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社長記者会見

2012年11月8日(木)

社長記者会見の写真

2013年3月期第2四半期決算について
新たなステージを目指して
鵜浦社長
(同席)坂井取締役財務部門長
辻上取締役経営企画部門長

(司会)

 日本電信電話(株)の2013年3月期第2四半期決算の決算発表を始めさせていただきます。また、本日は決算発表に加え「新たなステージを目指して」と題して事業環境の変化等を展望した今後数年間のNTTグループの取り組みについても、続けてご説明させていただきます。

(鵜浦社長)

<2013年3月期 第2四半期決算>

 まず、2013年3月期の第2四半期決算について説明させていただきます。
 2013年3月期の第2四半期の決算のハイライトについては以下の通りです。
 営業収益は3期連続の増収でしたが、営業利益は残念ながら減益となりました。事業構造改革は着実に進捗しており、海外売上は対前年5億USドル増収の59億USドルとなりました。ユーザ基盤についても、競争が熾烈化しているものの、移動系では着実にスマートフォンの販売台数やXiの契約数を伸ばしており、固定系ではフレッツ光の契約数が1,700万契約を突破しました。
 さらに、映像サービスについては、ひかりTVやフレッツ・テレビの契約数が317万契約、NTTドコモのdマーケットVIDEOストアは275万会員となりました。
 株主還元については、既に発表しておりますが、10月までに1,304万株、500億円の自己株取得を実施し、今後、残りの分についても実施していくところです。
 また、今期当初に年間配当20円の増配を発表させていただきましたが、中間配当は10円増の80円とする予定です。

 次に、決算数値の概況について申し上げます。
 繰り返しになりますが、連結決算は増収減益の決算となりました。営業収益については、データ通信セグメントにおける海外M&Aによる連結拡大などの海外売上の増加、また移動セグメントにおける端末販売の拡大などにより、対前年828億円増の5兆2,374億円となりました。
 一方、営業利益については、長距離・国際セグメントでの増益があったものの、特に移動通信セグメントにおける費用が増加し対前年225億円減の6,630億円となりました。
 当期純利益については、法人税率の変更の影響もあり、30億円減の2,934億円にとどまりました。

 次に、セグメント別の状況について申し上げます。
 地域通信事業については、上期のフレッツ光の純増数が昨年同期比45万減という大幅減となり、純増数46万となりました。結果、音声伝送収入の減をカバーできず、対前年523億円の減収となりました。しかしながら、NTT東西およびNTT東西の子会社でコストコントロールに努めた結果、営業利益は対前年32億円の減益にとどめました。
 長距離・国際事業については、83億円の減収となりましたが、NTTコミュニケーションズが費用の効率化を進めたことにより、59億円の増益となりました。
 なお、ディメンション・データは、クラウド投資の先行などの影響から対前年22億円の減益となりました。しかし、クラウド投資の成果が着実に出てきているので、いずれまた回復軌道に乗ってくると思っております。
 移動通信事業、データ通信事業については、既に各社から決算発表があったが簡単にポイントを申し上げます。
 移動通信事業は、スマートフォンの販売による端末収入増により943億円の増収となったものの、営業費用において、端末機器原価、またmmbi等の新領域における先行コストなどが増加したことから、営業利益は315億円の減益となりました。
 データ通信事業は、旧Value Teamなどの連結拡大によって、359億円の増収となりましたが、グローバルビジネス強化のための費用増などもあり、営業利益では、残念ながら35億円の減益となりました。

 最後に、通期業績予想の見直しについて申し上げます。
 営業収益については、NTTドコモの端末販売等の拡大などによる700億円の増収を見込む一方で、NTT東日本のフレッツ光の純増計画数を80万から65万に下方修正したことによる減収100億円を織り込み、結果、600億円増の10兆8,100億円とします。
 営業利益については、NTTドコモがXiへの移行を図るとともに家族セット割などの長期継続利用ユーザのための施策を継続・強化することから、通期で800億円の下方修正しており、それを受けて連結でも同様に800億円引き下げ、1兆2,000億円とします。
 若干保守的な見直しに見えるかもしれませんが、堅めの線で見直したとご理解いただきたいと思います。NTTドコモをはじめ、その他の事業会社にも、下期にもう一度、利益の確保に努めてもらう予定であり、実際の着地は、この業績見込みを上回るように努めたいと考えております。
 当期純利益についても、営業利益の減を織り込み、450億円下方修正し5,300億円とします。なお、当期純利益は対前年では623億円の増益となります。
 EPSについては中期的な成長を目標にしておりますが、今回のEPSの通期見通しは、当初計画に比べ32.63円減修正し、対前年では70.56円、19%の増加を計画しています。

