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「つなぐコラム」 “人と自然”

第1回 宇宙船地球号からのメッセージ レッドリスト道家 哲平

「宇宙船地球号」という言葉を知っていますか?

地球を一つの乗り物と考えて、人間だけでなく、動物や鳥、虫や植物などの全部の生きものたちが、“地球”という名の宇宙船の乗組員の一人として行動することが必要だという考え方です。

この宇宙船地球号には、乗組員や宇宙船内の環境に起きている異変を知らせる警報装置があります。それがIUCNレッドリスト。国際自然保護連合(IUCN:International Union for Conservation of Nature)が、毎年発表しているものです。

IUCNレッドリストは、宇宙船地球号の中で、絶滅の危機にさらされている生き物をリストアップした(名前を一覧にまとめた)ものです。

レッドリストは、大学や研究者、市民など調査した情報を一つにまとめ、ある生きものが絶滅しそうかどうかを評価し、発表しています。

一見すると簡単そうに思えますが、太平洋を泳ぎ回るクロマグロや、110メートルの高さになる大木セコイアなど、どんな生き物でも同じように絶滅の危機にあるかどうかを判断できる基準をつくることや、あらゆる生物を調べるために世界各地の調査機関や専門家と協力すること、また一連の情報をまとめるデータベースをつくること、どれをとってもとても大変な仕事です。そんなIUCNレッドリスト作りは、数万・数十万の人々がかかわり、50年以上もの間、続けられてきました。

IUCNレッドリストは生きものを指標にして、私たちの地球がどんな状況にあるかを伝えています。

この取り組みを担うIUCNは、自然を守ることを使命に掲げる国連組織がないことを知ったヨーロッパの政府と民間組織が1948年に作り上げた組織です。現在では、200近い政府機関、1,100に及ぶ自然保護NGO、16,000人を超すボランティアの科学者や専門家が参加しています。日本は、日本で最も古いIUCNのメンバーである日本自然保護協会が、窓口(IUCN日本委員会事務局)をつとめるとともに、1年に1、2回の頻度で更新・発表されるIUCNレッドリストについて、ウェブサイトで解説をしています。

地球(Image courtesy NASA Johnson Space)

マグロ(© Monterey Bay Aquarium_Randy Wilder)

セコイア(写真提供:日本自然保護協会)

地球上には、人間が分かっている範囲で175万種近い生きものがいるといわれています。しかし、 IUCNレッドリストで絶滅しそうかどうか評価できたのはまだ8万6千種に過ぎません。そして、その約3割にあたる2万4千種が絶滅危惧種とされています。絶滅危惧種という評価は、生きものの頭数や、生息している面積の「減少率(ある期間にどれだけ減ったか)」などを根拠に行われています。絶滅危惧種にも、危険度別に3段階の評価に分かれています。例えば、一定期間に90%の減少した(=1万頭いたものが100頭になってしまった)生きものは、最も危機がせまっている“絶滅危惧1A類”と分類されます。絶滅危惧種のうち20%、約5,000種がこの絶滅危惧1A類とされています。

「175万人の乗組員がいる宇宙船地球号の中で、診察ができたのは8万6千人。この8万6千人の乗組員のうち2万4千人が、なにもしなければいなくなる。そして、その原因が乗組員の一人である人間によって引きおこされている。」

これがレッドリストからのメッセージであり、私たちへの警報なのです。

宇宙船地球号の警告音を止める! 私たち人間もこの地球にくらす生きものの一員です。地球のより良い未来をつくるために行動することが、今、求められています。

参照:IUCNのレッドリストのサイト(英語サイト)

道家 哲平 (どうけ てっぺい)

公益財団法人 日本自然保護協会 経営企画部 副部長

国際自然保護連合(IUCN)日本委員会 副会長 兼 事務局長

生物多様性条約の NGO における第一人者。国際的な情報収集・分析を行い、生物多様性保全の底上げに取り組んでいる。特に、国内では、2020 年までに日本から愛知ターゲットの達成を目指し、企業や団体、自治体など多分野のセクターのネットワーク化を行いながら、地域や企業の生物多様性戦略、「にじゅうまるプロジェクト」などを推進。 大学院で研究していた哲学という異色の専門を活かし、世界の自然保護の問題を理解し、日本の課題・解決策に活かす、「世界のコトを日本のコトに」をモットーに奮闘中。プライベートでは、かわいい子どもたちの子育てが趣味という3児のパパ。

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