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研究員紹介

研究員:五十川 麻理子
研究員:五十川 麻理子
研究員
五十川 麻理子Mariko Isogawa

スポーツ選手の強化を目的とした画像・映像処理技術の研究

私の所属しているチームでは,スポーツ競技者のパフォーマンスを向上させるための画像・映像処理技術の研究に取り組んでいます。研究の一例として、一人称視点映像を用いたVRトレーニングシステムが挙げられます。たとえば、あなたが野球のバッターだとします。全天球映像という360度見渡せるVR空間のなかで、バッターはあたかも実際の投手が投げているかのように、飛んでくる球を体験することができます。そうすることで、投手が初めて対戦する相手でも、あらかじめ球筋に慣れた状態で打席に立つことができる、というものです。

実際に投手が投げている映像を撮影し、そこに計測した軌道に沿ったボールをCGで描画するのですが、そのままだと実写とCGが二重で提示されてしまうため、実写で映り込んでいるボールは消さなければなりません。私はそれを実現する技術である、画像や映像の不要な領域を除去し、違和感なく修復する技術を研究しています。

VRトレーニングシステムは現在、楽天野球団の選手の方に実際に使っていただいていますが、自分の研究成果を含んだ技術が実用化されるのはとてもうれしいです。

マジックのような画像・映像処理の技術に魅せられて

理数系教育に力を入れている高校で情報処理を学びはじめ,情報を可視化するということに興味を持ちました。大学と大学院では、人工知能やグラフ理論などさまざまな分野を学びましたが、なかでも画像・映像処理や情報提示技術にひかれました。現在取り組んでいる、写真に映りこんだ不要な領域を除去し、まるで最初から無かったかのように違和感なく合成する技術は一見マジックのようですが、それが画像の特性を踏まえたアルゴリズムを用いて実現できるというところに面白さを感じています。

面白い実験結果が出た時や論文やペーパーが採録されたり、学会発表で賞をいただけた時など、自分の成長を感じられることは研究を続ける上で大きな励みになっています。画像修復の技術をより向上させれば、旅行先や子どもの運動会などで、良い角度で撮れたのに指が入ってしまったとか、視界をふさがれてうまく撮れないというときも「あとで消せばいい」と、撮影環境にとらわれる必要がなくなりますよね。さらにクラウドのフォトストレージなどにそうした画像修復機能が実装されるようになれば、一般的にも利用価値の高いものになると考えています。

画像や映像の中のある領域を埋めてきれいに見せるという点では、人間にとって「違和感なく自然に見える」ということを大事にしたいと考えています。そのため、複数の修復結果のうち最も人間の主観に合うものを推定する研究や、より違和感なく修復できる領域を生成する研究にも取り組んでいます。

色を手掛かりにするのではなく、形状から修復することでより自然な画像の復元を可能にするアプローチ
色を手掛かりにするのではなく、形状から修復することでより自然な画像の復元を可能にするアプローチ

研究を進める上で大きなサポートが得られる職場環境

私自身は、プロダクト開発よりもコア技術研究に興味をもっています。活躍している研究者はメディアインテリジェンス研究所(以下、MD研)の中だけでなく、グループ内にも多くいますので、部署にとらわれずに研究議論ができる環境にあることは大変うれしく思っています。そういった議論の中で受けた助言から新しい発想を得て、さらに研究を進めることができています。

ただ、企業の枠組みで研究を進める以上、ソリューションを念頭に置くことも重要です。MD研では実用化を意識した研究に多く取り組んでいるため、社会のニーズに応える研究成果を生み出すことに関して周囲から学ぶことは多いと感じています。

スキル開発への支援が充実していることも職場環境の利点の一つであると思います。語学やシステム開発をはじめとする幅広いプログラムの中から必要なものを受講することができます。いま私が受講している語学研修では、議論や交渉を行う際に必要な英語表現などを学んでいます。国際会議などで情報交換をしたり、自分の発表をきちんと理解してもらい、また自分からも積極的に質問をするというスキルは日常会話の英語とは異なると感じていますので、より実践的なサポートが手厚く受けられるのは研究活動を行う上で大きなメリットになっています。

人より時間をかけ、コツコツと小さな成功を積み重ねていきたい

大学と企業とでは研究テーマの選び方に違いがあるように思います。企業では、アカデミックな価値だけでなく、事業会社や社会のニーズに応えることも追求していかなければなりません。制約の中でいかにやりたい方向に研究をもっていくかは、自分の発想力を鍛えることにもなりますので、そうした状況下で研究テーマをうまく設定できるように、成長していきたいと思っています。

いま、研究所に通いながら博士号取得のため大学にも通っています。なかなか思うように成果が出ず悩むこともありますが、少しでも前に進むために人より多く時間をかけたり、根気よく努力を積み重ねたりすることが、自分が最も力を発揮しやすい取り組み方であると考えています。関連分野で活躍されている社内外の研究者や、素晴らしい研究に刺激を受けながら、これからも地道にコツコツと小さな成功を積み重ねていきたいと思っています。

メディアインテリジェンス研究所 研究員
五十川 麻理子 Mariko Isogawa

プロフィール
2013年大阪大学基礎工学研究科 システム創成専攻システム科学領域 博士前期過程を首席で修了し、同年MD研画像メディアプロジェクトに入社。
画像・映像修復などコンピュータビジョンに関する研究に従事。

メディアインテリジェンス研究所
研究員
五十川 麻理子 Mariko Isogawa

プロフィール
2013年大阪大学基礎工学研究科 システム創成専攻システム科学領域 博士前期過程を首席で修了し、同年MD研画像メディアプロジェクトに入社。
画像・映像修復などコンピュータビジョンに関する研究に従事。

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