<「新たなステージを目指して」>

 それでは、このような足元の結果も含めながら、この後、中期的な利益の回復ならびに、成長への道筋等について説明させていただきます。

社長記者会見の様子 昨年来、この秋に新たな中期経営戦略を皆さんに明らかにしたいということを申し上げてきました。中期経営戦略のターゲット年度が1つの年度ではなく、それぞれの施策や項目ごとに幾つかのターゲット年度が必要だということも申し上げてきました。その理由は、我々のビジネスドメインである固定、移動、それから新たにチャレンジしているクラウドビジネス、この大きな3つの事業ドメインが、それぞれ様々な変化を遂げており、その変化のスピードが事業ドメインごとに違うため、1つのシナリオの中でまとめるということは非常に難しいタイミングに来ていると認識しているからです。
 現在から今後数年間は、過渡期的な状況ではないかと考えています。過去5年、10年を振り返ってみても、また次の5年、10年先を考えても、また大きな変化が起きるだろうと予測しています。このような中、今後数年間はつなぎ的な数年間になるという認識を持っており、よって新たな中期経営戦略のタイトルを「新たなステージを目指して」というタイトルにしました。

 それでは、新たな中期経営戦略の内容を申し上げます。
 この数年間、ビジネスのメインになるのはおそらくクラウド関連ビジネスであり、ビッグデータ等を主体にした大きなビジネス上の変革が起きると考えています。そういったマーケットの大きな変革は私どものビジネスにもさまざまな変革をもたらすと考えています。
 このような中で、イメージ通り円滑に現在から新たなステージへ変化するとは思っておりませんが、既に変化の兆しが出ており、ネットとリアルのサービス相互が融合した、より付加価値の高いサービスや、それを支える変化のEnablerとなる技術が出てきています。このような変化の中では、オープンでシームレスな利用環境がさらに進むと思いますし、進めていかねばならないと考えています。デバイスフリー、OSフリーといった、デバイスやOSに縛られない世界観、ユーザがそれらからもっと開放されて、よりパーソナルに、もしくは個別にカスタマイズしたような、シンプルでフレンドリーな世界を目指して、様々なプレーヤーが進んでいくであろうと考えています。

 我々もこのような変革を加速していきたい、競争の状況を変えていきたいと考えています。マーケットの変化というのは、競争の土俵も変えると同時に、私どもも自ら変革していく必要があることを意味していると考えています。その我々が変革していく姿を表現した言葉が、以前お話しした“ネクストバリューパートナーになりたい、なってみせる”ということです。

社長記者会見の様子 我々は“プロバイダー”から“バリューパートナー”へ変わっていきたい。
 クラウドの時代が進めば進むほど、ユーザの選択の機会が増える時代になります。言葉を変えると、ユーザは極めて容易に様々なサービスをスイッチングできる時代になるだろうと考えています。
 我々プレーヤーにとって大切なことは、ユーザに選ばれ続ける“バリューパートナー”であるということです。そのために、企業ユーザに対し、様々なビジネスモデルの変革やバリューチェーンのサポートを実施していきます。B2Cのビジネスモデルを企業ユーザに提供し、よりコストを削減でき、より収益が上がるようなお手伝いをします。こういったことが、我々が“バリューパートナー”となって選ばれ続ける1つの大きな要素であると考えています。
 もちろん個人ユーザに対しても、豊かなで安心・安全なライフスタイルをサポートすることが我々の仕事ですし、またそれが成長の源泉であると認識しています。
 NTTグループが果たすべき役割について、“S”を頭文字とする3つのキーワード“suitable、simple、secure”を挙げました。これは現在でも、また今後もそうあるべき我々のユーザに対する使命であり、もう一度、思いを整理するとともに取り組みを強化したいという考えから挙げたものです。
 我々は3つの“S”のミッションを果たしていきたい。この3つの“S”がユーザにきちんと評価された時が真の“バリューパートナー”であり、選ばれ続けるNTTグループということになるのではないかと考えています。

