News Release


平成12年1月13日

日本電信電話株式会社


高性能半導体光フィルタと光検出器の1チップ集積化に世界で初めて成功
− WDM(波長多重)光通信の低コスト化・小型化を促進 −


 NTTは、高性能半導体光フィルタと多数の光検出器を1チップに集積化した半導体光集積回路の開発に世界で初めて成功し、これにより、従来型回路の1/10未満の実装面積を実現しました。

 今回開発した受光素子を用いることにより、WDM(波長多重)光通信(*1)において、1本の光ファイバで同時に送られてくる16種類の光信号を波長の違いによって分け、検出することが1つの素子で可能になります。光ファイバは既に通信のインフラとして多数敷設されており、この光ファイバ網をWDM化すると1本の光ファイバに波長の異なる光信号を送ることによって通信容量を飛躍的に増大させることが可能となるため、WDM光通信は将来の通信にとって極めて重要な技術と言えます。しかし、1本の光ファイバに通す波長の異なる光の数が増えるにしたがって、必要となる光部品の数も増加することから、通信システムの低コスト化のためにも光部品の集積化による低コスト化・小型化が必要だと考えます。

 今回開発した受光素子は、WDM通信技術の低コスト化および小型化に大きく貢献するものであり、NTTとしては、これらの要素技術を用いて光を用いた安価なネットワークサービスを提供していけるよう努めてまいります。



○技術のポイント
 

 従来WDMなどの光通信に不可欠な半導体光素子は、素子間の配線を光信号を通すことのできる光導波路で行う必要があることから、トランジスタ等の電子部品に比べると、集積化が難しいという問題点がありました。今回開発した半導体光集積回路は、アレイ導波路回折格子フィルタ(*2)と複数の光検出器(*3)を1チップの半導体基板上に集積する技術により実現したものです。この光集積回路を使うことにより、従来多数の光部品で構成されていた光回路をわずか4mm角程度の素子におさめ実装面積を1/10未満に縮小することができます。

 この技術は光検出器に限らず、他の半導体光部品にも適用可能であり、今後、半導体レーザや光増幅器などを含んだ半導体光集積回路の開発によってWDM光通信の低コスト化を大きく前進させるものです。

 今回開発した光集積回路は、WDM光通信において通信のモニタを行い、伝送路内で波長多重化が正しく行われていることをチェックすることなどに使用することができます。


○主な特徴
 

(1)16波の光信号を1つの半導体モジュールで検出
 
  
 従来の多波長の光検出器は、光フィルタと複数の受光素子を組み合わせたものであり、素子間を光ファイバで接続しているため、光部品と電子部品の結合が難しく、実装コスト・実装面積ともに大きくなってしまいます。

 しかし、今回開発したWDM受光素子ではすべての光部品と電子部品が、3.4×4.4mmの1枚の半導体基板上に形成されているため、コスト・実装スペースの大幅な低減が可能となります。これにより、従来型システムの1/10未満の実装面積となりました。
 

(2)半導体光導波路の高精度製作技術
 
  
 高精度露光技術とドライエッチングを組み合わせ、光導波路の精密加工技術を新たに開発しました。この技術によって、光素子をサブミクロンの精度で再現性よく製作することが可能になりました。

 また、光フィルタを形成する光導波路は、損失を低減するため光吸収の少ない半導体で形成する必要があります。一方、光検出器では受光効率を向上させるため光吸収の大きな半導体を用いる必要があります。このような、まったく性質の異なる半導体を1枚の基板に形成し低損失で接続する技術をも新規に開発いたしました。



<用語解説>

*1:WDM(Wavelength Division Multiplexing)
波長多重伝送技術。
複数の波長の光信号を1本の光ファイバで伝送し、信号を多重化する技術。

*2:

アレイ導波路回折格子フィルタ
石英や半導体の基板表面に光導波路を用いて形成した回折格子。光を波長によって選別する機能を持つ。集積回路と同様なプロセスで作製可能なため量産性に優れ、固体素子であるため振動や埃等の耐環境性に優れる。

*3:

光検出器
光信号を電気信号に変換する素子。
通常、半導体で作られたフォトダイオード等が用いられる。



別紙
1.波長多重光通信(WDM)の構成
2.WDM用受光素子の構造
3.WDM用受光素子の動作原理
4.WDM用受光素子モジュール




<本件に関するお問い合わせ先>

NTT先端技術総合研究所
企画部 真鍋、活田、佐々木
Tel: (046) 240 5152, Fax (046) 270 2365
E-mail: st-josen@tamail.rdc.ntt.co.jp



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