3.経 営 成 績 |
(1)当期の概況 当連結会計年度におけるわが国経済は、個人消費は概ね横ばいで推移し、企業部門では自律的回復に向けた動きが続いたものの、期末にかけては米国経済の減速から輸出が落ち込み、それに伴い生産が減少するなど、厳しい状況を脱するには至りませんでした。 情報通信分野においては、IT(情報通信技術)の進展に伴い、より高速・大容量のブロードバンド通信の需要が顕在化するなど、市場環境が急速に変化しました。成長を続けるインターネットアクセスサービス市場では、ADSL、光アクセスサービスなどを提供する新たな事業者が参入し、ブロードバンド通信の需要を巡る競争が進んでおります。また、移動通信市場も、モバイルマルチメディアの普及に牽引され引き続き拡大しました。一方、固定電話市場においては、市場規模が横ばい状態にあるなか、平成13年5月の優先接続制度(「マイライン」)の導入に向けた顧客獲得競争が激しく繰り広げられました。さらに、国内事業者に対する外資の本格的な資本参加を含め、国境を越えた通信事業者の統合が続き、情報通信市場のグローバル化が一層進展しました。 このような事業環境のもと、NTTグループは、グループ全体として目指す事業の方向付けを行うために当社が策定した「NTTグループ3ヵ年経営計画(2000〜2002年度)」に基づき、光ファイバを用いたインターネットアクセスサービスの試験的な提供などによるブロードバンド化への対応や、IPサービスおよびモバイルマルチメディアサービスのグローバルな展開のための戦略的な国際投資の実施などに積極的に取り組みました。さらに、市場の激しい変化に対応するため、大幅な料金値下げを実施しました。 この結果、当連結会計年度の連結営業収益は11兆4,141億円(前期比9.5%増)、連結経常利益は7,260億円(前期比12.0%減)、連結当期利益は4,640億円(前期比5,318億円増)となりました。 また、当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況については、営業活動から3兆705億円の現金を得ました。投資活動には5兆1,882億円の現金を使用しました。財務活動から1兆8,075億円の現金を得ました。この結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は8,779億円(前期比24.0%減)となりました。 なお、当期における期末配当金は、前述の基本方針に基づき1株あたり2,500円を予定しており、中間配当金を加えますと1株当たりの配当金は年間5,000円となります。 当連結会計年度における主要なグループ会社等の事業の概況および経営成績は次のとおりです。 【日本電信電話株式会社(持株会社)】 当社は、基盤的研究開発の推進・成果の普及を図るとともに、NTTグループを統括・調整する持株会社として、グループ全体としての戦略の策定や経営資源の再配分などを行うことにより、グループの事業の発展に努めました。 まず、平成12年度に行われた各グループ会社の定時株主総会における議決権行使に際して、前期(平成11年度)における各グループ会社の事業展開などが適切であると判断したことから、各社から提案のあった利益処分案承認の件などについて賛成の議決権を行使し、その結果、受取配当金として726億円(前期比423.0%増)を得ました。 また、グループ全体として目指す事業の方向付けを行うとともに、これに基づく各グループ会社の取り組みをとりまとめ、「NTTグループ3ヵ年経営計画(2000〜2002年度)」を策定しました。加えて、東西地域会社の「中期経営改善施策」(平成11年11月発表)の円滑な実施に向け、グループ内の調整など必要な支援を行うとともに、国際的な事業展開、新事業の開拓、光サービスの展開、グループの中核となる人材の育成などに向けた助言、あっせんなどを各グループ会社に対して行いました。これらの対価として、グループ経営運営収入249億円(前期比21.4%増)を得ました。 さらに、「安心」「安全」「便利」「快適」な情報流通社会の実現に向けた研究開発や情報通信の将来を担う基礎技術の研究開発に精力的に取り組み、基盤的研究開発収入2,014億円(前期比14.1%増)を得ました。 以上の結果、当期の営業収益は3,228億円(前期比81.0%減)、経常利益は839億円(前期比28.6%減)となりました。当期利益は、当社の米国の関係会社であるPHOTONIC INTEGRATION RESEARCH,INC.(フォトニック・インテグレーション・リサーチ社)株式の売却に関連する利益1,487億円を特別利益に計上したことなどにより、1,612億円(前期比66.1%増)となりました。 【東日本電信電話株式会社・西日本電信電話株式会社】 東日本電信電話株式会社および西日本電信電話株式会社は、県内通信サービス事業を行っています。県内通信サービス市場は、「マイライン」導入を契機に市内通話市場に中継系事業者が新たに参入を表明したほか、インターネットアクセスサービスにおいて、CATV、ADSL、光ファイバ事業者との競争が激化しております。 このような状況のもと東西地域会社は、定額制のインターネットアクセスサービスの拡充による競争力の強化に努めるとともに、料金の低廉化、経営の効率化に取り組みました。 定額制のインターネットアクセスサービスの拡充につきましては、ISDN回線を用いた「フレッツ・ISDN」の普及への取り組みに加え、ADSL技術による「フレッツ・ADSL」を提供するとともに、より高速で快適なブロードバンドの実現に向け、光ファイバをアクセスラインとした「光・IP通信網サービス(仮称)」の試験的な提供を開始しました。 料金の低廉化につきましては、同一県内の市外通話料金を値下げしたほか、「マイライン」導入に向けた競争に対応するため、各種の割引サービスを提供するとともに、平成13年5月より市内通話料金の値下げを実施(東日本電信電話株式会社は段階的な値下げとして一部を当期中に実施)することとしました。また、平成12年5月の電気通信事業法の改正(平成12年11月施行)に伴い、事業者間接続料金の算定にあたって長期増分費用方式が導入されたことにより、接続料金の大幅な値下げを実施しました。 