 “バリューパートナー”に向け、当面、我々が足元の経営状況も見つつ、今後どう取り組んでいくのかを申し上げます。先程申し上げたように今後数年間はつなぎ的な要素がありますが、これから3、4年は自らを変革しながら主に2つの取り組みをしっかりと実行していきます。
 1つ目の取り組みは、成長分野である「グローバル・クラウドサービス」を今後の事業の基軸としてNTTグループ全体の成長と変革を実現していくことです。
 また2つ目の取り組みは、既存の「ネットワークサービス」を効率化し、競争力を徹底的に強化することです。既存のネットワークサービスは、残念ながら成長がさほど大きくなっていくものではなく、緩やかに成長していくものだと認識しています。この「ネットワークサービス」については、FTTHやスマートフォンも含めて、効率化により競争力を徹底的に強化していきます。この2つが当面の取り組みです。

 まず、1つ目として「グローバル・クラウドサービス」の取り組みについて申し上げます。
 昨日の北米クラウド事業説明会において、「グローバル・クラウドサービス」を今後の事業の基軸と位置付け、「N-cloud」の取り組み、我々が持っているアセットや取り組んでいく方向について説明しました。この場では、なぜ北米のクラウド事業をスタートさせたのかという、私の1つの思いを紹介します。
 現在、世界で最も先進的な市場は北米であると認識しています。そこでクラウドサービスの開発を進め、新興国も含めたグローバル展開を考えています。特に新興国では一挙にクラウド化が進むという意味で、Skip to Cloudと言われていますが、そのようなマーケットのビジネスチャンスを逃したくないと思っています。もちろん先進国においても取り組みは必要ですが、新興国での取り組みがきわめて重要だと考えています。ディメンション・データを買収した目的の1つはそこにあり、今後は新興国への挑戦をスピードアップしていきたいと考えています。
 その点において、北米発でグローバルマーケットに進出することが、私どものクラウドビジネスをスピードアップする大きなポイント、重要な鍵だと考えています。
 日本発のグローバルビジネスというのも当初イメージしていましたが、国内マーケットにおいて私どもには規制があり、他の産業にも残念ながらさまざまな規制がまだ残っています。したがって、自由な国で新しいサービスを出し、それをグローバル展開していく。場合によっては、今後北米から日本にサービス提供していく。これは今すぐということではありませんが、そのような今後のイメージを持っています。

 続いて、「グローバル・クラウドサービス」のポイントを3点申し上げます。
 まず、セキュリティー基盤の強化です。セキュリティーは、企業ユーザにとってクラウドサービスを提供するうえで大変重要なポイントです。我々は現在、世界最大級のセキュリティーのインテグレーターになってきたと自負しています。
 しかし、このままでいいというわけではありません。今後更にレベルを上げ、セキュリティーのトップランナーとして不動の地位を確立していきたいと考えています。
 現在、NTTコミュニケーションズが買収したドイツのIntegralisと我々のR&Dチームが共同で、セキュリティープラットフォーム、特に分析エンジンであるSIEM(Security Information and Event Management)エンジンの開発に努めており、間もなくリリースできる運びです。このグローバルなセキュリティープラットフォームがトップランナーとなるための必要条件だと考えています。
 地域毎のローカルプラットフォームも必要です。プライバシー保護に対する規制や法律は世界各国で違うため、それぞれの国に合ったセキュリティーのエンジンを展開していくことが必要であり、この能力があって初めて十分条件を備えることになります。
 このグローバルのセキュリティープラットフォームと、ローカルのプラットフォームの組み合わせができれば、我々はトップランナーであると言い切れると考えており、現在その準備を進めています。

