Q 金庫株の消却について伺いたい。この消却によって、政府株はオーバーハング状態になる。以前より、政府が保有株を売却した場合は改めて自己株を取得すると表明されているが、その時期について政府と話し合いをしているのか。話し合いをしているのであれば、いつごろになるのか。2回目の消却とどちらが先になるのか。
A 現時点で政府と具体的な話はしておらず、政府からも、オーバーハング分の政府保有株を放出するという動きは聞いていない。政府の意向に沿って、仮に政府が売ることになれば、自己株取得で応じたいと考えている。来年度の消却の時期については、まだ決定していない。まずは今年度の消却を実施したいと考えている。
Q 「光の道」構想の最終報告が、今月末にも取りまとめられるとのことだが、改めてNTTの考え方と、先日ソフトバンクが新たな共同出資会社の設立構想と以前の提案の修正案を公表しているが、それに対する社長の考えを伺いたい。
A 基本的には、これまでタスクフォースで述べてきた考えと変わっておらず、本日総務省で行われるタスクフォースのヒアリングの場でも、同じ考えを主張するつもりである。それは、NTTは、これまでブロードバンドの普及・拡大に世界のどこよりも熱心に取り組んできており、クレイジーだと言われながら「光の道」にも光化の進展にも努力してきたということである。エリアカバレッジは9割まで達しており、これからも普及・拡大に努めていきたい。ブロードバンドの普及については、NTTの光だけではなくCATVもあるし他事業者の光もある。NTTドコモが今年12月からスタートするLTEもある。設備競争とサービス競争の両面を通じて、ブロードバンドを普及・拡大していくことが重要である。
これからのブロードバンドの普及・拡大は、やはり利活用を促進していく必要がある。特に、IT戦略本部を含め様々な機会で申し上げているが、日本はパブリックセクターでの利活用が非常に遅れている。隣の韓国と比較してもそうである。教育、医療、あるいは電子政府を含め行政などにおいて、ぜひ利活用を促進していただきたい。NTTも協力する。ICTの利活用をどんどん進めることによりブロードバンドの普及も図れるのではないかと考えている。
また、ICTの利活用を進める上で大事なのは、もちろんネットワークの問題もあるが、コンテンツアプリケーションから使いやすい端末まで含めたトータルのシステムとして使いやすいものであるということだ。
タスクフォースでも様々な論点が提起されているが、NTTは世界のどこよりもネットワークのオープン化を行っている。光についても、既にダークファイバとしてオープンに貸し出している。海外の事業者から「NTT、よくそれでやるね」と言われるぐらいの様々な形での規制も受けている。これ以上の規制強化はして欲しくないし、むしろ電話時代の規制からIP化の時代にふさわしい規制の見直しをして欲しいと主張していくつもりである。
ソフトバンクから新たな主張が出てきたと言われるが、基本的にはそんなに変わっていないと思っている。政府や他事業者も出資するという点はあるが、従来の主張と大きく変わってないと捉えている。
ポイントだけ申し上げると、5年で強制的にすべて光化するというのは非現実的で無理だと考えている。物理的にも様々な課題があり、サービス的にも課題がある。今までメタル回線を使ってPSTNでサービスをしてきたISDNや公衆電話等の様々なサービスをどのようにしていくのかということも考えなければならない。無線だけでいいというお客様もいる。設備競争とサービス競争の両面でブロードバンドサービスを普及するのだから、一律光化するというのは政策的にもおかしいし、ユーザ負担というものも大きい。いずれにしても非現実的であると考えている。
試算内容も引き続き非現実的である。様々なことが書かれているが、私どもから見ると、ごく一部修正はされているが、ランニングコストから見ても、設備工事コストから見ても、とても1,400円で提供できるはずがないし、あの投資額でできるはずもない。1.6兆円、そのほかの撤去費含めてトータルで1.9兆円の特損計上も相変わらず前提になっている。また、仮に分離分割ということになれば時間もコストもかかる。それぞれの会社の事業を管理をするためにシステムも構築しなければならない。そのような様々なことを含めて考えれば、明らかに株主価値の毀損になる。今回の主張については非現実的で、あり得ないことだ。
Q M&Aについて、サービスメニューは揃ったが、まだ十分ではないというお話があった。その中でも上位レイヤを充実していきたいという話があったが、なぜ上位レイヤなのか。その狙いと上位レイヤのうちでも具体的にどのような分野でどのようなビジネスを想定されているのか。
A 情報通信の世界は、まさにパラダイムシフトが起きて、GoogleやAppleなど次々と新しいビジネスモデルが誕生しており、従来のキャリアとしてのネットワークサービスを安心・安全に提供するだけではやっていけなくなった。私が社長になって発表した中期経営戦略の「サービス創造グループを目指して」というのは、そのパラダイムシフトを捉えてのものだ。
サービス創造グループを目指していくためには、NTTだけで全てできるわけではないが、上位レイヤやコンテンツを含め充実させていく必要がある。その結果として、ネットワークサービスの拡大にもつながっていくと考えている。
