帰属する当期純利益は各社の当期純利益から成り立っている。したがって、固定系等100%子会社の当期純利益が十分上がれば当社の連結上の当期純利益も上がっていく。100%子会社の利益が低くなって、我々の100%出資でないところの利益のウエートが高くなれば、取り込み率の関係で少し厳しくなってくるということだ。長期的な傾向をどう読んでいるかというと、固定系子会社のような利益を十分確保していけば、先ほど言われたような数字にはなっていかないと思う。
A(丸岡広報室長)
過去の実績だが、2005年3月期、それから2006年3月期については、NTTドコモの当期純利益がNTTの連結よりも上回っており、今回と同じ事象が過去にもあるのでご紹介しておく。
Q 前年度は営業利益が国内トップだったが今年度はどうか、トップだとするならばそれについての感想をお伺いたい。また、設備投資を減らしてきたとのことだが、今後はどのような方針なのか。
A 現時点発表されている中では、当社が一番大きいと思っている。しかし、これは相対的なものである。ドコモの利益が更に大きかった数年前は、連結の利益も更に高かった。日本で一番大きいから即ちどうこうとは思っていない。ほかの企業も今は増益基調になっており、これから海外の景気が復調すれば、自動車産業を含め我々を抜く企業が当然出てくると思っている。
設備投資については、これから様々な変化が出てくる。固定事業については2010年度にNGNのエリア拡大は東西ともにほぼ100%に達する。マイグレーションなどにおけるコストがどれぐらいかかるのかという要素はあるが、固定事業については基本的に減少していくと考えている。
また、NTTドコモの設備投資も若干減っているが、これはLTE投資も含めて減っているということである。基本的にはこれまでの投資額と大きな変化がない範囲でLTEの拡大を進めていきたいと考えている。
したがってトータルとしての設備投資は、一時的な変化が起これば別だが、基本的には少しずつ減っていく傾向を維持できると思っている。