 その準備を進めるために必要となるのが海外R&Dの強化です。
 我々はグローバルビジネスを展開するにあたり、既に戦略委員会と人事委員会の2つを発足させ、さまざまな議論をしながら事業を展開しています。その議論のなかで、開発スピードを上げていこうということになり、先月グローバルR&D委員会を発足させました。
 開発系ではスピードを上げることが極めて大きなポイントです。そして、そのスピードもマーケットにより近いところで高めていきたいと考えています。よってR&D委員会のもとで北米のR&D拠点を拡充することとしました。
 北米のR&D拠点が組織的な形を整えるのは、おそらく来年の4月になると思いますが、既にいくつかの項目でワーキンググループをスタートさせています。特に急いでいるのは、セキュリティーであり、先ほどご説明したプラットフォームをいかにローカル展開していくかについて、ワーキンググループで検討をスタートしています。
 セキュリティーは、エンドレスのテーマです。対策を講じれば、また新たな脅威が出てきます。私どもはユーザのために、常にトップランナーとして、このセキュリティーサービスを維持していきたいと考えています。
 先ほど、米国発・新興国展開ということを申し上げましたが、そのためにはさまざまな機能やサービスをモジュール化していくことが必要です。R&D拠点における2つ目の大きなテーマは、モジュール化されたIP(Intellectual Property)の開発です。IPとはいわゆる知的財産のことだけではなく、我々のノウハウやナレッジを集積したものという包括的な意味で捉えています。そのIPをモジュール化しグローバル展開していくことで、コストの低減やスピーディーなユーザニーズへの対応につなげていきます。
 このグローバルR&D委員会と、北米のR&D拠点の大きな目的は、マーケットに近いところで、研究開発をタイムリーに推進するとともに、グループ内での重複投資を避けるということです。もちろん国内での研究開発を怠るつもりはなく、クラウド関連のR&Dのメイン拠点を北米に置くということであり、場所は西海岸が中心地になる予定です。

 次に、Wi-Fiプラットォームの強化について申し上げます。
 既にNTTグループのWi-Fiは、駅や空港、コンビニなど、多くの場所でご利用いただいています。Wi-Fiアクセスポイントは、来年の3月に16万カ所を超える予定です。
 このWi-Fiプラットフォームの特徴は、アクセスポイントだけではなく、プラットフォームも用意しているという意味だとご理解いただきたいと思います。このWi-Fiプラットフォームサービスを利用可能な端末は、デバイスフリー、OSフリーであり、国内で1億台を越えています。
 我々は、様々なサービサーと協力してWi-Fi プラットフォームからクーポンや店舗情報を配信し、O2O(Online to Offline)のマーケティングツールとして活用いただくことを始めています。このようなビジネスモデルを今後更に強化していきたいと考えています。Wi-Fiは、固定でも携帯でもない、いわば「第三のアクセス」であり、インターネット接続だけではなく、エンドユーザに情報配信サービスも行うプラットフォームとして引き続き活用していく考えです。
 このB2Bのモデルを更に展開することでB2Cのモデルになることも可能であると考えています。セキュリティー面など、まだまだサポートすべきことがあり、研究開発も進めていきたいと思います。

 新たなステージへ向けた当面の取り組みの2つ目はネットワークサービスの競争力の徹底的な強化です。足元の競争環境下について、我々は競争を避けるのではなく受けて立つ所存です。そのために、設備効率をさらに向上させていくとともに、今後の様々な環境の変化に対応した、具体的にはマーケットの変化や高齢化社会を踏まえた人事制度を生かすような、シンプルで高効率な業務運営を確立していきたいと思います。CapexとOpexについて、徹底的な体力強化を図りたいということです。

 最後に「利益回復と成長への道筋」を副題とした中期財務目標について申し上げます。
 我々の最大の成長エンジンは「グローバル・クラウドサービス」ですが、2017年3月期までに海外売上高を20 billion(200億)USドルに引き上げていきたいと考えています。2011年は11.6 billion(116億)USドル、2013年3月期の計画は13 billion(130億)USドルですが、残り7 billion(70億)についてはクラウドビジネスの徹底的な強化により目標を達成していきたいと思います。
 ネットワークサービスの競争力の徹底的な強化と申し上げましたが、2015年の3月期までに、固定、移動アクセスの業務運営や仕事の仕方を見直し、連結ベースで4,000億円以上のコスト削減を行い、利益の確保と競争力強化の原資に使う考えであります。
 M&Aも含めてですが、キャッシュのコントロールと有効活用を図っていきます。既存設備を最大限に有効活用していく等で設備投資も大幅な効率化を図ります。残念ながら当社グループにはやや自前主義というようなところがありますが、これも大胆な見直しを実施していきます。他社のサービスでも有効に使えるものは使う等、自前主義である必要はないということをグループ各社とも議論をしたところです。
 Capex to Salesについては、残念ながら2013年3月期末の目標だったものを、2016年3月期まで先送りとしました。新しいサービスへの投資も必要ですが、既存分野の投資については、徹底的な投資の効率化を図ることにより、2016年の3月期までに、Capex to Salesを15%まで削減していきたいと考えています。

