ページの先頭です。
コンテンツエリアはここからです。

「つなぐコラム」“地球にちょうどいい暮らし方”

第5回 地球1個分の社会をつくる「鍵」。
自然エネルギーに替えていこう!市川 大悟

みなさんは、普段生活する上でよく消費しているものは?と聞かれれば、まず真っ先に何を思い浮かべるでしょうか。水?食べ物?はたまた毎日着る衣服でしょうか。こうした“直接触れられる物”は、想像がしやすいかもしれません。ただ、じつはまだ他にもあるのです。

身近でよく使われているのに、“触れられない”がゆえ、忘れられがちな“エネルギー”です。今回は、そんなエネルギーについて、地球のために、われわれが出来ることを考えてみます。

[  とっても重要。エネルギーの生い立ち  ]

冷蔵庫、洗濯機、給湯器に暖房機器。私たちが暮らす上で使う家電機器はもちろん、航空機や電車などの移動手段、さらには普段何気なく使っている製品を作るためにも、エネルギーが欠かせない世の中になっています。しかし、エネルギーの利用で得られる多くの便利さと引き換えに、どの程度、地球環境に負担を与えているのか、ご存知でしょうか?

人間活動による地球への負荷を表すEF(エコロジカル・フットプリント)のうち、最大の要因(全体の約6割)※1となっているのは、二酸化炭素(以下、CO2)による負荷です(本コラム「第2回 気候変動問題と私たちにできること」参照)。その排出の多くは、じつはエネルギー利用を目的とした化石燃料(石炭、石油、ガスなど)の燃焼からきています。こうしたエネルギーを使う=化石燃料を使うことで発生するCO2(エネルギー起源)は、日本国内で見れば、CO2排出量全体の93%にも及びます※2

つまり、われわれのエネルギー利用が、地球環境にとっては最大の危機になっているのです。ただし、これはいま現在、エネルギーの多くを化石燃料から得ているからであり、CO2を排出しない方法でエネルギーを利用できれば、当然負荷は下げられます。

そこで注目されているのが、ご存じ太陽光や風力などの“自然エネルギー(以下 自然エネ)”です。国内では、2012年にスタートした固定価格買取制度を機に、急速に増えてきました。いまや知らない人はいないくらい、メジャーな存在になってきた自然エネですが、実は導入量はまだわずかです。

国内の温室効果ガスに占めるエネルギー起源CO2の割合(出典:環境省データ※2よりWWFで作成)日本の温室効果ガス(2016年度)の内訳は、CO2は92%、その他(CH4、N2O、代替フロンなどが8%。エネルギー起源のCO2が93%、その他のCO2(非エネルギー起源)が7%。

国内の温室効果ガスに占めるエネルギー起源CO2の割合(出典:環境省データ※2よりWWFで作成)

たとえばエネルギーのうち、身近な電気について見ると、自然エネの割合はわずか15%程度。まだ多くが、化石燃料の燃焼により賄われている状況です。地球環境への負荷を下げていくためにも、さらなる導入が必要になると言えますが、ひとつ気を付けなければいけないことがあります。自然エネの開発が、時に、自然環境などへ影響を及ぼすことがある点です。

自然エネが設置できるような、風や地熱などの自然資源が存在する場所は、得てして多くの生き物が生息する場所にもなっています。そのため、地球のためを考えるのであれば、化石燃料でないことにくわえ、生き物の多様性を損なわないような自然エネルギー設備から供給される電気や熱に注目することが必要です。地球を守るためには、そうしたエネルギーが供給されるように、まず、使うわれわれがエネルギーの“生い立ち”を気にして選択していくことが重要です。

日本の発受電量に占める自然エネルギーの割合推移(%)[年度](出典:自然エネルギー財団※3)日本の発電量に占める自然エネルギー割合の推移は、2010年が8.8%、2011年が9.5%、2012年が9.1%、2013年が9.8%、2014年が11.5%、2015年が13.7%、2016年が15.0%。

日本の発受電量に占める自然エネルギーの割合推移(%)[年度](出典:自然エネルギー財団※3

各国の電力消費量に占める自然エネルギーの割合(%)[2017年](出典:自然エネルギー財団※4)

各国の電力消費量に占める自然エネルギーの割合(%)[2017年](出典:自然エネルギー財団※4

[  もう見直した?エネルギーの選択  ]

では、自然エネを増やすため、われわれは何ができるでしょうか?

自ら、自然エネ設備を設置して、そこで作った電気や熱を、直接的に自宅や事業所で使うことが考えられますが、もう少し手軽にできることがあります。たとえば、電気を買っている電力会社を見直してみることです。

2016年の電力自由化以降、家庭や企業は、電力会社を選べるようになりました。安さに目が移りがちですが、どのような場所で、何の電源により作られているか、電気の小売事業者の開示情報をみて、エコな電気を選ぶこともひとつの選択です。

近年は、食品を購入する際にも、値段や品質だけでなく、環境に配慮して生産されたものかという「生い立ち」を見て選ぶ消費者も増えてきたかと思います。これからは、最もよく使うエネルギーについても、同じ視点でぜひ、何が良いかを考えてみてください。地球のためを思うみなさんの選択が、きっと、自然エネルギーを中心とした社会の形成へとつながっていくはずです。

私たちが普段なにげなく使う電気。その出所を考えたことは?

私たちが普段なにげなく使う電気。その出所を考えたことは?

市川 大悟(いちかわ だいご)

公益財団法人世界自然保護基金ジャパン(WWFジャパン)気候変動・エネルギーグループ オフィサー。

企業のエネルギー部門で機械エンジニアとして従事したのち、WWFジャパンに入局。主に、地域での再生可能エネルギーの普及支援に係るプロジェクトを担当。気候変動問題解決に向けた再生可能エネルギーの開発が、地域の社会・自然環境に大きな負荷を与えず進められるよう、立地適正化(ゾーニング)プロジェクトを、自治体などを協力して進めている。

写真:市川 大悟(いちかわ だいご)
フッタエリアはここからです。