例えば、セールスフォース・ドットコムと提携するなど、海外も含めて個々には様々な取り組みをしている。KTと共にカリフォルニアのシリコンバレーで様々な企業と議論を深め、場合によってはファンドを使って出資もしている。しかし、まだ本当の意味でのキラーコンテンツになるには至っていない。これをやればというものがあるわけではないが、コンテンツの充実を含めサービスメニューを多様化していく。その中でキラーになるものも生まれてくると考えており、M&Aや提携を含めて幅広く取り組んでいく。
Q 通期の営業利益を上方修正しているが、その要因は、NTT東西の音声の落ち込みが想定ほどではなかったからということでよいか。
A それが一つの要素であるが、NTT東日本とNTT西日本合わせて220億円の上方修正とNTTデータの150億円の下方修正の差し引きはプラス70億である。連結として150億の増益予想としたのは、NTT東西以外のほかのグループ会社にも少しずつ増益を期待しているということである。
Q ディメンション・データについて、10月に正式に子会社化したが、今期は5ヶ月分が連結決算に組み込まれるということでよいか。また、正式に子会社化することで、大体どれぐらいの利益寄与があるのか。
A 今期は5ヶ月分が連結に入ってくるわけではない。具体的には、まだ詰め切っていないので、はっきりとは申し上げられないが、ほかの海外子会社のように四半期遅れで連結に入ってくることが多い。したがって、11、12月の2ヶ月分が決算に入ってくる予定だとご理解いただきたい。
利益については、約2億USドル単位の利益が出ると想定している。
Q 2ヶ月分で連結の営業利益への寄与はおよそ200億円前後となるということでよいか。
A 2億USドルは年間である。季節変動もあり単純ではないが、年間の6分の1なので今期においては大きな影響があるわけではない。
A (渡邊取締役経営企画部門長)
補足させていただく。年間売り上げは11月、12月分、つまり年間の6分の1が計上されるが、利益は買収に伴う経費が生じるため、今年のグループの連結決算に対する影響は非常に微々たるものだと考えている。
Q 今後、新興国でのM&Aが中心となってくるとの話だが、具体的にどの辺の国を想定しているのか。また、どのようなサービスを展開することを想定しているのか。
A 新興国市場が伸びていることと、新興国の企業を買収することは分けて考えていただきたい。ディメンション・データが、その一例であるが、新興国を含めて世界中で事業を展開している。市場として今一番伸びているのはアジアであり、今後は南米やオセアニア、アフリカと考えている。
しかし、買収という観点では、どこの国の企業かは別にして、伸びている市場も含めてグローバルにサービス展開できる企業が対象になる。
サービスの中身については、3つある。1つ目は、NTTコミュニケーションズが展開している法人向けのグローバルネットワークサービスである。これまでも取り組んできたが、NTTグループとしてはデータセンターを含め、まだ不足している。2つ目はコンシューマ向けの上位レイヤサービスである。3つ目は、ICTソリューションであり、今回NTTデータが買収したキーンがこれにあたる。キーンはアメリカを中心に事業展開しており、これでエリアカバレッジやサービスメニューが一通り揃ったが、ICTソリューションは次々と新しいサービスが出てくる分野でもあり、規模やサービスメニューの多様化の観点からM&Aを含め取り組んでいこうと考えている。
Q グローバル事業の売上について、2012年度までに100億USドルを目指すとのことだが、残りの60億USドルもM&Aで達成しようと考えているのか。
A まず今年度で40億USドルは確保できる。来年度からは、ディメンション・データの業績が全て計上される。来年度の事業計画はまだ策定していないが、ディメンション・データ分として40億USドルは加算されると見込んでおり、大きな変動要因がなければ、これまでの買収により80億USドル強の売り上げは達成できる見込みである。
Q そう考えると、100億USドルという目標は控え目な印象を受ける。
A 100億USドル以上を目指すとしたのは、そういう意味も込めてのことである。
Q タスクフォースの議論について伺いたい。三浦社長が本日タスクフォースには出席せず、アナリストミーティングに出席するのは株主重視の姿勢のあらわれかと思うが、一方で先日のタスクフォースにおいて、平岡副大臣から、「政治家が法改正をすれば、株主はそれを受忍しなければならない」という発言があった。株主利益をどのように考えるかについては、1999年の再編成議論のときに、NTTの組織分割と株主の利益の折衷案として持株会社方式が出てきたと認識している。今回の議論では、株主利益が重要であるから、どのような場合であってもNTTの組織の再編というのは難しいと考えているのか、あるいは、公正競争が損なわれ消費者に不利益を被らせるような場合には、それを是正することが株主利益を上回ると考えているのか、その相関関係についての考えを伺いたい。
A それはトータルで考えるべき問題である。平岡副大臣も、タスクフォースで発言されたことについては別途コメントされており、一般論として法理論的な話をされたと伺っている。株主の価値が毀損されることについては反対である、との基本線は変わらない。もちろんユーザサービスの向上も大事であり、トータルで判断すべきであると考えている。しかし、今回のソフトバンク案は、株主価値も毀損するし、サービスの向上も決して実現できない。むしろ、工事や設備更改等によりユーザにマイナスの影響を与える。いずれの観点でもとるべきではない。