 この結果、株主還元のさらなる充実を図り、また最終的な目標であるEPSを2016年の3月期までに60%以上成長させたい。春の段階では中期的にと申し上げましたが、今回目標年度を明確にしました。足元の業績が悪い中ではあるもののシミュレーションした結果、2016年3月期までには60%以上成長させるということに自信を得たので、改めてもう一度宣言をさせていただきます。

Q 海外の売り上げを伸ばすという計画を出したが、光や携帯など国内事業の現状に対する認識を伺いたい。
 また、先ほどネットワークサービスの競争力の強化に向け4,000億円以上のコスト削減を行うとことだが、この内訳について具体的なものがあれば教えて欲しい。

A FTTHについては、残念ながらスマートフォンやタブレットの普及で、マーケットとしてかなり成熟段階に入っている。そうした中、NTT東西は、ADSLからの切り換えやマンションのユーザの開拓のために、Wi-Fiを使ったより安価なサービスを出すなど、様々な形で今後も成長を図っていく。基本的には成長のテンポが少し緩やかになっていく中で、いかにコストを下げ利益を生み出していくかがポイントであると考えている。
 移動通信サービスについては、日本の普及率はかなり高いところまで来ている。スマートフォンやLTEへの移行を競う競争になっており、この状況はあと数年間続くと考えている。
 質問の背景には、iPhoneの問題が頭の中にあるのだろうと思う。我々はiPhone無しで戦いをスタートしている。iPhoneはある意味でメディアのサポートを得た巨大なブランドであり、1日で何百万台もの販売数があるiPhone5に対し、我々が相当苦戦しているのは事実である。しかし、見方を変えれば、このような巨大なブランドに対して結構、善戦しているという見方もできるわけである。
 この戦略をいつまでも続けるのか、あるいは異なる戦略をとっていくのか。これは最終的にはNTTドコモが決めることだが、戦略の選択肢は当然複数あり、またその実施時期についても幾つも選択肢がある。現時点では、NTTドコモからも説明があった通り、NTTドコモは既存ユーザを大切にする取り組みを強化するとしており、これは春先に私が申し上げた考え方とも一致している。そのような既存ユーザを大切にするというメッセージをより打ち出していく中で、競争環境がどのように変化していくのか等を踏まえつつ、かつ時間軸を念頭におきつつ、NTTドコモが最終的に様々な選択肢の中から判断していくことになる。もちろん競争であるので、NTTドコモも向こう3年間でこういう手順でやる等と手の内の全てを話すことはないと考えている。
 コスト4,000億円の内訳についてだが、詳細はご容赦いただきたいが、特にNTT東西とNTTドコモの3社とは、今年の7月以降かなりの数の議論を重ねてきた。
 それぞれの会社の事業計画であるので、それぞれの会社の事業計画の中に反映されていく。また、今後それぞれの会社が公表していくだろう。公表するのは中期的な計画値かもしれないし、単年度のものだけになるかもしれない。おそらく、NTTドコモが先に発表することになると思うが、今後、各社が公表する取り組み内容を見ていただければ、数字がどのように積み上がっているかご理解いただけるかと思う。現段階で内訳はご容赦いただきたい。

Q フレッツ光の通期の純増目標を下方修正しているが、NTT東西の業績見通しを変えていない理由を教えて欲しい。
 また、中期財務目標について、海外売上高の伸びとコスト削減については触れているが、EPSを増やすための絶対的な利益額をどのように増やしていくのか、その道筋を教えて欲しい。

