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「つなぐコラム」 “人と自然”

第10回 自然のためにできること道家 哲平

「私たち人間もこの地球に暮らす生きものの一員です。地球のより良い未来をつくるために行動することが、今、求められています」というメッセージ(第1回 宇宙船地球号からのメッセージ レッドリスト)から始まったこのコラムでは、これまで身近な自然の危機について(第1〜8回)、そして自然がもたらす恵みについて(第9回)紹介してきました。では逆に、私たちが自然を守るためにできることには何があるのでしょうか。難しいことから始める必要はありません。職場、学校、旅行など、さまざまな場面で私たちは自然とかかわりを持っていて、その場面ごとにできることがあります。

「ふれよう、たべよう、えらぼう、まもろう、つたえよう」という5つの行動、これが日々の暮らしのなかでできる小さいけれど大事な行動なのです。

5つのこと図

5つのこと(写真提供:日本自然保護協会)

1つ目は「ふれよう ― いろんな人と、いろんな季節に、生きものがいるところにいく」です。

第7回(合言葉は「Nature For All」)でも書きましたが、私たちと自然のかかわりは年々薄れつつあります。知らないものを大事なものと思うことはできません。動物園や水族館でも、すぐ近所の公園でも、自然は季節ごとの多彩な姿を見せ、驚きや安らぎや発見をもたらしてくれます。同じ風景でも、子どもと見る自然と、昔の様子を知っている地域のおじいちゃんやおばあちゃんと見る自然とでは、見え方も変わることでしょう。自然に触れ、自然への愛着をもつこと、それは自然を守るための第一歩です。

自然にふれる様子

自然にふれる(写真提供:日本自然保護協会)

2つ目は「たべよう ― 季節のもの、地域のものをたべる」です。

私たちはスーパーに行けば、どんな季節でもさまざまな野菜や魚を買うことができます。しかし本来は季節によって野菜は採れない時期もあり、魚も大きさや味が違うなど、いわゆる「旬」と呼ばれる時期が食べ物ごとにあります。季節はずれの時期に野菜を育てるには、ビニールハウスを温めるために灯油を燃やすなど、多くのエネルギーを必要とします。食べ物の旬を大事にするというのは、自然の恵みを味わうだけでなく、自然への負担も少なくなるのです。

3つ目は「えらぼう ― 生きものにやさしい商品をしらべて、えらぶ」です。

自然環境への負荷を減らすことを考えて作られている商品が増えてきています。このような商品には、自然環境配慮の基準を満たすことを証明するマークがついています。例えば、会社や学校で使う紙やノートなどでは、「FSC®といったマークがついた商品があります。このマークは、紙の材料である木材について、地域社会や自然環境のことを考えて植林や伐採されていることを証明するマークです。海産物や養殖の牡蠣などの食べ物でも、証明マークをつける動きが広がっています。このような環境に配慮した商品を探し、選ぶことも、自然を守ることにつながります。

企業の中には、売り上げの一部を、自然環境保全活動をする団体に寄付しているところもあります。そんな企業の商品やサービスを探してみてはいかがでしょうか。

4つ目は「まもろう ― 生きものを守る活動をしらべて、参加する」です。

ゴミ拾い、生き物調べ、環境保全団体への寄付や会員になることなどなど、生きものを守る活動にはいろんな形で参加することができます。日本自然保護協会でも、自然観察会への参加、自然調査、親子でできる自然しらべ、募金活動など非常に幅広い参加の入り口を設けて、多くの人に、生きものを守る活動に参加してもらえるように取り組んでいます。

最後の5つ目は「つたえよう ― 生き物に出会って感じたことを家族や友達に伝える」です。

「ふれよう、たべよう、えらぼう、まもろう」の4つの行動は、実は多くの人がそれぞれの生活や仕事の場面で取り組まないと効果が出づらいものです。4つの行動のどれか1つでもできたら、周りの人などに伝えて、その行動が広がっていくようにすることで、自然を守る活動がより大きなものに変わっていきます。

一人ひとりの行動は小さいかもしれません。ですが、多くの方が取り組めば、社会は大きく変わっていきます。日々の暮らしのなかでできる小さいけれど大事な「自然のためにできること」、どれか1つでも、ぜひ自然のための行動を起こしてもらえるととてもうれしいです。

まずは早速、この「つなぐコラム」を身近な人に“つたえて”みてください。

※森林管理協議会という国際NGOが認証している仕組み。

道家 哲平 (どうけ てっぺい)

公益財団法人 日本自然保護協会 経営企画部 副部長

国際自然保護連合(IUCN)日本委員会 副会長 兼 事務局長

生物多様性条約の NGO における第一人者。国際的な情報収集・分析を行い、生物多様性保全の底上げに取り組んでいる。特に、国内では、2020 年までに日本から愛知ターゲットの達成を目指し、企業や団体、自治体など多分野のセクターのネットワーク化を行いながら、地域や企業の生物多様性戦略、「にじゅうまるプロジェクト」などを推進。 大学院で研究していた哲学という異色の専門を活かし、世界の自然保護の問題を理解し、日本の課題・解決策に活かす、「世界のコトを日本のコトに」をモットーに奮闘中。プライベートでは、かわいい子どもたちの子育てが趣味という3児のパパ。

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