News Release


2001年4月27日


サーバを介さないピアツーピアの新技術「SIONet」を開発
−個人が主体となったインターネットの新たな利用法を提案−


 日本電信電話株式会社(NTT)は、サーバを介さない新しい通信として期待されているピアツーピア(P2P; Peer to Peer)の新技術SIONetを未来ねっと研究所において開発しました。P2Pは、インターネットの新しい利用法として注目を集めている技術です。P2Pの利用例としては、Napster、Gnutella等のファイル・データ交換が良く知られていますが、これらはいずれも単一目的のシステムであり、P2Pの一利用例に過ぎません。
 NTT研究所の開発したSIONetはファイル交換に限ることなく、個人が主体となり自由で多彩な情報送受をサポートするサービス、企業向け共同作業支援サービス、分散コンピューティングなど、多彩なP2Pサービスに適用可能な技術です。また、信頼性対策、大規模化対策など、数多くの人々が安心してP2Pサービスを利用可能とするための機能が盛り込まれており、世界最高水準のP2P技術といえます。SIONetにより、個人が主体となった自由な参加型コミュニティを構築することが可能となり、インターネットの用途が飛躍的に広がります。


(開発の背景)
 インターネットで広く使われているWeb、メール等のアプリケーションは、サーバ・クライアント方式の通信技術を採用しており、クライアントである端末からの情報・要求を、サーバが受信・処理した上で結果を返信する仕組みとなっています。即ち、サーバが主、クライアントが従となる、主従関係の通信方式です。この方式は大学・研究機関等に閉じた比較的小規模のネットワークには適していますが、世界中に分散する膨大な数のPCが接続される現在のインターネットでは、サーバへの負担集中という問題を引き起こします。
 上記の問題を解決する技術として、P2P(Peer to Peer)という通信技術が注目されつつあります。P2Pは文字通りコンピュータ・端末等が対等な関係で通信するものです。負荷が集中するサーバを持たないため、コンピュータに限らず、身の回りの機器が全てつながり、更に大規模化していくと予想される次世代インターネットに適した技術といえます。特定の研究者によるファイル転送等への利用が第一世代、現在インターネット利用の中心となっているWeb等が第二世代とすると、P2Pは第三世代のインターネット利用を切り拓く技術と言えます。
 NTT研究所では、分散処理技術への長年の取組み経験を活かし、ブローカ(サーバ)を介さないブローカレス通信の研究開発に1998年から取組み、1999年にはSIONetのプロトタイプを完成しています。このたび、信頼性対策、大規模化対策など、実サービスに必要な機能拡充を終えたものです。


(技術のポイント)
1) 多目的利用: P2Pネットワーキング基盤技術の提供
 Napster、Gnutella等のP2Pシステムは、ユーザに見えるサービス(音楽交換、ファイル交換など)を司るアプリケーション部分と、検索依頼、検索結果通知など、P2P通信を支えるプロトコル部分が一体となって作成されています。また、プロトコル部分は各システム毎に独自に作成されているため、アプリケーション部分の互換性・相互運用性がありません。SIONetでは,アプリケーション部分とプロトコル部分を明確に分離しており、下位のプロトコル部分を多彩なP2Pサービスに共通的に利用することを可能としています。

2)安心・安全: セキュアーな意味情報空間の提供
 SIONetでは、意味情報に基づいて情報転送を行います。意味情報とは、転送する情報の内容・概要を表現したもので、SIONetでは意味情報を見ながら情報の転送先、転送経路を決定します。また、イベントプレースと呼ばれる論理的なネットワークを構築し、情報の転送をイベントプレース内に限定することが可能です。これにより、個人情報を保護しつつ、限られたコミュニティ内での情報交換を可能としています。イベントプレース間でも情報の転送は可能ですが、その際に意味情報をチェックすることにより、不正な情報の授受を防ぐことが可能です。

3)大規模化・高信頼: スケーラブルなSIONetの構築技術
 SIONetでは、Gnutellaで使われているようなユーザ無作為の同報転送は行いません。意味情報に基いて情報を転送するため、無駄な情報がネットワークを流れることはありません。また、情報転送に関わるノード(ルータ相当)を、地理的に分散して配置することができます。これにより、SIONetユーザ、利用トラヒックが増加しても、快適にサービスを利用することが可能です。また、あるノードが障害になっても、他のノードがそれを代行することが可能なため、システム全体の信頼性を高めています。


(今後の展開)
 NTTでは、今後、SIONetを用いたサービスの研究開発を進め、多彩なP2Pサービスの早期展開を図っていきます。


(用語解説)
ピアツーピア(Peer to Peer):peerは「同僚、同等の者」を指す英語。peer to peerは端末間あるいはユーザ間で文字通り対等な通信を行う技術。サーバが主、クライアントが従となるサーバ・クライアント方式と対比して用いられる。P2Pはpeer to peerの省略形であるが、端末より個人に重点を置いた表現としてperson to personを指すこともある(意味はpeer to peerと同じ)。



図1 多目的利用: P2Pネットワーキング基盤技術の提供
図2 安心・安全: セキュアーな意味情報空間の提供
図3 大規模化・高信頼化: スケーラブルなSIONetの構築技術




本件問合せ先

NTT第三部門
R&Dビジョン担当 池内哲之
TEL:03-5205-5376 e-mail:n.ikeuchi@hco.ntt.co.jp

NTT先端技術総合研究所
広報・情報戦略担当 相原 公久
TEL:046-240-5152 e-mail:aihara@tamail.rdc.ntt.co.jp



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