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平成12年5月30日


世界初!3D映像表示の新原理を発見


 NTTは、3D映像表示の新たな原理を発見しました。
 発見した新原理は、明るさの異なる同一の像を重ねて表示すると奥行き感が表現されるというものです(図1)。
 NTTは、この新原理を確認するために新たな3Dディスプレイ(図2)を試作しました。この3Dディスプレイは、3D専用の眼鏡が不要というほかに、従来の3Dディスプレイに比べて、自然な立体表示ができるため観察者の疲労感が少ないこと、既存の部品で構成でき特殊な部品が不要であることなどのメリットがあります。本原理を利用した3Dディスプレイは、高臨場感映像通信への大きな可能性はもちろんのこと、立体テレビやゲーム、種々のシミュレータ、電子博物館などへの展開が期待されます。


○ 研究の背景
 高臨場感表示技術における大きな課題の一つとして、3D映像表示技術の研究が広く行われてきました。その成果としてもっともよく知られているのが眼鏡式3Dディスプレイに代表される両眼視差(注)を利用した方式です。この方式は、1つの画面上に左目用と右目用の像を映し、特殊な眼鏡等で左右の目にそれぞれの像を振り分けることで観察者の頭の中に立体画像を構築させます。しかし、目のピントは常にスクリーン上に合わされているにもかかわらず、像がこれとは異なる位置に感じられることから、生理学的な不自然さを伴い観察者が疲れやすいという問題があります。
 このため、近年、世界の3Dディスプレイの研究者の間では、両眼視差以外の代表的な生理的機能であるピント調節機能を利用する表示方式の開発が大きな課題となっていました。
 NTTは、不自然さのない3D映像表示技術を高臨場感映像通信の重要な要素技術として位置づけ、実物と見まがうような3D映像表示を目指して研究開発を進めてきました。そして、人間の立体視のメカニズムを探求していく過程において、今回の新しい3D映像表示の原理を発見しました。この原理により、両眼視差に加えてピント調節機能も利用(図3)する3Dディスプレイのプロトタイプ試作が可能となりました。


○新原理の特徴
 今回新たに発見した原理の特徴は次の2点です。
  (1) 奥行き方向に離して並べられた2つの同一の像が、観察者からは奥行きの異なる2つの像としては見えず、融合して1つの像に見えること。
  (2) 2つの像の明るさ(輝度)の比を変えることで、融合した像の見える奥行き位置を任意に変えられること。
 この新原理を双方向の映像通信に適用した場合、通常のテレビ品質の映像を送る場合にも、送信すべきデータ量は従来方式の1.3倍程度にしかならず、ネットワークによる伝送も容易です。


○ 今後の展開
 NTTでは、試作した3Dディスプレイを用いて新原理の理論的解明を進めていくとともに、ディスプレイの高精細化や大画面化、運動視差機能等の研究を行っていきます。



注: (用語解説) 立体視の生理的要因 (図4)
 人間が奥行きを感じる生理的要因には両眼視差、ピント調節、輻輳、運動視差があります。
 両眼視差 ある1つの物体を見る際、人間の左右の目はそれぞれ違った方向から見る2つの異なる像をとらえているという性質です。
 ピント調節 見る対象からの距離の変化に伴い、人の目の水晶体(レンズ)の厚さを調節することです。
 輻  輳 例えば目の前のものを見ようとした場合に眼球が内側に回転して内側を向くような動きをすることです。
 運動視差 観察者が自分で動いたり見る対象が動いた場合に、見る角度が変わって目には異なる像が結像されますがその像の違いを指します。
 従来、実用になっている3Dディスプレイは両眼視差と輻輳しか利用されていませんが、人間は実際の立体視ではこのような内的・外的な変化を常に感じているわけですから、3Dディスプレイにおいても各要因を盛り込むことで、より自然な立体視を実現できることになります。



図1 今回発見した新しい3D表示の原理
図2 プロトタイプ機の基本構成
図3 従来技術との比較
図4 立体視の生理的要因
【参考】 立体表示技術小史




<本件に関する問い合わせ先>
NTTサイバーコミュニケーション総合研究所
情報戦略担当  萩野・坂本
TEL:0468-59-2032
E-mail:ckoho@tamail.rdc.ntt.co.jp



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