ページの先頭です。
コンテンツエリアはここからです。

NTT Network Innovation Laboratories NTT未来ねっと研究所

組織紹介

ミリ波(60GHz)非接触高速転送技術

●どんな技術?

 ミリ波帯は広い帯域が利用可能であり、ギガビット級の高速無線伝送が実現できる帯域として注目されています。また、ミリ波は電波の波長が短く、アンテナや高周波回路を小型化することができ、機器の小型化が可能となります。中でも60GHz帯は世界中に割り当てられており、9GHz幅の非常に広い帯域が無線局免許なしで使用することができます。  NTT未来ねっと研究所では、非接触で60GHz帯の1チャネルあたり最大3.8Gbit/s、4チャネルを同時に使用した場合には、15Gbit/s程度の高速伝送が実現可能となる小型無線装置を開発しました。今後は、情報端末への搭載にむけ、ベースバンド部およびストレージ部を含めた無線装置のより一層の小型化を目指して研究開発を進めていきます。

●ここが骨太!

・ 広帯域な平面アンテナとMMICの集積化により小型無線モジュールを実現(図1参照)

 無線モジュールの小型化を実現するために、多層基板に適したリングアンテナと周波数変換MMICの研究開発を行い、基板内にアンテナ、フィルタ、配線を内蔵、基板面にMMIC等の高周波部品を実装することができるようになりました。
 アンテナは、多層LTCC基板にリング状の金属開口面に向け直径を大きくしながら配置し擬似的に反射鏡面を形成することにより、サイズ約12×12×1(mm)の小型化かつ平面化を実現しています。また、放射器に無給電素子を追加することにより、広帯域化とアンテナ利得10dBi以上の高利得化を実現しています(図2参照)。
 60GHz帯フルカバーの鍵となる周波数変換MMICは、57〜66GHzの広帯域化を実現するためにはMMICの構成素子である移相器の広帯域化が重要になります。移相器を多段構成とし、高い結合度が必要な中心段に容量素子を用い、比帯域15%以上の広帯域化を実現しています(図3参照)。実装には、ICの裏面に配線加工がされたMMICを用い、位置精度の高い実装を実現するとともに、MMICと多層LTCC基板との接続部の損失低減を図っています。

図1 小型無線モジュール
図1 小型無線モジュール
図2 平面アンテナの鳥瞰図
図2 平面アンテナの鳥瞰図
図3 MMICの広帯域化
図3 MMICの広帯域化

・ 高密度実装により小型無線装置を実現(図4参照)

 NTT未来ねっと研究所の小型無線モジュールと市販ベースバンドLSIを用い、57〜66GHzをカバーする世界最小クラス(2012年1月時点)の小型無線装置を実現しました。60GHz帯で装置化する場合には、基板で扱う信号の周波数が高くなるため、素子や配線間の結合が高くなり、間隔が狭い場合には信号漏えいが発生します。そこで使用する基板の多層化および素子配置の最適化により、素子間や配線間の結合を低く抑え、高集積化を実現しています。
 開発した小型無線装置とコンテンツサーバ及び端末から構成される非接触高速転送システムを構築し(図5参照)、60GHz帯の1chを利用した高精細映像の書き込み検証試験により、4.7GByte(DVD1枚分)のファイルを15秒間でダウンロードできることを確認しました。

図4 小型無線装置
図4 小型無線装置
図5 小型無線装置によるリアルタイム書き込み試験系

●どんな未来?

 近い将来、動画や音楽などのブロードバンド・コンテンツをコンビニや駅の売店などでダウンロード購入するのが当たり前の時代になると考えています。そして、一瞬にしてダウンロードしたこれらのコンテンツを移動先や電車内で楽しむことができる未来が目の前まできています(図6参照)。

図6 サービスイメージ

●アクティビティ

・ "60GHz帯をフルカバーした世界最小の小型無線装置を開発
〜ギガバイト級の大容量コンテンツを情報端末へ瞬時転送〜、"NTTニュースリリース、
http://www.ntt.co.jp/news2012/1201/120117a.html、2012年1月17日

・ "60GHz帯無線伝送用12mm角小型パラボラアンテナモジュールを開発
〜ホームネットワークや小型携帯端末での10Gbit/s級高速伝送の実現に向けて〜、"NTTニュースリリース、 http://www.ntt.co.jp/news/news09/0905/090511a.html、2009年5月11日

・ M. Kawashima, T. Seki, A. Hirata, and T. Kosugi, "Millimeter-wave/terahertz circuits and transceivers for broadband wireless systems," 2011 IEEE 54th International Midwest Symposium on Circuits and Systems (MWSCAS), Wa1F, Aug. 2011.

・ K. Nishikawa, M. Kawashima, T. Seki, K. Hiraga, "Broadband and compact 3-dB MMIC directional coupler with lumped element," Microwave Symposium Digest (MTT), 2010 IEEE MTT-S International, pp.728-731, May 2010.

・ T. Seki, K. Hiraga, K. Nishikawa, K. Uehara, "60-GHz microstrip antenna with stacked rings using multi-layer LTCC substrate," Antennas and Propagation, 2009. EuCAP 2009. 3rd European Conference on, pp.3797-3800, March 2009.

・ T. Seki, N. Honma, K. Nishikawa, and K. Tsunekawa, "Millimeter-wave High Efficiency Multi-layer Parasitic Microstrip Antenna Array on TEFLON Substrate," IEEE Transaction on Microwave Theory and Technique, vol.53, pp.2101-2106, June 2005.

・ T. Seki, N. Honma, K. Nishikawa, and K. Tsunekawa, " Novel Microstrip Antenna Employing Stacked Rings on Multi-Layer Ceramic Substrate for mm-Wave Applications," IEEE MTT-S 2005 International Microwave Symposium, TH1C-4, June 2005.

・ K. Nishikawa, B. Piernas, T. Nakagawa, K. Araki, and K. Cho, "V-band Fully-integrated TX/RX Single-chip 3-D MMICs Using Commercial GaAs pHEMT Technology For High-speed Wireless Applications," 2003 IEEE GaAs IC Symp. Dig., pp. 97-100, Nov. 2003.

・ T. Nakagawa, K. Nishikawa, B. Piernas, T. Seki, and K. Araki, "60-GHz Antenna and 5-GHz Demodulator MMICs for More Than 1-Gbps FSK Transceivers," in 32nd European Microwave Conf. Proc., pp. 929-932, 2002.

フッタエリアはここからです。