経営の効率化につきましては、「中期経営改善施策」に基づき、人員および設備投資の削減や営業拠点の統廃合に取り組みました。加えて、競争激化に伴う厳しい経営環境を踏まえ、希望退職を実施しました。 以上の結果、当期の営業収益は東日本電信電話株式会社が2兆7,945億円(前期比29.7%増)、西日本電信電話株式会社が2兆6,395億円(前期比27.4%増)となりました。 【エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社】 エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社は、県間・国際通信サービス事業を主な事業として行っています。県間・国際通信サービス市場は、グローバルな競争の進展に伴う通信事業者の合従連衡が続く一方で、IP技術を用いた電話サービスを全国均一料金で提供する事業者が新規参入を表明するなど、競争が一層激しくなっております。 このような状況のなか、エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社は、IPサービスのグローバルな展開を推進するとともに、電話サービスの競争力の強化に取り組みました。 IPサービスにつきましては、常時接続やADSLへの対応などOCNサービスの多様化によりお客様の利便性向上に努めるとともに、「アークスター」ブランドのもとIP仮想専用網やデータセンタなど法人向けのグローバルなサービスを拡充したほか、電子商取引の基盤となる各種プラットフォームサービスの提供に取り組みました。 また、グローバルなIPサービスの展開を図るため、米国のインターネット・ソリューション・プロバイダであるVerio社を買収しました。 電話サービスにつきましては、県間・国際通話料金の値下げを実施したほか、利用実績に応じて様々なメリットが受けられる「コーレージサービス」など割引サービスを拡充するとともに、市内から国際までの一括サービスに対する法人のお客様からの強い要望にお応えするため、平成13年5月より一部の地域で県内通信サービスを開始することとするなど、「マイライン」導入に向けて競争力を強化しました。 以上の結果、エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社の当期の営業収益は1兆3,555億円(前期比26.1%増)となりました。 【株式会社エヌ・ティ・ティ・データ】 株式会社エヌ・ティ・ティ・データは、システムインテグレーション事業、ネットワークシステムサービス事業を主な事業として行っています。 当期においては、大規模システムについて、安定したサービスの提供やシステム更改への対応などに引き続き努めるとともに、アウトソーシングビジネスの受注活動にも積極的に取り組みました。 また、お客様と業務提携や共同出資を行いながら新しいビジネスを創造する「ITパートナービジネス」、決済サービスなど情報ネット社会の基盤サービスを提供する「サービスプロバイダビジネス」を推進しました。 この結果、株式会社エヌ・ティ・ティ・データの当期の営業収益は7,867億円(前期比9.8%増)となりました。 【株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ】 株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモは、携帯電話事業、PHS事業、クイックキャスト事業を主な事業として行っています。 当期においては、「iモード」に代表されるモバイルインターネットアクセスの需要が高まるなか、「iアプリ」対応の携帯電話をはじめとする各種新商品の発売などにより、モバイルマルチメディアの一層の普及・拡大に取り組むとともに、料金の低廉化により利用促進に努めました。第三世代移動通信システム(IMT-2000)については、各種試験およびネットワークの構築などサービス開始に向けた準備を進めました。 また、IMT-2000およびモバイルマルチメディアサービスをグローバルに展開するため、米国AT&Tの携帯電話事業部門AT&T Wireless(AT&Tワイヤレス)のほか欧州・アジアの携帯電話事業者などに資本参加を行いました。 この結果、株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモおよび地域子会社8社の合計の当期の営業収益は4兆9,239億円(前期比25.4%増)となりました。 (2)次期の見通し わが国経済は、当面は世界経済の減速や設備投資の鈍化の兆しなどの懸念材料を抱えており、金融・財政政策や各種経済対策の効果は期待し得るものの、なお楽観を許さない状況が続くと思われます。 情報通信分野では、固定通信・移動通信の双方でインターネットの利用が引き続き急増し、とりわけ、高速かつ高品質なブロードバンドの需要の増大とこれに対応する各種サービスの充実とが相乗して進行するものと予想されます。これに伴い、ブロードバンドアクセスやネットワーク事業、電子決済などのプラットフォーム事業、映像配信などのコンテンツ事業など情報通信の全ての事業分野における競争や事業者の提携が世界的な規模で展開されていくものと想定されます。 このように急激な変化が続く市場に的確に対応するために新たに策定した「NTTグループ3ヵ年経営計画(2001〜2003年度)」に基づき、NTTグループは、料金の低廉化とサービスの多様化を引き続き推進するほか、光サービスの積極的な展開、各種IP事業の推進、高速モバイルマルチメディアの実現など情報流通サービス全般の提供によるグローバルな競争力の強化に努めるとともに、人員の再配置など東西地域会社の構造改革にグループ一丸となって取り組んでいきます。 次期の業績については、連結営業収益は12兆950億円(前期比6.0%増)、連結経常利益は7,650億円(前期比5.4%増)、連結当期純利益は1,280億円(前期比72.4%減)を予想しています。 また、次期の年間配当金につきましては、1株当たり普通配当5,000円とさせていただく予定です。 |
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