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研究員紹介

主任研究員:東中 竜一郎
主任研究員:東中 竜一郎
主任研究員
東中 竜一郎Ryuichiro Higashinaka

自然言語の処理をコンピュータで

私の研究テーマは、人間が自然発生的に話す言葉(自然言語)をコンピュータでいかに扱うか、という自然言語処理の分野です。自然言語の処理は、私たちの脳が行っている記号操作の中でも高次な部類に属しています。

コンピュータと人間のインタラクションは、キーボードやマウスを用いたものから人の声を介したものへ変わってきています。そうしたなかで、効率的な意思疎通のために自然言語への対応が求められています。機械が人間により近い言語処理能力を持つことで、音声インタラクションはよりスムーズになり、人間の認知コストも下げられると考えます。私たちの言語がそもそも効率的な営みを行うために生まれたものだと考えれば、コンピュータと人間のコミュニケーションも、最終的には自然言語で処理される必要があるのではないかと考えています。

雑談の重要性を工学的に研究する

はじめは対話の基礎研究として、音声による会議室予約などタスク指向型のシステム開発を行っていました。その後留学先でWEBと連動した、より広い話題に対応できる対話システムの仕組みを学び、帰国後はファクトイド型(主に単語で回答するタイプ)の質問からノンファクトイド型(主に文章で回答するタイプ)の質問、特にWHY(なぜ)に対応するメカニズムの研究へ進みました。そこから「質問ではない内容に対しても何かしら答えを返す」取り組みへと発展し、雑談対話システムの開発が始まりました。

人の会話の約6割は雑談だといわれており、それが無駄に行われているとは考えにくいので、おそらく雑談によって培われる“何か”が日々の協業を促したり、緊急時のリスクマネジメントに役立っているのでしょう。そう考えると、コンピュータと人間の関係構築においても雑談の重要性が見えてきます。

雑談対話の技術は、エンターテイメントの世界でビジネス用途向けに展開する部分も大きいですが、研究の出発点はその“役割”に着目したことでした。雑談の重要性については、言語学や社会学の観点ではこれまでも語られてきましたが、それを工学的に研究しようという動きはほとんどありませんでしたので、先駆的な取り組みにやりがいと面白さを感じています。

毎年米国で行われる音楽・映画・テクノロジの大規模な展示会SXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)に2年連続で参加
毎年米国で行われる音楽・映画・テクノロジの大規模な展示会SXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)に2年連続で参加(写真左から2人目が東中)

優秀な研究者たちとエキサイティングな時間を共有できる

研究から技術開発、事業化まで関われるのがメディアインテリジェンス研究所(以下、MD研)の利点だと思います。スマートフォンで使われているドコモの「しゃべってコンシェル」のアルゴリズムを開発したときは、対話研究者で実際に技術の実用化に携わった人があまりいなかったこともあり、研究とサービスの両サイドから対話技術を説明してほしいといった講演の依頼などもいただくようになりました。

また、関連分野の優れた研究者と一緒に働けるのも魅力です。一昨年、昨年と、NTTグループから対話や音響、音声の研究者、大阪大学からはロボット研究の第一人者・石黒浩教授はじめ優秀な教員や学生たちとチームを組み「サウス・バイ・サウスウエスト」という米国の大規模なイベントに参加しました。アイデアを実現したり、スケールの大きな企画を形にするときに、人材の層が厚く、外部パートナーとアライアンス(協力体制)を組みやすいのもNTTグループの特長だと思います。

対話の構成要素の全容を解明したい。

人間の対話がどのようにして成り立っているのかを解明したい、という思いがあります。現状の雑談システムは表層的な会話には対応できますが、話者の意志や主観を交えた、込み入った話はできません。いま、そうした“議論”にまで発展できる対話技術の開発に取り組んでいます。

また人間は、動作や表情を使って話の内容をリッチにしたり、相手の理解を促したりしています。現在のシステムでは音声を認識し、テキスト情報を音声合成して表出するところまでしか実現していないので、対話全体の知的さが損なわれ人間のような“コミュニケーション”のレベルには到達していません。人間の対話の歴史を突きつめ、文字が使われ始める以前の口承で受け継がれてきた技術も含め、対話の本質を工学的に研究したいのです。

そうすることで、ロボットが人間の作業を代替するだけでなく、人間のパートナーとなったり、ソーシャルスキルトレーニングなど人間自身に影響を与えることも可能になってくるでしょう。研究者として、より汎用性のあるものへと技術を進化させ、社会で広く使わるものの開発に携わりたいと思っています。

メディアインテリジェンス研究所 主任研究員
東中 竜一郎 Ryuichiro Higashinaka

プロフィール
1999年慶應義塾大学環境情報学部卒業。2001年同大学大学院政策・メディア研究科修士課程、2008年博士課程修了。博士(学術)。
2001年日本電信電話株式会社入社。現在、NTTメディアインテリジェンス研究所にて勤務。主任研究員。対話システムや質問応答システムの研究に従事。
人工知能学会理事、言語処理学会編集委員、SIGDIAL board member。
著書:「質問応答システム」(共著)

メディアインテリジェンス研究所
主任研究員
東中 竜一郎 Ryuichiro Higashinaka

プロフィール
1999年慶應義塾大学環境情報学部卒業。2001年同大学大学院政策・メディア研究科修士課程、2008年博士課程修了。博士(学術)。
2001年日本電信電話株式会社入社。現在、NTTメディアインテリジェンス研究所にて勤務。主任研究員。対話システムや質問応答システムの研究に従事。
人工知能学会理事、言語処理学会編集委員、SIGDIAL board member。
著書:「質問応答システム」(共著)

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