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「つなぐコラム」“地球にちょうどいい暮らし方”

第3回 探してみよう「自然をまもるエコラベル」〜選んで買う「地球1個分」の暮らし小田 倫子

いよいよ夏休み。帰省や旅行を楽しみにしている人もいらっしゃるでしょう。もし旅先で自然の中で過ごす機会があったら、そこにすむ生きものの声に耳を傾けてみてください。

一方で、特に旅行などの計画はないという人も、この夏、遠くに行かなくても「身近でできる自然保護活動」を始めてみませんか。「自然保護活動」というと、木を植えたり、動植物を保護したり自然の中で行うことを思い浮かべる人が多いと思います。でも、「身近でできる自然保護活動」は、お店で買い物をしながら、誰でも参加することができます。

私たちの豊かな暮らしは、さまざまな商品によって支えられています。みなさんは店で品物を選ぶとき、何を確認しますか。価格、品質、見た目、使い勝手、賞味期限は大丈夫か、などでしょうか。そのとき、もう1つ確認する項目を加えてもらえると、「地球1個分」の暮らしに近づきます。その項目とは、「商品が環境に配慮されたものか」ということです。どのような原材料を使って、どこでどのような方法で生産されたのか、そしてその過程で貴重な自然が損なわれていないか、についても確認してみてほしいと思います。

「そんなことをどうやって確認できるの?」という人もいるでしょう。次のようなエコラベルによって確認できます。

まずは、森をまもるエコラベル。

環境に配慮された森の産物であることを示すエコラベルとして、WWFはFSC®(Forest Stewardship Council®:森林管理協議会)の普及を応援しています。森林は、多種多様な動植物のすみかとして、また木材・紙パルプなど私たちの暮らしに必要な物資をもたらし、人が過剰に排出した二酸化炭素を吸収し、さらには水の恵みをもたらす水源地としても、地球上の生きものにとってなくてはならない場所です。その森林が、年間約660万ヘクタール(東京都の約33倍)という急速なスピードで失われています※1

その主な原因は、持続可能でない開発や生産活動などの人の活動です。そして、私たち日本人の暮らしを支えている資源の多くが、東南アジアなど遠い熱帯の森からもたらされています。日本でも、ノートや鉛筆などの文房具、紙の製品やパッケージやタグなど、FSC認証の商品が増えてきています。このラベルの付いた商品を選ぶことは、遠い熱帯雨林の森を守ることにつながっていきます。このマークの商品をぜひ探してみてください。

FSC認証のラベル

FSC認証のラベル

次に、海や川をまもるエコラベル。

海の生きものの豊かさは、1970年以降36%も減少してしまいました。淡水(川・湖)はさらに深刻で、生きものの豊かさは81%も失われています※2。魚の繁殖と成長のスピードを超えた過剰な漁獲(魚のとりすぎ)や開発等による環境悪化など人の活動が原因であることが指摘されています。

そこで、WWFでは、環境に配慮されて漁獲され、また養殖された水産物であることを示すエコラベルとして、MSC(Marine Stewardship Council:海洋管理協議会)とASC(Aquaculture Stewardship Council:水産養殖管理協議会)の普及を進めています。日本は、水産物の消費大国として、海外からもたくさんの魚介類を輸入していて、水産物に対しても環境に配慮することが必要だと思います。国内でもMSCやASC認証の商品が一部店頭に並び始めていますので、ぜひ探してみてください。

MSC認証のラベル

MSC認証のラベル

ASC認証のラベル

ASC認証のラベル

2012年に科学誌Natureに発表された論文は、私たち日本人にショッキングな事実をつきつけました。この論文は、世界の絶滅危惧種の脅威(絶滅の危機にさらされている原因)について分析し、その30%が国際貿易であると結論づけています。熱帯林などで多くの生きものが絶滅の危機に瀕している中、その主な原因は、そこで生産された産品の輸出先である他国の消費であるということです。そして、そのような「他国」の筆頭として、日本は、米国に次いで世界第2の「生物多様性」輸入大国(他国の生物多様性に影響を与えている国)であると指摘されたのです※3

今回ご紹介したFSC、MSC、ASCのようなエコラベルは、環境に配慮した商品を届けようとする、生産や流通に関わる人たちの奮闘を表すものです。このような奮闘は、「地球1個分」の暮らしを実現するために必要なものですが、最終消費者である私たちが、意識的に選択して消費する、ということがなければ、続けることは困難です。エコラベルの付いた商品を探して選んでみること。それは、私たち日本人が日々行うことのできる、とても効果的な「身近でできる自然保護活動」です。

※1 FAO(国連食糧農業機関)“Global Forest Resources Assessment 2015”

※2 WWF等「生きている地球レポート2016」

※3 M. Lenzen et al. “International trade drives biodiversity threats in developing nations” Nature 486, 109-112 (07 June 2012)

小田 倫子(おだ ともこ)

公益財団法人世界自然保護基金ジャパン(WWFジャパン)職員(法人パートナーシップ担当)。
企業法務の弁護士として10年間稼働後、家族の転勤に伴い沖縄に居住したことなどを契機に、自然保護の仕事を志して保全生態学を専攻、2013年から現職。生物多様性保全や気候変動への取り組みに関する企業との協働プロジェクトの提案、実施業務を担当。趣味は里山散策と水生生物の観察。東京大学法学部卒、同大農学部(保全生態学専攻)卒、カリフォルニア大学バークレー校法学修士(環境法等専攻)。

写真:小田 倫子(おだ ともこ)
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