A フレッツ光の純増数を修正したのはNTT東日本だけである。NTT東日本は、純増減に連動するコストの減少と追加的なコスト削減を含めて当初計画を達成したいと考えており、数字的な変動はあるが、最終的な利益目標は変えていない。
 NTT西日本の上期の業績は対前年で少し厳しい状況にあるが、NTT西日本が取り組んできたコスト削減策は、今夏あたりから成果が数字的にあらわれてきている。そういった意味では、単体ではなくNTT東西の子会社を含めた地域セグメントで見ていただければ、数字はさほど悪くなっていない。先ほど、単体での説明を省略しセグメントでご説明したのもそのほうが全体状況を理解いただけると考えてのことである。そういった意味では、NTT東西ともに当初計画達成に向けて頑張ると、私に対して宣言しているという意味である。
 中期財務目標についてであるが、当然、EPSは、利益成長と自己株取得による資本効率の向上の組み合わせである。
 どのように利益成長を図っていくのかについて申し上げると、既存のビジネスにおいては、効率化により安定的な利益の確保、ないしは利益の増を図りたいと考えている。新たな成長分野であるクラウドビジネスについては、現在はややインフラレイヤーが主体である。上位レイヤーのほうの売り上げが少なく、利益率が低い基盤的なものの売り上げが高い状況である。今後その構成比が大きく変わり、アプリケーションレイヤー等利益率が高い上位レイヤーでの収益が増えてくる。もちろん、IT基盤としてのプラットフォームの収益も増えてくるが、その収益構成比は利益率の高い方向に向かっていくので、ここでの売り上げ増は利益増に効くと考えている。

Q コスト削減について伺いたい。4,000億円以上のコスト削減はそれなりの規模でもあるので、大まかにどのようなイメージか、主にどのようなところに取り組んでいくか。イメージだけでもお話いただきたい。

A もう既に、各社から幾つかの施策と目標として聞いているものはあるが、年度展開など、まだいろいろな課題が残っている。実行するのは各事業会社であるので、内訳については、各社から説明させたいと考えている。
 ただ、別の言い方で申し上げるならば、数年前の和田社長時代の中期経営戦略の中で、同じように固定系のコストを8,000億円削減するという目標を掲げ実施したことがある。そのときは、人件費でどのくらい、減価償却費でこのくらい、一般経費でこのくらい、という形で申し上げた。そのレベルで申し上げるならば、各社毎の構成比はバラバラにはなるが、全体としてはおそらく人的コストが1,000億円、設備コストが1,000億円、その他コストが2,000億円といったイメージになるかと思う。

Q フレッツ光について、NTT東日本だけ下方修正をしたというのは、首都圏を抱えるNTT東日本の事業環境がNTT西日本とは違うということか。例えばLTEの普及やテザリングの人口が多いなどNTT東日本ならではの何か理由があるのか。
 また、先般、KDDIと住友商事がケーブルテレビ事業の統合を発表しており、今後50%を超えるシェアを持つ巨大企業が誕生、ブロードバンド市場でかなりのシェアをKDDIが握ることになる。これまではNTT東西、NTTドコモが圧倒的な力を持っていたということで、電気通信事業法やNTT法でかなり規制があったが、そのような状況でもなくなってきたことについて、どのように考えているのか。国に対して、様々な規制緩和などをどのように求めていくのか。

A フレッツ光の計画について、ある意味ではNTT東日本が強気に見ていたということがあるかと思う。ご質問にあった通り、この首都圏でかなり攻勢を強めておられる事業者がいる。それらの現状を含め、現実的な数字に見直したのだろうと認識している。
 ケーブルテレビ事業の統合の質問についてであるが、我々はこれまでも申し上げてきた通り、電話を前提とした古い規制により、NTTグループのサービスをご利用いただいているユーザに迷惑をかけるというのは避けたい。“バリューパートナー”としてやっていくため、ユーザに選ばれ続ける存在であるためには、ユーザ視点で提供すべきものは提供していけるような環境になりたいとこれまでも申し上げてきた。その意味では、他の事業者が力をつけ、従来のような市場構造でないということをお示しいただくことは、我々にとって色々なことを主張していきやすい環境につながっていくと考えている。

Q EPSの目標について、2016年3月期に60%以上成長ということだが、コスト削減と設備投資のコントロールでそれを実現するように思われる。海外売上高を7 billion(70億)USドル伸ばすということだが、海外事業の利益がどれぐらい企業価値向上につながっていくのかについて、もう少し教えていただきたい。

