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平成12年11月9日 | ||||||||||||
大規模1,000チャネルAWGを開発 ―今後の通信需要の拡大に対応した高度なフォトニックネットワークが可能に― | ||||||||||||
日本電信電話株式会社(以下NTT、東京都千代田区 代表取締役社長:宮津純一郎)は、アレイ導波路回折格子型合分波器(AWG)において、処理可能な波長数(チャネル)を従来よりも1桁拡大した1,000チャネル規模の大規模AWGを開発しました。 AWGは、複数の異なった波長の光を1つに合波したり、その逆に、合波した光から複数の異なった波長の光を取り分けたりする、超高精度のプリズムともいえるフォトニックネットワーク部品です。 今回、AWGのチャネル数を大幅に増加するために新たに2種類のAWGによるタンデム接続法を開発し、世界で初めて1,000チャネル規模のAWGを実現しています(図1)。 AWGが合波/分波できる光の波長数が多く(多チャネル化)なれば、サービスの多様化による通信需要の拡大にも対応することが可能となり、将来のフォトニックネットワーク実現に向けても大きな前進がもたらされます。今回の開発で実現した1,000チャネル規模のAWGは、そのような次世代の高度なフォトニックネットワークの実現に大きく前進するためのマイルストーンとして位置づけられるものです。 NTTでは今後、より大規模なチャネル数に対応可能なAWGを自由に設計・作成する技術の確立に向けて研究開発を続けていきます。 <開発の背景> 爆発的なインタ−ネットの普及によって情報通信量が飛躍的に増大しています。そのため、光ファイバに波長の異なる複数の光をまとめて伝送するWDM(波長分割多重)が盛んに導入されています。WDM伝送には、多数の波長の光を合波したり分波したりする光合分波器が不可欠です。NTTでは1991年、この光合分波器として石英系プレ−ナ光波回路(PLC)という独自の光集積回路技術を用いたアレイ導波路格子(AWG)を世界に先駆けて開発しました。このPLCによるAWGは、基板上のガラスの中に作り込まれる受動部品であるため故障がなく調整も不要、小型でかつ製造コストも抑えられるなどの特長から、光合分波器の方式として主流となっています。しかし、ウェハの寸法やファイバ接続のために要求されるスペ−ス等の問題から、1ウェハ上で実現できるチャネル数は250程度に限られていました。WDMによる通信容量の増大やサービスの多様化を可能にするため、キーデバイスであるAWGのいっそうの多チャネル化が求められてきました。 <技術のポイント> 今回のAWGは、広い分波帯域をもつ前段AWGと狭チャネル間隔の後段AWG10台をタンデム接続することによって実現されました。前段AWGは、チャネル間隔が1THzで10チャネル、後段の各AWGはチャネル間隔が10GHzで160チャネルを有しています。後段の各AWGの中心波長は、これと接続される前段チャネルの中心波長に一致していますので、前段AWGによって10波に分波された光は、さらに後段のAWGで10GHzの間隔で分波されます。この結果、後段の各AWGが有する160チャネルの中から100チャネルを使用することによって、10GHzチャネル間隔で1,000チャネルを実現することができました(図2)。チャネル数とチャネル間隔を設計し、製造する技術、そして前段と後段のAWGを接続する技術は、NTTがこれまで培ってきたPLC技術のノウハウがあって初めて可能となったものです。 また、後段AWGでは、チャネル間隔が10GHzと小さいので、チャネル間のクロスト−ク(相互間の信号の漏れ)が大きいという問題がありましたが、今回の開発では、独自に開発した位相トリミング(屈折率制御)技術を駆使することによって、後段AWGのクロスト−クを抑えています。その結果、1,000チャネル中のいずれのチャネルにおいても、隣接クロスト−クおよび他チャネルからの累積クロストークはそれぞれ-25dB以下および−18dB以下に低減されています。実際の通信においては、累積クロストークは-20dB以下が要求されますが、今後の設計および作製技術の向上によって充分に低減可能です。さらに、後段のAWGとしてチャネル間隔が25GHz〜50GHzのAWGを使用すれば、位相トリミング技術を用いることなく低クロスト−ク化が可能であり、現状の技術で1,000チャネルのAWGを実現可能であることも確認できています。 <今後の展開> 今回の開発は、2種類のAWGをタンデムに接続することで、低クロスト−クで大規模なAWGを容易に実現できることを明らかにした点に意義があります。ここで使われている技術を適用すれば、後段AWGを追加することによってWDM波長数を順次拡大することが可能であり、急速に増大する帯域需要にフレキシブルに対応できるWDMシステムを構築することも可能になります。さらに、今後1ウェハ上に作製できるチャネル数が500程度にまで増大すれば、今回開発したタンデム構成技術によって数千〜10,000チャネルのAWGを実現することも可能となります。このような大規模の波長を自在に扱うことができる技術は、光の波長を活用してさまざまな機能を持たせる将来のフォトニックネットワーク実現に大きな前進をもたらすことが期待できます。
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・図1 1,000チャネルAWGフィルタの構成 ・図2 1,000チャネルの分波特性 | ||||||||||||
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![]() NTT NEWS RELEASE | ||||||||||||