News Release


平成12年10月5日

TwinVQの機能向上と
アプリケーションインターフェースの公開について

〜より多くのユーザが利用可能に〜


 NTTでは、'TwinVQ'の符号化処理速度を従来比約3倍に高速化しました。
 'TwinVQ'は、NTTが独自に開発した音楽圧縮符号化技術です。音楽圧縮符号化技術は、耳に聞こえる音楽をより少ない情報量に圧縮して蓄積・伝送するための技術で、さまざまな方式が広く研究されています。'TwinVQ'は他の方式に比べて、高圧縮時における優れた音質や伝送路上で発生する符号誤りに対する耐性などの特長を備えており、MPEG-4*1にも採用されています。今回の開発によって音楽を符号化する際の処理速度も圧縮符号化方式MP3*2とほぼ同等となったことで、他方式に比べて大きなアドバンテージを得ました。
 また、NTTでは、今回の開発に合わせて'TwinVQ'のアプリケーションインターフェース(API)をサイバースペース研究所の'TwinVQ'ホームページで公開し、応用ソフトの開発ユーザが'TwinVQ'を実際に自分のソフトに組み込んで試用できるようにしました(表-1)。加えて、音質重視のサービスに向けたハイビットレート化にも対応するなど、音楽コンテンツサービスビジネスの活性化に貢献していきます。


○開発の背景
 インターネットの普及に伴い、さまざまな音楽配信サービスが生まれています。また、配信された音楽を半導体メモリに蓄積する小型音楽プレーヤも市場に登場するなど、音楽配信ビジネスが急激に拡大しつつあります。しかし、現在のインターネット利用者の環境が低〜中速である点、さらに、映像と音楽を合わせたマルチメディアコンテンツの伝送・蓄積に対するニーズが今後高まるであろう点を考慮すると、音楽の情報量を圧縮する技術の重要性はますます高まっていくと考えられます。
 NTTではこのような状況の下、音楽・マルチメディアコンテンツビジネスのいっそうの発展に寄与するために、CD並みの音質を保ったままで音楽の情報量を1/18程度にまで減らすことができる高い圧縮率の'TwinVQ'を開発してきました。しかし、低ビットレートでも品質の劣化が少ない反面、符号化処理に時間がかかるという課題がありました。このような点に改良を加えることにより、パソコンレベルで、より多くのユーザに利用しやすくしたのが今回の開発です。


○技術のポイント
 'TwinVQ'は楽音(音楽を時系列に沿って分割した個々の部分)の情報量を圧縮する際に、楽音に処理を加えてベクトル化します。そして、この元の楽音のベクトルと、前もって'TwinVQ'内のデータとして蓄えられている多数のベクトルの一つひとつとの類似度を計算し、最も近い符号の番号だけを伝送あるいは蓄積します。これで情報量を大幅に減らすことが可能になります。これまでの'TwinVQ'では、圧縮率を高めることを第一義としていたために類似度計算の演算量が多く、処理能力の点でパソコンレベルでは不足でした。また、データとして整理、検索したり、マルチメディアソフトに応用する機能は限定されていました。それらを解決したのが以下の技術的改良です。

1. 類似度計算に新アルゴリズムを開発
 今回の改良では、類似度を計算する際に、'TwinVQ'内のデータとして蓄えられている多数のベクトルの中から、類似度が大きい候補ベクトルを効率的に絞り込む、新しい計算手順を考案し適用しています。この部分だけで、従来の'TwinVQ'の約2倍の高速処理が実現しました。また、最近のマルチメディア向けパソコンの多くには、ベクトル演算を得意とするCPUが装備されています。これを効果的に利用する仕様とすることで、さらに従来の1.5倍の高速化を達成しました。その結果、音楽の音質を低下させることなく、全体として従来のほぼ3倍の高速化を実現しました(図-1)。

2. 新ヘッダフォーマットの開発
 圧縮した音楽データのヘッダ部分に付加情報を記述したり、MP3と付加情報を共有する仕組みを盛り込むなど、'TwinVQ'を利用したアプリケーション開発をより容易にするための機能を充実させました。


○試用版の提供について
 NTTでは、今回の改良に合わせて改良技術を盛り込んだ試用版を提供し、より多くの利用者が'TwinVQ'の優れた機能を体験しやすくしました。
 今回の'TwinVQ'の改良内容および試用版のご利用に関してはNTTサイバースペース研究所の'TwinVQ'ホームページに10月5日から掲出します。このホームページからは'TwinVQ'の試用版ソフトがダウンロード可能です。

NTTサイバースペース研究所の'TwinVQ'ホームページ
URL : http://www.twinvq.org/


○その他
 今回の改良に併せ、試用版には含まれませんが、より高音質を追求するサービス利用に向けた96kbit/s〜192kbit/sのハイビットレート対応版を加え、これまで以上に広い用途での活用を可能としています。
 改良版'TwinVQ'は、10月17日〜21日に有明の東京ビッグサイトで開催されるWORLD PC EXPO2000において、NTT東日本およびそのパートナー企業12社によるTwinVQブースで展示されます。



<用語解説>
*1 MPEG-4
 1999年に成立したISO/IECのマルチメディア符号化国際標準規格で、システム部、ビジュアル部、音声部などから構成されています。性能、機能が拡張され多様なアプリケーションに対応可能です。

*2

MP3
 MPEG-1、2オーディオレイヤIIIの略称です。インターネット上で音楽データをやりとりするのに広く利用されているデータ圧縮方式で、1992年にISOによって国際標準として策定されました。



表-1 TwinVQソフトの公開内容
図-1 他方式との性能比較




<本件問い合わせ先>
NTTサイバーコミュニケーション総合研究所
情報戦略担当 坂本、萩野
TEL:0468-59-2032
e-mail:ckoho@tamail.rdc.ntt.co.jp



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