A 決してコスト削減だけでEPSの目標を達成しようと思っているわけではない。代表的な成長ドライバーが「グローバル・クラウドサービス」と考えており、特に海外は我々にとって非常に攻めやすい市場である。その理由は、我々がカニバリを起こすようなマーケットではないからだ。我々は上位レイヤーから下位レイヤーまで全てを提供することができるし、各社が別のパートナーと組んで部分的な提供をすることも可能である。このように、我々がアタッカーとして非常に活躍しやすい場所が海外マーケットだとご理解いただきたい。
 先ほど申し上げた通り、現時点では、どうしても通信キャリア的なビジネスが中心である。昨日の北米クラウド事業説明会の中でも質問があり取締役の奥野から回答させていただいたが、この部分の利益率は5%程度である。上位レイヤーの構成比を高めると申し上げたが、この部分の利益率は10%前後といった領域だと思う。もちろん競争があるので、必ずしもそういった利益率が維持できるかどうかはわからないが、ややコモディティー化してくるものに比べると、利益率ははるかに高いと考えている。そこが我々にとっての挑戦領域である。
 そういう意味では、従来より高い利益率の部分が増益要素である。まだ年度途中であるが、仮に2013年3月期の海外事業売上高13 billion(130億)USドルを達成できたら、残りの7 billion(70億)USドルには相当利益率の高いところでチャレンジできる。したがって、EPS目標は、これらの増益要素をもとに我々がシミュレーションしたものとご理解いただきたい。

Q 為替レートは現時点のもので試算したのか。

A 為替レートは現時点のものでシミュレーションしている。
 実は為替レートは大変厄介であり、先ほど申し上げたディメンション・データでは2段階の為替レートで数値を変えざるをえない。まず、各国での業績をまずドルに変える必要があるが、各国通貨とドルの関係で数字が下がる。次にドルから円に変える際にまた下がっている。このように為替の影響は大きいが、予測できるものでもないため、現在のレートをベースに試算している。

Q Wi-Fiプラットフォームについて、今後の事業主体はどの会社となるのか。また、先ほど規制の質問で競争環境が変われば規制の前提も変わるとの発言があったが、他社が提供している移動と固定のセット割引等に積極的に取り組んでいくという考えなのか伺いたい。

A 現在Wi-Fiプラットフォームをメインに担当しているのはNTT東日本の子会社であるNTTブロードバンド・プラットフォームである。プラットフォームビジネス自体は、固定系に近いビジネスであるが、先ほど申し上げた通り、サービスとして見ていくならば、ある意味でクラウドとクラウドをつなぐものになると思っており、いろいろなプレーヤーが参画できると考えている。当然、移動系のサービスを移動体ネットワーク上だけでなく、デバイスフリーとしてのサービスとして利用できる可能性がある。従って、現時点、この事業を単純に固定系として位置付ける必要はなく、様々なビジネスチャンスの中で様々なグループ会社がそれぞれの強みを持ち参画することでマーケット全体を大きくできると展望している。
 また、繰り返しになるが、NTTに対する非対称規制は固定系が圧倒的にサービスの中心だった電話時代のものである。世界にも稀な規制であると言っても過言ではない。規制はマーケットの変化に応じてやっていくことが当然だと思う。規制はユーザの為にあるわけであり、我々や競争事業者の為にあるものでは無い。ユーザのために規制がある以上、ユーザのためになるサービスを我々がやりたいと申し出た際、それを止めるためには従来と異なる理由が必要になってくると考えている。

Q 成長戦略の中で、「グローバル・クラウドサービス」とネットワークサービスの競争力強化を掲げているが、国内におけるクラウドサービスやネットワークサービスの付加価値サービスの創出は事業会社で進めていくということか。
 また、ネットワークサービスの競争力強化について、固定・移動の融合やブロードバンドの融合を行わずにネットワークサービスの競争力強化は難しいと思うが、どのようなアクションプランを検討しているのか。

A 我々にとってのマザーマーケットは国内であり、当然、国内のクラウドサービスにも力を入れていく。ただし、新たな技術や新たなサービスの中心は北米である。北米では、ベンチャーも含め様々なプレーヤーが登場している。そうしたトレンドをいち早くつかみ、モジュール化を行ったり、プロダクト化していくということである。それらを日本で使えるのであれば、当然日本で使うし、日本風にカスタマイズする必要があれば、当然日本風にカスタマイズしていく。
 国内を軽視していると感じられたのであれば、それは私の説明不足であり、日本でやれるものは日本でやり、日本でやりにくい事はアメリカでやるという意味である。医療系クラウドを例にとると、我々は国内で事業会社・研究所含め、様々なチャレンジを行っているが、ブレーキをかけるような様々な制度が国内にあるため、この取り組みは極めて動きが遅くなっている。仮に新興国で医療系クラウドサービスのビジネスチャンスがあるとすれば、このまま国内でやっていると我々は新興国でビジネスチャンスを失うことになる。そういう意味で、自由な国で先行して展開していくということである。
 また、固定・移動のバンドルサービスは、現在が全盛期であれば当然やるべきだと思う。ただし、固定・移動のバンドルサービスを提供し、どちらかの利益でもう一方をカバーするという事は、現時点ではまだおかしいと思っている。仮にバンドルサービスをやるならば、固定・移動共にコストダウンができるという状況が必要だと考えている。
 メディアにNTTではバンドルサービスができないと強調される事があり、我々は不都合な思いをしている。申し上げた通りバンドルサービスをやるべきであるならばやりたいが、仮にやるとしても前提条件として企業体力の強化が必要であると考えている。
 ただ、現時点では、固定系についてさほど影響を受けているとは認識していない。移動系で一部エリアで影響が出ているのは事実だが、家族セット割の強化を行い対処する。バンドルサービスで対処しなければならないという危機感はまだ感じていないとあえて申し上げる。

Q ソフトバンクがアメリカのスプリント・ネクステルの買収を決めたが、どう捉えているのか。また、グローバルクラウドで競争の土俵を変えると発言があったが、海外で成長を目指すソフトバンクとの差異は何か教えて欲しい。

A ソフトバンクがどう考えているかは我々にも分からないので、どう異なるかという説明はかなり難しい。クラウドで土俵を変えるとお話したのは間違いないが、海外で土俵を変えるとお伝えしたわけではなく、国内の土俵も変えたいという意味である。既にNTTドコモからも総合サービス企業をめざすと申し上げているが、それらを含め土俵を変えていきたい。
 ソフトバンクがスプリントを買収した事については、大変なリスクを承知で行われたと認識しており頑張っていただきたい。あえて申し上げるならば、我々はコンシューマビジネスにおいてベライゾンやAT&Tと正面から戦うリスクを冒す気はない。彼らは我々にとって過去から、コンシューマビジネスにおける極めて重要なパートナーであった。今後、グローバルクラウドの分野ではお互いが新しいマーケット作りに向かうことになるので、競合すると考えている。以前、我々のグローバルクラウドビジネスのベンチマーク企業はベライゾンやAT&Tだと申し上げた。その気持ちは今も変わらない。共に頑張っていこうという気持ちから申し上げた。
 コンシューマビジネスにおいては、マーケットやサービス等において今後益々大きな変化が起こる。ベライゾンやAT&Tとは、我々は良きパートナーとして付き合っていくという点を付言させていただく。ソフトバンクは異なる観点で挑戦されるとのことであり、頑張っていただきたいと考えている。

Q NTTドコモの800億円以上の追加投資について、NTTグループ・NTTドコモともに営業利益を下方修正するまでしてでも、いまやらなければならない状況なのか、現状をどう認識しているか教えて頂きたい。

A 800億円は上期・下期含めてNTTドコモが販売強化のために使うものであり下期だけで800億使うということではない。先ほど申し上げた通りNTTドコモは強烈なブランドに対し戦っている。販売強化の800億円と下方修正した利益額800億円がたまたま同じなので、そのまま消えていると思われるかもしれないが、実際はもっと様々な要素の中で結果的にNTTドコモは800億円の下方修正を行ったものである。販売強化の800億円は、リテンションも含め使えば使ったなりの効果が出ている。たまたま800億円という同じ数字だっただけで、下方修正した分だけNTTドコモが販売強化に使っていると理解して頂きたくない。
 いまが販売強化のタイミングなのかという質問があったが、具体的な販売戦略は各事業会社がタイミングを含め考えるものである。料金施策や販売施策など幾つもの選択肢があるが、出来るだけ事業会社の判断を尊重したいと考えている。
 今回NTTドコモから聞いているのは、長期継続ユーザを大切にする施策を下期に大々的に展開したいということであり、私の思いとも合致しているのでこのタイミングで実施する。NTTドコモがその結果をどのように出せるか。それをどう評価するかで、色々な施策や数字ごとの進め方が決まり、事業会社は新たな方向に進んでいくというプロセスになるかと思う。そういう意味で今回のタイミングは良いタイミングだと認識している。

(以上)

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